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セ ツ シ ョ ン2「 幼 ・小 ・中 向 け の ベ ン チ ャ ー 教 育
∼ キ ッ ズ ・マ ー トの すべ て ∼ 」
教養学科健康科学講座
助教授 関 隆晴
この セ ッ シ ョン は 山 中氏 の イ ン タ ビュー 形 式 で進 行 され た。
小 さい とき か ら父 親 に起 業 家 教 育 を受 けて 育 っ た とい う板 庇 氏 は 、 常 に実 践
体 験 の 機 会 を与 え られ た。 小 学校 の とき か ら 日本 経 済 新 聞 を与 え られ 、 株 に 興
味 を示 す と証 券 取 引所 につ れ て い って も らい 、 会 社 に 関 心 を持 つ と社 長 さん を
紹 介 して も らい 、 貿 易 ま で も行 な った とい う。 そ して,学
校 で良い子 になって
もそ れ は あ くま で 学校 とい う環境 の 中 で の こ とで あ っ て 、 外 の世 界 とは違 うと
い うこ と を教 え られ て 育 っ た。 そ ん な彼 が 高校 の とき 、 交換 留 学 で ス リラ ンカ
に行 き 、 内 戦 や 災 害 、 民 族 紛 争 等 に よ り、 日常 が 死 と隣 り合 わ せ で あ る現 状 を
目の 当 た りにす る。 ぬ る ま湯 に浸 か りき っ た た よ うな 日本 人 の 現 状 に 、 国 際 社
会 に お け る 日本 の 競 争 力 へ の危 機 感 を持 つ よ うに な る。
この よ うな 生 い 立 ち の 中か ら、 イ ギ リス の 実 践 教 育 の現 場 を研 究 し、 そ の 中
の一 つ を 「キ ッズ マ ー ト」 とい う形 で 日本 に導 入 し、 幼 少 時 か らの 人 材 育 成 事
業(株
式 会 社CES)を
立 ち上 げた こ とは、 極 めて 自然 な流 れ の よ うに 思 われ た。
そ して 、日本 で の人材 育 成 事 業 を起 こす に 当 り、当時 の文 部 大 臣 に会 い に行 き 、
日本 の教 育 の現 状 につ い て話 した と さ りげ な く語 る彼 の行 動 力 に驚 か され た。
一方
、 中国 留 学 に よ り、板 庇 氏 と同様 日本 を相 対 的 に 見 た 山 中 氏 は 、 よき教
師 との 出会 い か ら、 教 師 に な る こ とが 夢 で あ った 。 しか し受 験 校 で の 教 師 に な
る こ とは意 に反 して いた とい う。 そ ん な彼 は教 材 販 売 会社 を辞 め 、 自 らNPO日
本 起 業 家教 育 協 会(Jaee)を
立 ち 上 げ て 東 大 阪 の 空 き倉 庫 で 起 業 家 教 育 教 室 を
始 め た。そ して2001年11月
板 庇 氏 と共 に、中小 企 業 庁 委 託 調 査 事 業 と して 「
福
岡 キ ッズ マ ー ト」 を福 岡市 箱 崎 商 店 街 で 行 な っ た。
福 岡市 立箱 崎 小 学 校 で の募 集 説 明 で集 ま っ た希 望 者44名(5年
ま ず1回
目の 事 前 学 習 会 で
「
起 業 の6要
生)を 対 象 に、
「
商 売 とは何 か 」、 「
ベ ンチ ャービ ジ ネ ス とは何 か 」
素 」 等 を学 習 し、 チ ー ム分 け、 販 売 方 針 の決 定 、役 割 分 担 、販 売
企 画 、 宣伝 計 画 立案 等 を行 な う。2回
目の事 前 学 習 で は店 舗 の看 板 作 りも含 め 、
出 店 準 備 作 業 を行 な い 、 出 店 当 日、 開店 準備 と販 売 活 動 及 び 収 支 計 算 を含 め た
事 後 学 習 を行 な うとい うス ケ ジ ュール で 「
福 岡 キ ッズマ ー ト」 は実 施 され た 。
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この様子 は地元の新聞やテ レビ局に取 り上 げ られ 、NHK福 岡放送 で放映 され
た番組 が ビデ オで紹 介 され た。 子供達 の活 き活 き と した様 子が 映 し出 され、地
元商店連合会会長 さんは商店街活性化 に向 けての期待 を語 られていた。
こ こで 再 び 、 板 庇 氏 に よ るキ ッズ マ ー トの 日本 へ の導 入 の 背 景 が 語 られ 、 い
ま だ に知 識 を伝 授 し、 本 の 内容 が 書 かれ た 黒 板 を写 す こ とが 勉 強 だ と思 っ て い
る教 育 の あ りか た が批 判 され た後 、NPO Jaeeの 活 動 の現 状(資 料 参 照)と 、㈱CES
の 活 動 報 告 が行 な われ た。㈱CESで
は 幼児 か ら、小 学 生 、 中学 生 、社 会 人 ま で を
対 象 の 起 業 家 教 育 事 業 を展 開 して お り、数 年 前 に は相 手 に も され な か っ た企 業
人 向 け の起 業 家 教 育 が 、 現 在 は一 番 の収 益 源 で あ る とい う皮 肉 な 現象 が 指 摘 さ
れ て い た。
質 疑応答 で は、学校教 育の改革 の方策 につ いての質 問に対 し、PTAや 地 方 自
治体 か らの働 きか けの重要性 が指摘 され 、ま た、 日本 の構 造改 革 による経 済活
性化 につい ての質 問には、失業率 が10数%を
越 えた とき、初 めて可能 にな るの
で はない か とい う辛辣 な回答 が 出 され た。 しか し、板 庇氏 の 口か ら語 られ る と
き、そ の答 えには納得 させ られ る重みが あった。
平成3年4月
に出 された 中央教育審議 会 の答 申 「
新 しい時代 に対応す る教育
の諸 制度 の改革 について 」において 、今 日の学校教 育が抱 え る諸問題 は病理 と
も表 現 されて い る。 そ して教 育改革 の背 景 を、明治 以降 の教育 の歴史 に遡 って
分析 し、学校教 育 を生涯 学習 の一環 と して とらえるこ とを提案 して い る。 その
後、 い じめ ・登校拒否か ら少年犯罪等 の問題 が顕在化 して くる中、 「ゆ と り」 の
中で 「
生 き る力」 を育 て るた め、 「
総合 的 な学 習」が導入 され るこ ととなった。
時 と して過激 に聞 こえる板庇 氏 の学校教 育批判 も、今 日の学校 教育 の抱 える病
理 を衝 いた もので あ り、その改革 のた めの一 方策 と して の早期 起業家教育 の重
要性 は、今後益 々明 らかにな るもの と思 われた。
なお 、NPO Jaeeは
本 年1月
、東 大 阪市 の貸 倉 庫 か ら新 大 阪 の ビル の1室
務 所 を移 転 した 。 こ の事 務 所 開 き に は 平 均 年 齢20歳
台 の若 者40数
り、小 さな 部 屋 は 熱 気 に包 まれ 、 夢 で溢 れ て い た。 現 在NPO
Jaeeで
に事
名 が集 ま
は 関西 一 円
数 大 学 の 学 生 に混 じ り、 数 人 の本 学 学 生 もス タ ッフや イ ン ター ン シ ップ と して
参 画 して い る。 このセ ミナ ー で語 られ て い た 山 中理 事長 の 、 「
い ず れ は学 校 を作
りた い 」 とい う夢 の 実現 に一 歩 つ つ 近 づ い て い る様 子 は 、 ま さにベ ンチ ャー マ
イ ン ドの現 わ れ で あ ろ うと思 われ た。
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