漢方あんばい通信 - 漢方専門 杏梅堂

心 も から だ も え え 調 子
漢方あんばい通信
2016 年 7 月号
生薬よもやま話
紫蘇は中国原産の一年草です。アントシアン色素の有無により
赤紫蘇系と青紫蘇系に分けることができます。
赤紫蘇は梅干などの着色によく使われます。これは葉に含まれ
るアントシアン色素が梅のクエン酸によって酸化され赤紅色に変
化することを利用したものです。
一方青紫蘇は大葉とも呼ばれ、 刺身のつま などによく利用
されています。またβーカロテンは緑黄野菜の中で最も多く含ま
れています。
赤紫蘇
紫蘇は強力な防腐作用のある精油成分を含み、発散作用・理気
作用・解毒作用に優れるので、胃腸型の感冒、精神・神経症状の
改善、食中毒や蕁麻疹の解消に用いられています。
漢方薬の生薬には赤紫蘇が用いられ、紫蘇の葉を蘇葉(ソヨウ)、
実を紫蘇子(シソシ)と呼びます。
蘇葉は半夏厚朴湯や参蘇飲などの処方に、紫蘇子は蘇子降気湯に
使われています。
青紫蘇
参考文献:現代の食卓に生かす「食物性味表」 日本中医食養学会編
中医臨床のための中薬学 神戸中医学研究会編
紫蘇ジュース
材料
赤紫蘇の葉 80g
赤紫蘇のさわやか
砂糖 80g
な香りが、 食欲の
クエン酸 20g
水 1ℓ
※クエン酸は薬局などで購入できます。
作り方
1. 赤紫蘇の葉をよく洗います。
赤紫蘇の葉が手に入らないときは乾燥葉 10gでも結構です。
2. 鍋に水を入れて沸騰させ、赤紫蘇の葉を入れ弱火で 10 分煮ます。
3. 赤紫蘇の葉を取り出し、砂糖とクエン酸を加え溶かします。
落ちてしまいがち
な夏にピッタリ!
夏なのに冷え症?
冷え症といえば、寒い季節にだけ起こる症状ではありません、夏でも冷え症は存在します。
飲食物の保管場所として冷蔵庫に入れる人が多いですよね。冷蔵室は 3 ∼ 6℃です。
ところで通常胃の温度は 36 ∼ 37℃と言われています。そこへ冷蔵庫で冷えた飲み物が入っ
てきたらどうでしょう。胃袋が氷嚢(ひょうのう)代わりとなってお腹を冷やします。
当然消化活動が衰え、消化不良・食欲減退・腹痛や下痢といった症状が起こります。また
お腹の冷えが原因で偏頭痛を起こすこともあります。
中国人は夏でも冷たい飲み物は口にしないそうです。消化器官を冷やすことがどれだけ
体に悪影響を及ぼすかを知っているからです。
冷蔵庫の飲食物はそのまま口にせず、レンジなどで温めるなど常温に近い
温度で摂ることをぜひ心がけて下さい。
常備しておきたい漢方薬 ~藿香正気散~
夏場に増えるかぜの特徴として、胃腸など消化器系に症状が現れることが多いものです。
クーラーのかかる寒い部屋に長時間いたり、冷たい飲食物で胃腸を冷やすと、食欲不振・
下痢などの症状が起こります。
そんな胃腸型のかぜには藿香正気散がおすすめです。蘇葉など芳香成分のある生薬を含
み飲みやすいのが特徴です。
ところで夏場のかぜに葛根湯などを服用すると発汗が高まりすぎて、良くなるどころか
病状をかえって悪化させてしまいますのでご注意下さい。
編集後記
前回の「漢方あんばい通信」の発行が 2015 年 3 月でしたので、今回は 1 年 4 ヶ月ぶり
となります。その間いろいろなできごとがありました。
特に昨年 9 月、三重県津市で皇漢堂薬局を経営されていた吉井孝先生が他界されたこと
は、私にとってたいへんショッキングなことで、心の支えを失った思いがしました。
先生の優しく真摯なまなざしは今でも忘れることができません。
先生のご遺志を継ぎ、これからも私たちは漢方家として日々研鑚に勤めて参ります。
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