富士山3776型DMO設置検討業務委託 <仕様書> 1 業務の目的 静岡県東部に位置する富士宮市と富士市の圏域は、共通の自然環境や歴史文化を持つとともに、 同一の都市計画区域であるなど、生活圏及び経済圏とも同じであることから、同様の課題を抱えなが ら広域的な連携の中で、富士山を地域の中核資源として活用して発展してきた。 このような中、富士山が平成25年6月に世界遺産に登録されて以降、外国人旅行者をはじめ多くの 観光客が富士宮市と富士市を訪れており、世界遺産登録に伴う一時的なピークは過ぎたものの、日本 のシンボルである富士山観光は、訪日外国人にとってゴールデンルートの中の一角を成している。 しかしながら、富士山の裾野には伊豆、箱根、河口湖(富士山の山梨県圏域)などの観光先進地を はじめ、数多くの自治体が存在しいずれも富士山の景観等を活用した多様な観光の取り組みを実施し ている。それらの多くの自治体は観光アプローチの中で、当該地域に誘客する、または当該地域の特 産品等を観光客に販路として考える等、当該地域の特性を再整理することで、観光地としての差別化 をはかることが重要と考えている。 また、両市の観光振興は、それぞれが推進団体を持ち(富士宮市:観光協会、富士市:富士山観光 交流ビューロー)様々な事業を展開するとともに、官民協働の協議会(富士地域観光振興協議会)を設 立し、スケールを生かした課題解決方法の検討を既に行っている。両市が連携することにより、商品力 の強化が図られ、新たなDMO構築に向けてのマネジメント、マーケティング態勢の確立が望まれる。 両市の観光にとっての強みは、玄関口となる高速道路インターチェンジ及び新幹線駅が整備されて いることや海抜0mから3776mまで日本一の富士山の高さ全てを活用できること、世界遺産の構成資 産をはじめとする文化、朝霧高原などの自然、富士宮やきそばや田子の浦しらすなどの食のほか、ス ポーツ施設などの多くの観光振興素材が恵まれていることである。 このことから、両市が協働で、広域での集客力を高め、より効果的に外国人を含めた観光客を誘致 し、地域経済の発展や雇用の確保等に繋げるため、富士地域観光振興協議会が母体となって、両市 に必要な機能の洗い出しと課題の共有を行うための関係機関との勉強会や各種事業効果の算出、今 後の事業計画の作成など、富士山3776型DMO設置に向けた課題や方向性(ビジョン)を整理し、地域 の特性に合わせた次年度のアクションへつなげていくことを目指す。 2 業務内容 (1)地域の観光の現状分析とDMO設置に向けた課題の整理 既存の統計調査、RESAS(地域経済分析システム)、ビックデータのほか、両市が共通のプラットフ ォームで、両市の観光の現状を客観的に示す調査を実施することで、観光交流人口や宿泊者数、外国 人旅行者、認知度、ニーズなどの現状を分析し、富士圏域における富士山観光振興やDMO設置に向 けた課題を整理する。 ◎検討業務 ・現状分析及び課題を整理する。 1 ・自然的、社会的条件を抽出する。 (位置、アクセス条件、地域別人口、産業、文化財、交通条件など) ・観光入込動向を把握する。 (観光交流人口、宿泊者数、月別・時間・エリア別滞在人口、外国人の動向、 ビックデータにもとづく富士市、富士宮への流入者数及び交通手段別流入者数など) ・認知度を把握する。 (富士宮市、富士市の既存調査における市・特産品・観光スポットでの認知度) ・満足度を把握する。 (富士宮市・富士市の特産品・観光スポット・体験型メニューにおける満足度) (2)デスティネーション開発の検討 両市が保有する地域資源の種類を再整理し、それを生かした着地型観光プランの現状(観光振興 策、体制等)の取り組みや富士山周辺他地域との商品比較等を行い、両市の観光商品力の強化、ライ ンナップを導き出す。また、単発のプランから二次交通の整備を含めた滞在時間の拡大のためのモデ ルプランを検討する。 ◎検討業務 ・地域資源、着地型観光プランのリスト化及び再整理を行う。 ・着地型観光プランの共通の分析軸を用いた評価を行う。 (外国人や外部有識者等による現地視察の評価を含む) ・販売のための連携、課題を整理する。(DMO構築に必要な商工業等の産業も想定する) (3)マーケティング勉強会の開催 専門家による日本版DMOの考え方や先進事例の紹介、先進都市担当者による取組の紹介のほか、 富士山3776型DMOの方向性(ビジョン)を整理するための(仮称)富士山3776型DMO設置勉強会 の開催を支援する。 <勉強会の概要> ・主要構成委員は、富士地域観光振興協議会委員とする。 ・勉強会を4回開催する。 第1回:勉強会の設置、事業主旨・内容、スケジュール 第2回:専門家及び先進都市担当者の説明または官民共同の視察研修など 第3回:マーケティング・コミュニケーション「誰に何を売るのか」の検討 第4回:DMO設置時の機能、効果及び自主運営財源の考え方の整理、 富士山3776型DMOの方向性(ビジョン)を整理 ◎支援業務 ・勉強会の資料作成・印刷、委員及び専門家の報償費、専門家及び先進都市担当者の旅費、 視察の場合のバスの借上料、交通費など 2 (4)インバウンド観光(モデル事業)の支援 ◎支援業務 ・富士宮市、富士市において、観光振興を注力するPR対象国及び地域を選定する。 ・PR対象国及び地域の旅行社向け観光ストーリーづくりを実施する。 ・上述ストーリーづくりを踏まえ、PRの方法について検討し、これを行う。 ◎プロモーション業務 ・富士宮市、富士市において、現地でのセールス活動を実施してきている台湾向けのPR冊子(見 本及び電子データ)を作成する。 (5)富士山3776型DMO設立に向けての報告書の作成 上記(1)から(4)の実施プログラムを踏まえ、富士宮市、富士市の特性にあった、地域主導型のDM O設立に向けての報告書を作成する。内容は、分析に留まることなく、DMOの具体的な推進方法(自 主運営財源確保手法を含む)を検討できる資料とする。 (6)経済波及効果の算出 富士宮市・富士市・関係団体が関わる誘客イベントや観光案内所を訪れる外国人旅行客へのアンケ ートにより経済波及効果を算出し、広域で観光振興を実施する場合の経済波及効果を整理する。 (誘客イベント等の例) ・キングオブヒルクライム(富士宮市) ・富士山表富士宮口感謝祭ツアー(富士宮市) ・しらすまつり(富士市) ・アルティメットドリームカップ(富士市) ・富士山女子駅伝(富士宮市、富士市) ・新富士駅観光案内所(富士市) 3 成果品 ・報告書4部(日本工業規格A4版、簡易製本で可) ・報告書の電子データを記録した電子媒体1式 (Microsoft Word、Excel、PowerPoint等で作成した電子ファイルで、委託者が再利用できるもの) ・台湾向けPR冊子1冊及び電子データ1式 4 その他 ・業務遂行にあたり、疑義が生じた場合は、速やかに報告し協議して定めるものとする。 ・記載のない事項及び詳細については、担当者の指示又は担当者の協議による。 ・成果品及び関連資料の著作権は、富士宮市及び富士市に帰属する。 ・勉強会の開催前など、富士宮市・富士市と打合せを行う。(8回を想定) ・委託費は、富士宮市及び富士市からそれぞれ契約額の1/2を受託者に支出する。 3
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