2 脳卒中対策プロジェクトの各取組, 評価と課題

2
脳卒中対策プロジェクトの各取組,
評価と課題
-7-
<一次予防> 脳卒中予防に係る県民への啓発・気運醸成
1 県民向け講演会
年度
日時・場所
平成24年10月28日(日)
24
南九州市頴娃文化会館
平成25年8月24日(土)
25
鹿屋市文化会館
平成26年8月31日(日)
26
薩摩川内市
国際交流センター
平成26年9月6日(日)
27
日置市伊集院文化会館
内 容
参加
者数
脳卒中予防啓発講演会「知ってお・と・く 脳卒中予防」
①基調講演「脳卒中の基礎知識」
(九州医療センター臨床研究センター長 岡田 靖氏)
②シンポジウム「地域で脳卒中を予防するために
③地域活動紹介
320名
脳卒中予防啓発講演会「STOP!!脳卒中」
①基調講演「脳卒中の基礎知識」
(鹿児島医療センター脳血管内科医長 松岡 秀樹氏)
②シンポジウム「地域で脳卒中を予防するために」
③地域活動紹介
450名
「脳卒中予防フォーラム∼知っとく!納得!やっとく! 脳卒中予防∼」
①オープニング「ねおらんど体操」:出水市食生活改善推進員
②基調講演「脳卒中の治療と予防-スピードが命-」
(熊本市民病院 主席診療部長 橋本 洋一郎氏)
③シンポジウム「脳卒中でねおらんど!(寝込まんど!)」
④地域活動紹介:各団体,食生活改善推進員による試食,
野菜摂取量体験等
453名
「脳卒中予防フォーラム∼予防そして再発防止∼」
①オープニング「日置市運動推進員による寸劇と市民歌体操」
②基調講演「脳卒中の発症・重症化予防における血圧管理」
(鹿児島大学 心臓血管・高血圧内科学 教授 大石 充氏)
③シンポジウム「大切な人・家族と地域で生きる」
③地域活動紹介:推進員活動,スッキリ教室,歯の健康,介護相談員等
388名
2 保健・医療・介護関係者講演会
年度
日時・場所
225名
平成25年10月5日(土)
かごしま県民交流
センター
①脳卒中リハと地域リハビリテーション広域支援センターの役割
②活動報告(地域ネットワークづくり・人材育成・普及啓発)
200名
平成26年2月19日(水)
かごしま県民交流
センター
講演「地域の包括的脳卒中診療と連携」
∼地域を支えるための新たなチームづくり∼
550名
①情報提供「鹿児島県の脳卒中対策プロジェクトについて」
②講話1「脳卒中の発症や重症化・再発を防止するために」
③講話2「リハビリにおけるサポート方法」
101名
平成27年2月19日(水)
かごしま県民交流
センター
①講話1「知っておきたい脳卒中の発症・重症化等を防ぐ血圧管理の
ポイント」
②講話2「健康寿命の延伸に向けた庁内連携による取組
∼ヘルスアップ尼崎戦略推進会議の取組から∼」
410名
平成28年2月18日(木)
かごしま県民交流
センター
講演「食べる喜びを支えるために脳卒中患者の口腔機能向上支援」
214名
講演「脳卒中の治療と重症化・再発予防∼地域連携の観点で」
100名
24
県庁講堂
平26年10月31日(金)
大島支庁 4階大会議室
26
27
参加
者数
①本県の脳卒中対策プロジェクトについて
②特別講演「脳卒中の発症や重症化・再発を防止するために
∼関係者が知っておくべきポイント」
(熊本市民病院 神経内科診療部長 橋本洋一郎氏)
平成25年3月19日(火)
25
内 容
平成28年3月18日(金)
霧島市役所
-8-
3 啓発用ポスター・チラシ作成,配布
H24
H26
H25
H27
ポスター(500枚),チラシ(12万枚)を作成し,各市町村,職域等の特定保健指導等に活用出来るよう配布
(H27はポスター250枚,チラシ6万枚)
4 各種広報媒体を活用した啓発
啓 発 内 容 等
年度
24
・県政かわら版(12月),国保かごしま(9月,11月,1月)
・食の安心・安全情報メール,県政広報番組(1月放送)
・ホームページへの脳卒中予防に係るコラム掲載等(脳卒中警報∼コラム月2回 計24回)
25
・国保かごしま(5月,9月,1月)
・食の安心・安全情報メール,県政広報番組(9月放送)
・ホームページへの脳卒中予防に係るコラム掲載等(脳卒中警報∼コラム月1回 計12回)
・フェイスブックによる情報発信 (平成25年7月末から随時,脳卒中や生活習慣改善を主なテーマに発信)
26
・国保かごしま(5月,9月,1月)
・食の安心・安全情報メール(月1回程度),県政広報番組(9月放送)
・ホームページへの脳卒中予防に係るコラム掲載等 (脳卒中警報∼コラム月1回 計12回)
・フェイスブックによる情報発信(週3回更新)
27
・国保かごしま(5月,11月,1月)
・食の安心・安全情報メール(月1回程度)
・ホームページへの脳卒中予防に係るコラム掲載等 (脳卒中警報∼コラム月1回 計12回)
・フェイスブックによる情報発信(週3回更新)
5 関係団体開催の講演会等
年度
日時・場所
平26年6月1日(日)
かごしま県民交流
センター
内 容
かごしま医療センター主催
第12回脳卒中市民講座「脳卒中−その時どうする−」
①「脳卒中の発症から回復まで(その時どうする?)」
②「鹿児島の脳卒中は今」
参加
者数
666名
26
平成27年2月23日(月)
鹿屋市中央公民館
平27年6月7日(日)
27
かごしま県民交流
センター
大隅地域振興局(保健福祉環境部)と鹿屋肝属地区の脳卒中を考える会
①鹿屋肝属地区脳卒中地域連携パス運用報告
②脳卒中対策プロジェクトモデル市町取組報告(肝付町)
③特別講演「脳卒中の発症・重症化予防における血圧管理について」
約100名
かごしま医療センター主催
第13回脳卒中市民講座「脳卒中を克服しよう」
①「脳卒中を診断しよう」,「脳梗塞救急治療最前線」
②パネルディスカッションと参加者Q&A
「脳卒中に負けないために−後遺症とのつきあい方−」
約600名
-9-
脳卒中対策プロジェクト健康づくりランチョンセミナー
∼減塩・野菜摂取量の増加等バランスのよい食生活の推進∼
目 的
脳卒中の発症・重症化を予防するために,「食塩摂取量1日2g減」と
「野菜摂取量1日50g増加」に重点を置いたランチョンセミナーをモデル
市町において開催し,食生活の改善を図る。
事業内容(鹿児島県食生活改善推進員連絡協議会に委託)
1.ヘルシー弁当の調理
健康づくりに配慮したヘルシー弁当を作り,事業所を訪問しセミナー
参加者(働き盛り世代)に試食させながら料理の組み合わせや調理の際
のポイントについて説明する。
2. 「減塩」及び「野菜摂取量の増」について講話
普段の食事で「減塩」及び「野菜摂取量の増」を実践するための食生活
のポイントについて,講話を行う。
3.その他
参加者の普段の食事の食塩濃度が理解できるよう,塩分測定器を用い
た啓発を行うとともに,その他健康関連情報も併せて啓発する。
-10-
<二次予防>特定健康診査・保健指導データ(平成26年度)
H26年度 市町村国保+協会
特定健康診査実施率(全体)
H26年度 市町村国保+協会
特定健康診査実施率(男性)
(資料)市町村国保,協会
-11-
H26年度 市町村国保+協会
特定健康診査実施率(女性)
提供 受
特定健診実施率
基
作成
H26年度 市町村国保 特定健康診査実施率(全体)
H26年度 市町村国保
特定健康診査実施率(男性)
H26年度 市町村国保
特定健康診査実施率(女性)
(資料)鹿児島県国民健康保険団体連合会
-12-
提供 基
作成
35
平成26年度内臓脂肪症候群該当者割合
30
25
20
15
10
5
0
肝属
熊毛
奄美
県
26.9
24.9
26.7
22.9
31
26.9
13.7
10.9
9.6
12
9.6
12.4
10.8
20.4
17.7
16.6
18.5
15.7
21.2
17.8
南薩
川薩
出水
男性
27
24.6
27.5
28.6
女性
9.8
10.1
11.5
総計
16.8
16.3
18.7
25
姶良 伊
曽於
鹿児島
佐
平成26年度内臓脂肪症候群予備群割合
20
15
10
5
0
肝属
熊毛
奄美
県
17.9
15.7
17
16.9
20
17.6
6.8
7.8
8.3
8.3
7.9
9.3
7.6
12.2
12.2
11.7
12.1
12
14.4
12
南薩
川薩
出水
男性
17.9
16.3
16.9
18.9
女性
7.3
6.6
7.7
総計
11.6
10.8
11.9
50
姶良 伊
曽於
鹿児島
佐
平成26年度高血圧治療薬剤服用者割合
40
30
20
10
0
鹿児島
南薩
川薩
出水
男性
43.5
41.5
46.3
43.9
女性
34.4
38.3
41.4
総計
38.1
39.7
43.6
姶良 伊
曽於
肝属
熊毛
奄美
県
44.4
39
42.6
35
42.7
42.9
41.5
35.9
35.6
36.8
33.1
39.3
36.8
42.6
39.5
37.1
39.4
34
40.9
39.4
佐
(資料)鹿児島県国民健康保険団体連合会
-13-
提供 基
作成
35
平成26年度脂質異常症治療薬剤服用者割合
30
25
20
15
10
5
0
姶良 伊
曽於
肝属
熊毛
奄美
県
17.7
14.4
17.5
11.9
15.3
16.4
30.3
25
22.4
26.2
21.7
22.8
24.8
24.4
21.9
18.7
22.3
17.2
19.2
21.1
鹿児島
南薩
川薩
出水
男性
15.9
16.4
18.1
17.3
女性
22.7
27
27.9
総計
19.9
22.4
23.5
佐
平成26年度糖尿病治療薬剤服用者割合
14
12
10
8
6
4
2
0
姶良 伊
曽於
肝属
熊毛
奄美
県
11.8
11
11.2
8.8
11.1
11.7
7.2
7.2
7.2
7.6
5.5
7.1
6.8
9.4
9.2
9
9.2
7
9
8.9
鹿児島
南薩
川薩
出水
男性
11.9
11.3
13.3
12.1
女性
5.8
6.6
8
総計
8.3
8.6
10.4
佐
(資料)鹿児島県国民健康保険団体連合会
-14-
提供 基
作成
<三次予防> 脳卒中による要介護者の重症化予防に関連するデータ
(人)
800
1) 2号被保険者における新規要介護認定者数の推移
2号被保険者における新規要介護認定者数の
推移
・ 県全体の2号被保険者における新規要介護認定者
数は減少傾向にある。
・ モデル市町の新規要介護認定者数は年々減少し
ており,平成26年度は平成24年度の 62.8%となって
いる。
・ モデル市町以外の市町村でも,新規要介護認定者
数は減少しているが,平成26年度は平成24年度の
80.8%であり,モデル市町村と比較すると,減少は少
ない。
700
172
600
108
142
500
400
300
556
499
435
200
モデル11市町村
100
モデル以外の市町村
0
平成24年度
平成25年度
平成26年度
介護福祉課調べ(国保連合会データから)
2) 2号被保険者に占める脳血管患者数の推移
2号被保険者に占める脳血管疾患者数の推移
(人)
2000
1802
1800
1766
・ 県全体では,2号被保険者の要介護認定者その
ものが減少しており,それに伴って脳血管患者数も
減少している。
・ モデル市町においても減少はしているものの,その
減少率は県全体と比較して少ない。
1729
1520
1600
24.8%
減少
1355
1400
1200
1000
800
600
423
373
366
400
356
19.6%
減少
340
200
鹿児島県
0
H22
H23
H24
H25
モデル市町村
H26
介護福祉課調べ(認定支援ネットワークから)
モデル6市町における2号被保険者の脳卒中発症者
1年後の介護度維持・改善率
100%
90%
80%
70%
60%
50%
40%
30%
20%
10%
0%
3) モデル6市町における2号被保険者の脳卒中発症者
1年後の介護度維持・改善率
(モデル全 11市町のうち,1年後の追跡データがあっ
た6市町の比較)
・ 平成22年度∼25年度において,維持改善6割・悪
化4割で,特段の変化はなし。
悪化
維持改善
H22
H23
H24
H25
悪化
21
29
36
42
維持改善
31
46
53
59
介護福祉課調べ
<参考>
脳卒中連携パス活用状況
パス使用
患者数
2500
活用割合
2400
2300
2200
2100
2000
1900
1800
H23
H24
H25
治療実施患者数
パス使用患者数
t-PAによる脳血栓溶解療法の治療状況の推移
活用割合(%)
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
H26
190
189
188
187
186
185
184
183
182
181
180
治療患者数
H23
保健医療福祉課調べ
H24
治療実施率
H25
治療実施率(%)
5
4.8
4.6
4.4
4.2
4
3.8
3.6
3.4
3.2
3
H26
保健医療福祉課調べ
-15-
「脳卒中対策プロジェクト」の成果と今後の課題
<成果>
①脳卒中死亡率の低下
人口10万対死亡率は全国を上回る減少率となっており,本県独自の指標である75
歳未満の年齢調整死亡率は,「健康かごしま21」の平成34年度の目標値を下回って
いる。
脳卒中死亡率の推移(人口10万対)
H21
H22
H23
(人口動態統計)
H25
H26
H24
本県
141.2
142.6
145.2
142.4
132.6
130.2
全国
97.2
97.7
98.2
96.5
94.1
91.0
6
7
4
7
10
9
本県全国比
1.45
1.46
1.48
1.48
1.41
1.43
本県死亡者数(人)
2,404
2,426
2,458
2,398
2,219
2,164
本県順位
・平成21年から26年で 死亡率 7.8%減(全国
6.4%減),死亡者数
240人減
本県における75歳未満の脳卒中年齢調整死亡率(人口10万対)
:本県独自の指標
目標値
H21
H22
H23
H24
H25
H26
男性
27.8
30.0
28.2
25.1
22.0
22.6
25.2以下
女性
14.7
13.3
12.2
10.5
11.4
10.8
12.2以下
(健康増進課調べ,目標値は「健康かごしま21」の設定)
②2号被保険者で脳卒中により要介護(要支援)状態になった者の割合の低下
H21
H22
H23
H24
H25
H26
総認定件数
2,517
2,998
2,972
2,833
2,623
2,382
脳卒中が原因
1,552
1,802
1,766
1,644
1,520
1,355
割合(%)
61.7
60.1
59.4
58.0
57.9
56.9
(認定支援ネットワーク2009,平成28年3月作成)
③特定健康診査・特定保健指導の実施率の向上(モデル市町)
特定健康診査・保健指導については,全市町村が重点的に取り組んでいることか
ら,県全体の実施率も年々向上しているが,モデル市町の実施率の増加率が大きい。
実施率向上につながった例としては,市職員全員と地域住民が一体となった受診
勧奨や,ターゲットを絞り込んだ戸別訪問等が挙げられる。
④特定健康診査における有所見者率の減少等(モデル市町)(P66∼67のデータ参照)
・腹囲は,8モデル市町が県平均を上回る減少率
・収縮期血圧の受診勧奨レベルの割合は,7モデル市町が県平均を上回る減少率
・高血圧症,脂質異常症,糖尿病治療薬剤服用者数の割合は,多くのモデル市町に
おいて,県平均を上回る増加率であるが,治療への動機付けができていると評価
できる。(生活習慣病検診等管理指導協議会循環器疾患等部会での意見)
-16-
⑤健康教室等の保健活動量の増大(モデル市町)
指
標
等
H24
H25
H26
庁内での定例の
検討の場
49回
20回
19回
庁外関係者との
検討の場
16回
14回
17回
高血圧予防
374回
408回
457回
97回
97回
94回
47回
59回
45回
高血圧教室
3回
46回
26回
糖尿病教室
46回
77回
22回
心原性脳梗塞
573人
485人
406人
推進体制
一次予防
(普及啓発)
禁
煙
糖
二次予防
(発症リスク
の早期発
見・重症化
予防)
尿
病
備
最多
考
H24 18回
(西之表市)
自治会・民生委員・PTA・大学・企
業も参加,作業部会設置(薩摩川
内市)
減塩,野菜摂取
H26 未実施 5市町
母子手帳交付時,性教育時に実
施(薩摩川内市)
医療機関と連携した重症化予防
教室等
心電図実施,個別指導
(モデル市町調べ)
具 体 的 取 組 例
日置市
南さつま市
西之表市
自治公民館単位等の高血圧健康教室等
(住民参画による企画,壮年期を対象,地域づくり)
枕崎市
一次予防
(普及啓発)
ダイエットコンテスト
薩摩川内市
食生活改善推進員養成,減塩・野菜摂取の勧め
長島町
高血圧にテーマを絞った講演会の継続実施
徳之島町
二次予防
(発症リスク
の早期発
見・重症化
予防)
健康教育媒体の作成
日置市
庁内全員・自治会長,保健推進員等による特定健診受診率
向上プロジェクト(戸別訪問)
枕崎市
ターゲットを絞った未受診者への受診勧奨(訪問,電話),自
治会表彰制度の創設
曽於市
CKD対策(病診連携の仕組みづくり)
南さつま市 他
医療機関と連携した糖尿病予防教室
三次予防
(再発・重症
化防止)
肝付町
特定健診の結果報告会の充実(個別台帳による継続的な指
導,訪問指導等)
伊仙町
地域ボランティアの養成,地域ボランティアを活用した地域リ
ハビリ教室
薩摩川内市
ケアプラン点検
⑥取組目標に係る改善・維持率等(モデル市町)
取組目標
県民の健康づくり・
介護予防意識の向
上
高血圧有病者・予
備群の減少※1
糖尿病有病者・予
備群の減少,コント
ロール不良者の減
少※ 1
脳卒中による要介
護認定者数の減少
と重症化予防
運動習慣あり※2
喫煙習慣あり※2
指標が維持・
改善した市町
の数
指標が悪化し
た市町の数
6
5
備
考
5
6
予
備
群
4
7
有
病
者
4
7
予
備
群
10
1
有
病
者
4
7
コントロール
不良者
9
2
脳卒中による要介
護(支援)認定者数
(2号被保険者)
366人
(H23)
340人
(H26)
出典:2009 認定支援
ネットワーク
1年後の
維持改善率
61%
(H23)
58%
(H25)
6市町のみのデータ
※1:モデル市町調べのH22(H23)データと,国保連提供のH26データの比較 (国保分)
※2:モデル市町調べのH22データと,H25データの比較
維持・改善した指標も多いが,高血圧有病者・予備群の割合,糖尿病有病者等の指
標は悪化した市町が多い。
-17-
< 今 後の課題>
①脳卒中死亡率は他県より高値で推移している。
②75歳未満の脳卒中による年齢調整死亡率には地域で差がある。
75歳未満の脳卒中年齢調整死亡率(H25)
鹿 児 島 鹿児島
市
男性
15.9
15.1
女性
7.9
11.9
南薩
川薩
37.8
10.3
出水
14.3
21.1
姶良・
伊佐
24.3
22.9
24.3
10.0
曽於
17.2
13.9
肝属
27.3
9.2
熊毛
27.8
26.5
奄美
県
39.3
10.9
22.0
11.4
(保健医療福祉課調べ)
③ 2 号 被 保 険者 の 要介 護認 定の 要因の 6割 が脳 卒中 で, そのう ち,1 年後 の介 護 度 維
持・改善率は6割である。
モデル6市町における65歳未満脳卒中発症者の
1年後の介護度維持・改善率
100%
80%
21
29
36
42
悪化
2号被保険者の要介護(要支援)
認 定 者 の 1年 後 の 介 護 度 維 持 改 善
率を把握するために,該当者につ
いて個別の台帳管理等ができてい
た の は , 11モ デ ル 市 町 の う ち 6 市
町であった。
60%
維持改善
40%
31
46
53
59
H22
H23
H24
H25
三次予防(再発・重症化予防)の
取組は今後の課題
20%
0%
(モデル市町調べ)
④事業を評価する指標や方法を明確化する。
<指標の検討>
アウトカム指標
一次予防
(普及啓発)
二次予防
(早期発見・
早期治療)
三次予防
(重症化予防)
アウトプット指標
受療率
・喫煙,飲酒習慣等の生活習慣の改善率,
年齢調整死亡率
・塩分摂取量(随時尿検査結果等)等
発症者の要介護度
維持・改善率
・特定健康診査・保健指導実施率
・メタボ・高血圧,糖尿病治療者数,
予備群数
等
・治療中断者数
・脳卒中による新規2号被保険者数
等
<評価まとめ>
モデル市町の積極的な取組等により,脳卒中による死亡率は改善しているが,
高血圧症予備群・有病者及び糖尿病有病者等の割合は増加していること等から,
発症予防対策は,更に強化する必要がある。また,継続した評価と事業展開が
行われるよう,評価指標や評価方法を明確にすることが必要である。
三次予防については,全般的に取組が不十分であったことから,市町村が積
極的に取り組めるよう,具体的な取組提案を示していく必要がある。
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市町村における「三次予防の取組」提案
□脳卒中対策プロジェクトにおいて,系統立てた三次予防の取組が困難だった
ことから,取組メニュー例を示すこととした
目
標
重 点 目 標
評 価 指 標
具体的な取組
脳卒中による要介護者の重症化予防
脳卒中による新規認定 2 号被保険者の再発及び重症化予防
【アウトプット】
○脳卒中による新規認定 2 号被保険者に対する個別指導
(対象者の50%)
○ケアプランの取り寄せまたは確認
(対象者の90%)
○ケアプラン研修の実施市町村
(100%)
【アウトカム】
○脳卒中による新規認定 2 号被保険者の認定更新時における介護度の改
善・維持率
(対象者の70%)
○再発予防を位置づけたケアプランの増加
(対象者の60%)
○治療中断者の減少
(対象者の20%以下)
① 前年度に脳卒中が原因で要介護(要支援)となった 2 号被保険者の台
帳作成による継続支援
② 担当介護支援専門員の把握
③ ケアプランの取り寄せ(初回時)
④ 脳卒中重症化予防を意識したケアプラン研修の実施
<研修内容例>
・脳卒中の再発予防の兆候と観察のポイント(本人家族・事業所)
・治療の継続と服薬確認
・生活習慣改善(食事・運動・休養・禁煙・適正飲酒)
・水分摂取
・切れ目のないリハ提供(通所や訪問リハ・医療リハ)
・環境改善(住宅改修・自助具) 等
⑤ ケアプランの取り寄せ(更新時または半年後)
→ 再発予防の位置づけを確認
⑥ 関係職種等による支援の導入
・主治医との連携(在宅医療介護連携事業)
・リハ職による支援(地域リハビリテーション活動支援事業)
・歯科医及び歯科衛生士による口腔ケア
・薬剤師による服薬指導
等
⑦ 脳卒中既往者である 2 号被保険者への個別指導
⑧ 住民への啓発
⑨ KDB システムを活用した治療中断者の抽出と治療継続の働きかけ
⑩ 庁舎内連携会議の開催による情報共有と協働
等
※脳卒中による新規認定 2 号被保険者の個別支援を実施する中で,発症前の健康状態の振
り返りを保健事業に活かす視点も重要。
※評価指標の目標値は,各市町村の実情に応じて設定することが望ましいことから,あく
までも例として示している。
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参考
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