大和化成工業株式会社 「リサイクルに適した係止脚構造」(特許4837366)

大和化成工業株式会社
「リサイクルに適した係止脚構造」(特許4837366)
① 応募発明等の概要
自動車はもともと鉄やアルミなど金属が多く使われていることからそのリサイクル率は高く、約80%
(重量比率、以下同じ)に及んでいましたが、残り20%はシュレッダーダストとして埋め立て処分されて
いました。しかし、埋立処分場の残りスペースがわずかとなり、処分費用が高騰し、その結果不法投棄が増
えるなどの問題が大きくなったため、平成17年から自動車リサイクル法が施工され、シュレッダーダスト
についても自動車メーカーにリサイクルが義務付けられました。
ところが、このシュレッダーダストを無くし、全部再資源化するには、再生後の鉄の品質を保つため、自
動車に通常5%含まれる銅をその含有率が0.3%以下になるよう、溶融処理の前に取り除いておく必要が
あります。
図1
自動車リサイクルの流れ
② 従来発明等の課題と開発ニーズ
自動車部品の中で銅を最も多く含むワイヤーハーネス(組電線)は車両の隅々まで張り巡らされ、クラン
プで車体に固定されています。銅含有量0.3%以下を目指してワイヤーハーネスを全て取り除くには、予
めシートやカーペットなどの内装部品を除去しておく必要があり、
非常に手間がかかる作業となっています。
そこでシート等を外さずにその下のワイヤーハーネスを引っ張り取り外そうとすると、
シート等の下にある
ワイヤーハーネスを掴んで引っ張り出す作業となり、
その結果ワイヤーハーネスをボデーに取り付けている
クランプ係止脚に斜め方向の抜去力が加わるため係止脚の支柱にボデーの取付け孔の縁が食い込み、
人の力
では取り外すことが難しく重機などを使う必要が生じ、
設備のないところではリサイクルが困難になるとい
う課題がありました。
図2
ワイヤーハーネスの配置とクランプの位置(赤丸)
図3
ワイヤーハーネスの引張り作業
③ 応募発明等の特徴
クランプ係止脚の支柱先端にスリット状の空所(図4の提案品参照)を形成します。これにより、ワイヤ
ーハーネスを引っ張って取り外そうとする動きにより係止脚に斜め方向の抜去力が加わると、
空所を挟んだ
左右の柱の片方が撓み込むことで、ボデーの取付け孔から係止脚が容易に外れることになります。このとき
の抜去荷重は試験の結果170N程なので、重機を用いなくとも人力で可能であり、設備のないところでも
ワイヤーハーネスの取外し作業が可能となります。この発明により、自動車から銅を回収する作業工数が約
25%減り、再生後の鉄の品質を高め、シュレッダーダストを無くした全部再生資源化を達成することが可
能となり、自動車リサイクル法の求める再資源化工法の実現に貢献することができました。
図4
従来の係止脚との抜去荷重比較試験
(図1~3は、社団法人自動車技術会 学術講演会前刷集 No.100-08 より抜粋)