3 モデル市町の取組み

3
モデル市町の取組み
-21-
「脳卒中対策プロジェクト」モデル市町取組の成果と課題
成
日置市
果
等
課
題
・全庁的な特定健診受診向上対策
( H22 27.4% → H25 68.6% )
・脳卒中発症者後向き調査結果から地域の
課題を整理 → 糖尿病重症化予防教室
(糖尿病予備群,コントロール不良群の
減少 予備群 H24 60.1%→H26 38.8%
不良群 H23 1.6%→H26 1.1%)
・「健康づくり推進条例」の制定
・継続した取組のため
の体制や予算の確保
枕崎市
・特定健診未受診者を階層化し,受診勧奨
特定健診受診率向上
( H23 29.5% → H26 44.0% )
・若年層の受診率向上
・SMR高い
様々な取組の統合
指宿市
・出張健幸鑑定団
健康に関心のない層へのきっかけづくり
・庁内連携体制の整備
・医療費データ等の活
用
・マンパワー不足
南さつま市
・糖尿病重症化予防教室(新規人工透析患
者の減少,医療機関との連携)
・モデル地区の住民参加型健康教室
薩摩川内市
・食生活改善推進員の人材育成,活動の活
性化
・二次予防との連携
長島町
・地域診断に基づく高血圧対策
「高血圧対策」にポイントを絞った取組
・事業の継続
幼少期からの取組
曽於市
・医療費分析に基づく慢性腎臓病(CKD)
対策(病診連携)
・継続した個別指導の
実施
肝付町
・住民の協力による特定健診受診勧奨
・ハイリスク者を台帳で管理,データの経
年把握,個人面談による重症化防止
(2号被保険者の脳卒中を原因とする要
介護認定者の減少)
・圏域で保健指導の標
準化の検討
・情報提供者へのタイ
ムリーな保健指導
・庁内プロジェクトチームを設置
・モデル地区における重点的取組
・「健康づくり推進条例」の制定
・特定健診受診向上
( H22 20.0% → H26 37.1% )
・SMRの改善
男性 109.2 → 71.7
女性 110.8 → 72.3
・若年者や経年未受診
者対策
西之表市
-22-
・働き盛り世代への介
入
成
徳之島町
伊仙町
果
等
課
・塩分・糖分の指導媒体の工夫
・特定健診受診者の塩分摂取量の減少
H26,H27の経年受診者のうち,摂取塩分
が1g減少した者 180人(3割)
・受診者の反応の変化
「指導された」→「わかってよかった」
題
・若年者への支援
・後向き調査により課題が明確化,職員の ・多量飲酒者,治療中
意識も変化
断者への支援
・分析データを活用した住民への啓発
・議会,地域関係者との検討会(年2回)
・特定健診受診率 60%維持
・総医療費の減少
・死亡者の減少(H22 19人→ H25 11人)
<まとめ>
区
分
推 進 体 制
成果の
あがった
要因等
疫学調査
医療費分析
データの活用
後向き調査
個 別 支 援
成果を
あげるため
の課題等
県の課題
内
容
・プロジェクト推進チームの設置
・地域関係者との協議の場の設置
・全庁的な特定健診受診率向上プロジェクト
・住民を巻き込んだ事業の実施
・医療費分析にじっくり取組む
(国保システムの活用等)
・データに基づく事業推進
(例)糖尿病重症化予防教室
→新規透析導入患者の減少
・外部スーパーバイザーの活用
・脳卒中患者への個別の聞取りにより個別課題の
抽出
・事例検討等により関係者間の課題意識の共有
・個別課題から地域全体の課題を検討
・ハイリスク者への継続的個別支援の実施
・関係者が一堂に会し協議する場がない。
・医療費分析等のデータの活用が不十分,戦略的に事業に取り組
めない。
・事業の統合ができていない。
・三次予防の取組は不十分
・事業の分析・評価
明確な目標や指標を提示した上で,事業成果分析・評価
-23-
市町名
(取組期間)
市の概要
日置市(平成23年度から27年度)
人口 50,556人,高齢化率 30.53%(H26.10現在),
脳卒中SMR 男性 102.1 女性 100.7(H21-25)
薩摩半島の中央に位置し、鹿児島市に隣接する。平成17年に旧4町合併し、中心部である伊集院町に
人口が集中し,山間部等では過疎化がすすむ。
●H23医療費分析の実施から
①健診、医療機関未受診者の重症化⇒透析,脳卒中発症
モデル事業 ②医療機関との連携(治療中者のコントロール不良)
③働き盛り世代の発症
の取組開始 ●課題からの対策
時の課題等 ①特定健診受診率の向上
②地域・医療機関と連携した生活習慣病対策(糖尿病・高血圧)
③企業と連携した健康づくり・若い世代へのアプローチ
●特定健診受診率65%
評価指標と
●糖尿病コントロール不良者の減少
目標値
●2号被保険者のうち脳卒中新規申請の減少血圧140以上,90以上または服薬中の者の割合の減少
取組経過・事業内容
区分
H23
推進体制
・医療費,介
護給付費,
福祉費まで
を一連で分
析
・医療費分析
結果検討会
を実施し課
題を明確化
し,関係者
で共有
一次予防
二次予防
三次予防
①健康づくりの環境整備等
②医療機関と連携した
(1)医療費等の分析結果を市民
糖尿病教室
(対象者の紹介等)
へ啓発
(2)日置市脳卒中総合対策に係
る取組方針の決定
H24
・「健康づくり ②糖尿病・高血圧予防を中心と ①地域・行政・医療が一
①疫学調査の63事例の検
した健康教育の実施(行政・
条例」の制定
討, 課題のまとめ
体となった特定健診受
・全庁的な受
食改)
(保健・国保・介護)
診率向上対策の実施
診率向上プ
(3年間の受診率向上
ロジェクト
プロジェクト)
・疫学調査の
→受診率の著しい向上
実施
(55.9%)
②医療機関と連携した糖尿
病教室,OB会の開催
(受診率向上により対象
者増 )
H25
・疫学調査(振
り返り)検討
会
・全庁的な受
診率向上プ
ロジェクト
・地区公民館
における高
血圧予防教
室の全地域
開催に向け
た説明会の
実施
②地区公民館における高血圧
予防教室の実施及び人材育
成
(1)塩分測り隊の育成
(塩分測定実技)
(2)高血圧予防教室の開催
(5地区)
③健康教育(若年者向け)
(1)養護教諭への啓発,学
校保健委員会との連携
-24-
①特定健診受診率向上プ
ロジェクト
(1)看護師による未受診者
訪問
(2)地区公民館主体の受
診勧奨活動
→優良自治会表彰,地
元商工会で使用でき
るクーポン券事業
③(若年者)再発予防対策
(1)ヘルパーを対象とした
減塩メニューの実践,
高血圧症対策の学習
会の開催
(2)ケアマネを対象とした
高血圧症対策の学習
会の開催
区分
推進体制
一次予防
二次予防
②重症化予防
(1)結果報告会で高血糖
者への歯科指導
(2)保健事業支援システ
ム,あなみツールを活
用した重複疾病保持者
の保健指導
(3)特定健診受診者の全
員個別指導
(4)医療機関と連携した糖
尿病教室,OB会の開
催
H25
H26
H27
三次予防
・全庁的な受 ②地区公民館における高血圧
診率向上プ
予防教室の実施
ロジェクト
(1)高血圧予防教室の開催
・禁煙対策に (2)保健推進員が中心となっ
向けた地元
たミニ啓発事業
商工会の分
煙状況調査
の実施
・妊産婦要
フォロー者
(高血圧、
血糖、タンパ
ク尿)振り返
り調査及び
検討会
・全庁的な受
診率向上プ
ロジェクトを
保健推進員
の受診勧奨
活動にシフト
・地域振興局,
事業所と連
携し市民向
けに脳卒中
予防フォーラ
ムを開催
②地区公民館における高血圧
予防教室の実施
(1)高血圧予防教室の開催
(2)保健推進員が中心となっ
たミニ啓発事業
③受動喫煙対策,COPD対策
市報に受動喫煙に関する健
康情報掲載,全戸配布
④保健指導従事者のスキルア
ップの研修会開催
①-(1)(2)継続実施
②-(1)(2)(3)(4)の実施
(5)治療中断者訪問の実
施
(6)妊産婦要フォロー者
(高血圧,血糖,タンパ
ク尿)指導の徹底
③(若年者)受動喫煙対
策,COPD対策発症
リスクの軽減
③(若年者)再発予防対策
(1)介護サービス事業所
連絡会でケアマネ等の
塩分摂取量測定
(2)脳卒中の視点を入れた
ケアプラン点検を16事
業所で実施,脳卒中啓
発チラシの配布データ
ホライゾンを活用し治療
中断者を抽出
(7)市報に受動喫煙に関す
る健康情報掲載,全戸
配布
③(若年者)再発予防対策
①-(1)(2)継続実施
②-(1)(3)(4)(5)(6)の実施 (1)脳卒中再発予防を視点
にしたケアプラン検討研
③-(1)の実施
修の開催
(2)脳卒中の視点を入れた
ケアプラン点検を16事
業所で実施
(3)脳卒中予防フォーラム
にてシンポジウムを実
施(早期リハビリ,再発
予防,生活リハビリ等な
の内容)
評価
・高血圧予防教室(H25∼27年)日置市全26地区公民館で実施:24カ所、参加者 685人(H27.11月現在)
・糖尿病重症化予防教室(H22∼26年):回数(3回+個別) 、参加者148人(実人数)
プロセス評価 ・特定健診受診率 27.4 %(H22), 29.4 %(H23), 61.5 %(H24), 68.6 %(H25), 69.7 %(H26)
・特定保健指導終了率 32.1% (H24) → 35.6% (H26) HbA1C5.6↑(69.7%:H24⇒38.8%:H26)
成果
振り返り調査を実施した結果,健診・医療機関未受診者や,生活習慣病が重症化し脳卒中を発症して
いるケースが多かったため,特定健診受診率対策を主軸として実施。その結果,受診率は飛躍的に増加
し,また,健診受診者の要フォロー者に対する指導を徹底したところHbA1C等生活習慣改善に関するデ
ータの改善が見られた。
また,国保医療費の伸び率の減少など医療費適正化としての評価もできる。
特定健診受診率上昇とともに,特定保健指導対象者増加し,指導対象者数が多く実施率が低迷して
いる。
今後の課題 脳卒中を主病とした新規介護保険二号被保険者が増加しているため,企業連携を含めた若年者対策
が必要。
女性の脳卒中SMRが依然として高め。女性の高血圧,脂質異常症等生活習慣対策が必要。
-25-
テーマ : 医療費分析による地域診断と連携による取組
-26-
市町名
(取組期間)
市の概要
枕崎市(平成23年度から27年度)
人口 23,071 人,高齢化率 34.19% (H26.10),
脳卒中死亡率(H25)( 男性216.0 女性199.9 )
国保被保険者数 23,071人 国保加入率 30.6% (H26.10)
疾病分類統計 H23.5月 (点数上位 1位統合失調症 2位悪性新生物
3位高血圧性疾患 4位糖尿病 5位腎不全 6位脳梗塞)
H26.5月 (点数上位はH23.5月と順位同じ)
●脳卒中の標準化死亡比が県内ワースト1位(H17∼H21年 男性168.3 女性164.4)
モデル事業の ●7大疾患医療費の一人あたり費用額が県平均より高い。
(H23年5月 枕崎市 14,799円,県 12,638円 1.17倍)
取組開始時 ●特定健診受診率が低い。
の課題等 (H20 21.7%,H21 26.8%,H22 29.3%,H23 29.5%,県H23 36.1% )
●H22 特定健診項目別異常率の空腹時血糖値(男性)57.5%
LDLコレステロール値(女性)59.8%が高い。
●特定健診受診率を65%
評価指標と ●メタボリックシンドローム該当者・予備群割合を
10%に減少
目標値
●脳卒中の標準化死亡比の減少
健康寿命の延伸
QOLの向上
脳卒中による早世減少
取組経過・事業内容
区分
H23
H24
H25
推進体制
一次予防
・既存データや医療 ・尿中塩分モニター購入
費の分析
・初めて医師会と課
題について協議(枕
崎市医療懇談会),
地区組織,住民代
表も参加
二次予防
・医療機関から特定健診の
情報提供を受ける
・医療機関から提供された
データの分析
(専門業者へ委託)
・分析内容について講演会
①健康づくりの環境整備,気運
醸成
・医療費分析結果を活用した
講演会(委託)
・公民館講座
・減塩モニターによる市民へ
のモニタリング
・ダイエットコンテスト
②人材育成,意識高揚
・保健推進員の研修会の
充実
・結果報告会での0.8%の味噌汁
(具だくさん)
・バランスのとれた減塩ランチ
(結果報告会後,抽選で招待)
・ダイエットコンテスト
-27-
三次予防
・後向き調査
・後向き調査
・ハイリスク者の抽出と保健
指導(委託)
区分
推進体制
H26
H27
・庁内では「健康まく
らざき21」の検討会
で協議
・「健康まくらざき21
策定検討懇話会」
で検討
(医師会,歯科医
師会,各事業所,
住民等)
一次予防
二次予防
①健康教育
・0.8%の味噌汁の試食,結果
報告会での「減塩,野菜摂取
のこつ」指導,アンケート実施
・ダイエットコンテスト
・公民館講座
②尿中塩分摂取量測定(厚生連
健診)
①受診率向上の取組
・特定健診未受診者の
階層化,受診勧奨
①健康教育,啓発
・結果報告会での減塩味噌汁
の試飲,アンケート
・広報誌による簡単野菜レシ
ピ掲載
②特定健診追加問診票の実施
③尿中塩分摂取量測定
(集団健診)
①若年者の受診率向上の
取組
②受診率の高い自治公民
館表彰
③ハイリスク者への健康
講話,教室
●特定健診ハイリスク者への講話・教室
H26年度 延69人/8回
プロセス評価 ・結果報告会時,特定健診ハイリスク者への保健指導 110人/15回
●特定保健指導 H26年度 37.2%
●減塩みそ汁0.8%試食 H26年度 1,000人/15回
H25・26年度アンケート実施
今後の課題
●特定健診受診率の上昇
(H20 21.7% → H26 44.0%)
●女性の脳卒中SMRの減少(H17∼21 164.4 → H21∼ 25 128.9)
※ 男性は上昇 (H17∼21 168.3 → H21∼ 25 175.3:県下ワースト2位)
→今後の課題
●特定健診ハイリスク者教室後のフォローができていない。
●特定健診血糖値有所見者への指導が不十分である。
●男性の脳卒中SMRが依然として高い状況である。
※ 三次予防(重症化予防・再発防止)の取組
-28-
・治療中断者
の把握がで
きない
②特定健診ハイリスク者へ
の講話,教室
評価
成果
三次予防
・治療中断者
の把握,医
療機関との
連携の検討
テーマ:ターゲットを絞った特定健康診査受診率向上対策
1
枕崎市の現状(特定健康診査受診率向上対策に取り組んだ経緯)
①標準化死亡比(SMR)が男女とも県内ワースト1位
16,000
168.3
180
②一人あたりの7大疾病医療費が県平均
より高い。(単位:円)
164.4
160
140
12,918
12,000
112.9
120
14,799
13,196
14,000
111.6
100.0
100.0
10,000
100
80
8,000
60
6,000
40
4,000
20
10,976
7,585
10,089
7,384
枕崎市
県
2,000
0
枕崎市
県
国
枕崎市
男
県
国
0
H20
女
③特定健康診査の受診率が県平均より低い。
30.3
26.8
30.0
29.5
29.3
28.0
H22
H23
※課内で協議
特定健診の受診率が60%ないと地域
の姿は見えない。
まずは,特定健診の受診者を増やし,
地域の姿(市民の生活や健康の状態)
を把握し,対策を検討しよう。
36.1
32.7
H21
(脳血管疾患,糖尿病,高血圧,高脂血症)
40.0
35.0
12,638
枕崎市
25.0
県
21.7
国保保健事業を活用し,「特定健康
診査未受診者対策」に取り組もう!
20.0
H20
2
H21
H22
H23
取組の概要
①工夫した点
H23
医療機関等からの情報提供制度の開始
H24
医療機関との連携強化による情報提供の増加
H25∼
H27
特定健康診査自己負担の無料化,個別健診の期間延長,未受診者受診勧奨
集団検診受診会場の環境整備,大型店舗前(2店舗)でのチラシ配布
自治公民館表彰制度(H27から):受診率部門,増加値部門 各3地区
②受診勧奨の対象者と受診方法の検討(脱漏健診前に実施)…
※
未受診者の分析
訪問勧奨対象者
選定の理由
H25
・過去3年間に1回も受診していない方
・54歳から64歳の方
411名
・健診の受診歴のない方は,脳卒
中発症の危険度が有意に高い。
H26
・過去3年間に1回も受診していない方
・45歳から54歳,65歳から67歳
202名
・一人あたりの医療費の高い年齢
層,生活習慣病の好発年齢層
H27
・過去3年間に1回も受診していない方
で,生活習慣病で通院中の方
・受診率の低い自治公民館から抽出
215名
・健診の受診歴のない方のうち,
生活習慣病で通院治療している
方が多い。(5割位)
従事者・方法:国保担当6名+保健センター2名(事務職),2名一組で最低3回訪問
-29-
※
電話勧奨対象者
選定の理由
H26
・H25の未受診者のうち,H23また
はH24の受診している者
319名
H27
・H26の未受診者のうち,H24また
はH25の受診者で,生活習慣病で通
院中の方
215名
・過去に受診歴にある方は,電話
勧奨により受診する可能性が高
い。
・事前アンケートで「通院中のた
め受診しない」と回答した者が
多かったため。
従事者・方法:保健師等8名,不在の場合は電話の時間帯を変えて連絡
③受診勧奨の結果(成果)
訪問勧奨
電話勧奨
実施数
受診者数
実施数
受診者数
H25
面接
287名
不在ポスティング
121名
所在不明
3名
43名(15.0%)
3名( 2.5%)
計46名(11.2%)
H26
面接
176名
不在ポスティング
26名
24名(13.6%)
0名( 0.0%)
計24名(11.9%)
電話
216名
不在
42名
電話番号不明
61名
56名(25.9%)
3名( 7.1%)
7名(11.5%)
計66名(20.7%)
H27
面接
168名
(途中経過) 不在ポスティング
47名
12名( 7.1%)
3名( 6.4%)
計15名( 7.0%)
電話
212名
不在
79名
電話番号不明
184名
62名(29.2%)
7名( 8.9%)
21名(11.4%)
計90名(19.0%)
④評価・分析
・評価指標(受診率60%)には達しなかったが,受診率向上の効果はあった。
・受診率向上の要因
訪問勧奨:過去3年間の未受診者の掘り起こしができた。
電話勧奨:経年受診の必要性を啓発することができた。
過去に受診したことのある方が対象だったことから,訪問勧奨に比較し受診
率が高い。
3
成果及び残された課題
<成果>
特定健診受診率が平成24年度に県平均を超え,維持
H24
H25
H26
県
枕崎市
40.8
40.9
40.9
44.0
42.4
44.0
H24:情報提供制度の導入
H25:は自己負担無料化,健診期間延長
<課題> 平成26年度特定健康診査受診状況(年代別・性別)
壮年層(40∼50歳代)の受診率の改善 → 今後は事業所へ出向き受診勧奨する予定
70∼74
男
276
65∼69
314
345
60∼64
192
55∼59
60
50∼54
33
45∼49
33
40∼44
30
0
70∼74
368
女
320
414
65∼69
370
60∼64
146
273
55∼59
112
117
50∼54
132
45∼49
104
374
58
30
358
316
158
113
93
40∼44 23 77
200
400
600
800
-30-
0
200
400
600
800
市町名
(取組期間)
市の概要
指宿市(平成24年度から27年度)
人口 42,722人,高齢化率 33.31%(H26.10現在)
脳卒中死亡率(H24) 217.0(人口10万対)
市民が健康で元気に暮らせる,新しい都市モデル「スマート・ウェルネス・シティ(SWC)構想」
を実現 していくための施策を展開している。
●平成22年度の市民1人当たりの医療費は約39万円
県平均より4万円弱,全国平均より9万円弱高い。
特にがん,脳卒中,腎不全など生活習慣に関わる疾患の割合が高いのが特徴。
モデル事業
の取組開始
時の課題等 ●脳卒中のSMR(H20∼24)が男性129.6,女性130.6と全国平均より高い。
●脳卒中ハイリスク者等への保健指導が課題
〔特定健診受診者〕
●血圧140以上,90以上または服薬中の者の割合
評価指標と
H22 54.8% (目標値)H27はH22年度比で出現率の現状維持
目標値
●空腹時血糖126以上又はHbA1c6.1以上又は服薬中の者の割合
H22 12.1% (目標値)H27はH22年度比で出現率の現状維持
健康寿命延伸
医療費等の適正
取組経過・事業内容
区分
H24
推進体制
一次予防
二次予防
・保健,国保, ①健康づくりの環境整備,気運
介護の担当 醸成
者で協議
三次予防
・後向き調査
・事例検討
・発症要因振り返り調査
①健康づくりの気運醸成,環境 ①受診率向上の取組,人
材育成
整備
・健診未受診者訪問指導
・健康づくり応援クーポン券
員(健康推進員)の
配布
養成
・健幸マイレージ制度開始
→受診率徐々に向上
・地区運動場,ウオーキング
・追加健診(2月)
ロード整備への助成
H25
H26
②健康教育・啓発
・特定保健指導非該当者へ
の健康・運動教室
②ハイリスク者への支援
・健診データ,医療費分
析によりハイリスク者の
選定
①健康教育
・働き世代の栄養塾
・シルバー料理教室
・健幸教室5地区
①受診率向上の取組
・電話を主とした対象者
全員への受診勧奨
②ハイリスク者への生活
改善教室,頸部エコー
検査
-31-
・データホライゾンを活用し
治療中断者を抽出
区分
H27
推進体制
・保健,国保,
介護の各担
当課長,係
長,係員に
よる医療費
分析結果を
基に,具体
的事業推進
について協
議
一次予防
二次予防
①人材育成・地区組織活動の
推進
・管理栄養士から食生活改
善推進員へ減塩料理につ
いて指導
・食生活改善推進員が市民
へ減塩料理教室を開催
①受診率向上の取組
・はじめて健診対象となっ
たであろう40・41歳対象
者に受診勧奨
三次予防
①研修会の開催
・介護支援専門員を対象
・テーマ「脳卒中の再発・
悪化予防のための在宅
ケア・ケアマネジメント」
②ハイリスク者支援
・高血圧症治療ガイドライ ②治療中断者への訪問指
導体制の確立
ンに基づきハイリスク
者の抽出
②健康教育・啓発
・スーパー等での減塩みそ ・二次検査(頸部エコー),
結果に基づく指導
汁試飲やみそ汁塩分濃度測
・尿中塩分濃度高値者へ
定,減塩料理教室
の減塩教室
③高血圧症以外のハイリス
ク者への訪問指導等
評
価
・様々な機会を捉えて脳卒中発生予防や早期対応・減塩指導を実施することができた。
・減塩指導は講義だけでなく,調理実習も取り入れることにより,減塩メニューを住民に体験して
もらうことができた。
【高血圧(減塩)の健康教育】 H24 H25 H26
一次予防 54回 52回 55回
二次予防 0回 1回 6回
・データホライゾンに委託し医療費・特定健診結果を分析し事業計画を作成できた。
その結果を広報誌に掲載し住民への周知を図ることができた。
プロセス評価
・平成25年度から「健幸のまちづくり」として,運動しやすい環境整備の支援や運動教室を
開催した。また子育て世代や高齢者の運動教室も開催するなど,幅広い年齢層に運動
習慣を促す取り組みができた。
・ハイリスク者へ二次検査・生活改善指導を実施した。
時期が遅く参加者が少なかったが,ハイリスク者 へアプローチする体制は構築できた。
また頸動脈エコー検査から動脈硬化の治療につながった者もいた。
【頸動脈エコー検査】 対象者 受診者 要精密者 要精密率
H26 90人 16人 1人 6.25%
H27 84人 19人
8人 42.11%
●特定健診受診率 H22:37.3% → H24:41.4% → H25:40.5% → H26:41.4%
●特定保健指導実施率 H22:15.8% → H24:33.6% → H25:39.3% → H26:44.4%
●運動習慣有りの割合 H22:55.1% → H23:57.6% → H24:58.1% → H25:58.9% →
H26:58.2%
成果
●喫煙習慣有り H22:10.2% → H23:8.5% → H24:9.2% → H25:9.2% → H26:9.2%
●血圧140以上,90以上または服薬中の者の割合〔特定健診受診者〕
H22 54.8% → H26 51.9%
●空腹時血糖126以上又はHbA1c6.1以上又は服薬中の者の割合〔特定健診受診者〕
H22 12.1% → H26 12.8%
・国民健康保険1人当たり総医療費(H22年度:387,617円→H26年度:420,062円)が増加
・脳卒中SMR(H21∼25)が男性131.1,女性134.9と全国より高く,H20∼24より悪化
今後の課題
今後もハイリスク者への二次検査・健康教育や,治療中断者への支援を継続し,脳卒中の発生
予防・重症化予防を図っていきたい。
-32-
テーマ:健康づくり無関心層への働きかけ・・・出張健幸鑑定団
(課題)
●平成26年度1人あたり年間医療費(国保)
●指宿市の人口の変化(H26.9.1現在 42,748人)
(目標)
●市民の健康寿命延伸+市の医療費等の適正化
(取り組みの概要)
●健康に関心がある人々のみが参加するのではなく、市民誰もが参加するような健康づくりに関する施
策や事業を展開し、住民一人ひとりが健康と生きがいを持ち、安全安心で豊かな生活を営むことができ
る『健幸』のまちづくり」に取り組む。
○ 出張健幸鑑定団
【スタッフ】
・保健師(看護師)
・管理栄養士
・スポーツインストラクター
【内容】
・体組成計で体内年齢を測定
・血圧測定 ・健康相談,アドバイス
・適正な塩分濃度で作ったみそ汁の試飲
・家庭で作ったみそ汁等の塩分濃度測定
(成果)
●多くの人が利用する店舗等に出張し,健康度を鑑定。市民にあった食事・運動法等のアドバイス。
健診を受ける年代だけでなく,若年層から自分の健康づくりに関心を持ってもらうきっかけになり,より
多くの人に気軽に参加してもらえる場ができた。
●金融機関,スーパー,イベント会場など6会場で開催
● 参加者へのアンケート調査結果
血圧測定するようになった,ウォーキング等の運動をするようになった, うす味を心がけるようになった
● 課題
イベント会場などは若年層の参加も多いため,運動や食生活について個別に話をしたいが,マンパワー
不足で満足いく指導ができていない部分がある。
-33-
市町名
(取組期間)
市の概要
南さつま市(平成24年度から27年度)
・人口38,898人,高齢化率35.9%(H26.10)
・薩摩半島の南西部に位置し,市の総面積の58.9%が
森林で中小の山々が連なり,
・平野は河川流域に沿って開けている。
・平成27年12月31日現在の世帯数は17,893世帯で,
年間出生数は258人(H26)
●医療費 一人あたりの医療費が県下ワースト1位の高額
●腎不全,高血圧性疾患はそれぞれ医療費総額の6.1%,5.4%を占めている。
人工透析患者が増加傾向
モデル事業の ●高血圧性疾患の患者数は,被保険者の3割を占める。
取組開始時 ●循環器疾患治療者の割合が高い。
の課題等 ●脳卒中SMR値(H20-24) 男136.5 女130.5と高値で,男女共県内43市町村中第6位
健康寿命が県平均より1歳短い。
●特定健診受診率H23年度51.7%、H24年度52.7%と県平均は上回っているが,国目標値
60%に及ばず。
評価指標と ●医療費
●SMR
目標値
取組経過・事業内容
区分
H24
H25
推進体制
一次予防
二次予防
①健康教育・啓発
・大学との連携によ ・4地区で減塩メニュー,他の
る健康長寿まちづ
地域では結果報告会,母子
くり
健診で普及
①健康教育・啓発
・地域における減塩メニュー
試食,講話
・イベント,母子健診等での
啓発
・減塩メニューの普及
三次予防
・脳卒中発症者の
把握が困難→介
護部門との事例
検討を計画
①ハイリスク者への支援
・国保データの活用
・レセプトと特定健診デー
等を検討
タを基に医療費分析から
ハイリスク者を把握,保
健指導
②脳ドックの推進
③糖尿病重症化予防教室
H26
①健康教育
①医療費分析等から対象者 ・地域包括支援セン
・結果報告会での減塩メニュ
を抽出し, 重症化予防教 ターとの連携 (脳
ーの試食
室(糖尿病性腎症の予
プロに関する啓
・厚生連健診で塩分濃度測
防)
発)
・「アクションプラン」
定622名
の作成・検討
・医療費適正化パンフレット
で脳卒中を啓発
-34-
区分
H27
推進体制
一次予防
①健康教育・啓発
・モデル地域でアンケート・
健診・高血圧予防教室
・自己測定の普及
・脳卒中プロジェクト ・塩分濃度測定
チーム始動
・減塩メニューの試食
二次予防
三次予防
①重症化予防教室
・地域包括支援セン
・医師会との連携による対 ター等介護事業者
象者の選定
との連携強化
・糖尿病重症化予防教室
人工透析新規導入者ゼ
ロ
②脳ドックの補助額の増額
③要精密者及びハイリスク
者への受診勧奨,経年受
診の勧め
評価
●糖尿病重症化予防教室
H25(1クール12名)H26(2クール19名) H27(1クール2名、現在11名に通知)
医師会の協力体制あるも意識に差異あり。
医師指示箋に合わせた指導ができ終了後は主治医へ報告し連携強化を。
電話・文書のみ意識の低い方の参加に向け、対象者への訪問を実施。
プロセス評価
個々の状態に合わせた指導(個別・集団)強化。
●幸血圧プロジェクト(モデル地区)4地区でのアンケート、健診、教室を開催。(進行中)
地域住民への事前周知度により健診、アンケート等の参加や回収に差あり。
住民説明会時期等の再検討が必要である。
社保加入者や若年者への周知が難しい。
成果
今後の課題
●新規透析患者数に変化あり。医療機関との連携ができつつある。
●モデル地区の地区把握ができ、地域リーダーと協議しながら地域特性を活かした、きめ細
かな教室内容の検討ができつつある。
●地域での健康話題や声かけが増えたことで、健康意識向上が見られた。しかし社保加入
者、若年者の参加が難しい。
●若い世代からの血圧管理(健康づくりの意識)強化
●モデル地区の継続フォローのための地域力の向上・強化
●医療費・脳卒中SMR減少
-35-
テーマ: 健康課題を明確にして,ターゲット・地域を絞った事業の展開で
医療費削減につなげる
南さつま市の現状
平成 25 年南さつま市国保医療費の状況
医療費総計 4,456,971,700 円
患者数 95,848 人(延べ人数)
階層化によるターゲットの抽出
(糖尿病・糖尿病性腎症)
糖尿病重症化予防教室
(糖尿病性腎症から透析への移行を減らす)
糖尿病の合併症ならな
いように病気にきちんと
向き合う機会になりまし
た!
どのような運動をどのく
らいしたらいいかわかっ
て、運動を始めるように
なりました!
血糖値が改善されてきました!
地域で健康の話題が増えてきた。歩く人が
増えた。
車を使わず近場は歩くようになった。(万歩
計の歩数など)
間食が減った(会合等でも食べないように。
減らすようになった)等々
地域の役員を中心に、住民が声をかけあう
ことで健診受診アップにつながった。
課題:まだまだ、これからが本番!⇒結果は数年単位で・・・(継続)
教室・フォローの継続しながら,地域リーダーとともに,地域力をいかに育てていくかが課題
特に地域の特性を活かした事業展開
-36-
市町名
(取組期間)
薩摩川内市(平成24年度∼27年度)
市の概要
人口98,487人 高齢化率28.7%【H26.10.1現在】 脳卒中死亡率(H26)(147.9)
推計人口では平成37年には人口88,781人、高齢化率33.3%となる予測
モデル事業
の取組開始
時の課題等
●脳卒中のSMRが全国・県と比べ高い。
●介護給認定率も高い。(要介護の原因疾患の第一位が脳卒中)
●医療費分析により課題を明確化(課題:循環器系の疾患の割合が高い )
●人口動態,医療費,特定健診データ,疫学調査,介護給付費等のデータを活用し分析
●肥満者(BMI≧25.0)の割合:20∼69歳男性 15%以下 40∼69歳女性 16%以下
●腹囲85cm以上の人の割合:40歳以上男性33%以下
●腹囲90cm以上の人の割合:40歳以上女性 13%以下
評価指標と ●特定健診受診率:65%以上
●特定保健指導実施率:45%以上
目標値
●メタボリックシンドローム該当者:716人以下 予備群:670人以下
●高血圧有病者(40∼75歳):1681人以下
●脂質異常症有病者(40∼75歳):691人以下
取組経過・事業内容
区分
H24
H25
推進体制
一次予防
二次予防
・企業を含め ①健康教育・啓発
た地域関係 ・食に関する健康教育,減塩
者の協議
キャンペーン,減塩料理教室
・市民健康
・医師による講話(脳卒中)
課,保険年 ・広報紙への掲載
金課,高齢 ②地区組織育成
介護福祉課 ・健やか支援アドバイザー,食
と連携して
生活改善推進員研修会等で
検討
健康教育
地域の関係
者との連絡
会(健康づくり
推進協議会,
生活習慣病
対策作業部
会,栄養・食
生活対策作
業部会)
①健康教育・啓発
・食に関する健康教育,減塩
キャンペーン,減塩料理教室
・39歳,59歳を対象とした健康
教育
・広報紙への掲載
②地区組織育成
・健やか支援アドバイザー,食
生活改善推進員研修会等で
健康教育
・医師による講話(脳卒中)
-37-
三次予防
①特定健診受診率向上の ・ケアプランチェック
取組
・コールセンターでの電話
による受診勧奨
②生活習慣病の早期発見・
重症化予防
・特定保健指導
③医師による講話(糖尿
病)
①特定健診受診率向上の
取組
・コールセンターでの電話
による受診勧奨
②生活習慣病の早期発見・
重症化予防
・特定保健指導
・糖尿病重症化予防事業
・医師による講話(糖尿
病,高脂血症:特定健診
結果を元に対象者へ案
内)
・居宅介護支援事業所・在
宅介護支援センター連絡
協議会での啓発
・ケアプランチェック
区分
H26
H27
推進体制
一次予防
二次予防
三次予防
①特定健診受診率向上の
取組
・コールセンターでの電話
による受診勧奨
②生活習慣病の早期発
見、重症化防止
・特定保健指導
・特定保健指導対象者以
外の要フォロー基準をき
め保健指導(糖・血圧・
CKD)
・糖尿病性腎症重症化予防
事業
・医師による講話(CKD:
特定健診結果を元に対象
者へ案内)
・ケアプラン会議にて重症
化予防,再発予防を含め
た支援計画になるようケア
マネージャーの後方支援
地域の関係
者との連絡
会(健康づくり
推進協議会,
生活習慣病
対策作業部
会,栄養・食
生活対策作
業部会)
①健康教育・啓発
・野菜摂取を重点とした食に関
する健康教育
・全戸への野菜摂取のチラシ
配布
・減塩キャンペーン,減塩料理
教室
・ヘルシーメニュー提供事業
・医師による講話(脳卒中)
・61歳を対象とした健康教育
②地区組織育成
・健やか支援アドバイザー,食
生活改善推進員研修会等で
健康教育
地域の関係
者との連絡
会(健康づく
り推進協議
会)
①健康教育・啓発
①特定健診受診率向上の ・ケアプラン会議にて重症
・食に関する健康教育,減塩
取組
化予防,再発予防を含め
キャンペーンや減塩料理教室 ・未受診者への電話によ
た支援計画になるようケア
・ヘルシーメニュー提供事業
る受診勧奨
マ ネージャーの後方支援
・広報紙への掲載,ラジオによ ②生活習慣病の早期発
る周知
見、重症化防止
・特定健診結果報告会等で脳
・特定保健指導
卒中予防のチラシを配布
・特定保健指導対象者以
②地区組織育成
外の要フォロー者の基準
・健やか支援アドバイザー,食
をきめ,保健指導(糖・血
生活改善推進研修会等で健
圧・CKD)
康教育
・糖尿病性腎症重症化予
③糖尿病患者自主Gへの支援
防事業(社保の被保険
者にも実施)
・医師による講話実施予
定(糖尿病、高血圧:健
診結果を元に対象者へ
案内)
・CKD予防ネットワーク活
用(特定健診結果報告会
で受診勧奨)
評価
・普及啓発を促進し、地域における脳卒中に関する教室等の実績が増えた。
プロセス評価 ・ハイリスク者への個別面接を行うようにし個別支援の強化をはかり、面接者数の数が増えた。
成果
●脳卒中死亡率 H24:170.4 → H26:147.9 県と比較するとまだ高いが,減少。
●特定健診の受診率の向上
●特定健診の受診者のうち、高血圧の有病者の割合は減少してきている(男女計H23:30%→H27:22%)
●地域のリーダーである食生活改善推進員による普及啓発活動の実績増加と地域住民の意識向上が
みられた。教室参加者アンケート結果から薄味を心がける、調理方法や実践方法など食生活の意識
や実践などに改善が見られた
●ポピュレーションアプローチ(普及啓発の継続)
●生活習慣に関連した疾患の発症、重症化予防
今後の課題 ●血糖及び高血圧コントロール不良者の減少
●医療機関との連携をはかる
-38-
テーマ:ソーシャルキャピタルを活用した脳卒中予防の地域住民への普及啓発
薩摩川内市の現状
・脳卒中の標準化死亡比(SMR)が全国と比べて高い
・医療費について、件数・医療費共に循環器系の疾患(脳卒中や脳卒中の発症のリスク要因となる疾患
の割合が最も高い。
・介護認定率が高い(要介護状態の原因疾患は脳卒中が最も多い)
ソーシャルキャピタル
取組の概要
地区コミュニティ協議会
子育てサロン
自治会
地区青年団
・減塩料理教室
・健康づくり栄養教室
・減塩運動キャンペーン ・食育の日キャンペーン
(全地区,全地区コミュニティ協議会での開催が目標)
市保育連合会
学校
高齢者サロン
家庭教育学級
食生活改善推進員
継続支援
地区組織活動の活性化
市の栄養士・保健師
事業実績
取組事業
平成24年度
平成25年度
平成26年度
回数
人数
回数
人数
回数
人数
減塩料理教室
23
362
20
317
17
305
健康づくり栄養教室
42
882
44
856
47
848
減塩運動キャンペーン
33
883
44
1239
31
961
「食育の日」キャンペーン
22
1520
18
1009
15
1503
評価(アンケート)
課題: 今後,評価の向上を目指して,推進を継続する。→ソーシャルキャピタルの醸成
地区の推進員が居住地で推進するので、参加者も顔なじみ!1回のみ教室であっても、つながって
継続した効果(減塩,野菜摂取の推進の声かけ,気になる方を専門職へつなげる等)が期待できる!
-39-
市町名
(取組期間)
市の概要
長島町(平成23年度から27年度)
人口 10,969人,高齢化率33.5% (H26.10),
脳卒中死亡率(人口10万対) H22 1.99,H23 1.65, H24 1.29, H25 1.42
合計特殊出生率 全国17位2.06(H20∼24)全国7位2.05(H15∼19 )
鹿児島県の最北端の町で四方を海に囲まれている。 2次医療機関は町内にない。
●脳卒中死亡率が,県内で男性ワースト4位,女性13位(H23)
モデル事業の ●疫学調査の結果,脳卒中や高血圧が健康課題であることが明確になった。
取組開始時 ・脳卒中発症は,高血圧,糖尿病,脂質異常,心臓病等の既往歴がある者が多い。
の課題等 ・喫煙者は発症率が高い。
・発症の原因は,仕事のストレス,長時間労働,多量飲酒,未治療
●一次予防:脳卒中に係る町の現状や脳卒中予防について,住民の意識を高め,生活習慣
の改善を図る。
評価指標と ●特定健診受診率50%以上 ・二次予防:家庭血圧測定の啓発。高血圧のコントロール不
目標値
良者を減らす。
●三次予防:脳卒中には再発があることを住民に周知する。
取組経過・事業内容
区分
推進体制
一次予防
二次予防
・65歳未満の脳卒
中による要介護
認定者の訪問調
査(後向き調査)
①人材育成,活用
・食改の新規養成(脳卒中
サポーター)
・疫学調査の結果か
ら,高血圧に重点 ・食改による高血圧予防教
室,脳卒中予防教室
化した事業を展開
②減塩モニター購入,スタッ
フで試行
◎予算確保が課題
H23
H24
H25
三次予防
①健康教育・啓発
・結果報告会で疫学調査結
果を報告
・健康まつりで講演会
②特定健診時の意識調査
・脳卒中の原因等について
①ハイリスク者支援
・ケアマネ連絡会
・あなみツール活用による での情報提供
高血圧治療中,高血圧
要指導者を抽出
・健康教室
①健康教育・啓発
・高血圧の基本的知識の
啓発
・塩分測定,減塩メニュー
の紹介
・塩分摂取量測定
※ 疫学調査結果を還元
FAST,不整脈発見の重
要性
・健診未受診者への訪問・
電話での受診勧奨
-40-
・ケアマネを対象
とした再発防止
に係る啓発
区分
H26
H27
推進体制
一次予防
二次予防
①健康教育・啓発
・未受診者対策の継続
・高血圧に関する地区別講
演会
・塩分摂取量測定
・健康増進計画の評 ※ 高血圧予防(減塩)を重
点化
価項目による評価
②環境整備
・自宅での血圧測定の推進
・長島フェスタ等での血圧測
定コーナーの設置
三次予防
・介護保険事業所
への啓発
・医療関係者・介護関係者 ・啓発
①健康教育・啓発
健診結果説明会
・高血圧に関する町民向け
向け研修会
時に脳卒中には
講演会
<テーマ>「医療関係者
・健診時に塩分に対する味
介護関係者等が知ってお
再発があることを
・健康増進計画策定
覚調査
きたい話 ∼高血圧患者
啓発
のための委員会の
・特定健診時塩分摂取量測 のコントロール不良を防ぐ
開催(3回)
定,結果の還元
ために」
・ワークショップ
②健康増進計画策定
・アンケートで脳卒中や高血
圧に関する意識調査
評価
●疫学調査
●医療費データ分析
●脳卒中予防の講演会(H23・25・27年度に1回ずつ実施)
●結果報告会(22回(H24)18回(H25)17回(H26)18回(H27))
プロセス評価 ●脳卒中ランチョンセミナー(1回(H25))2回(H26)3回(H27))
●医療関係者向け研修会1回(H27)
●土日特定健診実施
●未受診者勧奨
●特定健診における尿中塩分測定(1230人(H26)1277人(H27))
●肺がん検診における塩分味覚調査2140人(H27)
成果
●疫学調査の結果,脳卒中のリスクとなる高血圧疾患の受療率や医療費が県よりも高いこ
とがわかる。
●治療中でも不適切な生活習慣等によりコントロール不良者割合が高い。
●結果説明会や講演会等で脳卒中について周知するも脳卒中を知らない人がいる。
(24.4% (H27健康づくり計画アンケート調査結果))
●今回のプロジェクトをとおして高血圧に焦点をあてた対策を実施していく必要性が明確になっ
た。
●運動習慣や食生活等について若年の頃からの周知,現在の活動も維持しながら啓発を
今後の課題
すすめていく。
-41-
テーマ :医療費分析,脳卒中疫学調査から長島町が取り組むべき健康課題をみつけた
合言葉は「脳卒中 ・・・ そして高血圧」
●調べてみました ∼医療費から∼
●調べてみました ∼特定健診の結果から∼
半数以上が
未受診
●調べてみました ∼特定健診の結果から∼
●調べてみました ∼要介護状態になる原因から∼
●調べてみました ∼脳卒中疫学調査から∼
・ 生活習慣において,発症した方の思いた
・ 脳卒中の中でも,脳梗塞が多い。(町では脳梗
る原因として男性では「多量飲酒」や「喫
塞が 7 割)
・ 発症した方は,発症していない方に比べて, 発
症前に高血圧,糖尿病,脂質異常,心臓病などの
煙」,女性では「個人的・家庭の心配事」を
あげた者が多かった。(町では,「仕事のス
トレス」,「長時間労働」,「多量飲酒」,「未
既往歴があるものが多い。
治療」が上位を占めた)。
・ 高血圧・糖尿病・脂質異常は,治療している割
・ 脳卒中の原因について,調査でたずねた
合も低かった。(町では全員が既往歴あり)
ところ 7 割以上の方が「塩分」や「高血圧」で
・ 飲酒について
あることを知っていた。しかし,「運動不足」
飲酒量の増加とともに脳卒中を発症する確率
は高くなる傾向があった。
「睡眠不足」「糖尿病」「不整脈」がその原因
・ 喫煙について
となることを知っているのは,半数いなかっ
た。
喫煙者は脳卒中を発症する確率は高い傾向
にあり,禁煙者は確率が低下していた。
●評価指標と目標値
・1次予防・・・ 脳卒中に係る町の現状や脳卒中予防について,住民の意識を高め,生活習慣の改善を図る。
特定健診受診率50%以上
・2次予防・・・ 家庭血圧測定の啓発。高血圧のコントロール不良者を減らす。
・3次予防・・・ 脳卒中には再発があることを住民に周知する。
-42-
●これまでの取組み
・H23 度 脳卒中死亡例の振り返り調査
・H24 度 脳卒中に関する疫学調査
・H25 度 疫学調査を町民へ還元。FAST,不整脈
早期発見の重要性を啓発。
脳卒中予防啓発講演会実施(200 名以上)
脳卒中ランチョンセミナー
・H26 度 特定健診にて尿中塩分測定を導入。
血圧の重要性を再度啓発。未受診者電話勧奨。
・H27 度 塩分に対する味覚調査。
健康増進計画策定中脳卒中や高血圧に関す
る意識調査。
医療・介護関係者向け研修会(50 名)
高血圧予防啓発講演会(400 名以上)
食生活改善推進員協議会も,減塩を視点に調理実習
健康まつり・・・ 減塩具たくさん味噌汁配布
集落
・・・ 調理実習 塩分 2g減のレシピ
職域
・・・ 脳卒中ランチョンセミナーで昼食時に弁当配布,
脳卒中予防講話
●評価・成果
①特定健診受診者全員に
尿中塩分測定
H26 1230 人(平均 8.5g)
H27 1277 人(平均 8.9g)
②塩分味覚調査
0.9%生理的食塩水 2140 人のうち 4 割が「普通・薄い」と回答
④特定健診の受診率
③
平成 25 年度 43.2%
→
平成 26 年度 45.8%
⑤
●今後の課題
統計的に,「脳卒中」や「高血圧」に着眼する必要性を認識,ポイントを絞ることができた。
町民に対しては講演会や健康教育を通じて脳卒中や高血圧について知識を広めているがまだまだ周知に
いたらない。今後は健康づくり計画にも位置づけ,幼少期からの取り組み等をはかっていきたい。
合言葉は「脳卒中・・・そして高血圧」
それを町中に拡げて行きたい!!!
-43-
市町名
(取組期間)
市の概要
曽於市(平成24年度から27年度)
人口 38,878人,高齢化率 36.1% (H26.10),
脳卒中死亡率(H25)(188.1%)
国保加入数 11,736人(30.5%)(H27.3)
介護認定者数 2,995人(1号 2,936人,2号 59人)(H27.3)
モデル事業の
●脳血管疾患,心疾患,腎不全のSMRが国・県より高く県内でも上位。
取組開始時 ●特定健診標準化該当比でHbA1c(男性女性)・LDL(男性)が高い。
の課題等
●健診結果報告会参加率向上,尿中塩分摂取量国目標値以上の割合減少
評価指標と ●継続受診率向上,HbA1c・LDL標準化該当比減少,ハイリスク者への訪問支援数増加
目標値
●脳血管疾患・心疾患・腎不全SMR減少,新規透析導入者減少
取組経過・事業内容
区分
H24
推進体制
・関係者で共有化さ ・動脈硬化フェア
れた課題の施策化 2市1町,医師会と共催(第
(課題)
3弾)
・ライフスタイルを視 ・既存事業での講話等
野に入れた検討
(課題)
・疫学調査
H25
一次予防
二次予防
三次予防
・頸動脈エコー等の二次検 ・生活習慣病対策
査(市内医療機関)
検討会
・結果報告会
・医師会との頻回な検討
・疫学調査結果を事業につ
なげる
・塩分摂取量測定
・健康づくり推進員設置,特 ・生活習慣病対策
・結果報告会・広域による疾 定健診未受診者への受診 検討会
病予防啓発
勧奨訪問
・頸動脈エコー検査,結果報
告会
-44-
区分
推進体制
一次予防
・高血圧予防,健康づくり推
進員学習会
・結果報告会(塩分摂取量
測定,減塩食試食等)
H26
・減塩教室
・市民ウォーキング・音楽
体操
・結果報告会
H27
二次予防
三次予防
①受診率向上
・生活習慣病対策
・未受診者へ訪問による受 検討会
診勧奨
・ケアマネへの啓発
②重症化防止
・頸動脈エコー,H25要精
密者訪問
・要精密未受診者訪問指
導
・CKD予防対象者,頸動脈
エコーフォロー対象者の
事例検討会
・治療中断者のフォローの
ための医師会との検討
①受診率向上と早期発見 ・生活習慣病対策
検討会
・健康づくり推進員による
未受診・未治療者への
受診勧奨
・個別健診,ミニドック健診
(6∼12月実施)
②重症化予防
・高血糖や高血圧・慢性腎
臓病等
ハイリスク者への訪問・
面接
・未受診者,治療中断者へ
の受診勧奨
・頸動脈エコー検査報告会
・医師講話
評価
●保健指導実施者数(結果報告会)
H24 35回2,744人(67.7%),H25 55回2,703人(67.8%),H26 38回2,495人(60.1%),
プロセス評価 H27 50回2,808人(70.2%)
●ハイリスク者訪問等支援者数
H24 11人,H25 50人,H26 71人,H27 123人
成果
●尿中塩分摂取量(H25-27年度比較)
男性目標8g以下11.5%(H25)→20.9%(H27)9.4%増加。
女性目標7g以下9.2%(H25)→14.7%(H27)5.5%増加。
●特定健診標準化該当比(H23-25年度比較)
HbA1c 男性128.29(H23)→115.83(H25)減少,女性132.14(H23)→112.86(H25)減少。
LDL 男性104.02(H23)→108.76(H25)増加,女性96.88(H23)→96.33(H25)減少。
●特定健診継続受診率
H24 72.1%,H25 72.5%,H26 68.9%
●特定健診受診率向上と保健指導率向上
●ハイリスク者への継続支援と医療機関との連携充実
今後の課題 ●頸動脈エコー検査継続し脳血管疾患死亡率と要介護者の減少
●脳出血,クモ膜下出血の患者数減少
-45-
テーマ : 慢性腎臓病(CKD)対策による脳卒中対策
-46-
市町名
(取組期間)
市の概要
肝付町(平成23年度∼27年度)
人口 16,573人,高齢化率 38% (H26.10),
脳卒中死亡率(H25)(13%)
要介護認定率は県内2位、一人当たり介護給付費5位と高く、
SMR死亡比では腎不全によるものが高い。
その高齢者を支える65歳未満の状況は、65歳未満人口に占める早世率が高く、
特定健診データでは、メタボ該当は県内6位、ヘモグロビンA1c8.4以上者県内6位と
生活習慣改善の必要な疾病の重症化がある。
モデル事業の ●脳卒中のSMR死亡比は国、県より高くはないものの、要介護認定率は高く、
その原因として、特定健診を受けていない2号被保険者の脳卒中発症も要因であった。
取組開始時 ●特定健診の受診率は低く、また健診後の重症化予防対策への取組みが不十分であっ
の課題等
た。
●特定健診受診率50%
評価指標と ●特定健診データ(脳卒中ハイリスク;血圧、ヘモグロビンA1c、LDL-c)の改善率、未治療者の
減少
目標値
●介護保険2号被保険者の新規脳卒中起因申請数減
取組経過・事業内容
区分
推進体制
・医療費分析
H23
一次予防
・高齢者学級,老人クラブ等
で啓発
・健診後,生活改善教室
・医療費分析等の有 ・民生委員への啓発
効性を確認
・食改による地域での減塩メ
ニューの試食(地区組織の
継続的な活動を支援)
H24
二次予防
三次予防
・レセプト照会後,電話で定 ◎介護予防事業へ
の連動が課題
期状況確認指導
・脳卒中発症者への訪門看
護を計画,主治医との調
整がつかず未実施
・県民総合保健センターで
の頸部エコー健診(喫煙
者に要請密者)
・3か月ごとの生活改善教
室への参加勧奨
◎脳卒中既往者への支援
(社会的孤立,精神的不
調等)が課題
H25
①健康教育・啓発
・高血圧症教室
・脳卒中早期対応法の普及
②環境整備
・自宅血圧測定の普及:自
動血圧計の貸出し
-47-
①受診率向上
・振興会長による受診意
向調査
・定期受診者の情報提供
勧奨
②早期発見・重症化予防
・特定健診での検脈,異
常者への指導
・65歳未満の脳卒
中発症者の重症
化防止(生活実態
調査)
生活指導, 服薬
中断予防,主治医
との連携
・県薬剤師会による
残薬指導の紹介
区分
H26
H27
推進体制
一次予防
二次予防
三次予防
①人材育成・健康教育・啓発
・食改と連携した健康教育
・脳卒中好発時期における
健康教室
・広報
・健康教室参加者の塩分摂
取量測定
②環境整備
・家庭用血圧計貸出し:4人
①受診率向上
・厚生連健診 追加土曜日 ・65歳未満の脳卒
・健診未受診者への受診
中既往者への訪
勧奨(民生委員の活用)
問指導
②重症化予防
・結果報告会欠席のヘモ
グロビンA1c異常者への
電話での説明
①啓発
・民間事業所の昼食時間を
活用した高血圧予防活動
(食生活改善推進員作成
の減塩弁当を食べながら
の減塩学習)
・特定健診結果報告会での
食生活改善推進の減塩試
食啓発:15会場 794人
①再発予防・脳卒
①特定健診受診率向上
中罹患の介護保
・集団健診前の受診勧奨
険利用者のケア
・健診後欠診者への未受
プランに脳卒中
診調査と受診勧奨
予防を組込む。
(文書 651人,面談勧
奨 454人)
②脳卒中発症リスクの早期
発見・指導強化
・健診結果報告会の本人
参加率向上 76.2%→
79.1%
・頸部エコーの実施と禁煙
等生活指導の強化
③生活習慣病治療中断者
への適正受診指導
評価
●国保連提供のツールとシステムの活用で、特定健診データから対象者の明確化と事業評
価ができる体制が整った。
プロセス評価 ●対象を脳梗塞対策の高齢者と、脳出血を含めた就労世代に分け、年次的に事業展開し
たことで、段階的に事業の体系化ができた。
成果
●脳卒中ハイリスク者の経年データの維持,改善者増は達成できた。
●高血圧,HbA1c,のハイリスク者は年次減少し、未治療者も含め改善している。
●特定健診はH24を経年受診者はH25をピークとし増加した。
●介護保険2号被保険者の新規脳卒中起因申請数減(H24-26の内、新規はH25の2人のみ
他保険発症から国保)
●対象の明確化ができても疾病対策の個別指導に係る人材が不足している。
●限られた人材に対してのスキルアップを医師会単位で行い有効活用を図る必要がある。
今後の課題 ●取り組みを国保以外の社保、生保対象者へ波及するよう全保協等保険組合と生保担当
との連携協同化が必要。
-48-
テーマ:脳卒中の発症予防と重症化防止への取組み
●肝付町の健康課題
高齢化率 36.8%
介護保険認定率 24.9%(県内 2 位)
介護給付費
県内 6 位
課題は疾病対策としての特定健診
介護保険 2 号被保険者(40-64 歳)の申請理由疾患は
脳卒中で介護度が高く、発症前特定健診受診は皆無
過疎による地域力の衰退、限界集落増
人口当たり医師数少
●実施体制
・受診者を増やす(継続受診者)
・ 受診 結果 で脳 卒 中 ハイリ ス ク者
(高発症危険)の経年管理(適正
受診と生活改善)
●取組の概要
〇特定健診受診率向上の取組み
年度当初に行う希望調査からの受診勧奨のルーチン化(集団健診、情報提供、個別健診、
職場健診、人間ドッグ別の受診勧奨方法のルーチン化)
〇脳卒中ハイリスク等重症化予防対象に焦点を絞った指導を経年的に行うための個別ファ
イリング化(町独自の様式は別添)と台帳管理
〇生活改善への動機付けとして有効な頸部エコー健診の導入
〇運営委員会の設置
運営委員は地区振興会長、民生委員、町議員、医師、薬剤師、管理栄養士、食改、老人会長
を構成員とし、課題の共有化と事業協力を得やすい
一次予防の取組
・脳卒中早期対応法、FAST の普及→高齢者へ啓発
・昼食時間を活用した高血圧予防活動(食生活改善推進員作成の減塩弁当)→働く世代への啓発
・PTA 家庭教育学級での講話、公民館での高血圧予防教室、結果報告会場で高血圧予防の啓発
二次予防の取組
・特定健診受診率向上
・脳卒中発症リスクの早期発見・指導強化(ハイリスク者の個別管理様式の活用)
・生活習慣病治療中断者への適正受診指導
-49-
●取組の成果
〇継続受診者の増加
←総受診者は H24
をピークに、継続受
診者は H25 をピーク
に減少し、目標 50%
の達成は出来てい
ない。
〇脳卒中ハイリスク(高血圧)状況の改善
←脳卒中発症リス
クの高い、重症高
血圧の割合と未治
療者の割合が年々
減少し,効果が出
ている。
〇脳卒中ハイリスク(高血糖 HbA1c6.5 以上)状況の改善
←血管の栄養状
況に大きなダメー
ジを与える糖尿病
リスクは、H24 をピ
ークに減少し,よい
傾向にある。
〇脳卒中ハイリスク(高脂血 LDL160 以上)状況の改善
←動脈硬化への
影響が大きい高
LDL 者はやや増加
傾向にあり、対策
の強化が必要。
●今後の課題
個別指導に係る人材が不足 → 医師会単位で人材確保とスキルアップ
国保以外の社保、生保対象者へ事業波及 → 全保協等の保険組合と生保担当との連携
-50-
【ハイリスク者の個別管理様式】
-51-
市町名
(取組期間)
市の概要
モデル事業
の取組開始
時の課題等
西之表市(平成23年度から27年度)
人口16,201人,高齢化率34%(H27.10)農業が地域の産業の中核。人口の減少や高齢化に伴い,第一・
二次産業の就業者が減少するなか,医療・福祉を中心に第三次産業の従事者・生産額の伸びがみられ
る。
市の体制としては,保健・医療・介護の係が同じ健康保険課に属し,連携がとりやすくなっている。
●特定健診受診率が低い(H22年度 20.0%)
●内臓脂肪症候群該当者、予備群の割合が県平均より高い(H22年 32.9%)
●脳卒中による要介護認定者が多い(H22年 17%)
●脳卒中による死亡率が高め(H17∼21年のSMR 男性:109.2,女性:110.8)
●特定健診受診率60%
評価指標と ●内臓脂肪症候群該当者・予備群割合の10%減少
●脳卒中による要介護認定者の減少
目標値
●脳血管疾患の標準化死亡比を男女とも100以下にする。
取組経過・事業内容
区分
推進体制
H23
・庁内プロジェ
クトチーム設
置(外部スー
パーバイザー
含む)
・全校区長へ
プロジェクト
の説明・
協議
H24
・庁内プロジェ ・イベントにおける減塩食の料
クトチームに 理教室及び減糖お菓子の試食
熊毛支庁職 ・脂質異常予防教室
員参加
・モデル地区
の設置
・モデル地区
長へプロジェ
クトの説明・
協議
・医療費分析実施
・受診勧奨のぼり,横断幕,
ベスト,ポロシャツの作成
及び活用開始
・広報紙や防災無線での受
診勧奨
・健診未受診者への啓発用
チラシ作成及び配付
・閉じこもりがちな脳卒中
患者のリハビリ交流会
・疫学調査事例の振り返り
検討(フォロー体制を含め
て)
・尿中塩分測定を教室で実施
・脂質異常予防教室
・高齢者元気度アップ事業の
対象年齢引き下げ及び対象事
業の拡大
・種子島弁ラジオ体操CD作成・
普及
・市民体育祭での健康づくり講
座開催
・イベントにおけるウォークラリ
ー開催及び食改の減塩味噌
汁試食
・モデル地区への健康づくり活
動開始
・外部スーパーバイザーによる
商工会員への講話
・減塩グッズ(ソイミスト)の普及
開始
・動機付け支援の外部委託
・特定健診受診率に関する
表彰規定制定
・脱漏健診日数の増、個別
健診期間の延長、元気度
アップポイント事業の活用
・頸部エコー検査の実施及
び健康教育
・既存の教室での重症化予
防(高血圧予防・高血糖
予防・脂質異常予防教室)
・ヘルパー事業所研修会
で減塩食についての栄養
士による講話
・ケアマネと連携した生活
習慣の注意や治療継続
の支援をケアプランへの
位置づけ開始
・モデル地区
役員へプロ
ジェクトの説
明・協議
H25
一次予防
二次予防
・食改と協働した血圧いいこと
講座
・既存事業の見直し
・事例を活用した保健指導用
媒体作成
-52-
三次予防
・高血圧予防・高血糖予防
教室
・脳卒中発症者の後ろ向き
調査実施
・訪問による受診勧奨開始
・外部スーパーバイザーに
よる国保相談員への講演
区分
H26
H27
推進体制
一次予防
二次予防
三次予防
・モデル地区
の一部変更
・健康づくり推
進協議会へ
説明及び協
議
・健康づくり推
進条例及び
健康増進計
画の策定
・食改と協働した減塩教室(全
老人クラブ,PTA等)
・食改事業 TUNAGU
・外部スーパーバイザーによる
健康づくり推進協議会委員へ
の講話
・食改による減塩弁当試食
・脂質異常予防教室
・イベントにおけるウォークラリー
実施
・健診期間の延長、対象者
ごとに通知文を工夫し発
送
・40∼50代への受診勧奨
強化(電話・訪問)
・頸部エコー検査の実施及
び健康教育
・既存教室での重症化予
防(高血圧予防・高血糖予
防・脂質異常予防教室)
・脳卒中ケースについての
ケアプラン検討会(地域リ
ハスタッフも参加)
・65歳未満の脳卒中発症
者の訪問対象者名簿作成
・健康増進条 ・特定健診結果報告会で脳プロ ・未受診者へのハガキによ ・多職種によるケース検討
例の制定
の取組について紹介
会実施
る通知及び電話回数増
・健康増進計 ・高齢受給者証交付会において ・H27未受診者を4つに分
画の実施
減塩・運動習慣などについて
類し,受診勧奨を実施
講話
・50∼54歳に対する夜間
・ハイリスク者の早期把握及び
訪問及び受診勧奨
対応
・受診勧奨用チラシ見直し・
・食改事業 TUNAGU
配布,保険証更新時の
通知
・頸部エコ―検査の実施
及び健康教育
・既存の教室を,脳卒中予
防として同時実施
・尿中塩分濃度測定
評価
・種子島弁ラジオ体操CD配付枚数(H25年24枚,H26年21枚,H27年28枚)
・モデル地区における健康教室開催数(H24年7回,H25年7回,H26年5回,H27年8回)
・特定健診受診率(H23 29.7%、H24年 31.1%、H25年 35.9%、H26年 37.1%)対象者を絞った受診勧
奨を実施
プロセス評価 ・モデル地区である中野地域は自主的に「健康づくりの日」を設定。ラジオ体操及び運動を継続実施して
おり,モデル地区を卒業したことから,新たなモデル地区を設定。
・健康づくり推進条例の制定によって健康づくり推進員を委嘱(60名)。推進員からの要望を受け,モデル
地区での運動教室を開催(住民の自主開催に移行予定)。
成果
●特定健診受診率は上昇傾向(平成26年度 37.1%)
●内臓脂肪症候群該当者・予備群割合(H26年 32.2%)
●脳卒中による要介護認定者(H26年24.0%)
●脳卒中SMRが改善(男性71.7、女性72.3 H21−25)
●庁内プロジェクトチームを設置
●「健康づくり推進条例」の制定
●健康増進計画の策定
●モデル地区における重点的取組
今後の課題 若年者や経年未受診者対策,個別事例からの地域課題の抽出
-53-
<特に成果の上がった取組>
テーマ
組織横断的な体制づくりと地域の持つ力を引き出す支援
①課内で脳卒中対策プロジェクトチームを組織し、係・担当だけでなく多くの職員で現状分
析し、運動・栄養に関する取り組みを行った。
②モデル地区を設定し地域のキーパーソンを育成し、各地域で取り組めるよう働きかけた。
③市民が気軽に親しめる運動を習慣化するきっかけづくりとして、ナレーションを西之表市
の方言に変えたラジオ体操のCDを作成し、地域の代表者やスポーツ推進員等に無料配布
し普及に努めた。
取組の概要 ④モデル地区である住吉校区代表健康づくり推進員からの申し出を受け運動教室を実施
した。
⑤40歳以下の若年者、学童期の子をもつ保護者に対し脳卒中に関する講話・減塩食の調
理実習・試食を実施した。口コミから保健センターへ教室開催の依頼もあり、積極的に教室
を展開した。
①西之表市脳卒中対策プロジェクトチーム構成
成果
3つのモデル地区ごとに地区担当チームを編成した。
各チームには係長・事務職員・技術職(保健師・管理栄養士)をバランスよく配置した。
担当地区での事業を企画し、教室等を実施した。
②モデル地区を3地区設定し、地域のキーパーソンを育成。各地域で取り組めるよう働きか
けた。
<モデル地区及び選定理由>
・伊関校区:特定健診受診率が低い。
・住吉校区:循環器疾患が多く、医療費も高い。認知症も多い。
・中野地区:特定健診受診率が高く、地区組織活動が活発。
先進地として選定。(H24∼H26)
・東町地区:事業に取り組みやすい小規模地域。飲食店や小売店などが多く、減塩食等
の波及効果が期待できる。(H26∼H27)
中野地区は毎月第4日曜を健康づくりの日として「よろ∼て健康づくり」を開催し、ラジオ体
操とグラウンドゴルフ・ウォーキングを実施している。自主・自立し、継続した取組ができるた
め、モデル地区を卒業となり、新たに東町地区を選定。
-54-
③地域の代表者・スポーツ推進員・老人クラブ等に、種子島弁ラジオ体操のCDを88枚配付
した。
高齢者のサロン、老人クラブ、市主催の各種事業(市体育祭、ウォークラリー等)でラジオ
体操を実施した。
特に、H26年度は全34老人クラブを対象に研修会の健康教育でラジオ体操を実施し、希
望者には追加配付した。
④モデル地区運動教室
住吉地区では、健康づくり推進員が口コミで参加者を募り、教室開催につなげた。
毎週火曜日 20:00∼21:00に実施し、26名で組織されている。
実績として、6回教室を開催し、参加人数は延べ103名となった。
⑤会社勤めをしている者65名、学童期の子をもつ保護者29名が講話、試食に参加した。
・ラジオ体操を普及、周知させるため市主催各種行事に、課内職員がジャケットを着用し、
のぼりをたて、率先して体操を披露した。
工夫した点
・住吉地区の運動教室は、推進員の積極的な取り組みを今後の地域全体の自主・自助に
つなげるため、推進員と保健師、管理栄養士、健康運動指導士とが綿密に協議し、開催場
所を地域の集会場に、開催時間を参加者希望の20時から21時に設定した。
-55-
市町名
(取組期間)
市の概要
徳之島町(平成24年度から27年度)
人口 11,516人,高齢化率 28.6%【H26.10現在】
主な産業:サトウキビ,馬鈴薯,タンカン,畜産,漁業等
徳之島町は、鹿児島市から南南西468㎞に位置し、空路で約60 分、海路で14 時間半の距離にあります。
亜熱帯海洋性で四季を通じ温暖多雨な地域です。また、エメラルドグリーンの海岸線が広がり、白い砂と
珊瑚礁に囲まれている自然豊かな町です。
脳卒中死亡率(H25):男性227.3、女性202.9
●脳卒中のSMRが高い。その原因となる高血糖,高血圧の異常者が多い。
(H21∼H25徳之島町男性:124.2、鹿児島県男性:114.3)
●若年の脳卒中発症・死亡者がみられる。
モデル事業 ●住民自らが自分と家族の健康を考え、生活習慣病の発症予防や重症化を防ぐ仕組み作りが必要
の取組開始 ・島の生活習慣(甘辛い食事や嗜好品の過剰摂取、運動不足)が高血圧・糖尿病の要因となっていると
時の課題等
考える
●医療費分析・健康課題を整理し、健康教育と運動習慣の定着を推進していくことが必要
●健診有所見者状況経年変化によると男女ともに、メタボの割合が高く、血圧、尿酸、尿たんぱく(2+
以上)の割合も県平均より高い。
●住民自らが自分と家族の健康を考え、生活習慣病の発症予防や重症化を防ぐことができるようにする。
・特定健診受診率、特定保健指導受診率、特定健診結果報告会出席率が増える。
・減塩の必要性を理解し食生活を改善する人の割合が増える。
評価指標と ・健康教室・ウォーキング教室の参加者数が増える。
目標値
・国保一人当たり療養費用額が減る。
・人工透析者数を増やさない。
取組経過・事業内容
区分
H24
H25
推進体制
一次予防
二次予防
食生活改善推
進員
健康増進課
保健センター
①健康教育・啓発
・職域での健康教育
ヘルシー弁当試食,講話
・広報・チラシでの啓発
②現状分析
・健康増進計画の見直し
・年代別にアンケート調査を実施
食生活改善推
進員
健康増進課
保健センター
①健康教育・啓発
・具だくさん減塩味噌汁の試飲、
味噌汁の塩分測定
・事業所への禁煙の出前講座
・役場の喫煙所にちらし掲示
・ヘルシー健康セミナー&試食会
②現状分析
・事業所に勤めている国保加入者
へ健診受診のアンケート調査
③関係団体との連携・環境整備
・商店で、地元の野菜レシピ・健診
ポスター・チラシ配布
・社会教育課と連携しウォーキン
グを実施
④塩分・糖分リーフレット作成
庁内検討会
地域関係者検
討会
-56-
①受診機会の拡大
・事業所でのミニ健診と個別
健康相談
②ハイリスク者支援
・頸部エコー 50人
(未治療のハイリスク者)
・循環器医師による健康講
話と個別相談
・レセプトから3ヶ月以上の治
療中断者を抽出,電話,訪
問,手紙等により健診未受
診者への受診勧奨と体調確
認
三次予防
区分
推進体制
二次予防
①啓発.環境整備
・健康まつりでの減塩味噌汁の
試食 → 効果判定が困難
・野菜の入手困難な時期の対策
の検討
・尿中塩分量測定
厚生連健診 1100人
H26
H27
一次予防
・庁内保健師連
絡会(取組状
況の報告と健
康課題の共
有,今後の取
組について検
討)
①健康教育・啓発
・特定健診結果報告会にて減塩指
導と減塩レシピの試食(乳和食)
・広報紙への折込チラシ(町の健康
課題,夏場の脳梗塞,熱中症)
・集団健診時に塩分摂取量測定
(特定健診・若年健診)
②おともで健診
・国保運営協議 特定健診受診率向上のために、5
年連続受診者に特定健診無料
会
クーポン券を発行。(対象者ともう
一名に使用できる計2枚分)毎年健
診を受けている方が、家族や知人
等 を誘い合って受診することがね
らい
三次予防
①ハイリスク者支援
・脳卒中ハイリスク者の希望
者へ頸部エコー
・循環器医師による個別相
談
◎治療中でも高血圧,高血糖
の者への支援(課題)
①脳卒中発症時の適切な対 ①脳卒中既往者リスト作成
応の啓発→FASTの周知
②治療中断者・透析を受けて
(健診結果報告会・保健指
いる人の把握
導)
→ 重症化予防のための個
②ハイリスク者支援
別支援方法について今
・特定健診で至急精密者・要
後検討して実施
フォロー者の受診確認と体 ③後期高齢者の重複頻回受
調確認
診者訪問事業において、脳
・塩分摂取量測定結果をもと 卒中の再発防止について個
に減塩指導
別指導
・頸部エコー
・循環器医師による個別相
談
評価
・脳梗塞・脳出血の割合:H24年4.6%→H25年4.5%→H26年4.6%→H27年4.2%
・高血圧者の割合H24年17.2%→平成27年17.8%
・高血糖者の割合H24年8.6%→平成27年9.5%
・特定健診受診率:H24年38.9%→H25年40.3%→H26年35.2%→H27年34.7%(暫定)
プロセス評価 ・結果報告会出席率:H24年32.3%→H25年53.7%→H26年52.1%→H27年54.9%
・特定健診精密検査受診率:H24年53.3%→H25年52.8%→H26年57.9%
・国保一人当たり療養費用額:H24年266,845円→H25年299,277円→H26年286,820円
・ウォーキング教室参加者数:H25年度90名→H26年度130名→H27年度150名
・人工透析者数:H25年14件→H26年13件
●疾病別医療費の比較(H24年∼H26年)
・脳梗塞・脳出血・高血圧の医療費は減少傾向だが、腎不全・脂質異常症の医療費が増加傾向である。
●尿中塩分測定をすることで、食事内容や味付けを気を付けている人も意外と塩分を摂取していることが
わかり減塩の意識づけとなった(尿中塩分8g未満は受診者の約6割)。
今後も継続
した取り組
みが必要
成果
今後の課題
●若年者への支援(早期の生活習慣病予防)
●脳卒中発症者へ継続した重症化予防・再発防止等の支援
●特定健診受診率・保健指導終了率が低いため、特定健診・保健指導を受けやすい環境づくりが必要。
●媒体を活用して減塩の啓発活動と生活習慣改善のための保健指導を実施したが、行動変容につなが
らないケースもあり、対象に応じた支援体制や指導方法の工夫が必要。
★平成28年度のテーマ→「血管を守る」…つまらせない、しなやかにする、血液をサラサラにする
-57-
テーマ:地域のニーズを把握し,視覚・味覚・嗅覚で実感できる媒体を活用した啓発
徳之島町の現状
1
・男性の脳卒中の標準化死亡比(SMR)が高い
・若年者(20 歳代∼50 歳代)の脳卒中発症者・死亡が見られる。
・死因のうち予防可能な疾患で脳血管疾患が多い。
取組の概要
○未来につなぐ健康な町づくり事業
徳之島町健康 21 計画の評価及び健康課題の抽出のためアンケートを実施し,小学校区別に
地区分析を行い,地域の課題を把握した。
〔課題〕
2
・特定の地区において健康づくりの取り組みが低い。
・若年者では、不規則な生活や飲酒・喫煙の問題がある。 正しい知識の普及啓発・健康課題の共有
・甘辛い食事、飲酒の影響による生活習慣病。
健診を定期的に受診することが大切
・運動不足の人が多い。
○島の野菜をたべて元気なまちづくり事業・・・健康づくりに取り組みやすい環境整備
重点実施項目「減塩・野菜の積極的摂取」
これまでの取組
H24∼27 年度
リーフレットを活用して説明
視覚・味覚・嗅覚で実感してもらう
〈本当の理解・ 行動変容に
媒体での啓発・試食による普及
つながらない〉
3
事業実績
特定健診時に
尿中塩分測定
家でも作って
みました
薄味に慣れて
きました
塩分がこんなに
あるんだ
今日から早速
気を付けよう
わかって
よかった
4 今後の課題
ターゲットを明確にした(若年者・脳卒中発症者等への)発症予防・重症化予防等の継続支援
-58-
市町名
(取組期間)
市の概要
伊仙町(平成23年度∼27年度)
人口 7,043人,高齢化率 34.1%(H26.10)
脳卒中死亡率(H26年度)未算定
長寿と早世が二極化している町で、特に若年者の脳卒中死亡が多く、2号保険者の介護
認定者うち約6割が脳卒中であった。
5年間の取り組み成果として特定健診受診率は60%以上を維持し、医療費も減少してい
る。
●モデル事業開始時、平成23年度の特定健診結果では積極的支援対象者が9.2%、
モデル事業の 動機づけ支援対象者が9.8%で、脳卒中死亡率が4.7%であった。
取組開始時 ●2号保険者認定率が0.9%と高く、うち脳卒中が起因する割合が6割を超え、
SMRもH19∼23年を見ると男性が119.5、女性が100.7と高い状況であり、
の課題等
若年者の脳卒中死亡もあった。早世が大きな課題であった。
(平成24年度時に掲げていた27年度の達成目標)
評価指標と ●特定健診受診率を75%に上げる
●メタボリック該当者・予備群割合を30%に減少
目標値
●脳卒中死亡者を19人(22年)から12人に減らす
取組経過・事業内容
区分
H23
H24
H25
推進体制
一次予防
二次予防
①受診率向上の取組
・既存データや医療 ①分析・環境整備
・6モデル地区で「地区健
・公民館単位の味覚調査
費の分析
康づくり応援団」による受
→庁内医療費削減 ・徳之島3町で作成したPPT
診率向上
を活用した糖尿病予防の
チームの発足,
②国保ヘルスアップ事業に
講話を実施。
医療機関との連
よるハイリスクアプローチ
・結果報告会での試食(食改
絡会開催
協力有り)
・関係機関やボラン ①環境づくり
ティア等で組織して ・全集落にウオーキングマッ
いる脳卒中対策検
プ作成・配布
討会を開催。
・全集落に自動血圧計設置
・国保運営委員会等 ・PPTを用いて脳卒中予防
で現状や課題,事
講話を実施
業計画などを説明 ・結果報告会での試食(食改
し,意見交換を行
協力あり)
う。
三次予防
後ろ向き調査によ
り、脳卒中後遺症
を持ち、医療介護
ともにリハビリを行
っていない方々へ
の実施体制の整備
と医療機関等との
連携を始める。
①ハイリスク者支援
①人材育成
・国保データと健診データ
・三次予防推進の
の分析によるハイリスク
ためのサポー
者の抽出,対策の協議
ター養成→地域
◎未受診者やハイリスク者
リハビリで活動
への指導の充実(課題) ②脳卒中既往者や
②頸部エコー検査(3医療
ハイリスク者の
機関)
地域リハビリ
・関係機関やボラン ①健康教室,健康相談
①脳卒中リハビリ
①受診率向上の取組
ティア等で組織して ②減塩モニターの貸出し(3日 ・商工会,福祉施設等への の実施
いる脳卒中対策
間)
受診勧奨(副町長同行) ②脳卒中リハビリ
検討会を開催。
・PPTを用いて脳卒中予防
ボランティアの
・厚生連セット健診
・国保運営委員会等
講話を実施
・集落ごとの受診率を随時 養成とボランティ
で現状や課題,事 ・結果報告会での試食(食改
ア活動実施
情報提供
業計画などを説明
③医療リハと地域リ
協力あり)
→目標値65%達成
し,意見交換を行
ハの連携,体制
②ハイリスク者支援
う。
づくり
・脳卒中「リスクスコア算
出」を活用
・脳卒中予防質問票によ
るハイリスク者への脳ド
ック実施ハイリスク者へ
の頸部エコー検査実施。
-59-
区分
H26
H27
推進体制
一次予防
二次予防
三次予防
・関係機関やボラン ①健康教育・啓発
①ハイリスク者支援
①地域での「遊ば
ティア等で組織して ・結果報告会での試食(食改 ・脳卒中ガイドラインにより
ーでい」の開催
いる脳卒中対策検
協力あり)
ハイリスク者を抽出し,脳 ②脳卒中リハビリ
討会を開催。
・島内食産業従事者を対象
ドック(頸部エコー,質問
の実施
・国保運営委員会等
としたヘルシー料理教室
票),結果報告会
③脳卒中リハビリ
で現状や課題,事
(島食材の活用)
→脳卒中ハイリスク者は減
ボランティアの養
業計画などを説明 ②特定健診における塩分摂
少(◎ハイリスク者へは
成とボランティア
し,意見交換
取量の測定
H23から継続的指導)
活動実施
④医療リハと地域
リハの連携,体制
づくり
・関係機関やボラン ①健康教育
①受診率の維持向上の取
ティア等で組織して ・結果報告会,集落巡回健 組
いる脳卒中対策検
診の報告会,脳卒中予防 ・特定健診受診率65%を
討会を開催。
プログラムをパワーポイン
目指す
・国保運営委員会等
トを用い実施
②ハイリスクアプローチ
で現状や課題,事 ・食改による試食・健診結果 ・高血圧ガイドラインによる
業計画などを説明 によりH23からH27の生活
ハイリスク対象者の抽出
し,意見交換行っ
習慣改善状況を評価,住
・頸動脈エコー検査や脳ド
ている。
民へ還元
ック実施。
②塩分摂取量量測定(厚生
・治療中断者や重症化予
防のための訪問指導
連健診)
③鹿児島大学,武庫川女子
大学な どの協力
・減塩意識などの向上
評価
●平成23年度は糖尿病予防に特化した取り組みを推進し、脳卒中既往者を中心に後ろ向き
調査を25名に実施。
●24年度から各集落で健診報告会など全報告会において,減塩や高血圧予防・発症予防
などを含めた脳卒中予防についての講話を実施。また高血圧ガイドラインを用いてハイリ
スク者を抽出し、年に2回この対象者向けの予防教室を開催。
●頸動脈エコー検査はハイリスク者を対象に厚生連や島内医療機関3カ所の協力を得て実
施した。
プロセス評価
●特定健診で問診を元にくも膜下出血等予防のための脳ドック検査を該当者に実施した。
●頸動脈エコ―検査は平成24年度が31人、25年度が53人、26年度が49人、27年度は12月
現在で17人で現在のところ150人が検査を受けている。
●3次予防としての脳卒中予防リハビリは毎週木曜日午前に実施し、前期高齢者について
は平成24年から実人員10名がプログラムに参加している。体制づくり含め経年的に推進
できた。
成果
●H23年当初の目標、①「特定健診受診率を75%に上げる」については、H23年度65.0%、
H24年度65.2%、H25年度63.5%、H26年度62.3%で、60%以上はキープしているが、
目標達成は出来なかった。②「メタボリック該当者、予備群を30%に減少」については、
H24年度35.8%から34.2%と減少したが目標までは至っていない。
③「脳卒中死亡者を19人(H22年)から12人に減らす」については、平成25年度は脳卒中
死亡者が11人で目標人数達成できた。
●3つの目標について、全ての目標値達成は出来なかったが、まずは住民が健診を受診
するようになり健康意識が改善してきて、医療費もH22年度854,869千円がH26年度
769,404千円と減少し、一人当たり医療費もH22年度と26年度を比較すると若干上がって
いるが、H25年度より26年度が前年度増減率が-7.56%と減少している。
●依然としてメタボ率が高いため、今後も脳卒中はじめ循環器疾患の予防には力を入れ住
今後の課題 民の健康意識を高めつつ、重症化予防にも力を入れて医療費適正化を推進していく必要
がある。
-60-
テーマ:脳卒中対策をポピュレーションアプローチとハイリスクアプローチから実施
●取り組んだきっかけ
長寿と早世が 2 極化している
若年者の脳卒中死亡が多く、2 号保険者の介
護認者うち約 6 割が脳卒中
平成 23 年度特定健診結果では積極的支援対
象者が 9.2%、動機づけ支援対象者が 9.8%
脳卒中死亡率が 4.7%,2 号保険者認定率が
0.9%(うち脳卒中が起因する割合が 6 割超)
●取組の概要
1 次予防としての取り組み
糖尿病予防キャンペーンや食生活改善推進員による減塩に関する意識啓発。
-61-
2次予防としての取り組み
特定健診受診勧奨として、町職員で構成するま
ちづくり協働隊などからなる健康づくり応援団の
協力で受診率アップを図った。また、ハイリスク
への頸動脈エコー検査・脳ドックを平成25年度
より実施し、発症予防などに げた。
3次予防としての取り組み
重症化予防としてハイリスク者フォロー
再発防止の観点から地域リハビリテーション
センターと連携して,脳卒中リハビリを前期高
齢者の対象者についても実施
ボランティア研修と脳卒中リハビリの様子
●取組の成果
60 % 以 上 の 受 診 率 を 維 持
し、1 次予防を徹底するととも
に、重症化予防として頸動脈エ
コー検査等を実施し、服薬中断
フォロー等を行った。様々な要
因が関連すると思われるが、医
療費も減少している。
●今後の課題
脳卒中、虚血性心疾患、糖尿病の重症化予防を
継続実施(体制強化を図り、地域包括ケアシステ
ムづくりの中におけるポピュレーションアプローチ
とハイリスク者への継続フォローをさらに強化し、
健康長寿のまちを目指す。)
-62-