日本:鉱工業生産指数(2016年5月) MRI Daily Economic Points ―内外需の弱さを映じて緩やかな低下傾向― 図表 鉱工業生産/在庫指数 June 30, 2016 評価ポイント 図表 業種別の生産指数 (2010年=100) (指数、2010年=100)(指数、2010年=100) 110 118 120 鉱工業生産指数(左軸) 116 115 製造工業生産予測指数(左軸) 鉱工業在庫指数(右軸) 105 114 110 電気機械 112 105 100 110 100 108 はん用・生産 用・業務用機械 2016年5月の結果 2016年5月の鉱工業生産指数(速報)は、季調済前月比▲2.3%と3ヵ月ぶ りの低下となった。出荷指数も同▲2.3%と3ヵ月ぶりに低下。前月時点で は、5月は生産回復が見込まれていたが、大きく下振れた。 5月の生産の業種別内訳をみると、輸送用機械(同+0.7%)は、軽自動車 が燃費不正問題で前年割れしたものの、小型・普通自動車は熊本地震か らの挽回生産などにより増加した結果、小幅な上昇となった。一方で、化 学工業(同▲7.5%)が前月大きく増加した化粧品の反動もあり低下。電子 部品・デバイス(同▲3.2%)も、需要の伸び悩みが続く半導体素子や集積 回路が主因となり低下となった。また、はん用・生産用・業務用機械(同 ▲2.2%)は、建機や産業機械の反動減により低下したが、均してみれば 横ばいでの推移となっている。 在庫指数は、季調済前月比+0.3%と2ヶ月振りの上昇となり、依然として 高水準で推移。電気機械と電子部品デバイスの在庫水準高止まりが寄与 している。 製造工業生産予測調査によると、6月(季調済前月比+1.7%)、7月(同 +1.3%)と上昇を予測しているが、予測調査対比で下振れる傾向を踏まえ ると、4-6月の鉱工業生産は、季調済前期比で小幅マイナスとなる可能性 が高い。 電子部品・ デバイス 106 95 95 104 90 90 輸送機械 化学(除く医薬) 102 85 1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 2014 2015 1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1 3 5 2016 2014 資料:経済産業省「鉱工業指数」 2015 2016 資料:経済産業省「鉱工業指数」 図表 品目別の生産指数 (電子部品デバイス) 140 130 (はん用・生産用・業務用機械) (2010年=100) 200 電子部品 半導体素子 集積回路 半導体部品 180 120 160 110 140 100 120 90 100 80 80 70 60 60 (2010年=100) 基調判断と今後の流れ 土木建設機械 半導体・フラットパネル製造装置 生活関連産業用機械 40 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 2015 資料:経済産業省「鉱工業指数」 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 2016 2015 資料:経済産業省「鉱工業指数」 Copyright (c) Mitsubishi Research Institute, Inc. 2016 生産は、このところの振れは大きいものの、内外需の弱さを映じて、均せ ば低下傾向にある。 生産の先行きは、予測指数では緩やかな持ち直しが続く見通しだが、在庫 水準も依然として高いうえ、外需・内需ともに回復力が鈍いことから、当面 は横ばい圏内での推移を見込む。外需は、英国のEU離脱選択による、円 高進行や先行き不確実性の高まりによる設備投資の下振れが生産の重 石となる見込み。また、内需は、消費の伸び悩みや自動車の燃費不正問 題が生産下振れ要因となろう。 担当: 政策・経済研究センター 米良有加 TEL 03-6705-6087
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