システム制御Ⅱ 第2学期 火 1, 2限 8:40-10:50 5号館 第16講義室 担当:平田 健太郎 6/28 第4回 安定性と系の固有値,安定判別法 Systems Control II 1 講義日程 (予定) 1回目 はじめに/古典制御の問題点 2回目 系のモデリングと状態方程式表現 3回目 状態方程式の解/伝達関数との関係 4回目 安定性と系の固有値,安定判別法 5回目 可制御性 6回目 可観測性 7回目 レギュレータ/オブザーバ 8回目 まとめ/期末試験 Systems Control II 2 前回のSummary のとき, ≔ 1 1! 1 2! 0. ケーリー・ハミルトンの定理 1 3! 1 4! ⋯ 行列指数関数 の解は 0 Systems Control II d 3 行列指数関数 の計算方法 • 定義式に従う • 対角化を利用する • ラプラス変換を経由する Systems Control II 4 「ノルムと級数」をざっくりと斜め読み Systems Control II 5 4. 安定性 Systems Control II 6 古典制御において, 伝達関数システムの安定性は「入出力安定性」であった. 任意の有界入力に対して, 出力が常に有界となるとき, システムは 入出力安定という. がプロパーな有理伝達関数であるとき, 入出力安定である ための必要十分条件は, の全ての極の実部が負となることである. Systems Control II 7 現代制御において, 状態方程式システム 0 の解は d であるから, 解は初期値に対応する成分と入力に対応する成分を持つ. Systems Control II 8 初期値応答 (自励系) の安定性 Σ , 0 漸近安定: 任意の初期値に対して, → 0, → ∞ となるとき, 線形システム Σ は漸近安定という. ( が対角化可能なら) Λ 0 Λ 0 → ∞ のとき Systems Control II → 0, ⋱ 0 ⋱ 0 1, ⋯ : の固有値 となるには? 9 は実行列の固有値なので,一般に ∈ → 1, ∀ なので, モード は 0 ならば, → ∞ のとき 0 に収束 0 ならば, → ∞ のとき発散 0 ならば, → ∞ のとき 1間を振動し続ける 0, ∀ ならば, → ∞ のとき ( Systems Control II →0 が重複固有値でないとき) 10 が対角化できないとき ⋱ 0 例) 0 1 0 0 0 0 0 0 0 なる変換が可能 ⇒ ジョルダン標準形 0 0 0 べき乗は対角ブロックごとに考えればよい. ⇒ 部分の行列指数関数がどうなるか? 0 行列指数関数の性質からうまく求まる 0 , 0 1 ⋱ ⋱ ⋱ 0 1 0 はべき零行列. Systems Control II 11 0 0 0 Systems Control II 1 0 0 0 1 とする. 0 , , ⋯ を求めよ. 12 行列指数関数の性質 (a) (b) ⇒ (c) スカラーの場合: 2 2 2 2 2 2 2 2 拡張 Systems Control II 13 ! ! と は可換であるから, ∴ 1 0 0 ⋮ 0 1 0 ⋮ 0 1 0 0 ⋮ 0 /2! ⋯ ⋱ 1 ⋱ ⋱ ⋱ 0 0 /2! 0 0 0 ⋮ ⋮ 0 0 Systems Control II 1 0 ⋮ 0 ⋯ ⋱ ⋱ ⋱ ⋱ 0 0 / / / /2! ⋯ ⋱ 1 ⋱ ⋱ ⋱ 0 0 / / / 1 ! 2 ! 3 ! ⋮ 1 1 ! 2 ! 3 ! ⋮ 1 → ∞ のとき / / / ⋮ 1 ! 2 ! 3 ! 0ならば →0 →∞ どっちが強いか 14 , 1 ∴ / ∴ / 0とする. 1 2 ⋯ 1 ! 1 2 → ∞ 1 ⋯ ! 1 ! ⋯ →∞ / より これは任意 について成り立つので 指数関数 0, ∀ ならば, Systems Control II ⋯ 1 ! → 0 →∞ の増加のスピードはどんな多項式よりも速い → ∞ のとき →0 15 → 0, 0 /2! 0 0 0 ⋮ ⋮ 0 0 Σ Systems Control II ⋱ → ∞ ⇔ 0 0 ⋯ ⋱ ⋱ ⋱ ⋱ 0 0 0 / / / ⋮ ⋱ 0 1 ! 2 ! 3 ! が漸近安定であるための必要十分条件は の全ての固有値の実部が負であること 16 別の観点からの特徴付け: 伝達関数 / の安定条件: 分母多項式の零点(伝達関数の極) : , 1, ⋯ , ∀ , 0 伝達関数の極を直接計算しない安定判別法として, Routh-Hurwitzの方法 があったように, の固有値を直接計算しない状態方程式の安定判別法が あれば望ましい. リアプノフ(Lyapunov)の判別方法 系のエネルギーに着目した方法 Systems Control II 17 一般論: 非線形な自励系を考える. 0 となる点を平衡点という. は平衡点とする. 0 任意に与えられた 0 に対して すべての 0 と 0について‖ は(リアプノフの意味で)安定という. 0 が存在し, ‖ 0 ‖ なる ‖ となるならば, 原点 0 2次元のイメージ 0, すなわち原点 0 ある半径の円内の初期値からスタートした すべての軌道が, 未来永劫ある半径の円内に とどまるとき 安定(リアプノフ安定) Systems Control II 18 安定でかつ, ある ′ 0 が存在し, ‖ 0 ‖ → 0 → ∞ となるならば, 原点 対して ’ なるすべての 0 に 0は漸近安定という. 2次元のイメージ ある半径の円内の初期値からスタートした すべての軌道が, 原点に収束するとき 漸近安定 Optimal Control Theory 19 ある 0 に対して, どんな ある 0 に対して ‖ ‖ 0を不安定という. 0 を選んでも, ‖ 0 ‖ を満たす となる 0が存在するならば, 原点 2次元のイメージ どんなに半径を大きくしても, 円内の初期値 からスタートした軌道が, ある半径よりも 外に出てしまう 不安定 Optimal Control Theory 20 リアプノフの方法 以下の性質をもつ状態 のスカラー関数 • は正定関数, i.e., • / は連続 • システムの解軌道に沿った 0, ∀ 0 i.e., 0, ∀ をリアプノフ関数という. 0 の時間微分が準負定, が存在し, → ∞のとき → ∞, の全域でリアプノフ関数 0, ∀ 0 を満たすならば, 原点は(大域的に)漸近安定である. は系のエネルギーを表しており, 減少して0 に近づくことを意味している. どのようにして Systems Control II 0 はエネルギーが時間的に を探すか? 21 エネルギーが時間的に単調に減少する. エネルギーは正の値をとる. 無限時間経過後は0に収束 (単調な有界列は収束) 0 Optimal Control Theory 22 正定性 実対称行列 に対して, 適合するサイズのベクトル を用いて, スカラー量 を二次形式という.非零ベクトル に対して, 二次形式の値が常に 正(負)となるとき, 行列 は正定(負定)であるといい, 0 0 で表す. 実対称行列 が正定であるための必要十分条件は, 全ての固有値が 正であることである. 実対称行列は, 直交行列によって常に対角化可能なので 0 0 は正則であるから, Systems Control II ⋱ 0 0⇔ ⋱ 0 0 : ⋱ 0. よって 0 ⋮ 0⇔ 0, ∀ 23 Today’s Minutes Paper 2 1 1 , 1 2 2 Systems Control II 2 は正定か? 2 24 どのようにして を探すか? 線形システムに対しては, 状態の二次形式として であることが知られている. 0, ∀ が正定関数, i.e., (正定行列) でなければならない. 0 であるためには, が定数行列であるので, システムの解軌道 時間微分は となる. Systems Control II を探索すれば十分 0 に沿った , は正定行列(定数) であれば の は負定である. 25 リアプノフ方程式 が与えられたとき, 任意の正定行列 が正定解 をもつとき, リアプノフ方程式という. に対して, 方程式 は漸近安定である. この方程式を 正定解 の存在が, 漸近安定であるための十分条件であることは 先の議論からほぼ明らかであるが, これは必要条件でもある. また, 存在するとき, 解は一意である. Systems Control II 26 リアプノフの安定定理 Systems Control II 27 証明: → 0 でなければならない. Systems Control II 28 補足(平方根行列) 0 ⇔ ∃ s. t. / ≔ diag これを Systems Control II , ,⋯, の平方根行列という. diag とおくと / 0 ならば ,⋯, , 0, ∀ / / 0. 29 証明: (の解)は安定 ≔ → 0, →∞ とおくと → 0のとき, 右辺の積分は収束する. (証明は割愛) Systems Control II 30 行列指数関数の性質として とおくと が成り立つので, ★ ★より は常に正則なので とおくと, 被積分関数は 0のとき常に正 0↔ 0 であり 0, 0↔ 0 0 0 一意性は別途示される. Systems Control II 31 一意性の証明 は の要素に関する線形方程式である. 線形方程式 が一意であるための必要十分条件は が正則であることだから, を通常の の形式に書き直す必要がある. が安定であるとき, 対応する Systems Control II の解 が正則であることが示される. 32 例題: 0 2 1 0 0 1 1 3 の安定性をリアプノフ方程式を使って調べる. とする. は2次の実対称行列なので とおいて を解く. 得られた 固有値を求めて確かめる. Systems Control II が正定かどうかを 33 計算用ページ: Systems Control II 34 計算用ページ: Systems Control II 35
© Copyright 2024 ExpyDoc