心理学専攻 教員紹介

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教員紹介
有光 興記 教授
専門分野:感情心理学,認知行動療法
研究内容
あがり ,罪悪感,誇りなどの自己意識的感情について,基礎および臨床研究を行ってきた。実証に基づく臨床心理学を信条とし,様々な感情制御
の問題に対する認知行動療法の効果を検討している。近年は,慈悲の瞑想(loving-kindness meditation)とマインドフルネス瞑想(mindfulness
meditation)が肯定的感情,否定的感情に及ぼす効果について研究を行っている。他にも,同様の感情制御の問題を呈する自閉スペクトラム症(ASD),
注意欠陥多動症(ADHD)の児童を対象とした集団認知行動療法を実施しており,効果量を高めるための取り組みを続けている。
研究業績 1.「モラルの心理学―理論・研究・道徳教育の実践」(編著)北大路書房,2015年
2.「セルフ・コンパッション尺度の日本語版の作成と信頼性,妥当性の検討」心理学研究,85巻1号,2014年
3.「Cognitions as mediators in the relationship between self-compassion and affect」Personality and Individual Differences,74巻,
2015年
4.「Effects of Compassionate Thinking on Negative Emotions」Cognition and Emotion,2015年
5.「The Effects of a Program to Enhance Self-Compassion in Japanese Individuals: A Randomized Controlled Pilot Study」Journal
of Positive Psychology,2016年
茨木 博子 教授
専門分野:臨床心理学・集団心理療法
研究内容 臨床心理学は「実践の学」として,医療,教育,矯正,産業などの分野で活用されているが,現在,医療のなかでもとりわけ精神科クリニックのデ
イケア利用者を対象に「再発の防止」
,および「社会復帰と『生活の質の向上』の援助」を目的として,集団心理療法であり,芸術療法でもある心理
劇を実施している。心理劇が以上のような目的をどこまで果せるかを芸術と科学の視点から実証的研究,事例研究を行っている。さらに再発の防止
と関連して,対象喪失に対する「喪の作業」としての心理劇の治療的役割,意味についても研究をしている。
研究業績 1.『統合失調症の臨床心理学』(分担執筆)
,東京大学出版会,2003
2.「集団心理療法におけるウォーミングアップの体験内容とその治療的意味について−ウォーミングアップ体験尺度から−」『心理劇』
,第13巻1号,2008
3.「精神科クリニックにおけるロール・プレイング」,臨床心理学 第10巻第3号,金剛出版,2010
4.「芸術療法における芸術と科学の対話を求めて−心理劇の実践と研究から−」
,日本芸術療法学会誌,Vol.41 No.1,2010
5.「科学としての心理劇 病院臨床における実践と研究から」
,心理劇第18巻第1号,2013
鈴木 常元 教授
専門分野:臨床心理学
研究内容 1.精神分析,自律訓練法,エリクソニアン・アプローチなどの治療法が催眠から発展したのみならず,催眠は行動療法と組み合わされることもある。
このような,さまざまな心理療法と深い関わりがある催眠を基点としながら,現代の心理療法諸派の理論や技法を統合的に捉えること。
2.心理療法は西欧由来のものであるが,その理論・技法を日本語・日本思想の文脈から理解すること。
3.自責的な古典的うつ病とは異なる,現代青年の抑うつにみられる他責的攻撃性に関する実証的検討。
研究業績 1.「外傷体験をもつ女性の心理療法における安定化に伴う記憶の回復」心理臨床学研究 26,466-476,2008年
2.「西欧心理療法の言語的背景−エスの日本的理解へ向けて−」精神療法,35,761-769,2009年
3.「日本の自律訓練法再考−J.H.Schultzの方法との比較を通して−」心理臨床学研究,29,73-84,2011年
4.「集団における自律訓練法上級段階の試み−描画によるイメージの変化−」自律訓練研究,31,29-39,2011年
5.「感情の言語−心の能動(action)と受動(passion)̶」感情心理学研究,23,38-45,2015年
谷口 泰富 教授
専門分野:生理心理学
研究内容 1970年代以降,禅瞑想の研究に取り組んできたが,それは,禅瞑想時の心身の特異性について言及するための心理学的研究であり,特に脳波など
の生理学的指標を採用した研究である。研究成果については,学会での発表のみならず,学会機関誌や書籍として刊行されている。また,禅瞑想研
究から得られた知見をストレス対処方略とすることの可能性を検討している。一方,現在では,
「冤罪」が社会問題となっているが,その防止には「取
調べの可視化」と「科学的捜査」が不可欠の要因である。そこで,近年では,科学的虚偽検出に関する基礎的研究の場で新たな検出指標の開発を行い,
その有効性を学会や学会機関誌そして書籍において公表してきている。
研究業績 1.Psychological Studies on Concentration and No-Contrivance: Psychology of Zen Komazawa Univ. 292-319. 1977
2.An Overview: Psychophysiological Approach to Meditation in Japan. Japanese Health Psychology . Vol.1,No.1,45-50. 1992
3.「科学的虚偽検出の最前線」多賀出版,2004
4.「虚偽検出検査における眼球運動の非接触的測定」心理学研究 第84巻 第1号10-19,2013
5.「クローズアップ 犯罪」福村出版,2013
茅原 正 教授
専門分野:禅心理学
研究内容 心身の統御について。特に坐禅やヨーガなど,東洋的瞑想による自己統御に関する研究が中心となる。また,これと関連する時間体験の問題や,精
神活動と呼吸機能との関係についても,心理・生理学的側面から分析・検討している。主に現在,進めている研究は以下のようなものである。
1)瞑想時の時間体験に関わる調身・調息・調心の効果について。
2)呼吸の統御と情動に関する研究。姿勢体位・呼吸パタン・意識状態と呼吸機能との関わりについて,ガス分析・代謝の測定を通して検討する。
3)その他,禅の時間論,禅のコトバと意味・論理,身心の平衡に関する研究など。
研究業績 1.「LA MEDITATION ZEN ET L'EXPERIENCE DU TEMPS」
,
「駒澤大学心理学論集」1号,1999年
2.『道元の世界』(共著),NHK 出版,2001年
3.「Breathing Regulation in Zen Buddhism」,『Respiration and Emotion』Springer,2001年
永田 陽子 教授
専門分野:認知神経心理学,発達臨床心理学
研究内容 空間における人間の認知過程,特に視覚的注意機能を担う高次神経系のメカニズムについて発達的側面からとらえることを目的として研究を続けて
いる。近年は自閉性障害,学習障害,ADHDおよび周辺児における認知発達の療育を通して,その障害から人間の認知過程を探求するとともに,困
難を示す認知能力の向上にむけての援助に貢献することを目的としている。
研究業績 1.「MEG measures of covert orienting and gaze processing in children」,Brain Topography, Vol.26,pp616-626, 2013
2.「Spatio-temporal localisation of attentional orienting to gaze and peripheral cues」
,Brain Research, Vol.1439, pp.44-53, 2012
3.「大学生を対象とした有名人顔写真の選定−相貌失認に関する認知神経心理学的アプローチ」,駒澤大学心理臨床研究,12巻,pp3-9,2013
4.「視覚認知課題に困難を示した11歳男児への療育の過程」小児の精神と神経,53巻 pp367-380,2014
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八巻 秀 教授
専門分野:臨床心理学,家族療法,質的研究
研究内容 心理臨床活動とは,「臨床心理学」を理論的基盤におきながら,主に臨床心理士が行っている心理援助活動のことである。これまで,医療・教育・福
祉・産業・司法など様々な分野の現場で心理臨床活動が行われ,効果・成果をあげてきている。そのような「現場で有効な・効果的な心理臨床活動
とは何か?」という問いを自らの研究の原点において,人間集団の基本単位である家族に焦点をあてた「家族療法」や,効果的・効率的な心理援助
を模索する「ブリーフセラピー」,人間関係や状況を考察する叡智である「システム論」や「社会構成主義」,さらに現場からの知見を分析する新し
い研究法である「質的研究法」などについて,実践的に研究を続けている。
研究業績 1.「子ども・家族の面接方法について:家族療法的ものの見方から考える」
『ケース研究』
,296号,55-81.家庭事件研究会.2008年
2.「スクールカウンセリングにおける『軽度発達障害という状況』への取り組み方」
『ブリーフサイコセラピー研究』
,17(1)
,56-59.2008年
3.「臨床心理学における質的研究法についての一考察∼『セラピスト・インタビュー研究法』についての概要」
『駒澤大学心理臨床研究』第10号,
3-7.2011年
4.「システム論で学校をみるということ」
『子どもの心と学校臨床』第5号,20-28.遠見書房.2011年
5.「ナラティヴ,あるいはコラボレイティヴな臨床実践をめざすセラピストのために」
(共著),遠見書房.2011年