取引様式の分類基準 メーカーと流通業者との垂直的な取引 • 取引当事者による意思決定の「自律性」の範囲 と程度、 「意思決定共同化」の範囲と程度 • 取引様式の選択 • 流通段階における意思決定共同化の項目 組織内取引 (垂直統合) 企業システム 関係的契約 (準垂直統合) 中間組織的関係 管理システム 市場取引 (売買関係) 伝統的チャネル 94 • 専売店制:メーカーが自社製品の販売を特定の 販売業者に認める際に、他の競合製品を取り扱 わないことを条件に許可すること。 • 代理・特約店制:メーカーが自社製品の販売につ いて、商品・地域ごとに特定の卸売業者を選んで 優先的な販売権を与えること。 • 建値制:メーカー希望小売価格に基づいてメーカ ーが卸・小売業者の仕入価格を設定すること。 • 標準価格制:メーカーによる、小売業者に対する 上限価格規制(小売価格についての) • 再販売価格維持:メーカーによる、小売業者に対 する下限価格規制 96 (1)取り扱い製品に関するものとして 専売店制、代理・特約店制 (2)取引条件に関するものとして 標準価格制、再販売価格維持、返品制、リベート制 (3)販売地域や取引相手に関するものとして テリトリー制、一店一帳合制 95 • 返品制:小売業者は売れ残った商品をメーカー に返品できること。 • リベート制:取引時の支払いが行われた後、販売 量や支払条件等に応じて事後的に割戻し金とし て買い手に払い戻すこと。 • テリトリー制:卸・小売業者の営業地域を特定地 域に限定する、1地域1業者(複数業者) • 一店一帳合制:メーカーが小売業者の仕入れ先 を特定の一卸売業者に限定するもの。 97 取引様式の分析方法 ①意思決定共同化が要請される局面はいつか ②意思決定共同化の実施を保証するための 条件はなにか ③実際に採られている各種の商慣行を理解する • 意思決定共同化(垂直的協調)の要請 協働的な生産・販売システムである「チャネル」において は、個々の独立した意思決定主体の利潤最大化行動 が必ずしもチャネル全体にとっての望ましい結果をもた らすとは限らず、チャネルの効率的な運営のためには 各主体の行動を調整(coordinate)する必要がある。98 1.メーカーと流通業者の双方独占 価格支配力の複合による「二重マージン」 → 望ましい価格水準を達成しない 2.メーカーにとって小売業者による消費者への 製品情報の提供が重要 販売上の付随サービスに伴う「外部効果」 → 望ましい情報提供水準を達成しない 3. メーカーが流通業者から消費者の需要動向 に関する情報を収集することが重要 情報という商品の特殊性 市場取引が困難100 • 独占・不完全競争、外部効果、不完全情報の もとでは、自律的な主体間の市場取引の結果 は、両者にとって必ずしも望ましい結果を生み 出さない。: 「市場取引の失敗」 • 「垂直統合」には多大な費用がかかるとすれば 、流通チャネル全体の効率的な運用のため、 チャネルのパフォーマンスを高めるために、 リーダーとしてのメーカーが流通業者に対して 「垂直的取引制限」を行う。 99 流通系列化 製造業者が(流通業者を垂直統合することなく) 自己の商品の販売について販売業者の協力を 確保し、 その販売について自己の政策が実現できるよう 販売業者を掌握し組織化する一連の行為。 系列化:自動車、家電、医薬品、化粧品の分野 → 第7章 101
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