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子どもは親の願い通りに育つ(2016 年 4 月)
園長 今野善郎
昨日は、満開の桜の花びらが小雨を受けてヒラヒラと舞い落ちていました。桜の樹のまわ
りは、雪景色のように真っ白で、水たまりには桜の花筏(はないかだ)が揺れていました。
新しい生活のスタートは子どもも大人も緊張しています。そんな時こそ自然に目を向けて
みましょう。春は心がなごむ自然との出会いがたくさん待っています。幼稚園の小さな園庭に
も、もえぎ色の若葉、暖かな日に誘われて出てきたアリさん、土を盛り上げて出てきた若芽
があります。桜の花びらが風に吹かれて落ちてきたら、手のひらにそっと受け止めてみてくだ
さい。花びらの柔らかい感触とかすかな重さを感じながら、親子で春を楽しみリラックスしてく
ださい。
さて、入園礼拝はいかがでしたか。ビデオを操作しながら、式が終わるまで小さな椅子に
じっと座っている我が子の姿にフアインダーが曇ったお父さん。クラスで担任から名前を呼ば
れて「はい」と返事するのを嬉しそうに聴くお母さんの顔が浮かびます。その感動は、何もの
にもかえられない「親とされた喜び」であり、「ここまで育ってくれた感謝」なのでしょう。
今
日からの4月5月はその感動を忘れずに、過剰な期待はしないでありのままを受け止めてく
ださい。「嫌がらずに幼稚園に行って、笑顔で帰ってきたら120パーセント満足」ぐらいに考
えてください。とにかく子どもにとっては、人生初めての大冒険ですから、焦らずおおらかに、
他の子どもと比較しないで肩の力を抜いてください。親の不安を誰よりも子どもが敏感に感じ
取ります。子どもの成長しようとする力を信じていれば、子どもは自分の力で自分なりに新し
い環境に必ず慣れて行きます。
新学期、保護者の皆さんに園長からお願いがあります。明日の朝から子どもとお別れする
ときに「儀式」をしてください。ハグやキス、ハイタッチでも結構です。恥ずかしいなら堅い握手
や元気な「行ってらっしゃい」の声かけでも OK です。その時に心の中で「あなたは私の宝、私
の誇り。今日も幼稚園で素晴らしい出会いと体験がきっとあるよ。幼稚園を楽しみに、さあ、
行ってらっしゃい」と祈りつつ、そっと背中を押し出す「儀式」を行っていただきたいのです。子
どもには不思議な力がやどっており、子どもはそうやって親から愛され期待されているのを
敏感に感じ取り、その願い通りに成長していくからです。
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