高橋文雄先生

最近の医政の話題と
今後の問題点
平成15年11月28日
札幌市医師会
医政委員会
1
小泉内閣の誕生
2001.4.26
財政再建 vs 景気対策
小さな政府 vs 大きな政府
2
医療制度に対する集中砲火
・・・検討課題の筆頭が医療・・・
• 財政改革として
• 規制改革として
内閣府
内閣府
経済財政諮問会議
総合規制改革会議
3
小泉内閣の構造改革
構造改革なくして景気回復なし
聖域なき構造改革
4
小泉内閣の聖域なき構造改革
不良債権の最終処理
道路特定財源の見直し
郵政三事業の民営化
特殊法人改革
医療制度改革
5
あらゆる産業分野に市場原理を導入する
米国型社会経済システム
小さな政府
6
経済財政諮問会議
今後の経済財政の運営及び経済社会の
構造改革に関する基本方針
「経済財政運営の基本方針」
「骨太の方針」
平成13年6月26日 閣議決定
7
経済財政諮問会議と総合規制改革会議
医療関連重点項目
医療費総額の抑制
高齢者医療費伸び率の設定
混合診療の解禁
公的医療保険の範囲の縮小
保険者と医療機関の直接契約
診療報酬の引き下げ
株式会社の医療機関経営参入
医療法人の理事長要件撤廃
8
政府のねらい
・小泉内閣の医療改革
① 市場原理主義者による医療の格付け
② 財務官僚による医療費総枠抑制策
・経済財政諮問会議・総合規制改革会議
審議内容:①医療費の抑制と競争原理による安価で良質な医
療の提供
②医療機関経営の近代化・効率化
目論み :混合診療の導入、株式会社等による医療への参入等
医療分野でも「彼らが」自由に利益を上げる
9
医療への市場原理の導入
株式会社の
医療機関経営参入
混合診療の解禁
10
混合診療が解禁されたら
国民の医療サービス需要
公的医療保険給付(一部負担金含)
公的医療保険給付(一部負担金含)
公的医療保険給付(一部負担金含)
公的医療保険給付
混合診療
混合診療
民間医療保険給付
11
営利原則が壊すもの・もたらすもの
日本医師会 02.7
国民皆保険制度
命の平等
フリーアクセス
最善原則
現行(非営利)
公の精神
応召義務
現物給付
なだらかな
費用の増加
内部留保重視
12
営利原則が壊すもの・もたらすもの
日本医師会 02.7
命の値付け
保険の分裂
国民皆保険制度
最銭原則
最善原則
現物給付
現金給付
命の平等
営利原則
なだらかな
費用の増加
急激な費用
の増加
アクセス管理
フリーアクセス
公の精神
応召義務
個人主義
患者選び
内部留保重視
株式配当重視
13
骨太の方針第3弾
(経済財政諮問会議)
・6月27日「骨太の方針 第3弾」閣議決定
医療に関する具体的取組み
①
②
③
④
株式会社等による医療機関経営の解禁
保険診療と保険外診療の併用の拡大(混合診療)
医薬品販売体制の拡充
労働者派遣の医療分野(医師・看護師)への適用
拡大
14
*骨太の方針第3弾に示された
規制改革12重点項目
•
•
•
•
•
•
•
•
•
•
1.株式会社等による医療機関経営の解禁
2.保険診療と保険外診療の併用拡大
3. 医薬品販売体制の拡充
4.新しい児童育成のための体制整備
5.公立学校の管理・運営の民間委託等
6.株式会社による農地取得の拡充
7.労働者派遣の医療分野への適応拡大
8.大学・学部・学科の設置等の弾力化
9.高層住宅に関する容積率の緩和
10.職業紹介事業における地方公共団体・民間事業者の役割の
大幅拡大
• 11.株式会社等による特別老人ホーム経営の全国展開
15
• 12.株式会社による農業経営の全国展開
骨太の方針
「3つの宣言」
経済活性化
国民の安心の確保
将来世代に責任の持てる
財政の確立
「7つの改革」
・規制改革・・・構造改革特区
・資金の流れと金融・産業再生
・税制改革 (消費税?)
・雇用・人間力の強化
・社会保障制度改革
(三方一両損)
・国と地方の改革 (税源の移譲)
・予算編成プロセス改革
(補助金削減・三位一体改革)
16
アクションプラン12
(総合規制改革会議
7月11日)
・7月11日「アクションプラン12」答申決定
※「骨太の方針第3弾」に示された規制改革12項目について、改革
会議の現状認識と今後の課題を示したもの
さらなる改革の必要性を指摘
(株式会社の参入を全国規模へ。新技術を積極的に認め、
混合診療を推し進める)
12月第3次答申(最終答申)へ
17
四師会統合戦略本部
(日医、日歯、日薬、日看協)
・3月5日
共同声明まとめる
「株式会社の参入について断固反対」
・6月10日
要望書提出
規制改革3項目阻止
① 株式会社等による医療機関経営の解禁
② 混合診療の解禁
③ 医薬品の一般小売店における販売
18
厚 労 省
① 7月11日「アクションプラン12」答申に異例の反論
② 総合規制改革会議の姿勢を批判
総合規制改革会議「答申」は、閣議決定の「骨太の
方針第3弾」を超える内容を含むと指摘
③ 厚労省方針:「骨太の方針第3弾」閣議決定に沿って
取り組みを進めることを強調
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医療費の総枠規制
平成16年度予算概算要求基準(社会保障費関係)了承
経済財政諮問会議(7月31日)
社会保障費の自然増
9,100億円
2,200億円圧縮
自然増を6,900億円とする
診療報酬5%減(財務省案、11月11日)
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*平成14年度厚生労働省予算の概算要求
(医療費分)
(平成13年8月)
当然増5,500億円
2,800億円圧縮
2,700億円とする
診療報酬2.7%減
21
診療報酬改定に関する
厚労省の考え方
• 辻保険局長:財務省のマイナス発言をけん制。
(9月18日)
• 西山医療課長:医療の姿を歪める改定は極力回避。
しかし日本経済が上向かなければ、
次期改定も厳しい。
(9月20日)
• 坂口厚労相:次期改定でマイナスの前提はない。
(9月25日)
• 坂口厚労相:財務省の診療報酬5%引き下げに反対。
(11月11日)
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自民党総裁選における
日医連の動き
(9月10日~11日)
●都道府県の対応
小泉再選反対
うち反対決議採択
これから対応を決める等
出張中で委員長と連絡取れず
28
11
17
2
●日医連 石川副委員長:各都道府県医連に通達
「日医連としては小泉再選を支持する」
23
日医連 小泉総裁支持の理由
10月12日日医代議員会
• 小泉内閣の進めた医療制度の中身はとんでもな
い劣悪なものである
• これまで場当たり的な対応に終始してきたため、
もはや制度として限界にきているわが国の社会
保障構造を、本気で変えるためには、改革を叫
ぶ小泉改革論のようなエネルギーが必要
• 改革を期待できる政治家は他にいない
• 何より国を挙げての「改革」の機運の盛り上がり
が、医療制度改革にとっては、またとないチャン
スであり、追い風である。
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自民党総裁選
(9月20日)
•
•
•
•
小泉純一郎
亀井静香
藤井孝男
高村正彦
399票(60.7%)
139票(21.2%)
65票( 9.9%)
54票( 8.2%)
25
小泉第二次改造内閣
(9月22日 発足)
• 改革路線は堅持し微動すらしない。
• 今回の組閣は改革推進内閣であり、政策転換
はしない。
(坂口厚生労働大臣の留任)
• 総裁選での公約が、衆議院総選挙の自民党の
公約となる。
26
衆議院総選挙に向けて
日医連石川副委員長
• 小泉政権はどうか知らないが、“安倍自民
党”は支える。安倍さんの自民党は全面的
に支持していく。
• 「小泉内閣の高支持率+安部人気」の
二枚看板による自民党の総選挙戦略
27
衆議院総選挙
(平成15年11月9日)
自民党の予想外の苦戦
民主党の善戦
二大政党時代の幕開け?
今後の日医の在り方?
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