小野式製麺機による 美味しいウドンづくり Copyright © 2016 yoshikazu shibuya All Rights Reserved. 我が家には小野式製麺機が 3 台、田中式も 1 台あり ます。亡き母が愛用した幅の広い製麺機。太麺と細麺 の両刃、シンプルな細麺片刃の製麺機などです。 こだわりのウドンづくりには欠かせない製麺機を使っ た「美味しいウドンづくり」の方法をまとめてみました。 平 成 28 年 6 月 29 日 渋 谷 義 一 <1> 食塩水を作ります 初めに、食塩水をつくります。少量なら計量カッ プで水量を量りながら食塩を加えます。 小 麦 ( 中 力 ) 粉 300g( ウ ド ン 3 人 前 ) に 対 し て 、 水 145cc 、 食 塩 が 15g の 分 量 で す 。 水 に 食 塩 を 加 え た ら、ムラなくかき混ぜ、食塩をよく溶かします。季節 に よ っ て 、 夏 場 は 冷 水 、 冬 場 は 温 水 ( 30 ℃ 以 下 ) を使い分けをします。また、水は一晩汲み置きの、塩素臭がしないものを使いまし ょう。朝一番でウドンづくりをするときは尚更です。水道管の中に塩素臭が溜まり、 それが小麦粉に移るので注意してください。 ウドンには食塩を加えていますが、これは強力なグルテンを作り、ウドンのコシ を出し、茹で時間も短縮するものです。塩が含まれているウドンは、茹でると塩が 溶け出し、その隙間に湯がしみ込んで、中まで早く軟らかく茹で上がるのです。ま た、蛋白質を分解する酵素の働きを抑えたり、生地が発酵し過ぎないようにする 作用のほか、防腐作用もあり、保存性が良くなり、風味・食感も向上します。 その塩も一工夫すると、ひと味違うウドンが楽しめます。地方独特の「黒い塩」 や「藻塩」などを利用するのも良いでしょう。 <2 > 水まわし 小麦粉は、かき混ぜるためのボールに入れます。私は小 麦粉を日清製粉の「手打ち うどんの小麦粉」を愛用して いて使いやすく美味しいの で、お薦めです。また、ボー ルはすべりやすいので、底 に濡れた布巾を敷きます。 ボールに小麦粉を入れ、食塩水を 7 ~ 8 割加 え、手で勢いよくかき混ぜます。全体がこなれてきたら残りの食塩水を加え、さら に混ぜます。この作業を「水まわし」と言います。食塩水は、全部入れずに徐々に 加えるのがポイントです。水が均一にいきわたり、ダマができないように力を入れ て作業をしましょう。全体がしっとりとし、柔らかさが「耳たぶ」程度の弾力となり、 黄色っぽくなってきたら次に移ります。 うどんにコシの強さを出すため、足で踏ん で更にこねます。うどんを厚手のビニール袋 に入れ、足で踏みながら延ばします。平らに なったら、袋から出し、うどんを再度丸めて、 また踏みます。すると、徐々に弾力が強くなり ま す 。 10 ~ 20 分 は 踏 ん で み ま し ょ う 。 こ れ が 美味しい、コシのあるウドンにする秘訣の一つです。 <3 > 寝かす ウドンに弾力が出てきたら、ビニール袋に入れた ま ま 寝 か し ま す 。 最 低 で も 30 分 、 一 晩 寝 か せ て も 大 丈夫です。 <4> 再度こねて寝かす ウドンを延ばす前に、袋から取り出します。ウドンの表面が汗をかいたように水 分が付いています。これを丸めて袋に入れ直し、再度、足で踏んでこねます。今 度は直ぐに弾力が出てきます。 5 分程度、これを繰り返し、ウドンが綺麗な餅肌の よ う な 状 態 に な っ た ら 、 袋 に 入 れ た ま ま 20 分 以 上 寝 か せ ま す 。 こ の 間 に 小 野 ( 田 中 )式 製 麺 機 の 準 備 を し ま し ょ う 。 △ 田中式製麺機 <5> △ 小 野 式 製 麺 機 (両 機 と も 大 差 は あ り ま せ ん ) 製麺機で延ばす テーブルに製麺機を置き、作業を開始します。 ただ、ハンドルを回す際、不安定なので固定用 具でテーブルに止めておきましょう。 また、付着防止用に中力粉などを用意しましょ う。ウドンを麺状にした時、麺どおしが付着しない ようにするためです。私は米粉を使用しています。 △ テーブルに製麺機を固定 米粉は、キヌヒカリという米から作った米粉ですが、中力粉で構いません。 300g の 日 清 製 粉 「 手 打 ち う ど ん の 小 麦 粉 」 で す と 3 人 前 で す 。 袋 か ら 出 し た ら 、 3 つの塊に分けす。初めに、少し厚めにして 製麺機のローラーで延ばします。私は、この 第 一 段 階 の 厚 み を 3.1mm に 設 定 し て い ま す 。 この厚みの定規となるバカボウを私は、不要 になった焼き鳥の串を利用しています。写真 は ノ ギ ス で 厚 み を 測 っ て い ま す が 3.1mm で す 。 最 終 的 に は 1.6mm に 仕 上 げ ま す の で 、 そ の 倍 程度の厚みが第一段階の厚さです。 厚さの基準となる串をローラーに差し込み、圧延幅の調整をします。ここで肝心 なことは、隙間が平行になるようにセットす ることです。平行でないと、麺が片方に流 れて、うまく圧延ができません。 圧延はウドンを入れて、ハンドルを回し て延ばし、それを半分に畳んで入れ直し てまた延ばし、と何度も繰り返します。ウド ンの表面がザラザラであったり、端がささく れている場合は、ローラーが平行ではあり ません。ウドンの表面が綺麗になるまで圧 延 し ま し ょ う 。 圧 延 し た ウ ド ン は 20 ~ 25cm の 長 さ に 切 り ま す 。 第 一 段 階 の 長 さ を こ の程度にしないと、製麺段階ではこの倍の長さになってしまいます。麺の長さは お好みによって違いますが、仕上がりの半分 程度でカットしましょう。あまり短いと食感が悪 く、長すぎると茹でにくくなります。なお麺の切 れ残りは、他の麺に足して延ばして使用しま す。 <6> 細 麺 は 1.6mm で ウドンをつけ麺で食べるなら、細麺で 1.6mm の 厚 さ で す 。 煮 込 み で も こ の 太 さ で 大 丈夫です。この厚さの定規になるバカボウを 探 し ま す 。 私 は 、 料 理 に 使 う 市 販 の 竹 串 を 利 用 し て い ま す 。 丁 度 1.6mm の 厚 さ で す。これが第二段階の圧延の厚み、つまり製麺も同様ですから、茹でる前のウド ンの太さとなります。 2 ~ 3mm の 太 麺 を 作 り た い 場 合 の 第 一 段 階 の 圧 延 は 、 4 ~ 5mm と な り ま す の で注意してください。ちなみに太麺づくりには中力粉ではなく、太さによって薄力 粉のブレンド具合を変えています。 さて、話を戻しまして圧延幅の調整は、第一段階と同じように隙間が平行になる ように注意してセットしてください。 こ こ か ら 注 意 が 必 要 で す 。 こ の 第 二 段 階 1.6mm の 圧 延 は 、 何 回 も や ら ず に 1 回 だけで仕上げます。できたら、圧延する前に中力粉をかけて、スムースな圧延が できるようにしましょう。 <7> 製麺 次に、製麺ですが、これこそ一発勝負で す。製麺するする前に中力粉を大きな皿に入 れておき、圧延した麺に十分にかけます。こ の作業をする時、あまり麺に負担をかけると伸 びたり、変形することがありますので注意して ください。 △ 製麺前には粉を付けて 製麺するときには、小野式も田中式製麺機 もハンドルを移動してギアを変えます。麺 を入れる前に、カラ回転させて回転方向 を確かめておきましょう。 この製麺は、ためらいなく一気に仕上 げます。ハンドル回転と、出てきた麺を引 くスピードに注意してください。強く引き すぎて切れ、遅い場合は麺が互いに付 着したりします。失敗した麺は、再度丸め て圧延の第一段階からやり直します。た だ、粉を何回か付いていますので、そう何 △ 細心の注意を払って 回もやり直しができるものではありません。 製麺ができたら、中力粉をふりかけ、麺どおし が付着しないようにします。製麺機から引き抜い た麺を中力粉の入った皿の中で泳がせるようにし て、十分にまぶします。 そして、さらっと仕上がった麺を「クルッ」と丸め て、まとめておきます。これで製麺までが完了で す。使用した製麺機、包丁などを片付けましょう。 <8> 茹でる できるだけ大きな鍋で、たっぷりな水を沸かします。グラグラと気泡が立つぐら いの温度の時に、麺をほぐしながら徐々に投入します。一度に入れすぎるとグラ グラが消え、温度が低下し、麺が切れてします原因になります。ことにソバの時 は、このグラグラが消えてしまうことが 致命的なことになります。 決して水を足してはいけません。茹 でこぼれない程度にグラグラを保ち、 10 分 間 茹 で ま す 。 こ の 時 に 麺 の 中 の 塩分が排出されるのです。なお、太麺 は 13 ~ 15 分 の 茹 で 上 げ と な り ま す 。 茹で上がったら、手早くザルにあ げ、流水で 十分に水洗 △ グラグラと沸き立つことが大切 いをします。水でしめるとコシが増します。また、ウドン を温かくして食べる場合でも、水洗い後に再び熱湯で 調理してください。 また、大量に製麺してしまって一度に茹でられない ときには、小分けをして、ラップにくるみ冷蔵庫で保管 してください。後日、茹でることができますが早めにお召し上がりください。 ▽ 上手くできた麺にはツヤがあります <9> 製麺機のお手入れ 製麺したら、製麺機の手入れをしましょ う。ローラーや製麺部分の下に付いてい るガイドに、小麦粉のカスが付いているは ずです。できたらローラーと製麺部分の ガイド各 2 枚を外して清掃します。 また、ローラーの投入口や、ローラーの 左右にある木片、製麺機の木片なども取 り外して綺麗にしましょう。 ことにカスが一杯溜まっているところば、隙間調整がずれています。再調整をし てみてください。 これらの作業が終了するか、または大した汚れではなかった時は、熱湯を製麺 機にかけて、付着した小麦粉の汚れを落とします。そして、ローラーなどの端にあ る 4 か所の給油口に油をさし、保守を行います。油はテンプラ油で結構ですが、 あまり付けすぎてローラーや製麺部に付着しないように注意してください。 製麺機は、よく乾かし、ほこりが付かないところで保管して、次に備えましょう。 <10> 最後に 小 野 (田 中 )式 製 麺 機 に よ る ウ ド ン づ く り を ご 紹 介 し ま し た が 、 こ の 製 麺 機 を 利 用 したソバづくりは、ウドンと違う点が多々あります。塩を使わない、長く寝かさない、 麺は細めにするなどです。 この製麺機では十割ソバはまず困難で、私は安定してできる比率として、ソトサ ンによっています。 ソ バ 10 に 対 し て 小 麦 粉 3 の 割 合 で す 。 つ ま り 3 人 前 の ソ バ は 、 ソ バ 粉 230g 、 小 麦 粉 230g × 0.3=70g で 合 計 300g で す 。 ウチニハチも可能かと思います。 ソ バ 粉 300g × 0.8=240g 、 小 麦 粉 300g × 0.2=60g で 合 計 同 じ く 300g と な り ま す 。 いずれの水も適宜に加えます。なお、私は小麦粉を中力粉ではなく強力粉を 使用していますし、ツナギに山芋やタマゴを使用する方もいられます。 ソバの作り方は奥が深いことから、別の機会にご説明したいと思います。 で は 、 美 味 し い ウ ド ン づ く り を 小 野 (田 中 )式 製 麺 機 で 楽 し ん で く だ さ い 。
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