みなとみらい線沿線の動向について 経済調査レポート ~ 埼玉県とのアクセス向上後の状況 ~ 関東財務局横浜財務事務所 平成25年3月、沿線に横浜中華街や元町ショッピングストリートなどの観光スポットも 有する「みなとみらい線」(横浜高速鉄道)は、「東横線」(東京急行電鉄)と「副都心線」(東京 地下鉄(東京メトロ))の相互直通運転により埼玉県西部(西武池袋線・飯能駅、東武東上線・森林 公園駅)と直接結ばれ、アクセスが向上した。 本レポートでは、アクセス向上後の沿線の動向(みなとみらい21地区、横浜中華街・元町エリ ア)や地域における活性化のための取り組みなどについて紹介したい。 駅利用人員等の動向 横浜駅 ● 横浜中華街・ 元町エリア ● みなとみらい駅 ● 元町・中華街駅 (出所:横浜市都心臨海部再生マスタープラン概要版パンフレットを加工) 駅利用人員の推移(みなとみらい駅・元町中華街駅) 主な商業施設・事業所の開設等(平成25年度以降、予定を含む) 開業等時期 施設名称 平成25年6月 MARK IS みなとみらい(商業施設) 平成25年8月 Audi みなとみらい(商業施設) 平成26年4月 PRYME GALLERY みなとみらい(商業施設) 平成26年5月 横浜アイマークプレイス(オフィスビル) 平成28年3月 MARINE&WALK YOKOHAMA(商業施設) 平成31年(予定) 株式会社資生堂・新研究所「グローバルイノベーションセンター」 (出所:横浜市統計ポータルサイト)(※利用人員は(乗車人員+降車人員)÷2として当方で算出) 年間来街者数の推移(みなとみらい21地区) 平成31年(予定) 京浜急行電鉄株式会社・本社 (出所:横浜市、三菱商事都市開発㈱発表資料) ~「みなとみらい21地区」における事業所数増加の背景~ 就業者数・事業所数の推移(みなとみらい21地区) ○交通アクセスに優れた立地 みなとみらい駅から東京駅や羽田空港まではそれぞれ約30分 ○オフィス賃料の安さ(平成28年第1四半期の想定成約賃料) みなとみらいオールグレードビル:16,460円 ⇔ 東京(丸の内・大手町)グレードAビル:45,650円(1坪あたり) (出所:CBRE「MARKETVIEW Japan Office Q1 2016」) ○横浜市企業立地支援制度(2016年版) 最大50億円の助成金(建物を建設・取得する場合)。みなとみらい21地区での認定件数 は9件(平成27年12月時点。固定資産取得型) (出所:横浜市発表資料) (出所:横浜市発表資料) 地域の取り組み 横浜中華街発展会協同組合 ・中華街の案内所「チャイナタウン80」に自動外貨両替機(外貨8種類→日本円)を設置 (H27.12)。 ・無料Wi-Fiサービスを開始(H28.7)。 ・ 春節や関帝誕、媽祖祭など、季節ごとに横浜中華街の伝統行事及びイベントを開催する ことでリピーターが定着。 「春節」のイベントである祝賀パレード「祝舞遊行」(写真提供:横浜中華街発展会協同組合) 協同組合元町SS会 ・英語と中国語の商店街マップやホームページを作成、無料Wi-Fiサービスの 導入も準備中。 ・パウダールーム「元町オアシス」(子育て世代の親子連れなどのための授乳室、 おむつ替え室を完備)を設置(H27.5)。 ・NHKの連続テレビ小説「まれ」とタイアップしたイベントやクラシックカーが駆け巡る 「RALLY YOKOHAMA」、「元町トゥインクルクリスマス」の企画として「ロンドンバス」 乗車イベント等を開催。 左から元町オアシス内「女性用パウダールーム」、「RALLY YOKOHAMA」、ロンドンバス 乗車イベント (写真提供:協同組合元町SS会) 移動のイメージ 横浜市 ○回遊性の高い街づくり(横浜都心部コミュニティサイクル事業 baybike(ベイバイク)) ・横浜市(実施主体)と㈱ドコモ・バイクシェア(運営主体)が協働で行うサイクルシェアリング事業。 自転車は全て電動アシスト付き。 ・基本料金は30分150円(最初の30分、会員プラン)とリーズナブルであるほか、横浜駅からみなと みらい21地区、横浜中華街・元町エリアを中心に45ヶ所設置(H28.5)されているサイクルポートの どこでも借入・返却が可能という利便性などから、電車やバスを補完する移動手段となっている。 ・会員登録者数は約39,000人(H27年度見込)。対H25年度で約20,000人増加(見込)。 ベイバイクでの移動イメージ図(出所:横浜市提供の図面及び写真を加工) まとめ ・みなとみらい駅、元町・中華街駅の利用者数は、アクセス向上後(平成25年度)大幅に増加。その後も同水準を維持。 ・背景には、商業施設や事業所の開設の動きのほか、外国人観光客や買い物客の利便性向上、イベント開催による話題作りで魅 力を高めるなどの地域の取り組みも寄与。 ・今後、アジア開発銀行年次総会の開催(平成29年5月)をはじめとするMICE(多くの集客交流が見込まれるビジネスイベントの総 称)の開催や横浜市内では平成31年にラグビーW杯の開催も控えており、ますますの発展が期待される。 (注)1.本レポートの内容で意見に関する部分は、執筆者の個人的な見解である。 2.本レポート掲載の写真の無断転用を禁じる。 ≪御礼≫ 本レポートの作成にあたり貴重なお話を伺わせていただくなど、ご協力いただきました皆様には厚く御礼申し上げます。 (調査協力、写真等提供) 横浜中華街発展会協同組合、協同組合元町SS会、横浜市都市整備局(都心再生部みなとみらい21推進課、都市交通部都 市交通課) 関 東 財 務 局 横 浜 財 務 事 務 所 財 務 課 担 当 :山 下 TEL:045 - 681 - 0932
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