全体景気動向(2016年7月期) 年 4 回発行

特別版
全体景気動向(2016年7月期)
年 4 回発行
目次
【企業マインド】
1
【消費動向】
2
【雇用環境】
3
【設備投資】
4
【海外動向】
5
【中部圏の展望・東海地方】
6
【中部圏の展望・北陸地方】
7
【企業マインド】
中小企業の景気は不透明に推移
中小企業の景気は下降傾向が強まる。内閣府/財務省の法人企業景気予測調
査
(注)によると、景気が「上昇」と見る企業の割合から
「下降」と見る企業の割合
を引いた国内の景況判断指標
(BSI)は、中小企業の全産業で
「下降」超で推移し
ている。2016年1~3月期における現状判断は
「-21.7」となり、前回調査の予想
(「-10.1」
)
より11.6ポイント低下。先行きは、2016年4~6月期が
「-11.1」
となり、
前回調査比で3.6ポイント低下。7~9月期の見通しは
「-6.7」
となっている。
日本政策金融公庫の中小企業景況調査によると、今後3カ月の売り上げ見通
しD.I.
(季節調整値)
は、
「減少」
超が継続している。2016年3月は
「▲4.2」
、4月は
「▲
2.1」
、5月は
「▲4.4」となった。2016年5月の分野別売り上げ
(季節調整値)では、
食生活関連と衣生活関連のみが
「増加」
超で、他はすべて
「減少」
超だった。
注)2004年4~6月期より、内閣府の法人企業動向調査と財務省の景気予測調査を一元化した。
40
20
法人企業景気予測調査および法人企業動向調査「企業経営者による景況判断指標」
BSI=「上昇̶下降」
値
製造業
非製造業
0
−20
−40
−60
−80
法人企業動向調査
(全規模)
−100
04
05
06
07
08
2002 03
注)2016年4∼6月期と7∼9月期は見通し
30
法人企業景気予測調査
(中小企業)
09
10
11
12
13
14
15
16 (年)
(出所:内閣府/財務省)
売り上げ見通しD.I.(今月以降3カ月間、過去3カ月の実績比「増加̶減少」)
20
10
0
−10
−20
−30
季節調整値
−40
−50
4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月11月12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月11月12月 1月 2月 3月 4月 5月
2014年
2015年
2016年
(出所:日本政策金融公庫)
1
【消費動向】
1世帯当たりの消費支出は3期連続で減少
総務省の家計調査によると、総世帯の1世帯当たり消費支出は2016年1~3月期
で前年同期比実質2.9%減と、3期連続の実質減少となった。支出項目のうち減少
したのは、被服及び履物
(8.7%減)
、住居
(7.0%減)
、光熱・水道
(6.6%減)
、教養
娯楽
(2.3%減)
など。増加したのは、保健医療
(5.6%増)
、教育
(2.1%増)
などだっ
た。勤労者世帯の消費支出も実質3.4%減
(3期連続の実質減少)
となった。経済産
業省の商業販売統計によると、2016年1~3月期の小売業販売額は前年同期比0.3
%減の34兆5170億円。販売額が増加したのは、医薬品・化粧品小売業の5.0%増、
織物・衣服・身の回り品小売業の3.2%増、飲食料品小売業の2.7%増、その他の
小売業の1.6%増。減少したのは、燃料小売業の12.4%減、機械器具小売業の2.6
%減などだった。2016年4月
(速報)
は前年同月比0.8%減の11兆4660億円。日本チ
ェーンストア協会が毎月発表している全国チェーンストア総販売額は、2016年4
月が対前年同月比で0.7%減となった。2014年2月は3.4%増、3月は0.3%減だった。
総世帯
(1世帯当たり)
消費支出の対前年同期実質増減率
(四半期ベース=月平均)
7∼9月
16年
(出所:総務省)
∼
月
12
1∼3月
4∼6月
1∼3月
15年
10
4月
3月
2月
1月
月
月
月
9月
8月
7月
6月
5月
4月
3月
2月
1月
月
月
月
9月
8月
7月
6月
5月
4月
3月
2月
1月
月
月
月
9月
8月
7月
6月
5月
4月
3月
2月
1月
月
月
月
9月
8月
7月
(%)
10
8
チェーンストアの販売額伸長率の推移
6
(前年同月比)
4
2
0
−2
−4
−6
−8
−10
10 1112
10 1112
12
月
14年
10
∼
13年
7∼9月
月
12
4∼6月
1∼3月
10
∼
7∼9月
12年
4∼6月
月
12
1∼3月
10
∼
7∼9月
4∼6月
1∼3月
5 (%)
4
3
2
1
0
−1
勤労者世帯
−2
(1世帯当たり)
−3
−4
−5
−6
−7
12年
10 1112
13年
14年
2
10 1112
15年
16年
(出所:日本チェーンストア協会)
【雇用環境】
完全失業者数は71カ月連続で減少
総務省の労働力調査(速報)によると、前年同月比でみた完全失業者数は2016
年2月、3月、4月にそれぞれ13万人減の213万人、12万人減の216万人、10万人
減の224万人となった。完全失業率
(季節調整値)
は、2016年2月3.3%、3月3.2%、
4月3.2%。1月の結果を男女別でみると、男性は3.4%、女性は3.0%。また、
2016年1~3月期の完全失業率を地域別・前年同期比でみると、全国9地域のう
ち失業率が低下したのは北陸と東海を除く7地区となった。失業率が最も低か
ったのは北陸と東海の2.9%、最も高かったのは北海道の3.5%だった。厚生労
働省発表の有効求人倍率(季節調整値)は、2016年4月は1.34倍
(正社員は0.85倍)
となり、前月比で0.04ポイント上昇。厚生労働省の毎月勤労統計調査によると、
実質賃金は前年比で2016年2月0.2%増、
3月0.7%増、
4月は0.5%増
(速報)
となった。
有効求人倍率(倍)
1.4
完全失業者数(万人)
1.3
有効求人倍率と完全失業者数の推移
1.2
380
370
360
350
340
330
320
310
300
290
280
270
260
250
240
230
220
210
200
有効求人倍率
1.1
1.0
0.9
0.8
0.7
0.6
完全失業者数
0.5
0.4
6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4
2013年
2014年
2015年
2016年
(出所:完全失業者数は総務省「労働力調査報告」。有効求人倍率は厚生労働省「一般職業紹介状況」)
2
1
前年同月比(%)
実質賃金の推移
0
−1
−2
−3
−4
4月
2月
3月
月
月
月
10 11 12
1月
9月
8月
7月
6月
4月
5月
3月
2013年
2014年
注:2007年11月分より、算定方式を変更している
2月
月
月
月
10 11 12
1月
9月
8月
7月
6月
5月
4月
2月
3月
月
月
月
10 11 12
1月
9月
−5
2015年
2016年
(出所:厚生労働省「毎月勤労統計調査」)
3
【設備投資】
機械受注は低迷を予想
内閣府の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標である
「船舶・電
力を除く民需」(季節調整値)は、2016年1月の前月比15.0%増から2月は9.2%減
となったが、3月は5.5%増と持ち直した。四半期ベースでみると、2016年1~3
月期は前期比6.7%増の2兆6785億円となり、前回の見通し
(8.6%増、2兆6974億
円)を下回った。製造業は13.7%増、非製造業は3.5%増だった。2016年4~6月
期は、製造業が7.5%減、非製造業が1.5%減となり、全体で3.5%減と低迷を予
想している
(注)
。
日本政策金融公庫の中小企業動向調査によると、2016年1~3月期における設
備投資実施企業の割合(季節調整値)は前期比3.2ポイント減の37.4%となった。
製造業は2.7ポイント減の44.3%、
非製造業は3.1ポイント減の32.6%となっている。
注)需要者別内訳の合計は全体の季節調整値とは一致しない
機械受注額の推移(船舶・電力を除く民需、四半期ベース=月平均)
(十億円)
1,500
月次
四半期(月平均)
1,400
2016年1月 9347億円
2015年10∼12月期 8366億円
1,300
2月 8487億円
2016年 1∼ 3月期 8928億円
1,200
3月 8951億円
4∼ 6月期 8612億円
1,100
1,000
900
800
700
600
12 3 6 9 12 3 6 9 12 3 6 9 12 3 6 9 12 3 6 9 12 3 6 9 12 3 6
09年度
10年度
11年度
12年度
13年度
14年度
15年度
16年度
注)2016年4∼6月期は見通し
(出所:内閣府)
50 (%)
中小企業の設備投資実施割合
45
40
35
30
25
20
15
全体
非製造業
月
12
1∼3月
10
∼
7∼9月
4∼6月
1∼3月
4
12
月
2014年
10
∼
7∼9月
2013年
4∼6月
月
12
1∼3月
10
∼
7∼9月
4∼6月
1∼3月
12
月
2012年
10
∼
7∼9月
2011年
4∼6月
月
12
1∼3月
10
∼
10
製造業
2015年
2016年
(日本政策金融公庫)
【海外動向】
米商務省によると、米国の2016年1~3月期における実質国内総生産
(GDP改
定値、季節調整値)は、前期比年率で0.8%増となった。前月発表の速報値から
0.3ポイント上方修正。市場予想は0.9%増だった。内訳をみると、GDPの7割を
占める個人消費は1.9%増で、速報値と変わらず。住宅投資は低金利政策による
好調が続き17.1%増で、速報値から2.3ポイント上方修正。エネルギー関連投資
の弱さが継続したことで、民間設備投資は9.0%減となり、速報値から0.4ポイ
ント下方修正した。
6月3日発表の米国の雇用統計によると、2016年5月の非農業部門雇用者数
(季
節調整値)は前月に比べて3万8000人の増加。市場の事前予想の4分の1程度の増
加にとどまった。失業率は前月比で0.3ポイント低下し、4.7%となった。
6月1日発表の米連邦準備委員会
(FRB)
・地区連銀経済報告
(ベージュブック)
によると、「4月から5月までの米国の経済活動は大半の地区で緩やかに拡大し
た」としている。経済活動は、全12地区中9地区で
「穏やか」
に拡大。2地区で減速、
1地区で横ばい。個人消費は多くの地区で緩やかに拡大。雇用も緩やかに拡大
し、労働者不足を指摘する地区が多かった。
欧州連合(EU)統計局が発表した、ユーロ圏
(19カ国)の2016年1~3月期にお
ける実質域内総生産
(GDP改定値)は、前期比0.5%増
(前年同期比1.5%増)とな
り、速報値の0.6%増から下方修正した。EU全体
(28カ国)でも前期比0.5%増と
なった。ユーロ圏経済の3分の1を占めるドイツは0.7%増となり、前期から0.4
ポイント上昇。フランスは0.5%増で同0.2ポイント上昇、イタリアは0.3%増で
0.1ポイント上昇、スペインは0.8%増で前期と同水準だった。
中国国家統計局によると、中国の2016年1~3月期における実質経済成長率
(GDP前年同期比伸び率)は、前期から1ポイント低下し6.7%増となった。これ
は2009年1~3月期以来の低水準だが、市場予想の範囲だった。
国際通貨基金(IMF)は2016年4月に世界経済見通しを改定し、2016年の世界
経済の成長率を前回の見通しから0.2ポイント下方修正し3.2%とした。2017年
は0.1ポイント下方修正し3.5%とした。長引く低成長が、多くの国の社会構造
や政治構造に大きなダメージをもたらすリスクをはらむとしている。2016年の
見通しを地域別にみると、ユーロ圏は前回見通し比で0.2ポイント下方修正し
1.5%、米国も0.2ポイント下方修正し2.4%、中国は0.2ポイント上方修正し6.5%、
日本は0.5ポイント下方修正し0.5%としている。
5
【中部圏の展望・東海地方】
東海地方の経済は先行き不透明。日本政策金融公庫の中小企業動向調査によ
ると、静岡と長野を含む東海地方の景況天気図は、2014年4~6月期以来の
「薄曇」
が継続。2016年1~3月期、4~6月期、7~9月期も
「薄曇り」が続く見通しとして
いる。
鉱工業生産指数は、2016年1月はマイナス0.5%、2月はマイナス5.6%となっ
たものの、3月はプラス1.2%に改善した。主力業種の指数
(2016年3月)
をみると、
プラスになったのは金属製品工業
(プラス25.6%)
、電気機械工業
(プラス9.2
%)、輸送機械工業
(プラス7.8%)
、など。マイナスは、情報通信機械工業
(マイ
ナス15.1%)、化学工業(マイナス11.9%)
、電子部品・デバイス工業
(マイナス
6.9%)
などだった。
日銀の2016年3月短期経済観測調査によると、東海3県の設備投資額
(土地投
資含む)は、2015年度
(見込み)が全産業で前年度比21.1%増。前回調査比で0.7
ポイントの上方修正となった。2016年度計画は、全産業で前年度比0.6%減
(全
国平均は4.8%減)
、製造業は3.5%増、非製造業は5.2%減となっている。
雇用環境には大きな変化なし。2016年1~3月期の静岡を含む東海地方の完全
失業率は2.8%となり、前期比で0.2ポイント上昇、前年同期比では0.4ポイント
の上昇となった(全国平均は3.2%)
。有効求人倍率は2016年4月が1.54倍
(全国平
均は1.34倍)
となり、前年同月比で0.17ポイント上昇した。
静岡県を含む東海地方の建設工事受注高は、2016年1月4949億円
(前年同月比
5.9%減)
、2月5805億円
(19.2%増)
、3月7286億円
(11.9%増)と、増加傾向。新設
住宅着工戸数も、2016年2月が8582戸
(前年同月比12.2%増)
、3月が9071戸
(同
7.8%増)
、4月は8404戸
(同2.6%増)
と、好調を維持している。
消費は弱含みに推移。岐阜、愛知、三重3県の大型小売店販売額は2016年1月
1749億円、2月1485億円、3月1575億円で推移した。既存店ベースの対前年同月
増減率をみると、3県の合計で2016年1月が0.2%減、2月は1.6%増、3月は0.3%
減だった。また、名古屋市は2016年1月が0.7%減、2月は0.4%増、3月は0.9%減
となった。
(2016年3月はいずれも速報)
。
6
【中部圏の展望・北陸地方】
北陸地方の経済は弱含み。日本政策金融公庫の中小企業動向調査によると、
北陸地方の景況天気図は2014年4~6月期以来の
「薄曇」が継続。2016年1~3月
期、4~6月期、7~9月期、も「薄曇り」が続く見通し。鉱工業生産指数は、2016
年1月、2月、3月に、それぞれ前年同月比マイナス1.5%、プラス0.1%、マイナ
ス0.7%となっている。3月の指数を業種別にみると、前年同月比でプラスにな
ったのは、輸送機械工業(プラス13.2%)
、化学工業
(プラス7.8%)
、鉄鋼業
(プ
ラス5.8%)
など。マイナスになったのは、窯業・土石製品工業
(マイナス20.4%)
、
はん用・生産用・業務用機械工業
(マイナス12.1%)
、金属製品工業
(マイナス
4.0%)
などとなっている。
民間設備投資は縮小傾向。日銀の2016年3月短期経済観測調査によると、設
備投資の2015年度実績見込みは、全産業で前年度比49.2%増
(全国平均は8.0%
増)。2014年度実績
(44.0%増)と比べて増加幅が拡大した。2016年度計画は前年
度比3.3%増と、増加幅の縮小を予想
(全国平均は4.8%減)
。製造業は7.6%増、
非製造業は0.8%減となり、前回調査比で大幅に減少する。
雇用環境は底堅い。2016年1~3月期の新潟を含む北陸地方の完全失業率は3.0
%で、前期比で0.3ポイント上昇。前年同期比でも0.3ポイントの上昇となった
(全
国平均は3.2%)
。有効求人倍率は2016年4月に1.50倍
(全国平均は1.34倍)
となり、
前年同月比で0.15ポイント上昇した。
公共投資は動きが弱い。北陸地方の公共工事請負金額は、2016年1月が146億
円(前年同月比14.1%減)
、2月は90億円
(54.7%減)
、3月は378億円
(0.7%増)とな
っている。新設住宅着工戸数(新潟県を含む)は、2016年2月が1729戸
(前年同月
比6.0%増)
、3月が2731戸
(5.8%増)
、4月は2644戸
(7.8%増)と好調に推移してい
る。
消費は低調な動き。富山、石川、福井3県の大型小売店販売額は2016年1月
332億円、2月284億円、3月は299億円となった。既存店ベースの対前年同月増
減率を県別でみると、富山県は2016年1月3.7%減、2月1.0%増、3月1.0%減。石
川県は2016年1月2.8%減、2月0.3%増、3月1.9%減。福井県は2016年1月0.8%減、
2月2.8%増、3月0.4%増となっている
(2016年3月はいずれも速報)
。
7