資料1 法令等により書面による保存、交付等が規定されている手続等の状況 (平成 27 年 3 月末時点) 平成28年6月30日 内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室 1.背景 「IT 利活用に係る基本指針」(平成 27 年 6 月 30 日高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部決 定)のⅢ.3.(1)において、「各府省庁は、その所管する法令に基づく手続等の全数とその概要を毎年 度末時点において調査し、Web で公表する」こととされています。 また、「日本再興戦略 2016」(平成 28 年 6 月 2 日閣議決定)の本文第二部Ⅰ.1.(2)ⅱ)⑥イ)にお いて、「『法令等に基づく全手続等の悉皆調査』(いわゆる全数調査)に関し、内閣官房情報通信技術 (IT)総合戦略室は各府省庁の調査・回答状況を本年 6 月を目途に公表」することとされています。 今般、内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室(以下「IT 総合戦略室」という。)において、平成 27年 3 月末時点における、法令等により書面による保存、交付等が規定されている手続等(注)の状況につい て、当該手続等を所管している各府省庁による調査・回答を取りまとめましたので、公表します。 (注)書面による保存、交付等が規定されている手続等とは、行政機関等に係る申請、届出その他の手続等、及び法令の規定により民 間事業者等が行う書面の保存、交付等の行為のことをいいます。 2.調査の概要 本調査では、「IT 利活用に係る基本指針」に基づき、各府省庁が実施することとなっている、手続等の 現状把握と見直し計画の策定状況に関し、手続等の規模感など実態の把握を含めて、以下の作業を各 府省庁に要請し、取りまとめています。 作業 1 手続名、根拠法令等の更新 作業 2 手続等の実態の把握(注) 作業 3 法令上オンライン適否の判定 作業 4 オンライン化に向けた検討の視点およびオンライン化を阻害する要因の判定(注) 作業 5 見直し計画(オンライン化が有効と考えられる手続等の検討スケジュール)の策定(注) (注)前年度の調査では実施しておらず、本調査で新たに実施した作業項目 作業 1 では、前年度に実施した調査結果(平成 26 年 3 月末時点)を基に手続名や根拠法令等につ いて追加・修正・削除を実施しています。 作業 2 では、手続等の実態(年間の手続件数や手続の発生頻度、および手続 1 回あたりの提出書類 の枚数等)について、調査しています。なお、手続等の根拠となる法令を所管する各府省庁自体ではな く、法令の執行に係る事務が地方公共団体による手続等や民間事業者間で行われる手続等における件 数については、各府省庁は、可能な範囲で調査をしています。 作業 3 では、各手続等について、法令上オンライン等により実施することが認められているか否かを 1 判定しています。 作業 4 では、参考資料 1「オンライン化に向けた検討の視点」や参考資料 2「法令上オンライン化を阻 害する要因」を参考に、オンライン化に向けた検討やオンライン化を阻害する要因の判定を実施し、回 答票に記載してもらうこととして調査をしています。なお、民間事業者間で行われる手続等については、 本作業は実施しておりません。 作業 5 では、各府省庁は、法令上オンライン等により実施することが認められていない手続等のうち、 手続の発生頻度も念頭に置きつつ、オンライン化等のための法令の整備を実施することが有効であると 考えられる手続等を検討対象手続として設定した上で、そうした手続等について、オンライン化等を進め るための検討スケジュールを策定しています。 3.結果の概要 手続等を実施主体と受け手により、3 類型(官-民等、地方-民等、民-民)(注)に分類し、法令上オ ンラインによる手続が認められているか否か(作業 3 の回答状況)について、下表のとおり取りまとめまし た。 (注)「官-民等」は、国と個人・民間事業者等との間及び行政機関間で行われる手続、「地方-民等」は、地方公共団体等と個人・民間 事業者等との間及び行政機関間で行われる手続、「民-民」は、個人間及び個人・民間事業者等間で行われる手続等を含みます。 表 1 総手続数及び法令上オンライン不可の手続数について 総手続数(b)(注) オンライン不可の手続数(a) 割合(a/b)[%] 官-民等 19,350 197 1.0 地方-民等 14,156 4,310 30.4 民-民 3,005 321 10.7 (注)作業 3 において、各府省庁から回答が得られなかった手続は除く。 (1) 国の行政機関等が扱う申請、届出その他の手続等の状況(官-民等の手続等) 法令上オンライン等により実施することが認められていない手続等は、平成 27年 3 月末時点 においては、197 手続(1.0%)となっています。 これらの手続等のうち、オンライン化を阻害する要因の回答状況(複数回答可)を分析したと ころ、下表のとおり、「本人の真正性確保(厳格な本人確認が必要)」が 114 手続(57.9%)で最 も多く、続いて「審査・検査等(対面を原則としている)」が 95 手続(48.2%)、「行政処分(厳密性 の配慮が求められる)」が 67 手続(34.0%)となっています。 また、これらの手続等のうち、書面等による年間の手続件数を分析したところ、約 1,000 件未 満の手続は 71 手続、約 1,000 件~約 10 万件未満の手続は 30 手続、約 10 万件以上の手続 は 6 手続、不明等と回答された手続は 90 手続ありました。 2 表 2 法令上オンライン等不可の手続等におけるオンライン化阻害要因の回答状況(官-民等の手続等) 67 95 114 58 3 4 3 10 3 34.0 48.2 57.9 29.4 1.5 2.0 1.5 5.1 1.5 その他 相手方の特定困難 送達確認 非定型 報告 周知(公告・公示等) 視認性の確保 (2) 本人の真正性確保 割合[%] 審査・検査等 手続数 行政処分 分類 法令上オンライン化を阻害する要因(複数回答可) 現物により手続が必要 等 - 地方公共団体等が扱う申請、届出その他の手続等の状況(地方-民等の手続等) 法令上オンライン等により実施することが認められていない手続等は、平成 27年 3 月末時点 においては、4,310 手続(30.4%)となっています。 これらの手続等のうち、オンライン化を阻害する要因の回答状況(複数回答可)を分析したと ころ、下表のとおり、「本人の真正性確保(厳格な本人確認が必要)」が 860 手続(20.0%)で最 も多く、続いて「審査・検査等(対面を原則としている)」が 778 手続(18.1%)、「非定型(定型化 されていない手続)」が 774 手続(18.0%)となっています。 また、これらの手続等のうち、書面等による年間の手続件数を分析したところ、約 1,000 件未 満の手続は 1,554手続、約 1,000 件~約 10 万件未満の手続は 191 手続、約 10 万件以上の 手続は 71 手続、不明等と回答された手続は 2,494 手続ありました。 表 3 法令上オンライン等不可の手続等におけるオンライン化阻害要因の回答状況(地方-民等の手続等) 本人の真正性確保 視認性の確保 周知(公告・公示等) 非定型 送達確認 相手方の特定困難 578 778 860 496 411 83 774 250 117 割合[%] 13.4 18.1 20.0 11.5 9.5 1.9 18.0 5.8 2.7 (3) その他 審査・検査等 手続数 分類 報告 行政処分 法令上オンライン化を阻害する要因(複数回答可) 原本性の確保が困難 等 - 民間事業者等が行う書面の保存、交付等の状況(民-民の手続等) 法令上オンライン等により実施することが認められていない書面の保存、交付等は、平成 27 年 3 月末時点においては、321 手続(10.7%)となっています。 これらの書面の保存、交付等のうち、オンライン等による実施を認めることについての支障が あるとされたものの主な理由としては、書面の真正性の確保や見読性の確保等が挙げられてい 3 ます。 また、これらの手続等のうち、書面等による手続の実態の回答状況を分析したところ、約 1,000 件未満の手続は 50 手続、約 1,000 件~約 10 万件未満の手続は 35 手続、約 10 万件 以上の手続は 13 手続、不明等と回答された手続は 223 手続ありました。 (4) 見直し計画(オンライン化が有効と考えられる手続等の検討スケジュール)の策定 法令上オンライン等により実施することが認められていない手続等のうち、検討対象手続とし て設定した手続等は、官-民等において 21 手続、地方-民等において 108 手続、民-民に おいて 34 手続となっています。 官-民等の検討対象手続のうち、オンライン化に向けた検討の視点の回答状況(複数回答 可)を分析したところ、どのような観点からオンライン化が有効と考えられるか、については、下表 のとおり、「類似手続への展開(他の手続との共通化等)」が 21 手続(100.0%)と最も多く、続い て「マイナンバーカード・公的個人認証の活用(本人確認への活用)」が 20 手続(95.2%)となっ ています。 また、地方-民等の検討対象手続において上記と同様に分析したところ、下表のとおり、「類 似手続への展開(他の手続との共通化等)」が 89 手続(82.4%)と最も多く、続いて「マイナンバ ーカード・公的個人認証の活用(本人確認への活用)」が 79 手続(73.1%)、「ユーザーニーズ (利用頻度が高い手続)」が 11 手続(10.2%)となっています。 なお、民-民の検討対象手続においては、民間事業者等からの要望があればオンライン化 等を認める検討を行う等の回答がなされています。 表 4 検討対象手続におけるオンライン化に向けた検討の視点の回答状況 その他 マイナポータルの活用 公的個人認証の活用 マイナンバーカード・ 法人番号の活用 マイナンバーの活用 地方-民等 手続数 添付書類等の省略・ 簡素化 官-民等 類似手続へ の展開 ユーザーニーズ 分類 オンライン化に向けた検討の視点(複数回答可) 0 21 0 0 0 20 0 - 割合[%] 0.0 100.0 0.0 0.0 0.0 95.2 0.0 - 手続数 11 89 9 2 2 79 0 - 10.2 82.4 8.3 1.9 1.9 73.1 0.0 - 割合[%] 4 4. 今後の取組 「日本再興戦略 2016」では、「IT総合戦略室は各府省庁の調査・回答の内容につき検証を行い、各 府省庁においては今後の取組方針についての検討を行う」こととされています。また、「IT 総合戦略室 は、各府省庁と連携の下、民間ニーズ等の観点から IT 利活用を優先的に導入すべきと考えられる手続 等を特定し、本年末までに導入時期及び必要な法制上又はその他の措置を取りまとめる」こととされてい ます。 そのため、今後は、各府省庁の調査・回答の内容について、手続件数の規模や民間ニーズ、マイナ ンバー制度利活用によるオンライン化の可能性、オンライン阻害理由の妥当性等の観点から検証を行 い、オンライン化等を進めるべきと考えられる手続等を特定し、オンライン化等に向けた具体的な取組に ついて、本年末までに取りまとめる予定としております。 これらの取組を促進するために、手続等の利用者(地方公共団体や民間事業者等)へのヒアリングに よる具体的なニーズ、規模感や手続の効率性を阻害するボトルネック等の課題の把握、オンライン化等 の実現に向けた課題の検討等を行うことを目的として、IT 総合戦略室と各府省庁間で必要に応じて会 合を設ける等を行い、各府省庁の取組状況を適切にフォローアップしてまいります。 以上 5
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