岩手 に 学ぶ - 岩手経済研究所

直し、経営モデルを再構築することとしました。
のリーマンショック後の世界的な不況への突入
年)
工場を移し、一貫してモノづくりに励んできま
西根町(現八幡平市)の誘致企業として岩手に
り替え延命策を講じました。しかしそれらの分
用資材パーツの調達手配を行うなど、事業を切
駆使した生産の治具自動機の設計製作業務や使
定費の削減を徹底しました。メカトロニクスを
さらなる対策として規模の縮小とともに固
「授かる事と、授ける事」
、
「恵む事と、恵まれ
進化と命の継続可能性になっています。そして
続ける姿は、相互互恵的であり、自身の生存と
と、
教えられたのです。云いかえれば生物が生き
ズムに経営の基本とすべきモノ、コトがある」
が見えてきました。
「生命の持続発展的メカニ
さ、さらには受容力とストレス解消力を潜在的
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岩手経済研究 2016 年6月号
サ ロ ン
「岩手に学ぶ」
しかしながら、得意先も貿易自由化による需要
そして原点に立ち戻り、岩手をよく見て立地環
と同時に、規模の効果に依存した下請型請負製
野も時差をもってどんどん海外へ移転し、市場
る事」
、
「ありがとう、おかげさま精神」の基本
した。しかしながら、2008年(平成
造業経営モデルは見直しを迫られ、企業生命の
環境は厳しくなる一方で、縮小した業容を維持
維持が困難な事態に直面しました。
この「北東北の地域は、人も生態系の一部に
そこで改めて自社の役割を明確化すべく、自
に保持するこの地の強さに繋がっていると感じ
なりきっている」ということが、ゆとりと豊か
ミクスを手段とした品質・原価・納期(QCD)
社の経営資源とマーケットの状態、動向を調べ
自分で仕事を作るしかない
のマネージメントを自前の技術で培いました。
治具組立装置開発)をはじめ、システムダイナ
立てについては、工程改善や段取り改善(加工
受託製造していたカラープリンターの組み
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営
経
の縮小や自らの海外進出もあり、発注の縮小・
境に入り込んでみました。するとそこは、巨大
経営環境の変化と対応
停止の余波を受け、業務を縮小すると同時に事
な自然のエネルギー生産基地であり、人を幸せ
年)に
二戸電機製作所として、東京都品川区の工業地
業のテーマと業態を再編成せざるを得ないとい
年)には、
ラピアス電機は1959年(昭和
帯の一角に位置する荏原地区で二戸出身の父が
にする原材料を生み出す生態系の化学工場の姿
福 勢 慶 昭
う困難な事態に再度直面しました。
ラピアス電機株式会社
(八幡平市)
代表取締役
に基づいた営みで成り立っていました。
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していくのが精いっぱいの状況でした。
創業しました。1973年(昭和
34
+
経 営 サ ロ ン
恩恵として他に施し又それをありがたく受け止
のものごとの有する性質、天性を品性をもって
じ、すべての「物事」に心=神が宿り、生来そ
かつて日本人は八百万の神のあることを信
が湧いてきました。
て活路を拓いてゆける。そんなビジョンと理念
ス電機も、この地域の生態系の一部になりきっ
的、自発的に融合し、進化を得てゆく。ラピア
るすぐれた形質を受容することによって内発
は持続しつつ、外の異質なモノ、コトに存在す
の手本となることを感じ止めました。良い形質
精神の持続の証左でもあり、自社の経営モデル
り合いは、古来からの日本的強さ、良さの基本
ました。そして、この北東北の自然と人々の係
溢れている天からの恵を、この恵みから遠くな
と力強さの学び」を得ました。この地域の満ち
いることか!「万物を生かして産んでゆく伝統
岩手は何と神々の宿る森羅万象に恵まれて
命をつないでいく原則があると受け止ました。
き持続発展性、異分野、競争相手とも共生して
ス電機の経営活動の精神と行動の基本とするべ
さらに自らも恵を産み出します。ここにラピア
て恵を産む事になります。その恵は他を生かし
自他を【化】する事に徹すれば、万物を生かし
て教え導く事」と書かれています。徳を以って
と「天地自然が万物を生育する作用、徳を以っ
る事とあります。ちなみに【化】を調べてみる
があります。
【課】はわりあてる事、請負わせ
意味を込めた「科に盈ちて後進む」という古語
品の品質強化のインフラ形成に繋がり、加えて
を紐解き、融合してゆく事は、岩手発の農工産
岩手、その巨大な生態系化学工場のメカニズム
が経営の基本政策になると確信しております。
の進化を導き出し、製造業から生産業への転換
事業を重ねることがラピアス電機の経営モデル
かつて培った生産装置の製作事業に新精油
IAS」ブランドの発売です。
ラピアス電機に取込む事にしました。
「LAP
ルの生産とその利用サービスを軸とした事業を
それを具現化し、新たにエッセンシャルオイ
ました。
った人々に提供して行く経営モデルが見えてき
利用効果を拓いていく途上で品質を科学的に保
事業集積の効果と希望
める精神を心に宿して生きていました。そして
日本の古い歴史では洋・陸各方面からこの島に
証してゆく事になります。精油と利用方法の品
お礼を申し上げます。
「化」
「薬」
「医」分野の
方と、金融、産、学、官、地元の方々に感謝と
今までご指導いただいた「農」
「工」の先生
らの引き合いが寄せられ始めています。
直し気運になり岩手発が魅力になって各方面か
た。精油市場の動向が輸入型から国産精油の見
しいさまざまな事業のソースに見えてきまし
新事業テーマが多く派生してきます。これも新
質保証を追い詰めていくと、その川上、川下に
来着した異民族間でもその交流は友好的かつ共
存的であり、人為的農業の発展以前には飢死す
る者もなかったと聞いたことがあります。
RAPIAS+LAPIAS
1970年代半ばから何度となく中国を訪
ねる度に、日本では【科】と【課】の両文字を
用いるが、中国ではほとんど【科】の文字があ
てられている理由を尋ねてみましたが、答えは
得られませんでした。日本の国語辞典によれば
先生方とも交流の機会を頂きたいと思っており
ます。引続き御支援をよろしくお願い致します。
岩手経済研究 2016 年6月号
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【科】とは、順を追って進むべき教え。水が流
れる際、くぼんだ所に溜まってから先へ進むの
北の森で育まれた「LAPIAS」ブランドの
エッセンシャルオイル商品群