原 著 集合住宅における環境形成に関する考察 花 里 俊 廣非 高 橋 鷹 志榊 A Study of EIlviro皿me皿tal Formatioms in Co皿ective Dwellings Toshihiro Hanazato由and Takasbj Takahasbi榊 Abstmct This s手udy deals with the formation of dwemng environment of col1ective houses in Japan fT0m a viewpo{nt of tエansact{onalism in environmenトbehaviorτesearch.Tfan− sactional approach regards environment−behavior re1ations camot be decided by simple S −R mode1or even interactive model, Firstly,a definition of two processes of environmental formation is proposed.The first process is about building and the second about appropriation of dwening environment. Since several different actors,e.g.plamers,architects,builders,housing managers, inhabitants,neighbors and mo平ganized lay peopIe,act respectively to form a residential environment,the formation ohesidential emiron㎜ent becomes complicated.Therefore, anendeavourtoclassifyvariousenviro㎜enta1formationsisessential,Theear1ierpartof this paper discusses several cases,e.g.refurbishment of apartment mits,design process of cooperative・housings and image map of housing neighborhoδd,by focusing at the relation of actors and the formation of dwelling environment. In the1ater Part of this PaPer introduced a case study of a Post occupancy evaluation of a housing in Tama New Town in the suburb of Tokyo.The housing has characteristics that some units on the gromd1evel have extra−rooms caued’plus−one rooms’,.in which inhabitants can decorate their belongings or demonstrate their lifestyle,to the peopIe who pass by the pedestrian way the rooms are fronted to. This case study stresses the significance of the co−existence of people in the exterior space of residential area because these people wm be actors of person−to−person environ− ment.This aspect of environment is often crucial to the psychology of iIihabitants.This study also mentions that the urbanism trends in Japanese society weakened the nieghbour一 ヰ人聞健康科学科 洲東京大学工学部建築学科 ヰDψ〃倣〃げ肋㎜〃疵o肋∫6伽α∫ 舳1)物〃舳〃ψル6肋肋工舳,肋伽めψ肋g6脇励9, α肋㈱め〆τ0伽 一85一 集合住宅における環境形成に関する考察 hood re1ations and increases the’co−existence situation’with famiIiar ne1ghbors to w与om they never speak. 面でのデザインのみならず,人々の行動や釦覚な 1.はじめに 人間をめぐる環境とは,広く人の外部にある物 どを含めたソフト面でのデザインの必要性を指摘 理的,生物学的,社会的な事象を総括して呼ぷも するものも多い。 のであるが,建築学の分野においては,環境,す 本論文の目的は,前半部では,居住環境におけ なわち,物理的環境を意味することが多い。人間 る人問からの環境への働きかけである環境形成行 社会においては,自らが構築した物理的環境のも 動を分類して見ていくことを通し,居住環境にお つ意味は大きいが,建築物をデザインすることは, いては人間の行動と環境とが深くかかわっている 環境のすべてをデザインすることと考える者も少 ことを明らかにするものであリ,後半部では,環 なくない。 境形成行動の中で,集合住宅地などの外部空問で しかし,環境は物理的側面のみでなく,人の行 は重要な意味を持つ環境の対人的側面について, 動や知覚とも深く関わる。例えば,コフカ(ユ935) ケーススタディを通して扱うものである。 のいう「地理的環境」と「行動的環境」の区別は, よく知られたものである。彼によると,地理的環 2.環境形成行動 境とは現実に個人を取り巻いている客体的な環境 1)環境決定論と相互浸透論 であり,行動的環境とは行動の基盤となるような 環境と人間の行動の関係のとらえ方で,環境が 客体的環境の認知的なイメージ・現象世界である 人聞行動を決定する主要因であるとする考え方を という。このような区別はラング(ユ987)が指摘 するように,レヴィン(195ユ)らにも言葉は違う 「環境決定論」と呼ぷ。環境の側が人問行動を規 定する「環境の行動規定要因」を大きくとらえる ものの共通に見られるもので,個を取り巻く物理 ものである。単純なS−Rモデルを環境と行動との 的環境その他の現実の具体的・客体的世界と,行 関係に当てはめるものである。 動パターンや感情とも関わる知覚された現象学的 一方,環境と人間の行動は,相互に働きかけあ な世界に区別されるという。環境について,特に, レ・をして,お互いに影響しあって切り放すことが 構築環境について触れる時,個々の人の知覚や行 できないような関係になっていると認識する立場 動を抜きにして,客体的世界や物理的環境のみを をトランザクショナリズム(相互浸透論)と呼ぷ。 論ずるのは問題が多いことは言うまでもない竈 例えば,バーカー(1968)のいう行動セッテイ しかし上の区分のような客体的世界と個の現象 学的な世界との間の関係も,簡単に二分できるも ングの理論は,行動とそれのためのセッティング (場面)をひとまとまりのものとして捉え,人問 のではない。特に,住居のような建築物のなかで の行動と環境を,人聞一環境という一つの系とし は,人はそこで日々生活をし,文化的にも社会的 て扱うものである。また,ギブソン(ユ979)のい にも多様な行動が行われるので,人間の行動と物・ うアフォーダンスの概念は,環境の中にある動物 理的環境との関係は複雑に絡み合って,一方のみ や人に提供させる価値のある情報であり,人聞の を切り放して語ることは難しい。つまり,環境の 知覚は環境の中にあるとするものである。これら 申の客体的世界と個の現象学的な世界とは別個の の考え方は,人聞の行動や知覚は環境から切り放 ものではなく,互いに関わり合っているのである。 されては成り立たないことを論じたものであるが, 環境の客体的世界は人間の行動によって改変され こういった考えもトランザクショナリズムの立場 ることも多く,両者の関係は深い。客体的世界と を支持するものである。このような立場に立てば, 個の現象学的世界は人間の行動がそれをつなぐ役 人問が環境に働きかける行動,すなわち,「環境形 割を果たしているともいえる。構築環境,すなわ 成行動」は,環境の側が人聞行動を規定する「環 ち建築のデザインに関しても物理的環境のハード 境の行動規定要因」とともに,重要な意味を持つ 一86一 早稲田大学人問科学研究 ことになる。特に,居住環境は,人工的に構築さ 第8巻第1号1995年 とにする竈 れた環境であり,常にさまざまな行動によって形 成・維持・改変されているものである。つまリ環 2)環境形成行動の二つの次元と主体の問題 境と人問との相互の働きかけを考えてみると,人 環境に対する人間の働きかけは,さまざまなか 間は住居を自らの手でつくり,維持管理し,改造 たちの行動を含むが,ここでは,それを「環境形 するなどして,さまざまなかたちで環境に働きか 成行動」と総称する。そして,その環境形成行動 けていると同時に,自らの形成した環境によって を二っの次元に区分することとする。すなわち一 人は行動に制隈を受け,コントロールされている 次的環境形成と二次的環境形成である。 ともいえる。こういった点で,居住環境において この一次的,二次的の区別は,主要な建築構造 は,人聞の行動と環境との関係は双方向のもので 物による物理的環境が形成される段階(building) あり,相互浸透的な見方をしなければならない対 と,それを居住者が住みこなしていく段階(appro− 象であると言えよう・。 priation)の違いであると定義する。すなわち,建 人問は自らの環境を形成しながらも,その環境 物を建てたときの居住する前の段階と,実際に居 に人が大きく影響をされている。さらに,相互の 住し,住みこなす段階である。建設という行為自 およぼす影響は,からみ合って一っの状況となっ 体も環境形成であり,それを居住者が住みこなし ている。このような相互浸透的な状況におかれて ていくのも環境形成であるが,これを区別して考 いることこそが,人工の物理的環境である住居な えていこうというものである。 どの構築環境と人問との関係である。行動の規定 一次的環境形成と二次的環境形成の区別を考え 要因として,あるいは行動の痕跡としての物理的 る上で,環境形成をになう行動の主体の問題は重 環境である住居という環境を論ずるのみでは,両 要である。住宅は,特に集合住宅では,・居住老自 者の関係を十分に明らかにできない。つまり,人 らが設計,建設するということは少なく,社会的 問の側から環境に対する働きかけである「環境形 な分業の中で専門家が行うことが多い。一次的環 成行動」と,・環境が人間の行動をコ・ントロールす 境形成と二次的環境形成の行動主体が異なってい る「環境の行動規定要因」の両者に注目し,整理 ることが多いのである。そもそも,居住者は多様 する必要がある。 な存在だから,画一的な集合住宅の計画では,こ さらに….こで研究対琴と.する隼合住宅は,人々 のギャップは大きな問翠となる三ζも.多い。建築 が集まって住み・さまざまな人が関わ喬屠住環筆 であ乱屠住者押耳の人問関僚も複雑で李るし・’ 様々な人カの環境に対チる働きかけのありかたに 計画の分野亡は,このギャップを埋めるために 様々な提奉ダなされてもいる。 も様々ある。屠住環境を論ずる際には,環境形成 的環珪形成行動の主体とが異なることを前提とす の主体も重要な問題となってくる。 ると,・・地理的環境や物理的環境が二次的環境形成 先にコフカらの環境の区分を示したが,それら は個と外的世界という・二分法であるため’環境の の対象であり,行動的環境や対人的・社会的環境 が二次的環境形成の対象であるという単純な分法 社会的側面を十分にとらえきれない側面がある。 が成り立つと考えるかもしれない。先に触れたコ このように,一攻的環境形成行動の主体と二次 トランザクショナリズムの立場にたつワプナー フカの分類にしたがえば,地理的環境の形成に関 (1gg1)は,人問と環境を一つのシステムの中で 連するものが一次的,行動的環境の形成に関連す 考えるとき,人問を3つの側面,「身体・生物的側 面」「心理的側面」「社会文化的側面」に分け,そ ば,後に述べる住民参加によるコーポラティブ集 れに対応して環境を「物理的側面」「対人的側面」 合住宅の例にみるように,物理的環境の形成と社 「社会文化的側面」に分けている。本稿ではワプ ナーの分類ドならって・環境を・「物理苧勺環境」「村 会的環境の形成とが密接に結び付いているような 例があったりして,単純な分け方ではう.まく分類 人的環境」「社会的環境」と分け,それを用いるこ できない。 る.ものが二次的ということになる。しかし,例え 一87一 集合住宅における環境形成に関する考察 また,環境形成に関わる主体についても,一次 合わせて物理的環境を形成していくものもある。 的環境形成の主体は建設者で,二次的環境形成の 例えば,民間分譲の集合住宅の改造(マンショ 主体は居住者というように簡単には分けられない。 ンリフォーム)などである。図1は築年数15年の 住居の形成には種々の主体がさまざまに関わる。 民間分譲マンションをリフォームした例であるが 特に,集合住宅においては,集まって住むという (花里,高橋他ユ992),DINKSである居住者夫婦 ことで対人的・社会的環境の形成も複雑にからん は,自らのライフスタイルに合うように3室の住 でくるのである。この点については最後に再度触 戸ユニットをモダンで広いワンルームに改造して れ,まとめなおすこととする。 いる。 3)一次的環境形成 こういった考え方をシステマティックに展開し たものとして,巽(1983)らによる集合住宅の2 一次的環境形成は,主要な建築構造物による物 段階供給の考え方が挙げられよう。これは,建物 理的環境が形成される段階である。これを集合住 の構造体をスケルトン,その中のものをインフィ 宅を事例にして説明する。 ルとするもので,スケルトンを公共的な組織によ まず,一次的環境形成でもっとも大きな位置を って建設・供給し,その中のインフィルを居住者 占めるものが,専門の建築家が設計し,建設業者 の好みに応じて供給しようという考えかたである。 が建設を行うという一連のプロセスであり,これ これも,居住者の生活スタイルに合わせた環境形 が多くの居住環境の形成には決定的な役割を果た 成のありかたの提案といえよう。つまり,住環境 している。例えば,民問分譲マンションの計画・ の形成の上で,建設主体と使用主体との間のギャ 建設・分譲などである。この場合の主体は計画者, ップを埋めるためになされた提案の一つであり, 建築家,建設業者であり,居住者にとってはいく より使用主体の側に近い居住環境を形成するため つかの選択肢の中から選ぷ以外に意見の反映しに の試みであるといえる。 くい物理的環境の与えられ方といえよう。 これらの例は,居住者の生活スタイルを建設さ しかし,集合住宅はこういったものばかりでは れるものに反映することはできるものもあるが, ない。注文住宅のように屠住者の生活スタイルに どちらにしても建設主体が一次的環境形成を担い, ▼ ▼ 浴室 1 浴窒 洗面 口押入 U 洗薗 1 一 ダイニングキツチンリビング 揮入 ’ 一 一 痢窒 聖 o 和室 l1収納 1 口 DK リフォーム前 リフォーム後 DINKSの例 築年数:15年 所在地1東京都杉並区 子供数:0 家族構成1夫婚 図1 民間分譲マンションのリフォーム事例 DINKSとは共働きで子供のいない夫婦のみの家庭である。この例は,.2DKをワンルームにしている。居室数 は3から1に減少しており,大きめのアイランドキッチンを持つ。平面図からでは伝わらなレ)がモダンなインテ リアである。 一88一 早稲田大学人問科学研究 第8巻第1号 1995年 居住者の住みこなしが二次的環境形成を果たして 居住者の望むような住宅を手に入れられるという いるものである。 点からは,積極的な環境形成行動であり,理想的 コーポラティブ住宅などの住民参加の手法によ なものともいえるが,家づくりのプロセスにかな る住宅供給も建設主体と使用主体との間のギャッ りのエネルギーを必要とするものであり,必ずし プを埋めるための試みであるといえる。コーポラ も現状ではすべての人々にとってアフォーダブル ティブ住宅は,現在ではさまざまな形態のものが なものというわけではない。これを解決するため あるが,一般には家を建てたい人々が集まり,住 に「メニュー方式」というような簡易なコーポラ み手が中心となって,共同して集合住宅を建てよ ティブの方法がとられることも多いが,これは, うとする住まいづくリの方法である。こういった 好みの間取りや内装などを選べるといったもので, 注文住宅の考え方を集合住宅に取り入れたという 居住者による積極的な環境形成の行動を延藤ら (1989)は,「価値づくり」と呼び,居住者の満足 側面ももつ。 を得るためには不可欠なものと述べている。 このように,集合住宅づくりの新しい動きの中 コーポラティブ住宅は,物理的環境を形成する には,一次的環境形成の段階から居住者の積極的 だけではない。たとえば,コーポラティブ住宅の な参加や行動を通じての環境形成を行なうという ための協同組含の話し合いなどを通して,将来, ものも現れてきている。これは例えば計画者と居 隣近所となる人々との社会的環境をも獲得してい 住者というような,複数の環境形成主体のあいだ く過程であり,後に述べる二次的環境形成の側面 に生まれるギャップを解決するためのものであリ, をも含むのである。 二次的環境形成の側面である居住者の社会的環境 コーポラティブ住宅などの住民参加の手法は, の形成の助けとなっているものである。 基本黎 1 (由.o“〕 讐本型2〔72.4刊 パ■」工’シヨン1一工 ・{1μ一シ,ン!一1 子 舌 オウ七’’. 子・子 、夫堕 6 一 口 ’ ◎ Ol 01一 1 ⊂ 、屯滞g・“ 夫禰 LD L D パリエーシヨン 1−2 パリニ’シヨ} 212 夫蝸・子・子 p 夫端 2佃0 200 2佃0 200 ■コ 讐㎝ 1200㎜ 6000 」 ■ , 1 1 ’ o◎ 1=僅呈晴ξ (図4−1〕均質型モデルプラン(=分割プラン〕 左1基本型,右1住み方のバリエーション 薫賢 [ ⋮⋮ [趾 寛 ショサイD L 子・手 L 図2 順応型住宅の提案(鈴木他,1974) 順応型住宅の提案は,台所,便所などの水まわりと玄関を住戸の中心において固定とし,室の用途変更への対 応を間仕切家具の移動によって行なうというものである。 一89一 集合住宅における環境形成に関する考察 このような住居の内部空問の住みこなしめ主体 4)二次的環境形成 二次的環境形成は,」般的な行動と大きく関係 は居住者である場合が多く,比較的単純であるが, するもので,居住者の住みこなしの過程である。 居住地域の外部空間,特に,集合住宅の外部空間 さらには対人的・社会的環境が形成される過程で となると,単独の居住者の他にも,同じ団地の棟 もある。日常の行動にもとづいたものでコフカの に住んでいるような集合的な居住者たちや不特定 いう行動的環境を形成していく上での手がかりと の近隣の人々など,住宅に対してさまざまな関わ り方をしている人々が登場してくるので,問題は なるようなものともいえる。 住宅の内部空間を見てみれば,居住者は住宅に 入居してから白命に必要なように家具などを配置 複雑になる。 することによって,住宅を住みこなして家とする われているものとしては,集合住宅の管理などが のであるが,これも行動的環境の形成の過程であ るとみることができよう。 その第一に挙げられる。図3,4は,公団赤羽台 団地と都営桐が丘団地の共用空問の利用形態を示 鈴木ら(1974)による順応型住毛の捷案もこう したものである。両団地は隣り合っているので, 外部空間の二次的な環境形成の中で,一般に行 いったものの延長上にあるといえる(図2)。これ 立地条件も同様なものであるし,建築的,空問的 は居住者の生活要求の変化や各世帯独自の要求に 構成の上ではほとんど同じであるものが,利用形 順応するため,住戸の平面構成を居住者自身によ 態のうえでは大きく異なっている。共用空間の利 って変更可能なようにつくられた集合住宅の住戸 用の仕方は,共同の管理が強い公団住宅では共有 であり,適当な家具などで部分的に移動可能な間 仕切り設け,多様な生活スタイルに対応した住宅 部分を芝生にするなど,個人の環境形成の痕跡を にしようという提案である。この場合の主体は, 共同の管理が弱く,個人の環境形成行動が全面に 居住者である。ただしこのような住戸の提案をし 出ている。これは管理者による管理の強弱である 消したものとなっているのに対し,都営住宅では, た計画者も間接的にだが,二次的環境形成に関わ とともに,環境形成の主体が集団的であるか個人 っているともいえる。 的であるかの違レ・を反映している。 赤羽台(公団) ト←→ レトr’ 南 北一 路専用 生 道路専用 ’ 1婁 、口二 鯛 卜1箏 北諸1路地分擬 道路じやり 専用庭空閥 路地 桐が丘(都営) 駐車場 分割された 専用塵空間 図3a公団赤羽台団地と都営桐ヶ丘団地の住棟間の共用空問の利用形態の違い 赤羽台では住棟閻が芝生で共同の管理であるのに対し,桐ヶ丘では専用庭に分割され個人の管理にまか されている。 一90一 早稲田大学人間科学研究 第8巻第1号1995年 図4 公団赤羽台団地(左)と都営桐ヶ丘団地(右)の住棟間の共用空間の利用の実態 集団的な管理と個人に分けられた管理の違いが見られる こういった居住者の環境形成行動が居住域の外 らのものとしていく過程を含む。例えば鈴木ら (1974b)は,イメージマップを児童に描かせるこ 部空間に表れたものを指して,鈴木ら(1984)は, 「表出」と「あふれだし」と呼んでいる。「表出」 とにより,近隣の生活領域を獲得していく過程を は植木鉢や凝った趣向の表札など意識的な自己表 分析した(図5)。鈴木らの言葉を借りれば,生活 現であるもの,「あふれだし」は,空き瓶,ゴミバ 領域化の過程は近隣の領域を潜在領域から,確定 ケツなど生活の必要から,致しかたなく無意識に 領域に換えていく過程であるとする。こういった 出てしまったものという基準で区別される。洗濯 個人の意識は近隣環境での行動を通して獲得され ものや植木鉢などの表出・あふれだしはともに生 るものであるから,まさしく,個人と広範囲の物 活行動とかかわったものであり,生活行動の痕跡 理的環境を対象にした行動的環境の形成過程であ といった性格を強く持つものであろう。いわゆる る。 「生活のにおい」をこういうところで感じとるこ 近隣関係を築いていくことも二次的な環境形成 とができる。 に含まれる重要な側面である。それは近隣社会に これは,領域論の立場からするとマーカー(領 おける社会的環境の形成であり,入居の当初は関 域表示物)と読みとることもできよう。「ここは自. 係のなかった近隣の人々との関係を構築して,ネ 分の領域だから入ってくるな」との意思表示とい ットワークを築いていく過程である。 うことになり,生活に根ざした行動と関係してい 近隣関係の形成の一側面としては「ルールの形 る。表出・あふれ出しは二次的に形成された物理 成」も挙げられよう。居住者相互には,隣戸に気 的環境であるが,個々の居住者の生活と深い関わ を使ったり,時には苦情を言ったりするという居 りのあるものであり,環境形成の主要な主体は居 住者相互のインタラクションを通じて「ルール」 住者であるということになる。さらに,飾るとい が形成される。隣の出す音を聞いて自分も気をつ う意識や,マーカーとしての意思表示はそれを日 けるといったようなことである。西村ら(1992) 常の見る近隣の居住者に対するメッセージともい による都市集合団地での住み方ルールを調べた研 え,居住者に意識される周囲の近隣の人々の存在 究に,ルールに関する意識を聞いたものがあるが, も問接的な環境形成の主体と考えてよいであろう。 に,住宅やその近傍を住みこなしていく過程ばか 住み方のルールはケースバイケースで決まるもの も多く,結局は「個人の自主佳にまかせるしかな い」と答えたものが多いという。集合住宅を住み りではない。より広い近隣環境に慣れ親しみ,自 こなすことは,お互いに気を使いながら明確な, 居住者が行動的環境を形成していく過程は,単 一91一 集合住宅における環境形成に関する考察 あるレ・は暗黙のルールを形成することであり,隣 やかな近隣関係ともいうべきものだが,筆者は「共’ 近所といったような近隣における社会的環境の形 居状況」と呼び,「人同士が互いに相手を認知でき 成であるともいえる。 るようなかたちでいてそれが相互の環境となるこ さらに,まちづくり運動などに見られる近隣コ と」をさすこととする。つまり,集まって住んで ミュニティの参加の方法論は,居住者主体で住環 いるがために,他の人の環境になってしまうこと 境を形成するものである。この問題については, があり,重要と考えるのである。 高橋ら(1989)が世田谷区やドイツの例をもとに 住宅地や集合住宅では,個々の住宅・住戸等の 詳細に検討している。景観などの物理的環境だけ 内部空問のユニットと,それをつなぐ外部空間よ でなく近隣コミュニティという社会的環境にまで りなるが,居住者の生活はそういった内部空間の 踏み込んだ環境形成のかたちであるが,近年日本 ユニットの中でのみ行われるのではない回屋外で でも高まつを見せつつあリ,今後の展開が期待さ の滞留行動も数多く見られる。後にのべるように, この屋外での人の分布一人の分布の疎密は都市 れる。 構造などのよりグローバルな物理的環境によって したが,これら住みこなしのための二次的な環境 も大きく影響を受けている一が,住宅内部の屠 住者に与える影響も考察されねばならないと考え るのである。このような環境形成を担う主体は未 形成の一つに,対人的環境の一側面である「人が 組織の居住者や近隣の人々ということになる。こ 居る状況」があることを提案する。これは,ゆる ういった人々は従来,環境形成に対し消極的なか 5)二次的環境形成としての共居状況 以上,二次的環境形成について例を挙げて説明 { 乙 1, , ム H l mア、 l い 0D O ・.玉 D000 00〔1O 仙ち 0口 坦蝶。、、弾呂 ’ンヤ’’ 戚 榊 o 胆ねゴ 8闘岬\ o oo ヒ兆 鼻 \ケ , 』}醐 1 0 I葦 己 三 2ろ 7 ㈲ { 岬.■ 滝 1 ゆ 図5 高根台団地のイメージマップ(鈴木,栗原,多胡(1974)「建築計画学5 〔出典1鈴木成文・栗原嘉一郎・多胡 進1r建築計函学5一集合住宅・住区」,丸善、p.252,1g74〕 小学校2年生女子が描いた,自分が屠住する団地のイメージマップ。自住戸の前の幹線道路, 背後の保育園・幼児遊園・松林などや,友人の家などが描かれている。 一92一 一 1’ 住区」より) 早稲田大学人間科学研究 第8巻第1号1995年 かわりしかしていないと考えられ,共居状況は近 3.ケーススタディ 隣交際等に比べ,明確な形で取り上げられること 1)調査対象 は少なかったものである。 このケーススタディは,対人的環境の要因のひ この共居状況は,二次的環境形成においてつぎ とつである共居状況が二次的な居住環境の形成に のような点でも重要である血 どのような役割を果たしているかを明らかにする 居住環境に関する環境・行動論の分野には,さ ものである。 まざまな論述が見られるが,これらの中で主要な ケーススタディの調査対象は,東京郊外の多摩 ものに,クラウディング,領域論,プライバシー, ニュータウンにある「P団地」である。この団地 バーソナルスペースなど分野の議論がある。これ は,多摩センター駅から徒歩10分程度のところに らの緒論の扱っているものは,人と人と関係であ ある中高層の集合住宅で,1987年に建設されたも り,対人的環境を問題にしている。クラウディン のである。 グは人の密度論であるし,領域論は人の持つなわ 計画・設計上の特徴の一つは,団地の中央に歩 ばりと他の人との関係である。プライバシーは他 行者専用道路(ペデストリアンウェイ,以下ペデ の人々からどれだけ隔離されいているかといっこ と,’パーソナルスペースは人と人との距離に関す いことである。もう一つの特徴は,ペデに面した と略)が通っており,歩行者や自転車の往釆が多 る議論である。すなわち居住域内での他の人の存 地上階の住戸に多目的なショーウインドウ的な部 在が,すなわち共居状況が,居住環境の重要な要 屋が設けられている(図6)ことである。この部 因となっているのである。 屋はプラスワンルームと呼ばれ,団地内を通るペ この共居状況は,ある人の対人的環境の一側面 であるが,社会的環境とも関わるものである。つ デに面して「離れ」的な部屋として設けられてい る。このような「プラスワン住宅」は,「1階部分 まり共居状況は,都市化された現代社会において が美しい個性的なファサードをした下屋となりス はしばしば未成熟のままにとどまる近隣関係,あ トリート沿いの景観をつくりだす」と同時に,「そ るいはその前段階といったものともいえ,居住者 こで行われる趣味等の生活を『人に見せる』とい 間のインタラクションが高まれば,近隣関係とい う価値観を前面に出したことから,『表出』という う杜会的環境に変化しうる。居住環境にとっては 住生活の概念をデザイン化した」(井関!991)もの きわめて重要な環境の側面である。 であるされている。つまり,景観形成,居住者の また,物理的環境の形成とも関わり合いのある 生活の表出,という2点で特徴的であるとされる ことがらである。青木(1993.1994)は路地空問 ものである。この景観形成,居住者の生活の表出 での領域化としてのあふれ出しについて,通り抜 という特徴は,居住者の二次的な環境形成である。 けられる路地と,行き止まりの路地との比較した これが,人の往来が多いペデという「共居状況」 研究を行っている。通過者の多い路地の方があふ という別の二次環境形成の要因の下で,どのよう れ出し(表出)の量が多いこと明らかにし,路地 になるかが興味の持たれる事例である。 を通リ抜ける人の存在が,あふれ出しという領域 化の要因に重要な影響を与えるという。青木の論 2)行動観察 証はさまざまに解釈できようが,芙居状況という ここで用いた行動観察調査の方法は,調査員が 環境の一側面が領域化や使われ方に影響を与えて 団地内の外部空間を網羅するようなコースを選ん いることを示すものであり,共居状況と物理的環 で歩き,調査員の周囲で起こった行動を逐次記録 境形成とが相互に関わリあることを示すデータで していく方法である。調査では,午前7時30分よ り午後7時30分までの聞,30分問隔のタイムサン ある。 次のケーススタディでは,ここで提案する共居 状況がどのようなものかを詳しく示すこととする。 プリングをして調査を行なった凸一回の行動観察 に要した時間は,ほぽ15分程度であった。調査は 1993年9月26日(日〕と9月29日㈱に行ない,両日と 一g3一 集合住宅における環境形成に関する考察 〉 隅謹 」 ■1 日 耐 淳■蜆1 珪冒コ 岨.;{対 ー’…■宝 ■・1 ○工 ○ム ●, 〇 \”話 臓魑 一D ・ べ θ 岩聰’ “,宝 ’ 割点 1一 2^知 ○工 三盲手巧 台耐4■対 口周,食■1 I ・ − ‘ 1 ■ 一1’一珊刊 吊竈 距 「 ■二 軸■1 −6■ ^’. 1用o む鵬川出嵩崩岬濠典一全︸L ■下 欝 ・,︷・1・1・ ■1= 71,一ユ’’■ 霞雷 ■τ フリ■呂一一! 、■1 o“■知 ・ ■ {’ .u 百. 、 図6b P団地プラスワンルーム 94 ・‘・︷・1・1+・ ・\ 図6a P団地の住戸平面図の例 1.\ 、\ \. 、\ ・\ く\ 、 ^’^口日国 ^’^口日目 〒十.,1+、1 一・凪 1 .・.用.一一一 ﹂享 口ロロロロロロロロロ 甘・ 早稲田大学人間科学研究 も晴ときどきくもりの天候であった。 第8巻第1号1995年 間的推移を見るために,ユ日24回の行動観察の結 果を・3回(つまり1時間30分)ごとの平均を用い, 3)観察された行動の時間的推移 行動観察で観察された人数と種類別の行動の時 8つの時問帯に分けて比較した。 この区分にもとづいて観察された人の数の時間 人 200 180 ユ60 イ未日 (9/26(日)) 140 120 100 80 平日(9/29(水).) 60 40 20 0 o o ○つg ポ① l O l l ’ 99 o g o o o0 o o ooお 一 H 90 99 9o「 6H 0N {あ H H H H 1 」 o o o o o o o o「 oo g o9 お6 もあ あΦ H H − H H H 時間 図7 P団地で観察された人の数の推移 表1 行動観察で見られた行動の分類 行 動 分 類 行 動 内 容 歩 行,自 転 車 (徒歩で,自転車で,自転車を押して,ベビーカーを押して,子供 を抱いて,子供運れで)通行する 家から出る・家に帰る,鍵をかける 自転車に乗る・自転車から降りる 自 動 卓 (自動車・バイクで)出かける、帰宅する,駐車させる (自動車・バイクに)乗る・降りる,乗っている ゴミを出す,掃除,洗う, 家 事 関 係 洗濯物干し,洗濯物取込み (布団,座布団などの)干し,たたき,取込み 子供をあやす 立 ち 話 ・ 挨 拶 立ち話,あいさつ,(ベンチ,遊具に)座って会話 子供のひとり遊び,おしゃべり,ふざけっこ,(外を,廊下を)見る 子 供 の .遊 び 遊具で遊牟砂,砂利遊び,ブランコ,鉄棒,水遊び・プール 自転車・三輸車遊び,’サッカー,ボール臨り,キャッチポール ジョギング,犬の散歩 家のまわりのしつらえ その他 そ .の 他 ジョギング,犬の散歩. (植木,草花)いじり,手入れ,水やり日曜大工 自動車・バイクの洗車・手入れ,JAF(白動車整備) 来客,見学者・カメラマン(写真をとる) 工事関係者,セールスマン,郵便配達,運送屋・宅配便,クリー二 ング屋 アトリエを覗く,説明を聞く 一g5一 集合住宅における環境形成に関する考察 表2行動の種類別総数 9月29日㈱ 9月26日(日) 計 全体に対する割合(%) 647 605 1252 自動車 .52 35 87 立ち話 60 46 106 106 222 328 家事関係 13 26 39 犬の散歩・ジョギング 14 16 30 1.56 家の回りのしつらえ 一6 10 16 0.83 34 35 69 3.58 932 995 1927 歩行者・自転車 子供の遊び その他 計 64.97 4.51 5.50 17.02 2.02 100,00 は特に多く観察された。立ち話・あいさつは,ペ 推移をまとめたものが,図’7である。平日の9月 29日(水)の時間推移と,.休日の9月26日く日) デ・ペデ以外のどちらでも見られたが,広いオー の時間推移は,異なったカーブを描くが,両日の プンスペースの近辺で見られる傾向があった。犬 観察人数の総数を見ると,9月29日が932人,9月 の散歩・ジョギングは団地のまわりのペデで多く 26日が995人で,ほとんど同じであった。 観察され,家のまわりのしつらえ行動は,団地内 4)行動の種類 工事関係者,セールス,郵便・宅配,クリーニン さらに観察された行動をいくつかの種類に分類 グ屋,洗車などで,これらは団地内に多かった。 に多く,その他の行動に入っているものは来客, して(表1),行動の種類ごとに時問推移を追っ た。種類別に行動を見ると,もっとも多い行動は 5)行動の密度 歩行である。ここでは自転車にのった移動も含め 次に人の密度分布について述べる。すでに図8 ているが,全体の65.O%を占める。以下,子供の に示したように,1日に観察されたすべての行動 遊び,立ち話・あいさつ,自動車,家事関係,犬 を地図の上にプロットすると疎密があることがわ の散歩・ジョギング,家の回りのしつら之となっ かる。それを場所ごとに定量的に捉えることを試 た。(9月26日と9月29日の行動の合計の結果によ みる。ここでいう密度分布とは,100m当たりの人 る。表2) の密度であり, 図8は,9月26日,9月29日の両日の行動観察 人/100m回 の結果をすべてプロットしたものである。団地中 という単位であらわすと定義する。つまり,ある 央のペデにかなり密に人が分布していることがわ 範囲の場所の密度分布とは,そこを100m歩くと 出会うであろう人の数をさす。ここでは,行動観 かる。これをさらに行動別に見ると次のようなこ1 とがわかった。 察調査をした2日間あわせて48回の観察人数の平 歩行者は団地内外各所で観察されたが,団地中 均値を用い,それをそれぞれの道や場所の距離で 央を通るペデに密に分布しており,団地内はそれ 除したものである。 に比べて疎な分布をしている。ペデが歩行者専用 さてこの分布を平面図上に示したものが図9で なので当然だが,自動車は団地内部に分布してい あるが,この結果から,団地の中心のペデでもっ る。家事関係の行動は,多くが団地内部で観察さ とも高いことがわかる。ここでは7.89∼6.34人/ れたが,ペデの部分ではあまり観察されなかった。 100m回であり,おおよそ230mあるこの道を端か 子供の遊びは,団地内のプレイロットで多く観察 ら端まで歩くと,平均でおよそ16人ぐらいの人と され,高層棟(5−1−1)の前のプレイロットで すれ違うことになる。 一96一 .田0N口①G碧匿∼ oo図 ︵^口︺㊤N\①\oつ9︶ 口拳 愚トや令 撫題一薗卜忙 ⊥﹀口。卜制c映埋c撫鰻一轟トやe田垣田㊦N呵① ︵§①N\㊦\o﹁㊦一︶ 田冬 憲ト忙剣 鉄轟漏仁 く 喝 0? −◎ ?了岬 ‘ 劃炊簿 噛嵩 甲Σ .こ 鵜、、・欝鮮野観 ㎞⊥ 酪 −葦⋮銚 /1 ; 、 ⋮雀ぺ− . 賢 ! 、 /−、J ・= 8’ 97 尻 ㌔ 淳. ◎ f1 ’8 ;/ 属. ー⋮’、纈 ⋮‘. ー デ^ 2后轟︷ 一’μ・・ .ぷ.ま ■ ◎ ㊧・ ,出 H 益 一 ・‘ o◎も ◎ ■r 駿 ◎ ◎ 顯 、 一 1 − .ぐ 。 ! 一■1 一 一 了ふ ..., 他⋮・岨 、り毫 =トミり 馨妻 〆、1 ぼ’沽’( 、^,一ぺ 必 o “峨 .一 8 オ 、 ’ ■ ■ 、ドこ\ 講8 、j’⋮亘皇j1 、乱タノ!. ’一 n② 目 8 〔‘ /}、π 1995年 早稲田大学人間科学研究 第8巻第!号 、穴二1さ一._ 集合住宅における環境形成に関する考察 ン,… ’・1 1 … 1.、 1! 、㍗ } ノ 達んぺ、}μ葺ダ、ノl ξξ … 1l=三 由1 差 、蜜 ;軸一 ’ ・ξ ダ 覇 怪1’.1塾〃 塙ふ ・噸ば醐簑 饒繋 1 も. ・ 1 … /ヨ1 。 づ 芦、… 蟻斗§ 帖 榊… ㌔ ,に’ 茎 §・婁・3 一 ・ 蝶乏炉 ・;≡ 凡例 (人/100m回) 0・5ユ ・2 5 図9 P団地で観察された人の密度分布 表3 P団地の人の分布密度の平均(人/100m回) 団地内部 ペデ P団地 1.25 7.88∼6.34 一98一 早稲田大学人間科学研究 第8巻第1号 1995年 IOO% 90% 80% 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10% O% 師 日 彗 剣 9/26(日)団地内 100% 90% 80% 70% 60% 50% 40% 30% 20% 1O% o% ■ 巾 田 2 箏 9/26(日)ペデ lOO% 90% 80% 70% 60% 50% 40% 30% 20% lO% O% 婁 暴 9/29(水)団地内 1OO% 90% 80% 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 皿その他 目家の回りのしつらえ 團犬の散歩・ジョギング 囲家事関係 圃子供の遊び 国立ち話 O% z自動車 雪 胡 9/29(水)ペデ 図10 P団地の行動観察の結果の行動別割合 一99一 口歩行者 集合住宅における環境形成に関する考察 しかし,団地内部はこれに比べて,人の密度分 る,その場の雰囲気の違いと考えるのである。ま 布は低い。平均で1.25人/100m回であり,最も高 た,物理的環境の一部は,生活に関連した二次的 い部分で6.56人/100m回である(高層棟前プレ 環境形成行動の結果つくられるものであり,生活 イロット)。団地内のプレイロットには多く分布し に関連した行動の割合が多いことは,物理的環境 ているが(もちろんこれは「子供の遊び」が観察 への働きかけと大きく関連しているであろう。 された結果である),その他の区問ではこれより少 P団地についていえば,共居状況の量的・質的 なく,道路でも広くとられたところに多く分布し なちがいが団地内とペデ上で観察された。これを ているといえる。 総合してみれば,ペデの空問は「公」的性格が強 6)行動より見た団地内外の共居状況の違い であろうと考えられる。 いもの,団地内の空間は「私」的性格の強いもの すでに説明したが,「共居状況」とは,ある人間 のまわりにいる人間の状況であり,特別に会話な 7)ペデを利用する他団地住民の評価 どのインタラクションを伴わなくても,そこに人 さらに,隣接するO団地に住民に対し,P団地 が同時に居るという状況を積極的に対人的環境の 一側面として扱おうというものである。これを「ペ の「ペデの利用頻度」「景観の評価」「団地内の知 り合い」について以下のような質間をおこなった。 デ部分」と「ペデ以外の団地内」に分けて見る。 この団地は,P団地の隣にあって,駅への行き帰 図10は,行動観察の結果を行動別の割合でみた りにペデを利用すると考えられるところである。 ものである。9月29日(水)のペデ部分は歩行以 1)「P団地の真ん中のペデストリアンウェイを利 外の行動が12.2%であるのに対し,ペデ以外の部 用しますか。」 分(団地内)では55.0%(自動卓を除くと46.3%) 2)「P団地の景観をどう思いますか。」 あった。さらに,9月26日(日)の団地外の場合 3)「P団地に知り含いの方はおられますか。○を は歩行以外の行動が10.7%であるのに対し,団地 つけてください。」 内では68.O%(自動車を除くと60.7%)あった。 まず,ペデの利用頻度についてだが,P団地の このように団地内の方が団地外に比べて歩行以外 中央にあるペデについては,O団地の住民は,56 の行動の割合が多く,特にこの傾向は日曜日の9 %が「毎日」,26.7%が「週に1,2回」利用する 月26日において顕著であった。これら歩行以外の と答えており,両者をあわせると,82.7%が週1, 行動は,立ち話・あいさつ,子供の遊び,家事関 2回以上利用し,その利用頻度は高いことが確認 係,犬の散歩・ジョギング,家のまわりのしつら された。 え,洗車などであり,生活に関連した行動といえ 次に,P団地の景観についての評価は,63.5% るものである。 が「好き」と答えており,P団地の住民自身ほど 我々が日常に住宅地や団地を訪ねたときに感ず ではないにしても評価は比較的高いことがわかる。 る雰囲気や印象は,物理的環境と対人的環境,そ また,別途行ったインタビューで,肯定的な評価 のなかでも特に共居状況の,両者によって得られ の内容は,「きれい」「楽しめる」などが多く,景 るものだと仮定する。物理的環境のなかでも「表 観を評価しているものが多かった。公的な部分に 出」「あふれ出し」などは,居住者のメッセージを 私的なものがあることに対しては「花などが飾っ 含むものであり,場の雰囲気を作り出すものであ てあって楽しめる」「目の楽しみになっている」な る。さらに,共居状況のちがいも,雰囲気の違い どというかたちで触れているものがあった。これ に関係してくると考えられる。歩いていて生活に に対し,否定的な意見には,プラスワンルームが 関連した行動をみるとき,これらの生活に関連し 有効に使われていないことに対するものなどがあ り,プライバシーをさらけ出すことになるので無 た行動が滞留行動が多いこともあるので,そこが 半私的な空間であることを感じるであろう。共居 状況の質の違いが,そこを訪ねた時ビ我々が感じ 理があるといった意見もみられた。このようにO 団地の住民は,プラスワンルームの景観に対して 一100一 早稲田大学人間科学研究 第8巻第!号 1995年 はプラスの評価をしているものの,居住者の直接 9)プラスワンルームの利用状況 の行動との関連では,行動を見ないということか 住宅・都市整備公団は,入居直後の1988年には 「住宅団地追跡調査(6)」(住宅・都市整備公団, らマイナスの評価を下している。 さらに3番目の団地内の知つ合いについては, 1988)をおこなって,実際の利用状況を調べてい ○団地の住民のP団地内の知り合いについて,O る。23戸あるプラスワン住戸のプラスワンルーム を付けるように指示した。回答を累積してみると, の使われ方を見てみると,アトリエ,ギャラリー, 表4に示すようにペデに沿った住戸を指名する傾 教室,ショールームなど外部に対して開かれた使 向が見られた。(ペデ沿いの方がそれ以外の約3倍 い方をするというものも19例中6例あるが,納戸, であった竈)この結果を「隣接するO団地団地の住 練習室,応接間,書斎など外部に対して閉じた個 民のP団地内の知り合いはペデに沿って多く分布 人的な用途のものの方が多い(19例中13例)。 している」と読み取るとすれば,ペデの利用頻度 我々の行ったインタビューでは,アートフラワ が高いことともあわせると,日常,ペデを通過す ーのアトリエをプラスワンルームでやっていた時 ることによって,いくらかは近隣交際が促進され には,団地内外の人が半々ぐらいでアトリエを利 ていると考えることができる。 用し,交際範囲はひろがったなどと答えたものが あった。アトリエなどに使えば,ペデストリアン ウェイが近隣交際を広げてくれる可能性はある。 8)プラスワンルーム内外で観察された行動 ペデで観察された行動は,表5に示したように, しかし,逆に人の視線が気になってそのような使 2日問で1048人であったが,その内の歩行者(自 われ方はあまりされないともいえる。事実,我々 転車移動を含む)は,936人で全体の88.9%にもな のアンケートの結果では6割以上の人がプラスワ る。残りの11.1%がそれ以外の行動であるが,さ ンルームでは外からの視線が気になると答えてい らにその中でプラスワンルーム内外で観察された る。 インタラクティブな行動の数は,わずか18人であ また調べてみるとプラスワンルームのカーテン った。図11にはプラスワンルーム内外で観察され やブラインドを開けていたのは,晴れた休日の昼 た行動18人をすべてプロットして示すが,数少な 下がりといった好条件でも23事例中で4事例のみ い18人も一部の場所に集中していた。これは全体 であり,14事例では常に閉じていた。これは,イ の1.7%にすぎず,歩行以外の行動の中でも15.4% ンタビューで「外からの視線が気になるので,普 にしかあたらない。このようにプラスワンルーム 段はカーテンを閉めている」といった答えが多く 内外で観察されたインタラクティブな行動は極め 得られたことからもわかる。ペデストリアンウェ イが,近隣交際に与える影響については見知らぬ て少ないものであった。 人が数多く通るという共居状況が大きく影響を与 表4 ○団地の住民のP団地内の知り合いに関するアンケート結果 知り合い指名数(全戸数に対する割合) 全戸数 ペデ沿い ペデ沿い以外 47戸(30.5%) 154戸 144戸 15戸(10.4%) 表5 ペデで観察された行動の内訳 2日間の合計数(人) 総数に対する割合(%) 観察総数 1053 100.0% 歩行者と自転車 936. 88.9% 一101一 歩行者以外 117 11.1% プラスワンルーム内外 18 1.7% 集合住宅における環境形成に関する考察 ベランダで 子供をあやす 図11 P団地プラスワンルーム内外で観察されたインタラクティブな行動のプロット (9月26日,9月29日両日,全48回の観察の累積) えているようであり,プライバシーの要求される 10)話したことはないが見知っている関係 私的な利用の多い部屋は自ずと力一テソによって 外部に対して閉鎖的な使われ方をされているよう ある居住者へのインタビューでは「プラスワン である。 は覚えている」と答えるものの,そういった犬連 ルームに座っているとよく見かける犬を連れた人 一102一 早稲田大学人間科学研究 第8巻第1号 1995年 れの人がどこに住んでいるかは正確には知らなか という性格が強いという結果が得られたのである。 ったりする。また他の住戸のことを気にしている これには,密度の高い外部空間の芙居状況が大 ものの,すぐ前のプラスワンルームには興味はあ きく反映していると考えられる。つまり,不特定 るがあいさつ程度で訪問したことはないという。 多数の近隣の人が通るという共居状況の中で住宅 ただし,お互いを意識しているようで,12月には のプライバシーを守ろうとするのは困難であると ペデに面した住戸の居住者同士が,クリスマスツ 考えられ,住宅も自ずと外に対して閉じてしまう リーを飾るのだという。また,プラスワンルーム をバイオリン製作のアトリエに使っている居住者 合わせは容易でない。この集合住宅では,現在は, の例では,プラスワンルーム内を外から見えるよ こういった対人的環境に面して生活の表出が企画 うに意識しているが,バイオリン製作に興味を持 されているが,必ずしもうまくいっていない。部 つ人は団地外から訪わてくるものの,近隣の人は 屋を人に曝せば,それで生活の表出,特に生活行 のである。密な対人的環境と住居との関係のすり 少なく,それによって交流は拡がらないと答えて 動の表出につながるとは限らないのである。 いたりする。 ただし,「見知っているが話したことのない関 都市の近隣関係は希薄であるとはしばしば指摘 係」はある。居住者や,通り抜けていく人どうし されるが,おそらくはこの団地に住民は,「ほどほ で,お互いに相手を意識しているようであり,ゆ どの関係」を保つためにお互いに深入りすること るやかな共居状況の役割もそこにはある。ペデに もなく,「見知っているが話したことのない関係」 面した部屋は,必ずしも意図したようには使われ をさほど苦にも感じずに,つかず離れずの付き合 ていないが,普通の集合住宅とはやや異なった共 い選んでいると考えられる。 居状況と対応したものになっていることがわかっ た。 11)共居状況と生活の表出 プロムナード中央団地のペデでは,モノの表出 P団地は,団地中央部に歩行者専用道(ペテ) を介しての近隣の人々の関係が成立している。そ があって,ここを通り抜ける人々が多い団地で, して,お互い意識しつつもあまり踏み込まない「話 人の分布密度が高いところである。このペデ上の したことはないが見知っている」ような居住者の 密に分布する歩行者と,ペデに面して建つ住戸の つきあいや関係がある。こういったゆるやかな近 居住者の問の相互関係には,いくつかの側面があ 隣関係は,現代社会に遍在する可能性のあるもの と考えられ,積極的に評価していく必要があろう。 る。 この団地には,生活の表出を意図してペデに面 集合住宅などの外部空間の役割を広くとらえると, して部屋が計画されており,普段にペデを通過し そこにおかれた表出などのモノや人の共居を通し ている他の団地の人は,居住者によってきれいに て,居住者間のコミュニケーションを成立させる しつらえられた部屋がならんだ景観を評価してい ことも可能であろう。 る。また,ペデ沿いの住戸が,通遇する歩行交通 に面していることによって,知り合いなどの関係 4.まとめ も生まれたりしているようである。 1)環境形成と主体に関するまとめ 一方では,生活の表出を意図してペデに面する 以上のように,ケーススタディを通して,主に 部屋があっても,実際にはそこでは行動がほとん ど観察されない。っまリ,住宅内外の相互交流が, 集合住宅外部空間の共居状況が,居住者の集合住 宅め住みこなしの上で(すなわち,二次的環境形 実際に行動として目に見えて観察されたような例 成の側面から)重要な役割を果たすことを示した。 は,きわめて少なかったのである。単に人の密度 ここでもう一度,始めに提示した一次的・二次 が高くても,それが直接には立ち話や近隣交際に 的環境形成の定義にもどって,特にその環境の形 はつながらない。ここでの生活の表出というのは, 成主体との関係について考察する。表6はさまざ 生活自体の表出というよりも,生活の痕跡の表出 まな主体が,それぞれの環境形成に関わっている 一103一 集合住宅における環境形成に関する考察 表6 集合住宅における環境形成の主体と対象との関係 その他の未組織の近隣の人々 民間分譲マンション等の計画・建設・分譲 近隣の居住者 個々の居住者 計画老建築家建設業者 ’主にかかわる 環境形成の対象と 主体なる環境形成 集合住宅の管理者・管理組合 (◎は主にかかわりのある環境形成の主体,○はかかわりや影響のある主体) ◎ O ◎ ◎ 一次的・二次的環境形成の段階の区別 集合住宅の住戸のりフオーム ◎ ○ 一次的環境形成の段階︵主要な物理的環境形成の段階・building︶ 集合住宅の二段階供給 ◎ コーポラティブ住宅の計画・建設 メニュー方式のコーポラティブ住宅の計画・建設 ◎ ◎ ◎ ○ ◎ 集合住宅の管理・運営(強いもの) ◎ ○ ○ ○ ◎ ○ O ◎ O ◎ ◎ ○ ◎ .◎ ○ ◎ ◎ 集合住宅の管理・運営(弱いもの) 集合住宅外部空間の表出・あふれ出し ○ O ◎ 集合住宅内外の居住者の近隣関係 集合住宅の居住者間の音に関するルール形成 まちづくり運動 ○ O O ’O ◎ O ◎ ◎ 二次的環境形成の段階︵住みこなしの段階・apProPria−tiOn︶ 住戸内の家具のしつらえ等 順応型住宅(集合住宅住戸)の提案 集合住宅外部空問の共居状況 ○ ことを示している。一次的環境形成と二次的環境 の居住者が環境形成に積極的に関わるような仕組 形成の定義は,これまでも述べたように,主要な みもさまざまにあり,新しく提案もされている。 建物の構造物(物理的環境)が形成される段階と, 表6では,集合住宅の住戸のリフォームや集合住 それを居住者が住みこなしていく段階の違いであ 宅の二段階供給やコーポラティブ住宅の計画・建 るが,環境形成とその主体との関係は単純には割 設など(メニュー方式を含む)を挙げ,主体との り切れない。 関わりを示した。 表6に示すように,一次的環境形成の段階 このような集合住宅計画の段階から,利用者・ (building)は,計画者・建築家・建設業者などの 居住者の立場の意見を取り入れた計画がなされる 環境形成の主体が,積極的に関わって主要な物理 のは,集合住宅の居住者の立場が最優先される環 的環境を形成する段階であるといえる。もちろん 境であるということが反映している。コーポラテ それらのみが環境形成に関わるのではなく,個々 ィブ住宅の計画・設計段階では,居住者同士が協 一104一 早稲田大学人間科学研究 第8巻第1号1995年 同組合をつくり互いに将来の自分たちの集合住宅 観などの住環境の物理的側面にまで及ぷ。 についての話し合いをするが,そういった過程か また,ケーススタディで述べたように,単に近 ら近隣の居住者同士という社会的環境も形成され くにいるだけでも,未組織の人々が集合住宅の外 るのである。 部空間の共居状況という環境の一側面の形成主体 これに対して,二次的環境形成の段階は,住み となり,居住者にとっては意味の大きな対人的環 こなし(appropriation)の過程であり,環境形成 境となることがある。この場合は未組織の近隣の の主体は居住者が中心ということになる。始めに 人々が主体として大きな役割を果たすであろう。 述べたように,対人的環境,社会的環境をの形成 このような環境形成の側面は,近隣関係のつなが を主なものとする。ただし,「表出」「あふれ出し」 りが薄くなってきている現代の都市的状況におい にみるように物理的環境の形成も行うものである。 てはなおさら重要なものである。 集合住宅の居住者が,このような住みこなしをし ていく過程は,一次的環境形成,っまり,主要な 2)今後の課題 建物の構造物(物理的環境)が形成される段階と 以上のように,集合住宅の居住環境の形成につ ならんで,重要な環境形成の過程である。居住者 いて,一次的・二次的環境形成の段階,すなわち, の生活様式は多様なものであるが,その多様な居 主に物理的環境が形成される建設の段階と,主に 住者それぞれが自らにふさわしい居住環境として 対人的・杜会的環境が形成される住みこなしの段 いくことだからである。 階に分け,その形成主体に着目していくつかの事 集合住宅は,同時に多くの居住者が集まって住 例を紹介してきた。特に,ケーススタディで示し むことになるから,個々の居住老以外にさまざま た外部空問の共居状況は,個々の居住者の対人的 に環境形成に関わってくる人々がいる。もちろん, 環境の重要な側面であることを述べた。しかし, 集合住宅の主たる環境形成の主体は住戸の居住者 共居状況がどんなものであるかは示したものの, ではあるが,それ以外の人々も時には大きな役割 これと心理的諸要因との関係についての議論は十 を果たすことになる。集合住宅の管理・運営など 分できたとはいえない。共居状況と社会的環境形 は,管理者が行い,環境形成に大きく関わること 成との関係についてもわずかに触れただけにとど がある。また順応型住宅の提案では,計画者や設 まる。これらについては,より広範で,深い議論 計者が何も計画しないという消極的なかたちで環 境形成に関わっている。さらに,「表出」や「あふ が必要であることは言うまでもない。例えば,居 住者相互のルール形成と共居状況と関係など,調 れ出し」のような環境形成の主体は,積極的には べるべき問題は多く残っているが,別の調査・方 居住者自身であるが,消極的にはそれを評価する 法で調べる必要があろう。共居状況と物理的環境 近隣の人々も関わっている上,建築家もそれを促 進するような仕掛けをしたリ,’管理者がそれを妨 との関係も十分に議論できなかった。これらの点 についても,データを整理し,新たな研究によっ げないような工夫をしたりと多様な人々が役割を て明らかにする必要がある。 担うのである。 近隣の居住者は,社会的環境の一側面である近 最後に,ケーススタディにおいて,石井京子さ 隣関係の形成に関しては当然大きな役割を果たす。 ん(昭和女子大学大学院)の協力を得たことを記 それは,管理組合の関係や,外で立ち話をする近 し感謝申し上げます。 所づきあいの関係だけではない。例えば集合住宅 文 献 での音に関するルールの形成のように,互いの音 を聞きながら暗黙のルールを形成するというよう 青木義次他(1994)「あふれ出しの社会心理学的効 なことがらにも関わる。近隣のコミュニティが参 果」,日本建築学会計画系論文報告集 457号 加のかたちで主体となるまちづくり運動などの例 青木義次他(1993)「開放的路地空間での領域化と もある。これは社会的環境の形成のみならず,景 してのあふれ出し」,日本建築学会計画系論文 一105一 集合住宅における環境形成に関する考察 報告集 449号 西村一朗,今井範子,久保妙子(1992)「都市集合 井関和朗(199ユ)「新しい集合住宅の設計一街とつ 住宅地での『住み方ルール』に関する研究」 ながる集合住宅一」,建築技術別冊「これから 住宅総合研究財団,研究No.8810 の集合住宅計画手法のすべて」 花里俊廣,高橋鷹志,李京洛(1992)「マンション 延藤安弘,横山俊祐他(1989)「コニポラティブ住 住戸リフォームの平面型に関する考察1,2」 宅の計画研究としての方法的位置づけ」日本 日本建築学会関東支部研究報告集 建築学会計画系論文集396号 住宅都市整備公団建築部(1988)「住宅団地追跡調 Gibson,J.J.,(1979),”An Ecological Ap− 査(6〕」 praoch to Visual Perception”,Boston1 Lang,J(1987),”Creating Architectura1The− Hughton MiffIin. ory”,pp.101−110,Van Nostraヱd Reiohold Koffka,Kurt (1935),”Principle of Gestalt (邦訳:高橋鷹志監訳,今井ゆリか訳「建築 Psychology”,New York:Harcourt Bruce. 理論の創造」鹿島出版会) 鈴木成文他(1974)「順応型住宅の研究」,住宅建 Lewin Kurt,(1951),”Fie1d Theory of Learn− 築研究所報 鈴木成文,栗原嘉一郎,多胡進(ユ974b)「建築計 ing”,in D.Gartwight,ed.,Field theory in 画学5’住区」,丸善 by Kurt Lewin,New York:Harper& 巽和夫,高田光雄(1983)「二段階供給形式による Row,pp.60−86. 集合住宅の開発」建築文化 Wapner,S.,(1991),”有機体発達論的システム」 SOda工Sdence:Se]ected Theorjtica]papers 高橋鷹志他(1989)『設計方法V’設計方法と設計 論的アプローチ” 「人生移行の発達心理学」 主体』「第4章 環境形成活動における設計の (山本多喜司,Wapner,S.編著,pp.25−49. 主体性」,彰国社. 所収。 一106一
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