社会問題化する「働けなくなるリスク」の背景と実態とは

報道関係各位
2016年7月1日
アフラック新商品発表会 開催
- 実はがん患者よりも多い -
社会問題化する「働けなくなるリスク」の背景と実態とは
アフラック(アメリカンファミリー生命保険会社、日本における代表者・社長:山内裕司)は、2016年7月19日
(火)に新商品<病気やケガで働けなくなったときの 給与サポート保険>を発売します。これに伴い、新商品発表会を
2016年6月28日(火)に開催いたしました。
発表会では、<給与サポート保険>に関する商品プレゼンテーションとともに、就業における社会的課題に関する専門
家で「下流老人」の著者としても知られる藤田孝典さん(NPO法人ほっとプラス 代表理事)、地域医療の専門家でも
ある山田隆司さん(公益社団法人地域医療振興協会 副理事長)を迎えて、「働けなくなるリスク」に関するトークセッ
ションを開催しました。
企業の福利厚生のあり方や、核家族化の進行、地域コミュニティの希薄化など様々な社会環境の変化により、働けなく
なることで起きうるリスクは顕在化してきています。トークセッションでは、具体的な事例を交えながらその実態に迫りました。
6月28日(火)に開催された発表会の様子を映像に収めましたので、下記URLよりご確認ください。
動画:https://youtu.be/uHyiJlQgHaA
<病気やケガで働けなくなったときの 給与サポート保険>について
お客様ご自身が病気やケガによって働けなくなった場合に起こる「収入の減少」というご自身及びご家族の経済的困難
に備えるための商品です。お客様が「入院」または「所定の在宅療養」の状態になったときに、毎月のお給料のように一定
額をお支払いすることで、「収入の減少」に伴うさまざまな経済的困難を軽減することができます。
<給与サポート保険>の特長
■ 病気・ケガで働けない場合*、毎月のお給料のように給付金をお支払いします
病気やケガを原因とした所定の就労困難状態が60日継続後、その状態が続く限り給付金をお支払いします。
* 精神障害や妊娠・出産などを原因とする場合を除く
■「入院」または「所定の在宅療養」で働けない場合を保障します
お支払いの対象となる就労困難状態とは、「入院」または「所定の在宅療養」に該当した状態をいいます。
■働けなくなったときの公的保障をふまえ、保障額をそれぞれ設定できます
被用者保険から「傷病手当金」が支給される期間とそれ以降では収入の減少分に差があるため、
「短期回復支援給付金」と「長期療養支援給付金」の保障額をそれぞれ1万円単位で設定し、
無駄のない保障を準備することが可能です。
また、報道関係者の皆様向けに「働けなくなるリスク」に関する資料をまとめましたのでご参照ください。
働けなくなることへの不安について
 日本人の2人に1人ががんになる時代。がんよりもさらに身近な「働けなくなるリスク」。
厚生労働省「平成26年患者調査」によると、悪性新生物(がん)の治療を受けている人は、およそ163万人にも上ります。
日本人の2人に1人ががんになり、4人に1人※1ががんで亡くなる現代。日本人にとって、がんはもっとも身近な病気となっています。
一方、国の基準で働けないと認定されている障害年金1級(日常生活不能)・2級(日常生活制限)の受給者は、およそ
181万人※2にも上り、がんで治療を受ける人より20万人近くも多くなっています。働けなくなることは、誰にでも起きうる身近な問
題と言えるでしょう。
※1=公益財団法人がん研究振興財団「がんの統計’15」 ※2=厚生労働省「平成26年年金制度基礎調査 障害年金受給者実態調査」
 働けなくなることは、死亡時よりも深刻な場合も。
働けなくなった場合、治療費や生活費などは継続して支払う必要があるため、死亡時よりも経済的な負担が大きくなる場合が
あり、以前よりもその負担を個人で背負う状況へと変化しています。
その理由として、社会、家族、企業のそれぞれの問題があげられます。
①社会の問題…少子高齢化など社会構造の変化や地域コミュニティの崩壊により、社会に頼ることができなくなった
②家族の問題…核家族や未婚世帯の増加が進み、家族の助けを得ることが難しくなった
③企業の問題…福利厚生制度の見直しや雇用形態の多様化により、働けなくなった時も会社に依存することが難しくなった
このような状況から、働けなくなったときの負担がより大きくなり、無視できない社会問題となっています。
 働き盛りの30代・40代にとって、より大きな不安となる「働けなくなるリスク」 。
公益財団法人生命保険文化センターが調べた病気やケガに対する不安の内容[図1]を見ると「障害等により就労不能と
なる」全体35.0%に対し30代42.4%・40代41.3%、「治療の長期化で収入が途絶える」全体 30.0%に対し30代・40代
とも35.7%、「以前のように仕事に復帰できるかわからない」全体20.0%に対し30代24.5%・40代 24.1%と、働き盛りの30
代・40代が「働けなくなるリスク」への不安がより高くなっています。
同じく、今後増やしたい生活保障準備項目[図2]でも、「世帯主が病気やケガのため長期間働くことができなくなった場合の
生活資金の準備」全体18.3%に対し、30-34歳31.2%、35-39歳33.2%、40-44歳30.3%、45-49歳27.8%、「配偶
者が病気やケガのため長期間働くことができなくなった場合の生活資金の準備」全体13.4%に対し、30-34歳23.7%、3539歳23.3%、40-44歳20.1%、45-49歳17.1%となり、働き盛り世代が「働けなくなるリスク」に対する生活保障をより必要
と感じていることがわかります。
[図1]ケガや病気に対する不安の内容
[図2]今後増やしたい生活保障準備項目
全体(n=3659)
30代(n=658)
40代(n=838)
60.0
全体(n=4020)
30-34歳(n=173)
35-39歳(n=283)
40-44歳(n=373)
45-49歳(n=334)
40.0
30.0
40.0
20.0
20.0
10.0
(%) 0.0
(%) 0.0
長
期
の
入
院
で
医
療
費
が
か
さ
む
公
的
医
療
保
険
だ
け
で
は
不
十
分
家
族
に
肉
体
的
・
精
神
的
負
担
を
か
け
る
後
遺
症
や
障
害
が
残
る
不
慮
の
事
故
に
あ
う
障
害
等
に
よ
り
就
労
不
能
と
な
る
こ
と
三
大
疾
病
に
か
か
る
保
険
対
象
外
の
先
進
医
療
の
費
用
が
か
か
る
治
療
の
長
期
化
で
収
入
が
途
絶
え
る
現
在
の
準
備
で
は
費
用
が
ま
か
な
え
な
い
保
険
対
象
外
の
差
額
ベ
ッ
ド
代
が
か
か
る
以
前
の
よ
う
に
仕
事
に
復
帰
で
き
る
か
わ
か
ら
な
い
慢
性
疾
患
に
か
か
る
家
族
の
見
舞
い
な
ど
付
随
的
費
用
が
か
か
る
適
切
な
治
療
が
受
け
ら
れ
る
か
わ
か
ら
な
い
そ
の
他
出典=(公財)生命保険文化センター「平成25年度生活保障に関する調査」より
わ
か
ら
な
い
世
帯
主
の
老
後
の
生
活
資
金
の
準
備
1
配
偶
者
の
老
後
の
生
活
資
金
の
準
備
世
帯
主
が
要
介
護
状
態
と
な
っ
た
場
合
の
介
護
資
金
の
準
備
世
帯
主
が
万
一
の
場
合
の
資
金
準
備
配
偶
者
が
要
介
護
状
態
と
な
っ
た
場
合
の
介
護
資
金
の
準
備
場世
合帯
の主
生が
活病
資気
金や
のケ
準ガ
備の
た
め
長
期
間
働
く
こ
と
が
で
き
な
く
な
っ
た
配
偶
者
が
万
一
の
場
合
の
資
金
準
備
場配
合偶
の者
生が
活病
資気
金や
のケ
準ガ
備の
た
め
長
期
間
働
く
こ
と
が
で
き
な
く
な
っ
た
世
帯
主
の
病
気
や
ケ
ガ
の
治
療
や
入
院
し
た
場
合
の
医
療
費
の
準
備
子
ど
も
が
万
一
の
場
合
の
資
金
準
備
配
偶
者
の
病
気
や
ケ
ガ
の
治
療
や
入
院
し
た
場
合
の
医
療
費
の
準
備
子
ど
も
の
病
気
や
ケ
ガ
の
治
療
や
入
院
し
た
場
合
の
医
療
費
の
準
備
場子
合ど
のも
生が
活病
資気
金や
のケ
準ガ
備の
た
め
長
期
間
働
く
こ
と
が
で
き
な
く
な
っ
た
子
ど
も
の
老
後
の
生
活
資
金
の
準
備
子
ど
も
が
要
介
護
状
態
と
な
っ
た
場
合
の
介
護
資
金
の
準
備
そ
の
他
特
に
な
い
出典=(公財)生命保険文化センター「平成27年度生命保険に関する全国実態調査」より
働けなくなる不安から誕生した“第3の保険”
 働けなくなったときに備える“第3の保険”
かの福沢諭吉が「一人の災難を大勢が分かち、わずかの金を捨てて大難を逃れる制度」と述べているように、保険は、将来起
こるかもしれない不安に備え、人生をより安心して過ごすための仕組みです。
将来の不安としてまずあげられるのが、死亡に対する不安です。死亡時の不安である、遺された家族の生活費の支援が「死亡
保険」で、一般的には生命保険と呼ばれています。
その後、時代が進み、医療の発達や長寿化により、死亡には至らないものの、病気やケガにより普段通りの生活ができないケー
スも増えてきました。この場合、本人と家族の生活費に加えて、医療費や介護費などさまざまな面から家計が圧迫され、経済的
損失が大きくなります。この負担を軽減するために誕生したのが「医療保険」や「がん保険」です。
そして今、時代の変化や社会的な背景により、死亡保険や医療保険とあわせて求められているのが、働けなくなったときに備え
る保険です。
仮に、死亡保険を第1の保険、医療保険・がん保険を第2の保険とするなら、働けなくなったときの収入をサポートする保険は、
“第3の保険”と位置づけることができるでしょう。
死亡保険
遺族の生活費の支援
医療保険
第3の保険
がん保険
働けなくなったときの
治療費の支援
収入・生活費の支援
2
社会福祉士・NPO法人代表 藤田さんに聞く、
働けなくなるリスクへの備え
健康で何の問題がなくても、病気やケガによりある日突然、働けなくなってしまうこともあります。社会福祉士で特定非営利活
動法人ほっとプラス代表理事の藤田孝典さんに、働けなくなるリスクへの備えについてお話をうかがいました。
 現在の社会は、働けなくなったときの負担が大きくなっている
働けなくなったときに支援が必要とされるようになった背景には、「社会」「家族」「企業」の3つの変化が考えられます。まず社会
については、少子高齢化など社会構造の変化や地域コミュニティの崩壊により、働けなくなったときに社会に頼ることができなくなっ
ています。また、家族については、核家族や未婚世帯の増加が進み、家族の助けを得ることが難しくなっています。そして企業につ
いては、長く続く不景気による福利厚生の見直しや、雇用形態の多様化が進み、働けなくなったときも会社に依存することが難し
く金銭的にやりくりできないケースが増えています。このようなことから、私は、現代社会は働けなくなるリスクが社会問題化している、
と考えています。
 突然の病気やケガにより働けなくなると、生活水準の維持が難しくなる
私の活動の中で実際に起きた、IT系企業勤務の40代男性のケースをご紹介しましょう。
彼は、1日17時間も連続してプログラミング作業をし、会社に度々泊まるような環境で激務をこなしていました。そんな中、2週
間ぶりの休日に激しい頭痛に襲われ、救急搬送され脳梗塞と診断されました。結果、半身マヒが残り働けなくなってしまいました。
彼の年収は600万円台と決して低くはありませんでしたが、奥さんは専業主婦で子どもが大学進学前だったこともあり、働けなく
なったことは、家計的にも大きなダメージとなりました。奥さんが働いて生活を支えることになりましたが、元の生活水準は保てませ
んでした。
 社会保障の制度を正しく知ること、その上で必要な自己防衛策を講じることが重要
病気やケガでそれまでの生活水準が保てなくなることは、誰にでも起こりうることです。なのに、傷病手当金や障害年金など、社
会保障制度の仕組みの詳細を知らない方は意外と多くいます。まずはそれらのセーフティーネットについて理解を深め、どのような
手続きを行えば、いつから、最低限どの程度の収入が得られるかを把握しておくことは、必須の対策です。ただし、社会保障制度
ですべてをカバーすることは難しいと言わざるを得ません。社会保障制度を補完する形で、民間の保険を活用することなども、自
己防衛策のひとつとなります。
非常に大変な現代を生き抜くためには、しっかりと考え、備えていく姿勢が求められているといえます。
藤田孝典(ふじた・たかのり)さん
社会福祉士 NPO法人ほっとプラス代表理事。聖学院大学客員准教授。社会福祉士。首都圏で生活困窮者支援を行うソーシャ
ルワーカー。生活保護や生活困窮者支援の在り方に関する活動と提言を行う。反貧困ネットワーク埼玉代表。ブラック企業対策プロ
ジェクト共同代表。厚生労働省社会保障審議会特別部会委員。
著書に『貧困世代 社会の監獄に閉じ込められた若者たち』(講談社現代新書 2016)、『下流老人 一億総老後崩壊の衝撃』
(朝日新聞出版 2015)、『ひとりも殺させない』(堀之内出版 2013)、共著に『知りたい!ソーシャルワーカーの仕事』(岩波書
店 2015)など多数。
3
公益社団法人地域医療振興協会 副理事長の山田先生に聞く、
医師の立場からの「働けなくなるリスク」への対策
「就労困難」つまり「働けなくなるリスク」について、医療現場から見て、どのようなことが背景にあるのか、公益社団法人地域医
療振興協会 副理事長の山田隆司先生にお話をうかがいました。
 医療が進歩する一方で、多くの人が病気や障害を抱えながら生きている
「働けなくなるリスク」の一要因となる脳梗塞等の脳血管障害を例に取ると、年間100万人以上の人が罹られています。 医
療の進歩で死亡率は下がっているものの、多くの人たちは後遺症を抱えることになり、急性期の治療後も一定期間リハビリテー
ションに励むことになります。当然その期間は働けないことになります。
この例に限らず、がん、心筋梗塞など、医療の進歩によって死亡率が下がっている一方で、治療が長引いたり、疾患や障害を
抱えながら生き続けなければならない人たちも多くなっています。むしろ多くの人は病気や障害を抱えながら生きて行く時代になっ
たと言えます。そうした人の中には、働けなくなって生活に苦しんでいる人も少なからずいます。
 働けなくなった患者さんが病の絶望から抜け出るために
私の患者にも、障害が重く、職場復帰ができず、生活が一変してしまう方も珍しくありません。それによって家族関係も変化して
しまうことも多くなっています。病気の重さや職業がほとんど同じでも、その後の生活再建のあり方については、人によって大きく異な
ります。
人にとって、仕事は単なる生活の手段だけでなく生き甲斐でもあります。病気で働けなくなると、病気の苦しみだけでなく、働け
なくなったことの苦しみも背負うことになります。二重三重の苦しみが人を絶望の淵に追いやってしまうのです。
私が見てきた深刻なケースでは、元に戻れない片麻痺の自分をどうしても受け入れられず、周囲の人間に形振り構わず当たっ
てしまう、病院のスタッフ、家族全てに対して、自分をわかってくれないと怒り散らす、リハビリにも拒否的になり、閉じこもってしまい
しばらく自暴自棄になってしまったケースがありました。
完全に元と同じ生活には戻らなくても、病を受け入れ、希望を持って、新しい人生を創って行くことが大切です。元の自分にこだ
わらず、病気や障害を受け入れ、新たな余生の過ごし方を考える必要があります。経済的なマイナス面が少しでも軽ければ絶望
から抜け出る可能性も高くなるのではないかと考えています。
 医師の立場から見る、「働けなくなるリスク」への備え
現在は、誰でも病気やケガによって、働けなくなる可能性があることを理解しておくべきです。働けなくなったときに備えておくことは、
有効な対策です。もちろん家族や地域との関係性も重要であり、お金がすべてではありませんが、金銭的な面が精神的に与える
影響は大きく、お金があれば家族を安心させることもでき、また治療にも集中できると考えています。
山田隆司(やまだ・たかし)さん
公益社団法人 地域医療振興協会 副理事長。地域医療研究所所長。台東区立台東病院管理者。「月刊地域医学」編集委
員長。岐阜大学地域医療医学センター特任教授。
1980年自治医科大学を卒業後、岐阜県久瀬村診療所(現揖斐川町)に赴任。およそ20年にわたり地域医療に従事した後、
1999年より公益社団法人地域医療振興協会常任理事(現副理事長)。協会が事業運営するさまざまな地域の医療施設の開
設に携わるなど、医師不足の地域の医療支援・問題解決に自らあたる。
4