ナノレオロジープリンティング技術による実用電子デバイスの研究

平成27年度ベンチャー・ビジネス研究活動報告書
研究開発課題代表者
北陸先端科学技術大学院大学
(所属・職名・氏名)
マテリアルサイエンス研究科・教授・下田達也
研究開発課題名
ナノレオロジープリンティング技術による実用電子デバイスの
(研究開発期間)
研究(平成 25~27 年度)
1. 研究開発課題の概要
ナノレオロジープリンティング技術の実用化にむけての課題の解決と本手法を用いた実用デ
バイスの作製研究
(1)実用化に向けて高精度で大面積な成形を可能にする技術確立
(2)n-RP 法によるディスプレイ用トランジスタアレイの試作研究
(3)その他
2. 研究成果(途中年度の場合は進捗状況)
2014 年度行われた上記課題(1)に関連した研究成果に基づいて、今年度(2015 年度)は上記課題
(2)の「n-RP 法によるディスプレイ用トランジスタアレイの試作研究」に取り組み以下のような
成果得た。
代表者らは、精密なアライメント手段を有するナノレオロジープリンティング(n-RP)手法を用いて、
全液相プロセスによって酸化物トランジスタのアレイを作製することを今年度の目標にした。そのた
めに、UV 硬化樹脂を有効に利用して n-RP 法のための精密なアライメント手段を開発した(Fig. 1)。
この UV 硬化樹脂はモールドと基板を接合するのに用いるのに最適なものを選択した。すなわちこの
樹脂は、インプリントの温度が 150℃すこしまで上がっても安定した接着力を持っている。本アライ
メント法は単純な方法にも拘わらず、5um という高いアライメント精度を実現している点が優れてい
る点である(Fig. 2)。
n-RP 法に関しては、種々の条件で溶液から酸化物ゲルを作製し、最適な温間塑性変形をしめすよ
うに酸化物ゲル材料と n-RP 法のプロセス条件を検討した。その中で、ゲル膜の乾燥温度と n-RP プロ
セス中の最高温度が重要なプロセス因子であることを見出し、TG-DTA 測定に基づきそれらの条件を
最適化した。次に、TEG を作製し薄膜トランジスタ(TFT)を構成する各層のプロセス条件を確認した。
それに基づきすべての層を n-RP 成形した TFT を作製しその動作を実施要することができた。
これらの結果に基づいて TFT アレイを開発することができた。この時のアライメント精度は 6 mm
× 6 mm の面積で 5μm の範囲内であった(Fig. 3)。この TFT アレイを構成する TFT において電界効果
を確認した。現状では、開発した TFT アレイが電気泳動ディスプレイの駆動用のアクティブマトリ
ックス基板として適しているかどうかは現状では結論が出ていないが、本活動で得た成果は n-RP 法
で動作可能な TFT アレイが作製出来るみとを示した世界初のものであり、プリンティドエレクトロ
ニクス分野の大きな一歩であるということができる。
Fig. 1
Schematic images of the patterning process and alignment system used in the n-RP process.
Fig. 2 Alignment image (a) and the resulting patterns after the n-RP process with the quick-drying glue (b) and
with UV-cure resin (c).
Fig. 3 Image and properties of TFT-Array fabricated by n-RP. (a, b) Optical microscope images, (c) schematic
diagram and (d) transfer characteristics of a representative TFT.