SSH研究開発実施報告書(平成27年度)[PDF 4.94MB]

スーパーサイエンスハイスクール 情報
春のフィールドワーク実習
都立科学技術高等学校
Vol. 155 平成27年4月30日
盤州干潟フィールドワーク
春の西表島フィールドワーク
新年度が始まってすぐの4月1日~5日に希望者8名で沖縄県の西表島
にある琉球大学熱帯生物圏研究センターにおいて亜熱帯生態系に関す
るフィールドワーク実習を行いました。
実習内容としては琉球大学の馬場繁幸教授の指導によってカヌーに
乗ってマングローブの分布調査を行ったり、船浦湾にて土壌の採集、測量
実習を行いました。また、国際マングローブ生態系協会の小菅丈治博士
からは講義実習を通してマングローブ域干潟生物(甲殻類、軟体動物)の
生態観察をしました。さらに、夜の講義では琉球大学の渡辺信准教授か
ら英語によるプレゼンの極意をご教示いただきました。
今後は今回の実習調査をもとにして学会での発表を行ったり、夏休み中
にはグローバルサイエンスリンクの活動としてシンガポールへ行って
Singapore Chinese Girls’ High Schoolとの共同研究を計画しています。
4月29日に盤州干潟にてフィールドワークを行い、希望者合計24名が
参加しました。盤州干潟は千葉県木更津市畔戸にある奇跡的に残る東
京湾唯一の河口湿地です。当日は東邦大学東京湾生態系研究センター
の風呂田利夫教授にフィールド実習の指導をお願いしました。
後背湿地~クリーク~前浜~干潟最奥部まで踏査し、干潟の地理的理
解と地形や地盤高による生物種分布の違いを調査しました。特にアサリ
の生育分布を調べることによって、海洋資源の保全の指標になることを
学びました。今後はこの体験を生かし、地理学の持つタイム、スケール感
や生物多様性の視座を深めていってほしいと思います。
盤州干潟エントランス
干潟から東京湾を望む
ニホンスナモグリ
マメコブシガニ
ユビナガホンヤドカリ
シジミのサイズ計測中
アシハラガニ
カスミミノウシ
アサリ
スーパーサイエンスハイスクール 情報
都立科学技術高等学校
Vol. 157 平成27年5月29日
台湾国際交流プログラム
觀迎光臨木柵高工
5月22日(金)に台湾国際交流プログラムとして、台湾の台北市立木柵高工の生徒32名、教員3名が
本校へ来校しました。木柵高工は現在の3年生が昨年の修学旅行で台湾へ行った際、現地で交流して盛
大に歓迎していただいた学校です。今回はその逆の立場として本校が木柵高工の皆さんを盛大に歓迎し
ました。本校の生徒は、この交流会の事前に自分の担当する木柵高工の生徒とメールでコミュニケーショ
ンをとっており、当日はその生徒と一緒に交流会に参加しました。交流会は木柵高校の皆さんが到着後、
視聴覚室でまず歓迎セレモニーを行いました。セレモニーでは本校の生徒が司会進行を英語で行い、代
表生徒も英語で歓迎の言葉と本校の紹介を行いました。そして、木柵高校の代表生徒は日本語であいさ
つを行っており、とても上手に話していました。その後、お昼ご飯を一緒に食べてから、それぞれの選択し
た体験活動を行いました。茶道体験では正座に苦戦したり、柔道体験では上手に相手を背負い投げをし
たりと本校の生徒も木柵高工の生徒もみんな楽しそうにしていました。そして、体験活動後は、視聴覚室
で閉会セレモニーを行いました。そこでは本校の生徒がプロジェクターからの映像を半透明なスクリーン
に映し出し立体的に投影するといった発表を行いました。これには木柵高校の皆さんからも驚きの声が
聞こえてきました。また、木柵高校の皆さんからは日本語による合唱が披露されました。
中間考査期間中のため、当日は色々と慌ただしい一日となりましたがとても有意義な時間だったと思い
ます。この経験を生かし、これからも国際交流の機会を増やしていってほしいと思います。
道着に着替えて剣道・柔道体験
浴衣を着て茶華道体験
自作の紙飛行機を飛ばそう!
けん玉に挑戦!
歓迎セレモニー
お昼ご飯も一緒に(お弁当は和食)
浴衣で生け花と記念撮影
—-11—
スーパーサイエンスハイスクール 情報
都立科学技術高等学校
Vol.167
平成27年9月4日
本校代表生徒 VIPコールに招待される 8/26日本科学未来館
国際宇宙ステーション(ISS)滞在中の油井宇宙飛行士と交信
7月から国際宇宙ステーション(ISS)に油井宇宙飛行士が滞在しています。その油井宇宙飛行士を安倍総理が
交信するVIPコールに本校生徒が招待され、日本科学未来館でISSに滞在している宇宙飛行士との交信や安倍総
理と交流をしました。
交信は8月26日夜の9時から30分間行われました。本校を代表して1年生の二人が、「火星やほかの惑星に移住
することの可能性」や「きぼうで行われた様々な実験の中で一番の発見について」の質問を行いました。 ISSに油
井宇宙飛行士とともに滞在しているリングリン宇宙飛行士からは「人類がほかの惑星に移住できるようにISSでの
実験等で準備を進めている」。また油井宇宙飛行士からは「一番の成果は多くの国の人たちがひとつの目標に向
かって働けたこと」と答えていただけました。
油井宇宙飛行士らと交信中の様子
JAXA提供
宇宙飛行士と交信に先立ち、このVIPコールに招待された本校生徒2名をふくむ
高校生4人は安倍総理や毛利科学未来館館長らと科学未来館のシンボルである
Geo-Cosmosを見学しながら、空中回廊を歩いて交流しました。
また、イベントの最後には毛利館長、古川宇宙飛行士、金井宇宙飛行士とも
会話・交流することできました。
今回、本校生徒がこのイベン
トに招かれたのは、本校が
行っている科学技術教育活動
が高く評価されたからです。
代表生徒は「一生忘れられな
いイベントでした。今後の大き
な励みになります。」と大変感
激していました。
今回のイベントはマスコミで
も取り上げられました。
政府インターネットテレビ
http://nettv.govonline.go.jp/prg/prg12241.html
?t=104&a=1
でご覧いただけます。
安倍首相らと空中回廊で交流する生徒
安倍首相はじめ、毛利館長、金井宇宙飛行士らと記念撮影
JAXA提供
文部科学省提供
スーパーサイエンスハイスクール 情報
課題研究ポスター発表会
1分野
•
•
•
•
•
•
•
•
•
•
•
•
橋の構造
耐震構造
波に強い船
高く上がる竹とんぼの研究
理想の飛行機
自動車の形状と効率
割りばしを綺麗に割る
ダンボール構造を利用した建物
機構を用いてエネルギーを作成
自然災害に強い都市
翼 ~グライダーを用いた滞空能力実験~
ビル風を低減したビルの研究
都立科学技術高等学校
Vol. 171 平成27年9月30日
2学期の始まった9月1日(火)、午後から各分野の3年生による課題研究のポスター発表が行われました。今
年度は1学期に各分野で行われた発表会において評価の高かったテーマを各分野から2つずつ選び、口頭
による発表も行いました。発表当日は色々な教科の先生方やSSH運営指導委員である大学教授の方々にも
見ていただき様々なアドバイスをしていただきました。中にはSSH運営指導委員の方から質問をされて回答
に苦戦しているテーマもありましたが、大学の先生から貴重なアドバイスもしていただけました。1、2年生は3
年生のポスター発表を見学し、自分たちが課題研究を行う際のテーマ決めの参考になりましたか?
大学の先生からの
厳しい指摘も・・・
段ボールハウス完成!
2分野
3分野
カラフルなぐみを作ろう!
竹を用いた環境浄化
植物バイオテクノロジー
自然を染める
人類を痛みから救え!
凝集沈殿を用いた水質浄化
横十間川の環境調査
乳酸菌の研究
海水の淡水化
•
•
•
•
•
•
•
•
•
タンポポの抗菌作用
アブラナ科植物の抗菌作用
セルロースからのエタノール生産
精油の抗菌性
微生物がビタミンを作る!?
雑草VS雑草
きのこの研究
乳酸菌の固定化
大学の先生からのアドバイス
ファインセラミックス
—-22—
Unityを使用したゲームの開発
ギターエフェクター調整
C++を用いたゲームプログラミング
振動発電
色覚をアシストするアプリ開発
地上での超音波による物体探知
ハブダイナモの制作
Kinectを用いた自律制御ロボットの開発
一年生も理解できるかな
•
•
•
•
•
•
•
•
•
•
•
•
•
•
•
•
•
•
•
•
•
•
•
•
•
スピーカーの制作
プラズマ
ホログラム技術と3D映像
捜索ロボットによるマップ作成
音センサー
疑似3DSTG
リバーシのAI研究
生体信号
SSH運営指導委員会
SSH運営指導委員会では大学
教授の先生方や周辺の学校長
の方々などからSSHの3期目
の指定に向けたアドバイスなど、
様々なご意見をいただきました。
は じ め に
本校は、平成 13 年に都立高校で初めて「科学技術科」を設置した新しいタイプの学校として
開校しました。開校以来、「科学技術教育を通じて、創造性、問題解決能力、コミュニケーション
能力を養い、知識基盤社会で活躍できる人材を育てる学校」を目指しています。
平成 19 年に SSH の指定を初めて受け、全国の SSH 指定校の中でも数少ない専門学科タイプ
の学校として、専門学科ならではの充実した施設・設備、少人数教育、教員の専門性などの特色
を生かした取組みを行い、科学技術人材育成の研究を進めてきました。
平成 24 年に文部科学省から再び SSH に指定され、新たに「国際的に活躍できる科学技術者及
び日本の科学力・技術力を支える人材の育成」を目標とし、(1)『横の連携』、創造性、問題解決
能力、コミュニケーション能力を総合的に育成する科学技術教育、(2)『縦の連携』大学・研究
所、小中学校、他高校との連携による有能な科学技術系人材の育成、(3)『上への伸長』意欲、
能力の高い生徒を伸ばす教育、(4)『外への拡大』英語力を伸長し、国際的に活躍できる科学者・
技術者の育成、(5)『下からの支え』生徒一人一人の成長が見え、SSH 活動が活発化する方法お
よび指導体制の 5 つの柱を置き、積極的に SSH 事業を推進しています。SSH に指定されたこと
により、先端的な高度な機器など環境が一層整備され、これを生かして、生徒たちは、科学の面
白さや驚きと出会い、様々な不思議を発見しています。
指定二期4年目を迎えた本年度は、さらなる飛躍を目指し、科学技術系人材育成に向けた様々
な課題の分析と解決に全校一丸となって取組んでいます。特に、機械・電気・化学・環境・情報
など科学技術に関する幅広い総合的・複合的な知識や技術を学習し、高度化する産業社会の理論
と実際との両方を習得した実践的技術者の育成を図るため、専門学科の特色を生かした「科学」
と「技術」あるいは「理数」と「工学」の融合を視野に入れたカリキュラム開発を充実させてい
るところです。また、生徒の科学技術への取組意欲や知識、技能を高めるため、1年次のホーム
ルーム合宿でのつくば研究学園都市の様々な研究施設見学や、日本科学未来館での科学プレゼン
テーション研修、専門家とのディスカッションを重視したフィールドワークなど、自然科学の多
面的な視点を啓発する様々な体験活動を継続して行っています。さらに、科学研究部生徒による
実験指導や演劇部によるサイエンスライブ、本校生徒が小中学生にプログラミングを教える日本
ヒューレット・パッカード株式会社との連携授業など、生徒がより主体的に企画・実施する活動
を充実させています。特に、国際化への対応として、英語週間の特別プログラムや、英語での講
演、海外校との連携、海外での発表などの SSH 事業を行うとともに、この SSH 事業と連携した
日常の英語の授業を充実させ、英語力の伸長を図っています。
今後も SSH 事業の取組みの中で、科学技術を支えリードする優れた人材の育成という視点を
より明確にし、継続的に教育課程の評価・検証を行いながら、全校あげて様々な課題をひとつず
つ着実に解決する骨太で確かな科学技術教育を実践していきます。
平成 28 年 3 月
東京都立科学技術高等学校
校長
-3—3—
赤
石
定
治
目
要
次
約
平成 27 年度 スーパーサイエンスハイスクール研究開発実施報告(要約) ........................................ 6
平成 27 年度 スーパーサイエンスハイスクール研究開発の成果と課題 ........................................... 10
本
文
I.
研究開発の課題 ............................................................................................................................. 12
II. 研究開発の経緯 ............................................................................................................................. 14
III. 研究開発の内容
1.
創造性、問題解決能力、コミュニケーション能力を育成するための科学技術に関する
プログラムの研究開発<横の連携>
(1) 学校設定科目等の研究開発
① 学校設定科目の研究開発概要 .................................................................................... 17
② 学校設定科目「SS 科学技術と人間」 .......................................................................... 18
③ 科目「課題研究」 ....................................................................................................... 20
④ 理系科目以外の取り組み ........................................................................................... 23
(2) 短期集中講座を用いた教育プログラムの開発 .................................................................. 25
2.
大学・研究所、小中学校、他の高校と連携し、有能な科学技術系人材を育成する
プログラムの研究開発<縦の連携>
(1) 高大一貫(連携)の科学技術教育に関する連携プログラムの研究開発
① SSH 筑波研究施設研修(ホームルーム合宿) ............................................................. 26
② SSH 科学体験研修(科学プレゼンテーション研修) .................................................... 27
③ SSH 進路模擬授業研修 ........................................................................................... 28
④ SSH フィールドワーク ................................................................................................ 29
(2) 小中学校・高校・地域との連携プログラムの開発および成果の普及 ...........................................
① SS 科学技術実践 ..................................................................................................... 30
② ヒューレット・パッカード社との連携 .............................................................................. 31
③ 他校生との生徒同士の連携(SSH交流会) ................................................................ 32
④ 科学研究部生徒等による実験指導(不思議サイエンス・フュージョンフェスタ) ............... 33
⑤ キャリアデザインツアー .............................................................................................. 34
—4—
-4-
3.
意欲、能力の高い生徒を伸ばす教育プログラムの研究開発<上への伸長>
(1) スーパープロジェクト
① 研究開発概要 ........................................................................................................... 35
② フライングオブジェクト プロジェクト ............................................................................... 36
③ IRIOMOTE プロジェクト .......................................................................................... 37
(2) 科学技術系部活動の充実・振興 ...................................................................................... 38
(3) SSH委員会 ................................................................................................................... 40
4.
国際的に活躍できる科学者・技術者を育成するための教育プログラムの研究開発
<外への拡大> ............................................................................................................................. 6
(1) 英語力強化に関する研究開発 ........................................................................................ 41
(2) 英語による講演会 ........................................................................................................... 42
(3) 海外校との連携・海外での発表会 .................................................................................... 43
5.
生徒ひとりひとりの成長が見え、SSH 活動が活発化する方法および指導体制の研究開発
<下からの支え>
SSH プランカード・生徒の活動記録 ........................................................................................ 46
IV. 実施の効果とその成果
1.
V.
SSH 実施効果の定量的評価 ................................................................................................. 48
校内におけるSSHの組織的推進体制 ........................................................................................... 54
VI. SSH中間評価において指摘を受けた事項のこれまでの改善・対応状況
研究開発実施上の課題及び今後の研究開発の方向・成果の普及 ................................................... 55
資
料
1.
平成 27 年度 スーパーサイエンスハイスクール運営指導委員会記録 ....................................... 57
2.
教育課程表 ........................................................................................................................... 58
—5—
-5-
別紙様式1-1
東京都立科学技術高等学校
指定第2期目
24 ~ 28
❶平成27年度スーパーサイエンスハイスクール研究開発実施報告(要約)
①
研究開発課題
成長を確認しつつ科学技術科として有用な人材を育成する研究開発
② 研究開発の概要
科学技術科の特長を生かし、1.学校全体の規模で、2.多岐にわたる研究課題を同時進行で、3.
研究成果の普及を重視しつつ、知識基盤社会で活躍できる、理論のみならず実践力を伴った人材の育
成を、今までの成果を基に発展させて行う。
国際的に活躍できる科学者・技術者を育成すると同時に、日本の科学力・技術力を支える人材、科
学技術を文化として育むために国民の科学技術リテラシーの向上を担う人材を育成する。
そのために本校における現状を分析し、次の仮説を立てた。
a)本校の充実した設備を活用し、理数教育に科学技術系専門科目を融合させた授業を実施するこ
とは創造性、問題設定能力を伴った問題解決能力、コミュニケーション能力を持った科学技術系
人材の育成に資する。
b)大学・研究所、小中学校、他の高校との連携が有能な科学技術系人材の育成に資する。
c)意欲、能力の高い生徒に対して、チームサイエンスをはじめとする多くの科学技術的な体験を
させることは、有能な科学者・技術者の育成に資する。
d)海外の高校生等と交流しながら、自分が研究した内容を発表し、議論し合うことは国際的に活
躍する科学者・技術者の育成に資する。
e)生徒個人が体験した SSH の活動を振り返り、次の活動計画を立てることは、SSH 活動の効果を
高める。
この仮説に基づき次に述べる 5 つの柱を置き、豊富な内容の研究開発を進める。
(1)創造性、問題解決能力、コミュニケーション能力を育成するための科学技術に関する専門教育
プログラムの開発 <横の連携>
(2)大学・研究所、小中学校、他の高校と連携し、有能な科学技術系人材を育成するプログラムの
開発 <縦の連携>
(3)意欲、能力の高い生徒を伸ばす教育プログラムの開発 <上への伸長>
(4)国際的に活躍できる科学者・技術者を育成するための教育プログラムの開発<外への拡大>
(5)生徒ひとりひとりの成長が見え、SSH 活動が活発化する方法および指導体制の開発
<下からの支え>
③ 平成27年度実施規模
全校生徒(約 620 名)を対象にして、科学技術教育の充実を目指す。また、ペースアップクラスの
生徒をはじめとする、特に意欲・能力の高い生徒が研修する機会を増やし、質の高い科学技術系特別
活動を充実させる。
④ 研究開発内容
○研究計画
① 内容・方法
5つの柱について計画している研究開発内容は次の通りである。
(1)創造性、問題解決能力、コミュニケーション能力を育成するための科学技術に関する専門教育
プログラムの研究開発 <横の連携>
①学校設定科目等の開発研究
3年間を見通して、普通教科(理科・数学等)と各専門教科の基礎理論・実験とを一体化
した学校設定科目および課題研究に関するカリキュラム開発を行う。新学習指導要領の改訂
の趣旨を踏まえ、育てたい力(創造性、問題設定能力を伴った問題解決能力、コミュニケー
ション能力)を各科目について、発達段階に応じて育成するために3年間を見通した育成計
画を立て、各科目の役割を検討し、それをもとに各科目の開発を行う。
—6—
24年度 25年度 26年度 27年度 28年度
1)「SS 科学技術と人間」
先行研究 本研究
全
2)「SS 数理情報」
全
先行研究 本研究
体
3)「SS 科学技術理論」
体
先行研究 本研究
評
4)「SS 科学技術実習」
計
先行研究 本研究
価
5)「課題研究」
画
先行研究 先行研究 本研究
検
6)「SS 数理物理」
本研究
証
7)「SS 科学技術特論」
先行研究 本研究・検証
②短期集中講座を用いた教育プログラムの開発
先行研究 先行研究
本研究
検証
検証
本校の特色ある教育活動の短期集中講座(12月と3月の年2回、それぞれ3日間ずつ開講)
に科学技術、英語力強化に関する SS 講座を毎回20講座以上開講し、興味関心を高めると
ともに創造性、問題設定能力を伴った問題解決能力、コミュニケーション能力を育成する。
(2)大学・研究所、小中学校、他の高校と連携し、有能な科学技術系人材を育成するプログラム
の研究開発 <縦の連携>
今まで本校で行ってきた連携プログラムを更に充実・発展させる。
① 高大一貫(連携)の科学技術教育に関する連携プログラムの開発
24年度 25年度 26年度 27年度 28年度
1)SSH 筑波研究施設研修
実施
実施
実施
実施
実施
2)SSH 科学体験研修
実施
実施
実施
実施
実施
3)SSH 進路模擬授業研修
計画・実施
実施
実施
実施
4)希望者を対象とした高大連携講座
・東海大学体験研修
実施
検討
実施
実施
実施
・短期集中講座を利用した高大連携講座
実施
実施
実施
実施
実施
・バイオテクノロジー実験講座
計画・実施
実施
5)宿泊研修の実施。(1~3年 希望者)
・野外体験研修
実施
実施
実施
実施
実施
6)課題研究、科学研究部等で高大連携
実施準備
実施
実施
実施
検証
7)「SS 数理物理」のための ICT 教材開発
先行研究 本研究
② 小中学校・高校・地域との連携プログラムの開発および成果の普及
1)SS 科学技術実践
実施
実施
実施
実施
実施
2)サイエンスライブ
実施
実施
実施
実施
実施
3)科研部生徒等による実験指導
実施
実施
実施
実施
実施
4)中学校教員との連携
実施
実施
実施
実施
実施
5)他の高校との生徒同士の連携
実施
実施
実施
実施
実施
(3)意欲、能力の高い生徒を伸ばす教育プログラムの研究開発 <上への伸長>
短期集中講座や高大連携プログラムにおいて意欲の高い希望者に対して指導を行うととも
に以下のプログラムを研究開発する。
① 科学技術系部活動の充実・振興
実施
実施
実施
実施
実施
② 科学の甲子園に向けた ST オリンピック
計画・実施
実施
実施
実施
実施
③ スーパープロジェクト
計画・実施
実施
実施
実施
実施
(4)国際的に活躍できる科学者・技術者を育成するための教育プログラムの研究開発
<外への拡大>
海外の研究者や高校生との交流によって語学力を向上させるプログラムを研究開発する。
① 学校設定科目、課題研究における英語力強化に関する研究開発
・学校設定科目の本校開発テキストの一部英語化 先行研究 本研究
実施
実施
実施
・課題研究報告の一部を英文化
先行研究 先行研究 本研究
実施
実施
② 短期集中講座における語学力強化の講座
実施
実施
実施
実施
実施
③ 企業・大学等との連携による英語力強化の講座
・大学・企業との連携による英語力強化講座
実施
実施
実施
実施
実施
・サイエンスダイアログ
実施
実施
実施
実施
実施
④ 海外からの生徒との交流
・来日した海外の高校生との交流
計画
実施
実施
実施
実施
・外国人留学生との交流
実施
実施
実施
実施
実施
—7—
⑤
海外の高校との連携
・海外の高校との連携
準備・計画
実施
実施
実施
実施
⑥ 海外の研究者との交流
・国際学会等で来日した研究者との交流
計画・準備
実施
実施
実施
実施
⑦ 高校生国際物理学論文コンテスト等に応募
調査
計画
応募
応募
応募
(5)生徒ひとりひとりの成長が見え、SSH 活動が活発化する方法および指導体制の研究開発
<下からの支え>
自己の適性を考えながら SSH 活動に積極的に取り組めるように、SSH プランカードを用いる。
これにより生徒の個々の成長を追い、指導に役立てる。入力方法についても研究を行う。
① SSH プランカード
準備・計画
実施
実施
実施
実施
② SSH ポイント制
準備・計画
実施
実施
実施
実施
③ 効率的、継続的に SSH 活動が行える教員組織
体制の検討
計画
実施
実施
実施
実施
○教育課程上の特例等特記すべき事項
以下の学校設定科目を設置する。
(1)SS 科学技術と人間
(科学技術 2単位:1年必修 少人数展開)
(2)SS 数理情報
(科学技術 2単位:2年必修 少人数展開)
(3)SS 科学技術理論
(科学技術 4単位:2年必修 少人数展開)
(4)SS 科学技術実習
(科学技術 5単位:2年、3年必修 少人数展開)
(5)SS 数理物理
(理
科 2単位:3年自由選択)
(6)SS 科学技術実践
(奉
仕 1単位:1年必修)
○平成27年度の教育課程の内容
上記の学校設定科目を設定し、実施する。課題研究は全生徒が2年生で1単位、3年生で2単位の計3
単位履修する。
○具体的な研究事項・活動内容
(1)創造性、問題解決能力、コミュニケーション能力を育成するための科学技術に関する専門教育
プログラムの研究開発
育てたい力(創造性、問題設定能力を伴った問題解決能力、コミュニケーション能力)を
総合的に育成するために課題研究を中心科目と位置づけ、今年度は「SS 科学技術と人間」を
実施するとともに、「SS 科学技術理論」「 SS 科学技術実習」「 SS 数理情報」について昨年度に先
行研究した結果を踏まえ、内容を改定した。専門性を高めるために来年度新設予定の「 SS 科
学技術特論」について先行研究を行った。また、「課題研究」では2年生全員が大学研究室訪問
を行い課題研究の深化を図った。(課題研究テーマ一覧 p.2)
創造性、問題可決能力、コミュニケーション能力を文系教科を含む学校全体で育成するた
めにアクティブラーニングプロジェクトを立ち上げて授業研究を進めてきた。
短期集中講座も昨年度と同様に(12月と3月の年2回、それぞれ3日間ずつ開講)を実施して
高大連携、英語力の強化、科学技術、地学に関する講座等約100講座開講した。
(2)大学・研究所、小中学校、他の高校と連携し、有能な科学技術系人材を育成するプログラムの
研究開発
生徒全員が対象の高大連携研修として、筑波研究施設見学(1年)、科学体験研修「科学プ
レゼンテーション研修」(1年)、進路模擬授業研修(2年)を実施した。また、2年生全員が企
画力を育成するためのキャリアデザインツアーの研修も行った。希望者対象の研修として高
大連携講座(12月、3月)、琉球大学と連携した西表島での野外体験研修や瀬底島体験研修(宿
泊)、さらに関係機関と連携した日帰りや宿泊のフィールドワークを7回実施した。また、課
題研究等において大学の先生よりアドバイスをいただいた。
1年生全員が SS 科学技術実践として本校文化祭で、また科学研究部と演劇部の生徒が連携
して日本科学未来館や本校にて科学技術の啓発活動を行った。日本ヒューレットパッカード
と連携して小中学校に出向き、本校生徒が小中学生にプログラミング教室を実施した。また、
中学校の教員に対しての研修や授業交流、中学校生徒による理科研究発表を本校にて開催し
た。文化祭にて都内の SSH 校を招き SSH 交流会を開き、高校生同士の交流を図った。
(3)意欲、能力の高い生徒を伸ばす教育プログラムの研究開発 <上への伸長>
スーパープロジェクトはテーマを変更しつつ4本の研究を行い、研究の多角化、充実を図
—8—
った。また、科学の甲子園に向けた ST オリンピックを開催し、代表者の選考と全生徒への啓
発を行った。生徒が自ら協力して諸問題を解決しようとする自主的、実践的な態度を育成す
るため、生徒によるSSH委員会を立ち上げ、課題研究会やSSH交流会やSTオリンピックの企画
・運営に参加させた。
(4)国際的に活躍できる科学者・技術者を育成するための教育プログラムの研究開発
英語週間にて英語の講義や全生徒の GTEC による英語力の定点観測を行うとともに、シン
ガポールの高校との共同研究を行い、その成果をシンガポールにて共同で発表した。また、
英語による研究者の講義(3回)を実施し、海外研究者との交流を行った。5月に台湾の木柵
高工の生徒を受け入れ、生徒間の交流を行った。
(5)生徒ひとりひとりの成長が見え、SSH 活動が活発化する方法および指導体制の研究開発
取組の評価を測定する方法の統一化を図るとともに、SSH プランカードを使って面談を行
い SSH 活動の充実を図った。また、外部講師を招いて教員研修会を行い、教員の教育力のレ
ベルアップを図った。
⑤ 研究開発の成果と課題
○実施による成果とその評価
1.外部による評価、保護者等の評価
8月に内閣総理大臣より ISS に滞在中の油井宇宙飛行士と交信する VIP コールに本校の日頃の
科学技術活動が評価されて生徒2名が招待された。また、7月と12月に日本ヒューレットパッカー
ドと連携した小中学生へのプログラミング教室について総務省より「サイエンスコミュニケーショ
ン、言語活動等に評価できる活動である」と評価していただいた。運営指導委員から課題研究につ
いて改善点の指摘とともに「ユニークなテーマが多く、生徒は主体的に取り組んでいる」等の評価
をいただいた。学校評価アンケートではSSHに対して肯定的評価の割合は地域、生徒、保護者、教
職員ともに約8~9割と高い。卒業生(7期生、8期生)に対しても追跡調査を行った結果、大学
や大学院で理系専攻が84%と高く、大学院進学率は20%(東京大学、京都大学、慶応大学等)で
あった。
2.生徒の評価・変容
(1)PISA2006 調査項目基づく OECD 諸国、日本の高校生との比較、本校独自の SSH 自己評価ア
ンケートによる比較
全生徒の平均について日本・OECD平均との比較した結果、科学の楽しさ、理科学習に関する道
具的有用感、将来志向的動機づけはかなり高い水準を示した。学年間の比較では、2学年が4つの
観点で一番高い結果となった。自己評価アンケートでも同様に 2 学年がよい評価となり、学校設
定科目の改善やスーパープロジェクト、SSHプランカード等によるよい影響が出たと推定される。
(2)各取組での成果 (研究開発の内容 p.14 ~ p.47 参照)
SS 科学技術と人間など学校設定科目では「実験結果などの考察」、「話合いや議論」、「研究の手
順」に効果が上がるように改訂した結果、7割前後の生徒にその効果が見られた。2年生の課題研究
開始当初に大学研究室訪問することにより、研究班全体の取り組み意識の向上、スムーズな研究
の導入、大学と関係の強化等に効果があった。また、「創造性・問題解決能力・コミュニケーショ
ン能力の育成」を学校全体で取り組むためアクティブラーニングプロジェクトを立ち上げ、高校・
大学関係者の視察や研究授業へ多数の参観があった。科学技術系部活動やスーパープロジェクト、
課題研究では、ものづくりコンテスト化学分析部門全国大会で文部科学大臣賞はじめ、JSEC 優等賞、SSH
生徒研究発表会ポスター発表賞など全国的な大会で多くの賞を受賞することができた。
○実施上の課題と今後の取組
1.文部科学省中間評価ヒアリング、運営指導員会での指摘・助言
昨年度の中間評価ヒアリングで受けた指摘・助言については今年度の取組をさらに進めていく。
運営指導委員の先生方による「実験に対する見通しが不十分な研究がある」、「課題研究の前に確
かめ実験等で条件を考えさせ、思考させるステップが必要である」等の指摘・助言にはSS科学技術
特論や理科等の科目と課題研究を有機的に結びつけて、改善を図っていきたい。
2.本校の課題と今後の取り組み
昨年度に認識した課題について今年度対応してきたが、さらに次のような課題への対応が重要
であると判断した。①効果的に創造性・問題解決能力・コミュニケーション能力を育成するため
に国語や社会を含めた全教科が連携して教育活動を展開する必要性。②アンケートによる学年ご
との結果の相違。③大学との接続を意識した課題研究の評価方法、指導方法の改善。
来年度は個々の取組の改善と共にこの三点についても検討、対応していく予定である。
—9—
別紙様式2-1
東京都立科学技術高等学校
指定第2期目
24 ~ 28
❷平成27年度スーパーサイエンスハイスクール研究開発の成果と課題
① 研究開発の成果
( SSH 実施効果の定量的評価 p.48 ~ p.53 参照)
一期目の研究開発の成果と課題を受けて、本校として今まで研究開発を行ってきた活動を基盤とし
て取組を充実させることを目指し、研究開発課題を策定し、研究開発に取り組んできた。
1.外部による評価、保護者等による評価
学校評価アンケートによる保護者の「本校の SSH プログラムが充実している」と感じている肯定
的評価の割合は昨年度の 87.2 %から 90.9 %と増加し、高い評価をいただいた。地域、生徒、教職
員も肯定的評価がともに約8~9割と高い。本校へ入学した理由として SSH をあげる生徒は今年
度は 63.3 %と昨年度よりも上昇している。また、本校の日頃の科学技術活動が評価され、8月に
内閣総理大臣より ISS に滞在中の油井宇宙飛行士と交信する VIP コールに生徒 2 名が招待され
た。7月と 12 月に日本ヒューレットパッカードと連携して実施した小中学生へのプログラミング
教室を視察した総務省情報通信利用促進課より「サイエンスコミュニケーション、言語活動等に評
価できる活動である」と評価を得たとともに今後のモデルケースであると認識していただいた。
2.運営指導員からの評価
運営指導委員の先生方から課題研究について「ユニークなテーマが多く、生徒は主体的に取り組
んでいる」と評価していただくとともに、「研究の手法、データの出し方等に差がある。専門の知
識・実験手法の取得が研究のベースになる」、「大学ともっと協力したらどうか」「課題研究の前に
確かめ実験等で考えさせていくステップが必要である」等、課題研究のレベルを上げていく上で大
切なご指摘、ご助言をいただいた。
3.卒業生の状況
SSH 指定 1 期目の卒業生(7 期生、8 期生)について追跡調査を行い、回収率は低かったが、大
学や大学院での理系専攻が 84 %、大学院進学率が 20 %(東京大学、京都大学、慶応大学等)の
結果を得た。本校での SSH 活動は職業選択に大きな影響を及ぼし、本校で目指していた発表力や
考える力、問題解決能力等が向上したと回答している。
4.生徒の評価・変容
(1)PISA2006 調査項目基づく OECD 諸国、日本の高校生との比較
大阪教育大学の仲矢先生のご協力により次の観点で本校生徒と OECD 諸国および日本の高校生
との比較を行った。
Ⅰ 科学に関する全般的価値、Ⅱ 科学に関する個人的価値、Ⅲ 理科学習における自己認識、
Ⅳ 科学の楽しさ、Ⅴ 理科学習に関する道具的有用感、Ⅵ 将来志向的動機づけ、Ⅶ 科学への全般
的興味・関心、Ⅷ 科学における自己効力感、Ⅸ 科学に関連する活動、など
全生徒の平均について日本・OECD 平均との比較では、Ⅲ、Ⅷ、XI を除いた多くの項目で高い
値となった。年度別比較では昨年度は一昨年度と比べて全般的に大きく増加したが、今年度は残
念ながら昨年度より低下した。しかし、一昨年度と比べると若干高い値である。観点別に見ると
Ⅳ、Ⅴ、Ⅵは高い水準であり、特にⅥは日本・OECD 平均と比べ顕著に高い。学年間の比較では、
従来見られていた 2 学年での落ち込みがあまり見られず、2 学年が 4 つの観点で一番高い結果と
なった。これまでにない結果である。学校設定科目の改善やスーパープロジェクトや SSH プラン
カード等によるよい影響が出たと推定させる。
(2)本校独自の SSH 自己評価アンケートによる比較
この 3 月に卒業する 13 期生について、創造性・問題解決能力は、ほぼ横ばいの状態であったが、
コミュニケーション能力には向上が見られる。特に「英語による発信力」の向上が著しく、外へ
の拡大の取組の成果が出てきたと考えられる。また、2 学年には落ち込みが目立たなかった。
5.各取組での成果 (研究開発の内容 p.14 ~ p.47 参照)
今年度は日本ヒューレット・パッカードと連携したプログラミング教室の実施や課題研究のテー
マ決定時の 2 年生全員の大学研究室訪問、海外の高校との共同研究、生徒の SSH 委員会による発表
会等の企画運営への参加、普通教科を含めた創造性・問題解決能力・コミュニケーション能力の育
成のためのアクティブラーニングプロジェクトの立ち上げ等を新たに行った。
(1)創造性、問題解決能力、コミュニケーション能力 を育成するための科学技術に関する専門教
育プログラムの開発 <横の連携>
① SS 科学技術と人間 について
— 10 —
課題研究を向上させるため、「実験結果などの考察」、「話合いや議論」、「研究の手順」に効果
が上がるように改訂した結果、7 割前後の生徒にその効果が見られた。
② 課題研究について
2 年生の研究開始当初に大学訪問をすることにより、研究班全体の取り組み意識の向上、ス
ムーズな研究の導入、大学と関係の強化等に効果があった。来年度(3 年生)での研究成果に
期待したい。
③ SS 科学技術理論・SS 科学技術実習
SS 科学技術と人間、工業技術基礎の学習を踏まえて、科学技術に対する興味・関心を引き
出し、問題解決能力を育てるために設置した SS 科学技術理論・SS 科学技術実習について興味
・関心・意欲の向上や授業への主体的な取組に 7 割~ 8 割の生徒が肯定的な評価をしている。
④理系科目以外の取り組み
学校全体として「創造性・問題解決能力・コミュニケーション能力の育成」をさらに進めるた
めにアクティブラーニングプロジェクトを立ち上げた。その結果、他県を含む4件の高校・大
学関係者の視察や研究授業へ他都立高校からの 30 名以上の参観があった。
(2)大学・研究所、小中学校、他の高校と連携し、有能な科学技術系人材を育成するプログラムの
開発 <縦の連携>
筑波研究施設見学(HR 合宿)や科学体験研修、進路模擬授業体験、を実施することにより科
学技術への興味・関心や科学技術に関する学習意欲の増加、コミュニケーション能力・プレゼン
テーション力の高まり、大学での学修や研究に興味・関心を持った生徒や課題研究への手掛や進
め方の参考になった生徒の増加が見られた。
また、キャリデザインツアー、先に述べたプログラミング教室の実施、サイエンスライブ・実
験教室等の啓発活動の実施により生徒の主体性・計画性の涵養や視野の広がり等が見られた。
(3)意欲、能力の高い生徒を伸ばす教育プログラムの開発 <上への伸長>
科学技術系部活動やスーパープロジェクト、課題研究の取組により、ものづくりコンテスト化学分
析部門全国大会で文部科学大臣賞はじめ、JSEC 優等賞、SSH 生徒研究発表会ポスター発表賞な
ど全国的な大会で多くの賞を受賞することができた。(研究開発の経緯 p.16 参照)また、SSH 委
員会による企画・運営への参加により生徒の主体性の育成が図れた。
(4)国際的に活躍できる科学者・技術者を育成するための教育プログラムの開発<外への拡大>
英語週間、英語講演、海外研修(シンガポールチャイニーズガールズスクールと共同研究・発
表)、台湾木柵高工との交流により GTEC で大幅に伸びた生徒が増加し、英語力の強化に繋がる
とともに英語の勉強意欲やコミュニケーション能力を高めることができた。
(5)生徒ひとりひとりの成長が見え、SSH 活動が活発化する方法および指導体制の開発
<下からの支え>
2 年生の科学技術に対する意識の向上やスーパープロジェクト参加者数が増え、研究活動を積
極的に行う生徒が増加した。また、先にあげたアクティブラーニングプロジェクト等により理系
に限らず文系の教科の教員にも授業研究への意識の向上が見られた。
② 研究開発の課題
(研究開発実施上の課題及び今後の研究開発の方向 p.55,56 参照)
1.文部科学省中間評価ヒアリング、運営指導員会での指摘・助言
昨年度の中間評価ヒアリングでいただいた「地学基礎を全員履修できないか。」、「生徒の自主性・
企画力を育成するために生徒による発表会等の実施ができないか。」、「専門科の特色を活かし、制
御等の工学から入って理学の学習をすれば効果的になる。」、「科学技術と社会との接点を学ばせた
い。」、「語学力の育成をさらに進めてほしい。」、「女性科学技術者を増やすために女子生徒が増化
する工夫をしてほしい。」、「数学の指導法の改善によって女子生徒への対応を含め、効果が上がる。」、
「コンテスト出品数を増やしてほしい。」、「継続的な高大連携の実施をしてはどうか。」という指摘
・助言に対して今年度の取組をさらに進めていきた。また、運営指導委員の先生方から課題研究に
ついていただいた「研究の手法、データの出し方に差があり、実験に対する見通しが不十分な研究も
ある」、「課題研究の前に確かめ実験等で条件を考えさせ、思考させるステップが必要である」等、指
摘・助言には SS 科学技術特論や理科等の科目と課題研究を有機的に結びつけて改善を図っていく。
2.本校の課題
今年度は昨年度に認識した課題について対応してきたが、さらに次のような課題への対応が重要
であると判断した。①効果的に創造性・問題解決能力・コミュニケーション能力を育成するために
国語や社会を含めた全教科が連携して教育活動を展開する必要性。②アンケートによる学年ごとの
結果の相違。③大学との接続を意識した課題研究の評価方法、指導方法への改善。
来年度は個々の取組の改善と共に、この三点についても検討し、学校設定科目の改訂や面接週間
の実施などで対応していく予定である。
— 11 —
Ⅰ.
研究開発の課題
SSH 運営委員
1. はじめに
金子 雅彦
3. 本校の課題・開発計画
東京都立科学技術高校は、平成 13 年 4 月
5 年間の SSH による成果、SSH 運営指導
に科学技術教育を特色とする新しいタイプの
委員会、保護者、東京都教育委員会からの評
専門高校として開校した都立高校最初の科学
価、日本の現状や江東区における本校の役割
技術科をもつ高校である。「科学技術教育を通
を踏まえ、
”理論のみならず実践力を伴った国
じて、創造性、問題解決能力、コミュニケー
際的に活躍できる科学者・技術者の育成、日
ション能力を養い、知識基盤社会で活躍でき
本の科学力・技術力を支える人材の育成、国
る人材を育てる学校」を目指し、将来の日本を
民の科学技術リテラシーの向上を担う人材の
支える、理論のみならず実践力を備えた科学
育成”を目的に、今まで行ってきた SSH 活
技術の人材を搬出すべく、教育活動を行って
動を発展させ、改善を加えた以下の(1)~(5)
いる。
の柱を立て、実施計画を策定し、SSH 開発研
2. 本校の現状
究を実施している。
前回の SSH 指定 5 年間の研究開発におい
(1) 創造性、問題解決能力、コミュニケーシ
て、学校設定科目のカリキュラム開発や筑波
ョン能力を育成するための科学技術に関
研究施設見学をはじめとする多様な研修プロ
する専門教育プログラムの研究開発
グラムの開発、科学研究部等の充実等を図っ
<横の連携>
てきた。科学技術科の特性を生かし、生徒全
学校設定科目等において、育てたい力
員対象で多岐にわたる SSH 活動を全校規模
(創造性、問題設定能力を伴った問題解
で展開してきた。SSH 運営指導員の先生方か
決能力、コミュニケーション能力)を総
らは理論のみならず実践する力を育成する本
合的に育成するために以下の研究を行っ
校の活動に成果があったと評価をいただいた。
た。
生徒へのアンケートから検証を行った結果、
① 学校設定科目等の開発研究
学校設定科目を始めとする SSH 活動全般を
「SS 科学技術と人間」、「SS 数理情
通して、柔軟性(多くの観点から物事を考え
報」
、「SS 科学技術理論」、
「SS 科学技
ることができる。)、再定義(物事を異なる観
術実習」、
「課題研究」、
「SS 数理物理」
点から考えることができる。)協調性(班で協
② 短期集中講座を用いた教育プログラム
力して観察や実験ができる。)、発表力(観察
や実験したことをみんなの前で発表できる。)、
の開発
(2) 大学・研究所、小中学校、他の高校と連
進路の明確性(自分の将来や進路が明確であ
携し、有能な科学技術系人材を育成する
る。)、社会への貢献(科学技術を通して社会
プログラムの研究開発 <縦の連携>
に貢献したいと思う。
)といった項目に対して
明らかに効果が確認された。その一方で英語
による発信力(観察や実験を簡単な英文で発
信できる。)等については、残念ながら十分な
全生徒および希望者に対して以下のプ
ログラムを開発する。
① 高大一貫(連携)の科学技術教育に関す
る連携プログラムの開発
SSH 筑波研究施設研修、SSH 科学体
効果を得たとは言いがたい状況であった。
― 12 ―
— 12 —
験研修、SSH 進路模擬授業研修、希望
⑤ 海外の高校との連携
者を対象とした高大連携講座、短期集
⑥ 海外の研究者との交流
中講座を利用した高大連携講座、バイ
(5) 生徒ひとりひとりの成長が見え、SSH 活動
オテクノロジー実験講座、野外体験研
が活発化する方法および指導体制の研究
修などの宿泊研修の実施、課題研究・
開発<下からの支え>
自己の適性を考えながら SSH 活動に
科学研究部等で高大連携、
「SS 数理物
理」のための ICT 教材開発等の実施。
積極的に取り組めるように、SSH プラン
② 小中学校・高校・地域との連携プログ
カードを用いる。これにより生徒の個々
ラムの開発および成果の普及・地域と
の成長を追い、指導に役立てる。入力方
の連携プログラムの開発および成果の
法についても研究を行う。
① SSH プランカード
普及
② SSH ポイント制
SS 科学技術実践、サイエンスライ
③ 効率的、継続的に SSH 活動が行える教
ブ、科学研究部生徒等による実験指導、
員組織
中学校教員との連携、他の高校との生
4. これからの課題
徒同士の連携等の実施。
(3) 意欲、能力の高い生徒を伸ばす教育プロ
グラムの研究開発 <上への伸長>
研究開発の中間評価を昨年度、文部科学
省より受けた。運営指導委員の先生方から
短期集中講座や高大連携プログラムに
の助言とともに、今後の取組に活かして行
おいて意欲の高い希望者に対して指導を
きたい。今年度は新たに次のような課題へ
行うとともに以下のプログラムの研究開
の対応が重要であると判断した。
発を行った。
(1) 普通教科(理科・数学等)と専門教科が
① 科学技術系部活動の充実・振興
協力して学校設定科目等のカリキュラ
② ST オリンピック
ム開発を行ってきたが、より効果的に創
③ スーパープロジェクト
造性・問題解決能力・コミュニケーショ
④ 野外体験研修
ン能力を育成するためには国語や社会
(4) 国際的に活躍できる科学者・技術者を育
成するための教育プログラムの研究開発
を含めた全教科が連携して教育活動を
展開していく必要がある。
(2) PISA2006 調査アンケートや自己評価
<外への拡大>
海外での発表、海外の研究者や高校生
アンケートでは、1 年生が比較的高ポイ
との交流によって語学力を向上させる
ントで、2 年生で一端落ち込み、3 年生
プログラムを研究開発した。
で改善される傾向がある。学年により変
① 学校設定科目、課題研究における英語
力強化に関する研究開発
動もあり、分析して改善に役立てていく
必要がある。
② 短期集中講座における語学力強化の
講座
(3) 課題研究の指導にあたり、大学との接
続を意識した評価方法、指導方法をとる
③ 企業・大学等との連携による英語力強
化の講座
必要がある。
(研究開発実施上の課題及び今後の研究開
発の方向・成果の普及 P.55,56 参照)
④ 海外からの生徒との交流
― 13 ―
— 13 —
Ⅱ.研究開発の経緯
SSH 運営委員
研究部 SSH 担当
岡本悠太
概要
本校の SSH 研究開発は、全校生徒を対象に学校全体で展開している。以下の大きく5つの領域に分
けことができ、多角的に SSH 事業を展開できるよう研究開発に励んでいる。
(1) 創造性、問題解決能力、コミュニケーション能力を育成するための科学技術に関するプログラ
ムの研究開発<横の連携> ※表の◆印がついた事業が該当
(2) 大学・研究所、小中学校、他の高校と連携し、有能な科学技術系人材を育成するプログラムの
研究開発<縦の連携> ※表の●印のついた事業が該当
(3) 意欲、能力の高い生徒を伸ばす教育プログラムの研究開発<上への伸長>
※表の★印のついた事業が該当
(4) 国際的に活躍できる科学者・技術者を育成するための教育プログラムの研究開発
<外への拡大> ※■印のついた事業が該当
(5) 生徒ひとりひとりの成長が見え、SSH 活動が活発化する方法および指導体制の研究開発
<下からの支え> ※▲印のついた事業が該当
※各事業の詳細は本文を参照。
H27 年度
月
4
5
6
7
年間事業
事業名【実施場所:参加者】(該当事業)
・SS 数理情報部会(◆) ・SS 科学技術と人間部会(◆) ・課題研究部会(◆)
・TOKYO ふしぎ祭エンス【日本科学未来館:科学研究部,演劇部】(●)
・フィールド実習①【盤洲干潟:希望者】(●) ・SSH プランカード説明会(▲)
・西表島野外体験研修【沖縄県4泊5日: スーパープロジェクト】(●)
・SSH 運営委員会(◆) ・SSH 事業校内研修会(◆) ・SS 科学技術理論部会(◆)
・SS 科学技術実習部会(◆) ・筑波研究施設見学【つくば市:1年生】(●)
・Fusion フェスタ 2015【日本科学未来館:科学研究部,スーパープロジェクト】(●)
・ワークショップ研修【科学研究部】(★) ・大学研究者の英語講演会①【本校:希望者】(■)
・キャリアデザインツアー【都内各所:2年生】(●)
・江東区理科教育研究会研修【本校:江東区理科教員】(●)
・物理チャレンジ予選【8名:希望者】(★) ・フィールド実習②【江奈湾:希望者】(●)
・エッグドロップコンテスト 2015【文京学院大学: スーパープロジェクト】(★)
・課題研究発表会【本校:3年生】(◆) ・生物オリンピック予選【2名:希望者】(★)
・サイエンスライブ【日本科学未来館:演劇部】(●) ・SSH 運営委員会(◆)
・英語週間日本ヒューレット・パッカード社員英語講演会【本校:1・2年生】(●, ■)
・ST オリンピック【本校:1~2年生クラス代表】(★)
・グローバルサイエンスリンク【シンガポール5泊6日:スーパープロジェクト】
チャイニーズガールズハイスクールとの共同研究発表(■)
・全国高等学校総合文化祭(自然科学部門)【滋賀県:科学研究部】(★)
・発想力育成講座「科学技術と人間」特別講座【本校:1年生】(◆)
・プログラミング教室【江東区立南陽小学校:希望者】(●)
— 14 —
-14-
8
9
10
11
12
・高校生ものづくりコンテスト東京都大会【本校:科学研究部】(★)
・高校生ものづくりコンテスト関東大会【東工大附属科学技術高校:科学研究部】(★)
・日経エデュケーションチャレンジ【千葉県:希望者】(★)
・イノベーションキャンパス in つくば【茨城県:希望者】(★)
・瀬底島野外体験研修【沖縄県4泊5日:スーパープロジェクト】(★)
・夏期合宿研修【鴨川市2泊3日:科学研究部】(●)
・SSH 生徒研究発表会【大阪府:スーパープロジェクト】(★)
・電子顕微鏡(SEM)特別講習【本校:希望者】(●)
・東海大学 SSH 夏季集中講座【東海大学高輪/湘南キャンパス:希望者】(●)
・Maker Faire Tokyo 2015【東京ビッグサイト:ロボット部】(★)
・SSH 運営指導委員会(◆) ・学校設定科目部会(◆) ・課題研究発表会【本校:全学年】(◆)
・SS 科学技術実践①【本校:1年生】(●)
・SSH 交流会【本校:希望者,戸山高校・多摩科学技術高校と交流】(★)
・高校生理科研究発表会【千葉大学:スーパープロジェクト,科学研究部】(★)
・フィールド実習③【真鶴:希望者】(●) ・フィールド実習④【尾瀬2泊3日:希望者】(●)
・多摩未来祭SSH発表会【多摩科学技術高校:課題研究】(★)
・SS 科学技術実習部会(◆) ・SS 科学技術理論部会(◆) ・SS 科学技術と人間部会(◆)
・SS 科学技術特論部会(◆) ・工学フォーラム 2015【大手町:スーパープロジェクト】(★)
・フィールド実習④【房総のむら:希望者】(●) ・SSH 講演会【本校:希望者】(●)
・科学体験研修【日本科学未来館:1年生】(●)
・JSME インハイ【土浦市:課題研究】(★) ・進路模擬授業【本校:2年生】(●)
・女子生徒による科学研究発表交流会【慶応大学: スーパープロジェクト】(●)
・SSH 運営委員会(◆) ・学校設定科目部会(◆) ・SSH プランカード面接(▲)
・アクティブラーニングプロジェクト(◆)
・高校生ものづくりコンテスト全国大会【九州】(★)
・東京都高等学校工業科生徒研究成果発表大会【工芸高校:科学研究部,課題研究】(★)
・東京都理科研究発表会【多摩科学技術高校:科学研究部他】(★)
・科学の甲子園東京都予選【6名: ST オリンピックによる選抜者】(★)
・江東区中学校生徒理科研究成果発表会【本校:江東区中学生,科学研究部】(●)
・江東区理科教育研究会と連携した高め合い研修【本校:江東区理科教員】(●)
・藤原ナチュラルヒストリー振興財団ポスター研究発表【科学博物館:スーパープロジェクト】(★)
・東京都高等学校工業科生徒研究成果発表大会【水道橋:課題研究】(★)
・Symposium For Woman Researchers【戸山高校:スーパープロジェクト】(●)
・科学の祭典【法政大学:科学研究部】(★) ・サイエンスアゴラ【お台場:科学研究部】(★)
・SSH 運営委員会(◆) ・SS 科学技術実践②【本校:1年生】(●)
・高大連携:首都大学東京、日本大学「短期集中講座」【本校】(●)
・SSH 東京都指定校合同発表会(幹事校)
【東京農工大学:スーパープロジェクト、科学研究部、課題研究】(●, ★)
・マイコンカーラリー南関東大会予選【総合工科高校:ロボット部】(★)
・サイエンスライブ・実験教室【本校:演劇部,科学研究部】(●)
・海外研究者の講演会②【本校:希望者】(■)
・サイエンスキャッスル 2015【TEPIA 先端技術館:科学研究部,課題研究】(★)
・大学研究室訪問【日本大学理工学部・東京電機大学・千葉工業大学:2年生】(◆,●)
・プログラミング教室【江東区立深川第六中学校:希望者】(●)
・東京都ジュニア科学塾【青少年センター代々木: スーパープロジェクト】(●)
— 15 —
-15-
12
1
2
3
・JSEC 最終審査会【日本科学未来館: 科学研究部,スーパープロジェクト】(★)
・SSH 先進校視察(▲)
・情報オリンピック【ネット受験:希望者】(★)
・SSH 運営委員会(◆) ・SSH 教員研修会(▲) ・アクティブラーニングプロジェクト(◆)
・数学オリンピック予選【5名:希望者】(★)
・ジャパンマイコンカーラリー2015 全国大会【日本工学院八王子専門学校:ロボット部】(★)
・プランクトン化石の研修会【矢島道子研究室:科学研究部,スーパープロジェクト】(★)
・サイエンスライブ②【本校:演劇部】(●)
・課題研究部会(◆) ・SS 科学技術と人間部会(◆) ・SS 科学技術理論部会(◆)
・SS 科学技術実習部会(◆) ・SS 科学技術特論部会(◆)
・課題研究発表会【本校:2年生】(◆)
・フィールド実習⑤【葛西臨海公園:希望者】(●)
・マイコンカーラリー東京都大会【総合工科高校:ロボット部】(★)
・戸山高校研究発表会【戸山高校:課題研究】(★)
・SSH 運営指導委員会(◆) ・科学技術と人間発表会【本校:1年生】(◆)
・高大連携:首都大学東京「短期集中講座」【本校】(●)
・国語・英語連携プレゼン講座「短期集中講座」【本校】(★)
・フィールド実習地学巡検「短期集中講座」【城ケ島:希望者】(●)
・首都圏オープン生徒研究発表会【早稲田大学】(★)
・関東近県 SSH 合同発表会【文京学院大学: スーパープロジェクト,科学研究部,課題研究】(★)
・つくばサイエンスエッジ【茨城県:科学研究部,スーパープロジェクト】(★)
・化学クラブ研究発表会【芝浦工業大学:科学研究部】(★)
・日本水産学会春季大会【東京海洋大学: スーパープロジェクト,科学研究部】(★)
・日本植物生理学会(高校生生物研究発表会)【東京農業大学:スーパープロジェクト】(★)
・女子生徒交流会【多摩科学技術高校:希望者】(●)
・日本生態学会【仙台市:科学研究部,スーパープロジェクト】(★)
・日本森林学会【日本大学:科学研究部, スーパープロジェクト】(★)
・海外研究者の講演会③【本校:希望者】(■)
・首都圏オープン生徒研究発表会【早稲田大学:科学研究部】(★)
今年度の受賞等(★)(主なもの:平成 28 年 1 月現在)
コンテスト・大会名
第 39 回全国高等学校総合文化祭滋賀大会
平成 27 年度 SSH 生徒研究発表会
第 1 回 JSME・インハイ~高校生によるポスター発表~
第 15 回高校生ものづくりコンテスト化学分析部門関東(東京)大会
平成 27 年度 第 9 回高校生理科研究発表会
平成 27 年度 第 9 回高校生理科研究発表会
平成 27 年度 第 9 回高校生理科研究発表会
第7回 女子生徒による科学研究発表交流会
第4回 東京都高等学校理科研究発表会
第 15 回高校生ものづくりコンテスト化学分析部門全国大会
第 22 回東京都高等学校工業科生徒研究成果発表会
第 13 回高校生科学技術チャレンジ(JSEC2015)
ジャパンマイコンカーラリー全国大会 2016
— 16 —
-16-
受賞等
物理部門奨励賞
ポスター発表賞
優秀賞
第1位
優秀賞
優秀賞
千葉大学長賞
奨励賞
総文祭都代表
文部科学大臣賞
優秀賞
優等賞
2 年連続全国大会出場
Ⅲ.研究開発の内容
1.横の連携
<横の連携>◆
学校設定科目の研究開発概要
SSH 運営委員
佐々木義秀
1. 仮説
(1) 幅広い知識・技能を身に付け興味関心を高めることで、思考力、判断力、表現力等が身につく
(2) 早い時期から調査研究の指導を行うことで、主体性、共同性、学び合う力が身につく
(3) 普通科と専門教科が融合した科目設定を行うことで、学校全体の取り組みとなり課題研究の質
の向上、進学実績の向上が期待できる
2. 研究内容・方法
(1) 実 施 日:【研究実施】平成 26・27 年度「SS 科学技術と人間」 平成 27 年度「課題研究」
「SS 科学技術理論Ⅰ」「SS 科学技術実習Ⅰ・Ⅱ」 【研究開発】
「SS 科学技術特論」
(2) 対象生徒:全校生徒
(3) 内
容: 3 学年課題研究の質向上を目的として 1 学年から幅広い知識・技術を積み上げ、2
学年において専門性を深めるように、学校設定科目の学習の体系化を図る。
1 学年
研究者
技術者へ
「SS 科学技術と人間」
ローテーション項目において、第 1 分野は
考察、第 2 分野は討論、第 3 分野は研究方
課題研究
SS 科学技術理論Ⅱ
SS 科学技術実習Ⅱ
法を重点に指導を行った。2 学年の初めか
ら課題研究に取りかかれるように調査研
究の時間の増加等も行ってきた。
2 学年
課題研究
SS 科学技術理論Ⅰ
SS 科学技術特論
SS 科学技術実習Ⅰ
「SS 科学技術理論Ⅰ」
課題研究の質を高めるために専門的な
知識・技術を中心とした内容に改訂した。
普通科教科
SS 科学技術と人間
工業技術基礎
情報技術基礎
「SS 科学技術特論」
数理情報の名称を変更し、数学的な考え方
やコンピュータによる情報処理を各分野の
専門性と関連づけ、問題解決能力や工学的
知識の広がり
思考を養えるように開発した。
「課題研究」
昨年度までの開発に加え、大学との連携をより密にし、発表会の運営に生徒を参画させ、
研究レベルと生徒の企画力の向上を図った。各分野共通で効果的な評価基準の改訂を検討し
ている。 ※来年度は「SS 課題研究」として普通 5 教科の教員が指導を進められよう計画中。
3 学年「SS 科学技術理論Ⅱ」
課題研究の科学的考察、分析を踏まえ、より理論的な考察を行うため、理科の教員が担当する
ように改訂した。
3. 検証
(1) 現 2 年生は「科学技術と人間」のカリキュラム改訂後の生徒で有り、主体的に課題研究のテー
マを設定できた。また、大学の研究室訪問等を通して研究方法を学び、研究を主体性を持って
協同しながら進める事ができ、効果が見られた。
(2) 研究開発では、科学技術科の科目に、普通科の教員も参加可能となり、教科間連携や教科を横
断した授業など、学校全体として取り組む体制が整い、次年度から実施し評価を行う。
— 17 —
-17-
横の連携 ◆
学校設定科目を体系的なカリキュラムに改訂することで、以下の改善ができると考える。
<横の連携> ◆
学校設定科目「SS 科学技術と人間」
「科学技術と人間」担当 第2分野 星野
達哉
横の連携 ◆
a.研究の進め方 ~1分野~[8]
1. はじめに
「振り子ハンマーによる衝撃試験」
「SS 科学技術と人間」は,本校生徒が1学年
〔仕事と効率〕
時に履修する唯一の学校設定科目である。そのた
「仕事による水の温度上昇実験」
め,本校で育てる生徒像を形成するための導入と
〔仕事と効率〕
して,
さまざまな学習効果を期待されている科目
「スターリングエンジンの効率測定実験」
でもある。本科目は開校時から設置されており,
〔熱エネルギーの効率〕
本校がSSHの指定を受ける以前から科目に課
「風エネルギーの変換効率測定」
せられた目標自体は変わっていない。
〔新エネルギーの効率向上〕
しかしながら課題研究のテーマ設定や研究手
b.研究での議論
法の効果的な取得,
生徒の興味関心を高めたり問
~2 分野~[8]
「新しい光源を考える」
題解決能力を育てたりコミュニケーション能力
〔LED と EL〕
を伸長させたりすることを目的として研究開発
「新しい電気エネルギー源を考える」
を行い、それに基づいて授業を展開した。
2. 仮説
〔燃料電池〕
「英文マニュアルを輪読する」
「科学技術と人間」の学習を通して,生徒に次
〔燃料電池〕
のような変容が生じることを仮説とする。
(1) 科学技術についての興味・関心が高まる。
「エネルギー源についてディベートする」
(2) 調査・研究の体験を通して、問題を解決す
〔発電エネルギー〕
c.研究での考察 ~3分野~[8]
る能力が高まる。
(3) 討論や発表の体験を通して,コミュニケー
「反応熱体験」
〔溶解熱と発熱反応〕
ション能力が高まる。
(4) 発表資料の作成や発表を通してプレゼンテ
「使い捨てカイロの発熱原理」
〔鉄と水溶液の化学反応〕
ーション能力が高まる。
3. 研究内容・方法
「オリジナル使い捨てカイロの作製」
(1) 対象者は1年生全員である。
〔仮説と実験による検証」
(2) 教育課程編成上の位置づけは必履修科目
「研究成果の発表」
〔グラフ作成と仮説・成果の発表〕
である。
(5) 調査・研究(プレゼンテーション技術)
[18]
(3) 実施回数は週あたり2時間で,形態は2ク
(6) 文章作成(小論文作成の基礎)[4]
ラスを3展開し,1展開あたりの生徒数は
4. 検証
24名程度である。
(4) 授業計画は次の通りである。なお,[
]
今年度の研究開発にあたり,生徒の心理検査的
内の数字は授業時数(1コマ 50 分)を示し,
回答からその成果を検証した。実施時期は授業計
〔
画上で終盤にあたる平成 28 年 1 月である。方法
〕内は教材名を示している。
① 科学技術の歩み[4]
は質問紙による調査で,質問項目は今年度の研究
② 科学技術の方法[4]
開発の仮説に基づいた次の5項目である。
— 18 —
-18-
<横の連携> ◆
ア.以前よりも科学技術についての興味関心
-1点,「思わない」-2点として調査結果を集
計したものが表3である。
が高まった。
表 3
イ.以前よりも科学技術と社会との関係を理
解するようになった。
ようになった。
エ.以前よりも話し合いや討論などで積極的
になった。
オ.以前よりも研究の手順についてわかるよ
数値化した総合尺度
ア
+ 0.426
イ
+ 0.500
ウ
+ 0.510
エ
+ 0.361
オ
+ 0.639
横の連携 ◆
ウ.以前よりも実験結果などの考察ができる
項目
うになった。
回答人数は 202 名。履修している生徒の 94.8%
これにより各質問項目の全体の傾向をとらえ
である。回答方法は「そう思う」
「ややそう思う」
ると,+0.5未満である質問項目のアとエにつ
「あまり思わない」
「思わない」4尺度とした。
いては肯定的な実感が薄いといえる。しかし,生
調査結果を表1に示す。また,質問の内容に「そ
徒自身の自覚と教師による客観的な観察結果は
う思う」と「ややそう思う」を合わせた肯定的な
異なる。写真1や写真2に示すように,コンピュ
回答の数と「思わない」と「あまり思わない」を
ータを利用した調査といった個別の作業になり
合わせた否定的な回答の割合を表2に示す。
がちな場合でも,生徒間の積極的なコミュニケー
ションが見られ,1学期当初の状況とは大きく変
表 1
項目
そう思う
やや
そう思う
あまり
思わない
容している。
思わない
ア
27
112
46
17
イ
23
125
38
16
ウ
26
121
40
15
エ
23
110
55
14
オ
29
127
36
10
写真 1
表 2
写真 2
科学技術についての興味関心の向上や生徒同
項目
肯定的
否定的
ア
68.8%
31.2%
手法として習得するものでなく,
数々の望ましい
イ
73.3%
26.7%
体験を重ねることで培われていくものである。
本
ウ
72.8%
27.2%
校の現行の教育課程では,1年次に物理,化学,
エ
65.8%
34.2%
生物の基礎科目を全て履修し,また「工業技術基
オ
77.2%
22.8%
礎」という実習教科も履修することから,それら
士のコミュニケーション力向上といったものは,
の教科の学習との相互作用が不可欠である。
これらの結果から,
概ね7割程度の生徒は学習
したがって,今後の「SS 科学技術と人間」の
により期待される成果を実感している。
研究の手
研究開発は,
教材や学習方法に柔軟性があるとい
順についての理解と技能の向上は,調査実施時期
う科目の特徴を活用し,本校に入学した生徒たち
の学習項目であるため,最も高くなっている。
の学びの質(quality of study)を高めることを目
また,各尺度を得点化して,「そう思う」+2
的にすべきであると考える。
点,「ややそう思う」+1点,「あまり思わない」
— 19 —
-19-
<横の連携> ◆
科目「課題研究」第一分野
SSH 運営委員
佐々木義秀
1. 仮説
横の連携 ◆
課題研究の指導を通して、以下の 2 点について自主的に取り組めるようになる。
(1) 生徒の興味関心や社会の課題を見つけ、生徒自身によって課題研究のテーマを設定できる
(2) 課題研究で得た知識を活用または発展・応用できる、進学先(学部、学科等)の選択ができる
2. 研究内容・方法
(1) 実 施 日:平成 26 年 11 月から平成 27 年 8 月
(2) 場
所:本校 第一分野実験・実習室等
(3) 対象生徒:第 3 学年、第一分野選択生徒 56 名
(4) 内
容:①過去 5 年間の研究テーマを調査し、年度毎の特徴、傾向を分析する。
②過去 5 年分の研究分野を 5 年累積し、興味・関心を分析する。
③現第 3 学年の研究テーマ・研究分野と生徒の進学希望先との関係を調査する。
3. 検証
(1) 表 1 より、特に平成 23・24 年度では、土木、建設、建築が、ほぼ同じ割合で設定されている。
これは、東日本大震災直後で、液状化現象や津波、耐震・免震等の対応が課題となった事による。
また、昨年度、今年度は、東京直下型地震の発生率が高まった事で、建築に関する耐震、免震
技術に関する研究テーマが増えた。
(2) その他、自動車、流体、航空など空力工学を中心に興味・関心の高いテーマが設定された。
(3) 表 2 の割合より、75%の第 3 学年生徒が研究テーマに沿った学科、職種を希望した。
【結論】以上の分析からテーマ設定に当たり、社会での出来事や興味・関心、また進学先の決定に
も関わるので、担任やその他の教科と共同しながらテーマ設定を進めることが望ましいと考える。
表1
過去 5 年間の課題研究テーマ
表 2 平成 27 年度 第 3 学年課題研究テーマと関連分野、進学先の割合
究テーマ
ビル風を低減したビルの研究
耐震構造
段ボール
割りばしを綺麗に割る
機構を用いたエネルギー作成
高く上がる竹とんぼの研究
割合
3/3
1/6
5/7
3/4
4/5
4/4
分野
建築
建築
建築
物理
機械
流体
研究テーマ
災害に強い都市
自動車の形状と効率
波に強い船
翼
理想の飛行機
— 20 —
-20-
割合
2/5
3/5
4/5
2/3
4/4
分野
建築
流体
流体
航空
航空
<横の連携> ◆
科目「課題研究」第二分野
科学技術科 島田 星一
1. 仮説
(1) 日頃から科学技術に関する興味関心を持たせ、生徒個々が主体的に研究テーマを設定すること
ができる。
(2) 高大連携・企業との連携を積極的に行うことで研究の深化を図る。
(3) 研究活動で培った発想・知識を踏まえ、その後の進路を主体的に選択することができる。
2. 研究内容・方法
(1) 実 施 日:平成 26 年 11 月から平成 27 年 8 月(第 3 学年)
平成 27 年 11 月から平成 28 年 8 月(第 2 学年)
【現在進行中】
(2) 場
所:本校 第二分野実習室
(3) 対象生徒:第二分野選択生徒 第 3 学年 72 名、第 2 学年 90 名
(4) 内
容:
①1 年次における「工業技術基礎」
「情報技術基礎」
「科学技術と人間」及び 2 年次における「SS
科学技術実習」「SS 科学技術理論」を礎として、授業から発信的に科学技術に対する興味関心
を持たせ、日頃の些細な事象に関しても留意させるようにする。
②大学の研究室や企業・行政機関を実際に訪問し、研究についてのノウハウを学ぶとともに相手
側との人間関係を築く。
3. 検証
(1) 現 3 年生は課題研究の始まる直前に日本大学へ、現 2 年生は課題研究が始まってすぐに同じく
日本大学及び東京電機大学へ研究室訪問を実施した。今年度においては学校全体の取り組みとし
て実施し、研究について次の内容を学ぶことが出来た。
①研究は新規性が大切でこの世に出回っていない研究をすることがとても大切であること。その
ためには自分の発想がこれまでの研究において類似したものがないかどうか文献等でしっか
り調べることが必須である。
②プログラミングなどでソフト等を開発する場合は、その利用性に価値を見出すことが大切であ
る。これまでにない利用方法を見つけ出すことで新規性を見出す。
③テーマ設定がかなり重要でここがしっかりしていないと研究後テーマ設定に立ち戻らなくて
はならないこともでてくる。
以上のことから普段から社会や文化のみならず世界情勢などにも情報網を張って多くの知識の
中からテーマ設定をしていくことが大事である。
(2) 現 3 年生の研究班では多摩美術大学へ研究の進め方と方法について、現 2 年生の研究班では地
元の江東区役所へ研究データの収集のため訪問した。
①大学も行政機関も共通して言えることは、今の高校生がどのようなことに興味関心を持ってお
り、それを踏まえた上でどうバックアップしていくのか考えていく姿勢がある。
②大学側はもっと高校生と連携して、研究活動を進めていく考えを持っている。
③行政側は様々な活動(研究活動も含め)を高校生には協力してもらいたいという考えを持って
いる。
課題研究でのテーマ設定は、本校の特色ある授業内容に留まらず外部機関に積極的に足を運ぶ
ことによって、本校生徒も訪問先にも相互に刺激しあい研究にも多面的な視野が広がる可能性が
ある。また深みのある研究をすることによって大学進学への動機付けにもつながり、多くの外部
機関と積極的に連携を取って研究を進めていくことが必要不可欠である。
— 21 —
-21-
横の連携 ◆
課題研究において、以下の 3 点を到達目標とする。
<横の連携> ◆
科目「課題研究」第三分野
SSH 運営委員
髙木 昭美
1. 仮説
横の連携 ◆
本校の課題研究は、1 年「科学技術と人間」「工業技術基礎」2 年「SS 科学技術実習」「SS 科学
技術理論」の学習を基礎として、科学技術に対する興味・関心を喚起し、創造性を養う。
生徒各自で、研究テーマを設定し調査・研究、実験・計測を行うことにより、科学研究の基礎的
知識と自主的な学習態度、視野の広い問題解決能力と倫理観を育てることを目標としている。
2. 研究内容・方法
第 3 分野課題研究は、他の分野と同様に 2 年 1 単位(平成 28 年度より 2 単位)、3 年 2 単位で実施
されている。5 年ほど前までは、3 年に進級した時に課題研究のテーマ変更、研究班のメンバー変
更を行っていたが、課題研究の研究内容を深化させるという観点から、2 年から 3 年に進級しても
課題研究は、継続研究を原則としている。これにより、内容の充実した課題研究は学校外の研究発
表会に積極的に出場するように指導している。
今年度 3 年課題研究は 19 件で、2 件が外部のコンテストに出場し、うち 1 件が第 40 回全国高等
学校総合文化祭自然科学部門(生物)で、東京都代表となり平成 28 年 7 月広島県で開催の全国大会に
出場する。
(1) 実施日
平成 27 年 11 月 22 日
(2) 場
東京都高等学校理科研究発表会(総文祭東京都予選)
所
(3) 対象生徒
都立多摩科学技術高等学校
課題研究 3 年生 3 名、継続研究 2 年生 4 名
3. 検証
(1)課題研究開始の早い時期から、外部の研究発表会出場を意識させて取り組ませることにより、
課題研究に対する意欲・態度、興味・関心を向上させる次のような効果が得られている。
①外部研究発表会出場を意識した研究班は、放課後等の授業時間外にも活動することが多い。
②研究データの精度にこだわり、複数の検証実験を実施することが多い。
③プレゼンテーション能力向上を目指して、過去に全国大会レベルの発表会に出場したポスター
やスライドをよく分析して、各研究班が独自の工夫している。
④学年全体で「人前に出て自分たちの研究を発表したい」という意識が向上した。
(2)学校全体の新たな取り組みとして、2 年課題研究開始当初に大学の研究室訪問を実施した。
第 3 分野は、千葉工業大学応用化学科と東京電機大学工学部環境化学科を訪問した。大学の教授
から研究についての基本的な説明や研究活動への具体的な取り組み状況、生徒の各研究班に対し
てアドバイスを頂くことにより、次のような効果が得られている。
①課題研究開始当初に大学訪問をすることにより、各研究班の目的・動機という研究の基礎を早
期に他人に伝えることにより、研究班全体の取り組み意識が向上した。
②大学教授から意見やアドバイスを受けることにより、研究開始当初の迷いや混乱が解消されて
研究の導入がスムーズになった。
③オープンキャンパスで訪問する大学とは異なり、大学教育の別の側面を見ることが出来た。
④大学と連携した研究活動が進められやすくなった。
本校で課題研究は、学校開設時より必修科目の一つとして設定されている。今後も課題研究の授
業が発展するように、新たな取り組みを進める必要があると考えている。
— 22 —
-22-
<横の連携> ◆
『学び合い』に基づくアクティブ・ラーニングの授業
アクティブラーニングプロジェクト 国語科
今井 清光
1. 仮説
業においてこれを実現するために、この三つの能力を次のように具体化した。
(1)創造性…「正解」ではなく「最適解」「妥当解」を追究しようとすること。
(2)問題解決能力…問題の本質を理解し、妥当な目標を設定し、適切な手段を選択できること。
(3)コミュニケーション能力…目標に照らして仲間の学習状況を相互にフィードバックできること。
2. 研究内容・方法
以上の仮説を踏まえ、西川純(上越教育大学)の提唱する『学び合い』の理論に基づく授業を行
っている。
『学び合い』の理論とは、
「学校は多様な人と折り合いをつけることで自らの課題を解決
する場である」という学校観、
「生徒集団は有能である」という生徒観、以上から帰結される「学習
活動は生徒に任せ、授業者は目標設定・学習環境の整備・評価に徹する」という授業観から成る。
この考え方に立脚し、課題の全員達成を目指すことを求めながら、学びの協同化・個別化を図る。
具体的には、第 1 学年「国語総合」の授業において、①レポート課題、②ルーブリックと学習進
行表の提示、③立ち歩きによる相互交流の推奨という 3 点を行った。これが本校の目標とする能力
育成にどのように資するかは以下の通りである。
(1)レポート課題
獲得させたい知識を示した上で、それをレポートとしてアウトプットさせた。生徒が各自の認知
スタイルに応じて説明を工夫することで、創造性の育成を図る。また、レポートの内容の是非を確
認するために生徒相互が読み合うことで議論する必然性が生まれ、コミュニケーション能力の育成
に資する。さらに、生徒各自の認知スタイルは多様なので、課題の全員達成のためには相手に応じ
た説明を工夫する必要がある。目標に向かって手段を検討することで、問題解決能力を養っていく。
(2)ルーブリックと学習進行表
学習進行表は課題の内容とその進捗状況を書き込む欄で構成されたシートで、単元ごとに生徒に
配布している。シートには課題ごとのルーブリックも掲載されている。ルーブリックを参照させる
ことで、自分が学習目標に正しく向かっているか、採用した手段は適切だったか、妥当なペースで
学習が進んでいるか、といった観点で自己をメタ認知させることができる。この繰り返しが問題解
決能力を育成する。また、生徒同士が同一の基準にもとづいて相互にフィードバックを行うことで、
コミュニケーション能力を育成する。
(3)立ち歩きによる相互交流
上記 2 点は教科学習上の授業システムだが、3 点目は学ぶこと自体の価値を実感するためのシス
テムである。全員達成のためには、まずクラスの課題解決状況を知り、誰を手助けするか/ 誰に助
けを求めるかがわからなければならない。自分ができることを手助けし、できないことを助けても
らうことは、社会に出て最も必要とされるコミュニケーション能力である。
3. 検証
学習課題を解決するためとはいえ、生徒の大半は授業中に立ち歩いたり会話したりすることにな
れておらず、4 月当初は戸惑いの色が濃かった。しかし、慣れてくるにつれて上記の価値を理解し、
学習内容に即した会話が自然発生していった。3 学期には、相互に助け合って課題を解決すること
は当然のことになっている。
生徒同士が交流すれば、時には学習課題から外れて雑談になることもある。しかし、少し待てば
自分たちで軌道修正を行い、声をかけあって元の学習目標に自然と戻っていくことが、最も大きな
変容であった。生徒が自分たちを学習の当事者と認識しているからこそ生じた現象に他ならない。
以上に基づき、より本質的な学習課題に向かっていくことが、今後の課題である。
— 23 —
-23-
横の連携 ◆
本校では「創造性・問題解決能力・コミュニケーション能力の育成」を掲げている。国語科の授
<横の連携> ◆
英語科における授業改善の取組
アクティブラーニングプロジェクト 英語科
宮本 真吾
1. 仮説
横の連携 ◆
本校英語科における授業改善の取組について紹介する。平成 25 年度から新指導要領に移行し、
読解力育成を中心に据えた形態から、生徒の言語活動を主体に 4 技能をバランスよく統合的に指導
する授業へと転換を図った。同時に、評価の枠組みも修正した。具体的には、①授業は英語で行う、
②共通のワークシートを使用する、③パフォーマンステストを実施する、④ワークシート・定期考
査を基本的に英語で記述する、ことが主な変更点である。本校の SSH 研究開発課題の柱である「国
際的に活躍できる技術者・科学者を育てる」ために、英語によるコミュニケーション能力の伸長は
必須であり、上記の授業改善の着想に結びついた。
本校 13 期生は、新指導要領移行の年に入学した学年である。新しい授業と評価の枠組みで 3 年
間学んできているため、彼らの英語力の変化を振り返ることは、今後のさらなる授業改善と生徒の
コミュニケーション能力向上に大きな示唆を提供してくれるはずである。
2. 研究内容・方法
ここでは、ベネッセの GTEC for Students 結果を利用し、一つ上の学年(12期生)との比較を
行う。GTECは、Reading (R)、Listening (L) 、
Writing (W)の 3 技能を測定するが、RとLの最高点が
同じである点、他の模擬試験と異なっている。また、出題項目は、単語・文法などの知識を単体で
問うものではなく、「持っている知識を実際に活用することができるか」を重点的に問うことを
大きな特徴としている。ゆえに、4 技能のバランスを意識した指導と、読解力育成を重視した指導
との比較を見るために、最適な試験であると言える。
結果を以下に示す。
Reading(R)
Listening(L)
Writing(W)
1 年次
2 年次
3 年次
1 年次
2 年次
3 年次
1 年次
2 年次
3 年次
12 期生
132.9
159.5
164.5
143.3
158.4
167.8
77.9
89.5
94.2
13 期生
127.3
153.5
158.6
136.9
158.8
173.2
94.7
102.2
93.8
実施日は 7 月中旬である(ただし、12 期生の 1 年次のみ、12 月実施)
。
3. 検証
3 年次の合計スコアを見ると、12 期生 426.5、13 期生 425.5 でほぼ同じである。しかし、技能ご
とに見ると、興味深い差が見られる。すなわち、上表内斜字体で示した部分の、R と L において、
約 6 ポイントの開きがある。読解力では 12 期生が上回っており、リスニングでは逆に 13 期生が高
いスコアを出した。この結果は、4 技能のバランスを意識した指導を受けた 13 期生と、読解力育成
を重視した指導を受けた 12 期生との、指導法の違いに起因すると考えられる。特に、13 期生は、
日々の授業で教師が話す英語に触れており、また言語活動を通して英語をコミュニケーションの中
で使ってきている。そのことが、最終学年でのリスニング結果につながったようである(リスニン
グの 3 年全国平均は 179)
。
また、13 期生は年間 5 回のスピーキングテスト、そしてプレゼンテーション・スピーチ・ディス
カッションなど英語による言語活動と、それに伴うパフォーマンステストを行ってきており、英語
での口頭発表能力に自信を深めた生徒も多い。実際に能力が向上したことを示すテスト結果はない
が、教科担当として、授業内外で彼らが示すスピーキング能力の伸長は目を見張るものがあった。
一方で課題として、①読解力のさらなる伸長、②ライティング力の 3 年次での低下(斜字体部)
を挙げたい。②に関しては、2 年次後半から 3 年次にかけて、ライティング添削課題の量が減少し
たことが影響していると思われる。ライティングの添削を効率よく行うための仕組み作りが不可欠
である。また、①も読解の練習量を増やす工夫を英語科全体で考えていく必要がある。インプット量
がアウトプットの質を高める、という言語習得の原則から外れることなく、検討を重ねていきたい。
— 24 —
-24-
<横の連携> ◆
SSH 短期集中講座
~地学巡検の実施に至る取り組み~
SSH 運営委員
梅川
元一
1. 概要
層地質、土壌の理解の必要性を感じていた。また本校に地学・地理教員が配置されていないた
め地学講座の開設には短期集中講座での実施を目指した。まずは日本地質学会の協力を得て教
員のための地学巡検を実施した。本年度、短期集中講座で生徒30名に対して地質・プレート
の専門家の講義、実習を企画した。
2.仮説
2 年間の取り組みで2つの仮説を設定した。短期集中講座に於ける地学巡検プログラム全体の
成果を検証する。
(1) 本校生徒・教員の地学分野の理解が深まり、課題研究、スーパープロジェクトを発展させるう
えで重要な知見となる。
(2)この取り組みにより生徒は地学分野の持つスケール、タイム感を体感できる。また俯瞰的なも
のの見方ができるようになる。
3. 研究内容・方法
(1) 昨年度:教員研修
日本地質学会関東支部幹事 駒澤大学 加藤潔博士の指導の下
① 事前プリントによる事前学習を実施
内容:プレート移動に伴う付加体の形成、日本列島の成り立ち、
地形・地質の基本的な理解 、巡検地(城ケ島)の地質年代
② 教員研修:地学巡検の実施
内容:クリノメーターによる基本的な地層の調査、岩石、地質採集および同定
地質年代と地層形成の観察
(2) 本年度:生徒講座開設(参加生徒 30 名)
① 2 学期短期集中講座(3 日間)
内容:加藤氏より課題の提供(クリノメータの扱い方、地質図の作成)
同氏による講義(プレート・日本の成り立ちを中心)
② 3 学期短期集中講座(3 日間)
内容:加藤氏より課題、城ケ島地質・地層
巡検資料の提供
城ケ島巡検(全域の踏破とクリノメーターによる基本的な地層の調査
岩石、地質採集および同定、地質年代と地層形成の観察
事後指導(フィールドマップの作成)
4.検証
仮説(1) 本校に地学・地理の専門教員がいない中、我々スタッフも手探りの中で企画していっ
た。この 2 年間で専門家との打ち合わせは、教員研修を含め多くの時間を費やした。
また当初15名程度の生徒募集予定であったが30名の応募があり、この分野に興味関心
のある生徒が多いことが判明した。私見であるが今後カリキュラムとして地学を取り入れ
るべきではないだろうか。またそれに付随して巡検の重要性も実感した。
仮説(2) 今回スーパープロジェクト参加生徒も多く参加し、さらにこの分野の知見を深めたい
と感想を述べていた。特に土壌分析を研究している生徒は地質を根本から学べて有意義で
あったようだ。
— 25 —
-25-
横の連携 ◆
昨年、理科教員・3 分野教員は課題研究、スーパープロジェクトを発展させる上で、日本の地
2.縦の連携
<縦の連携> ●
SSH 筑波研究施設研修
~ホームルーム合宿~
SSH 運営委員 松本 健
1. 仮説
(1) 最先端の科学技術及びその研究に接することは,科学技術に対する興味・関心を広げ,将来の
進路に向けての動機付けとなる.
(2) 入学後間もない時期に集団行動・グループワークを体験することは,生徒の自主性・協働性の
涵養に通じ、課題研究等におけるグループ行動の基礎を作ることができる。
2. 研究内容・方法
(1) 実施日
平成 27 年 6 月 4 日(木) ~6 月 5 日(金)
縦の連携 ●
(2) 場
1泊2日
所
1 日目 午前 研究施設見学
夜
2 日目
午後 研究施設見学
文化祭における科学技術実験(SS 科学技術実践)についてクラスごとに協議
グループごとの飯盒炊爨
※コースによって見学施設の違いあり.
(3) 見学先
高エネルギー加速器研究機構(KEK)
,筑波宇宙センター(JAXA)
,
物質材料研究機構,地質標本館,国土技術政策総合研究所,建築研究所
地図と測量の科学館,サイエンススクエアつくば
(4) 宿舎
つくばグランドホテル
(5) 交通手段
大型貸切バス 6 台
(6) 事前学習・事後学習
多くの研究施設は高校 1 年生にとって高度な内容を扱っている.そのため,見学する各研究
施設を調べさせ,実施日当日の理解度が深めることができるよう,事前学習を行った.
また,事後学習として今回の HR 合宿で得たことや学んだこと,感じたことなどを報告書とし
てまとめさせた.
3. 検証
高校に入学して早期に筑波学園都市を見学することは,科学技術を学んでいく本校の生徒とし
て,今後様々な研究・発表をする心構えを養うのに適していると考える.また,普段の学習とは違
い,実際の研究施設を見学することによって科学技術に対する興味関心を高め,科学技術に対して
主体的に学んでいく姿勢を育むことが可能であると考えられる.
HR 合宿終了後,報告書の提出を行い,研究施設見学の教育的効果について検証した.報告書の
結果から,科学技術への興味・関心が増したなどの肯定的な回答が 70%という結果になった.ま
た,各研究施設での説明は専門的な内容のため難しかったといった回答も多く見られた.その中で,
もっと科学技術について自ら学んでいきたいといった回答もあった.このことから,最先端の科学
技術・研究に接したことにより生徒個々の動機付けがある程度された結果であると考えられる.
今回の研修では興味・関心が高まり,今後も研究施設の見学をしたいと考えている生徒が多くい
た.しかし,内容からして課題研究など今後の学習活動に生かしていくためには,他分野の教科と
も横の連携を取り,科学技術教育のより一層の充実を図っていくことが重要である.
— 26 —
-26-
<縦の連携> ●
SSH 科学体験研修
~科学プレゼンテーション研修~
SSH 運営委員
廣瀬 公一郎
1. 仮説
本研修により以下の目的を達成することができる。
(1)
展示物の見学や調査を通じて、科学技術に関する興味・関心を高める。
(2)
研修を通じて、プレゼンテーション能力及びコミュニケーション能力の向上を図る。
2. 研究内容・方法
実施日
平成 27 年 10 月 2 日(金)
場
所
日本科学未来館
生
徒
平成 27 年度入学生 15 期生(1 学年)全員 212 名
12:55
日本科学未来館到着
13:00~14:20
研修Ⅰ:個別研修(担当エリアの見学、発表内容のまとめ)
会場:3 階常設展示、5 階常設展示
14:30~15:00
研修Ⅱ:全体研修(プレゼンテーションの方法と発表中のマナーについて)
15:10~16:00
研修Ⅲ:班別研修(班内プレゼンテーション及び質疑応答)
会場:7 階未来館ホール、講師:本校教員
会場:3 階常設展示、5 階常設展示
研修Ⅰでは、3 階常設展示「ネットワーク・デジタル表現・情報社会・くらし・ものづくり・ロ
ボット」、5 階常設展示「宇宙・人間・生命・地球環境・太陽系・医療・地球」において見学・まと
めを行った。
研修Ⅱでは、全員が未来館ホールへ移動し、本校教員によるプレゼンテーションとマナーに関す
る講義を受講した。
研修Ⅲでは、プレゼンテーション能力とコミュニケーション能力を向上させるため、4 名程度の
班に分かれ、3 階または 5 階の常設展示の前で各自が調べた内容を発表し、質疑応答を行った。
研修後も、多くの生徒が自由見学で館内に残り、熱心に展示物を見学していた。
3. 検証
研修実施後、参加した生徒全員にアンケート調査を行った。その結果、
「科学技術への興味・関心
が高まった」との肯定的意見(あてはまる、ややあてはまる)が 86.2%、「コミュニケーション能
力・プレゼンテーション力が高まった」との肯定的意見は 75.8%となった。全体として目的は達成
できたと考えるが、元々コミュニケーション能力・プレゼンテーション力に自信のない生徒が多い
ため、今後は授業などを通じて少しずつ発表に慣れさせていくようにしたい。
32.5 科学技術への興味・関心が高まった
コミュニケーション能力・
プレゼンテーション能力が高まった
23.6 0%
20%
53.7 52.2 40%
60%
— 27 —
-27-
10.8 20.7 80%
3.0 3.4 100%
あてはまる
ややあてはまる
どちらかといえばあてはまらない
あてはまらない
縦の連携 ●
時程及び内容
<縦の連携> ●
SSH 進路模擬授業研修
SSH 運営委員 佐々木 義秀
1. 仮説
生徒の興味・関心の高い学科の大学・専門学校の先生方から講義を受けることで、以下の項目に
ついて興味・関心が高まり早期の段階から進路検討、課題研究テーマの手掛かりになると考えた。
(1) 大学において学修の目的、研究の進め方、学生生活の心構えに興味・関心が高まる
(2) 進路検討の参考とし、早い段階から進路検討につい興味・関心が高まる
(3) 高度な専門知識に触れることで、専門知識への学習や課題研究に対する興味・関心が高まる
2. 研究内容・方法
(1) 実 施 日:平成 27 年 10 月 2 日
(2) 場
所:本校各教室
縦の連携 ●
(3) 対象生徒:第 2 学年全員(212 名 内男子:177 名、女子:35 名)
(4) 研究方法:興味・関心を持つ講義を選び聴講後、アンケートにより仮説を検証する。
(5) 参 加 校:以下の通り(大学のみ抜粋、この他 IT、バイオ、デザイン、公務員、専門学校 4 校)
系
統
出 席 校
学 部 ・ 学 科
理学系
茨城大学
理学部理学科
理学系
群馬大学
化学・生物化学科
理学系
東邦大学
分子生理学問
海洋環境系
東京海洋大学
海洋環境学科
薬学系
東京薬科大学
医療衛生薬学科
農学系
東京農工大学
農学部環境資源科学科
工学系
東京電機大学
工学部機械工学科
夢のエンジン
日本大学
理工学部建築学科
建築のデザインコンセプト
電気通信大学
情報・通信工学専攻
工学院大学
情報学部コンピュータ科学科
理工学系
情報通信工学系
情報工学系
テ
ー
マ
アインシュタインの相対性理論
化学的視点で見る身の回りのプラッスチック
南極海の生態系研究
ヒトと病原菌との戦い
大気汚染と植物
電磁波の透視能力
コンピュータと人工知能が人間を超える日
3. 検証
(1) 講義内容(専門知識)は理解できたと回答した生徒は、昨年 67%から今回 77%と 10%上昇。
(2) 大学での学修や研究に興味・関心を持った生徒は、昨年 31%から今回 73%と 42%上昇。
(3) 進路検討の参考またはきっかけになった生徒は、昨年 11%から今回 58%と 47%上昇。
(4) 課題研究への手掛や進め方の参考になった生徒は、昨年 6%から今回 56%と 60%上昇。
以上より、生徒の興味・関心に合わせ設定した結果、進路検討の早期化や課題研究テーマを考え
る手掛となったことが分かった。次年度は、数学、理科、科学技術科と共同で計画を進め、進路指導
や解題研究の向上に活用できるようデータを収集、整理し生徒指導に活かしたいと考える。
— 28 —
-28-
<縦の連携> ●
SSH フィールドワーク
~3 年間の実施と成果~
SSH 運営委員
梅川
元一
1. 概要
フィールドワークは、参加生徒の好奇心の持続性、自然科学の多面的な視点の自己啓発、さ
らには外部研究者との交流、協力によって課題研究、ゆくは進路選択を自らの考えで選択する
力をつけることを主眼として取り組んできた。結果的にはフィールド実習自体がアクティブラ
ーニング形態を取るように至った。
2.仮説
今年度は,2つの仮説を設定して,フィールドワークプログラム全体の成果を検証する。
(1) 今年は宿泊を伴った取り組みを多く企画することにより専門家との過ごす時間が多くなり、
疑問や好奇心の高まりに至までの時間が確保できる。この時間的余裕は専門家の人生の歩み
(2) フィールド実習を通して研究発表に発展させることにより生徒の環境理解の深化が図れる。
3. 研究内容・方法
(1) 日帰り実習
盤洲干潟:東邦大学東京湾生態系研究センター 風呂田利夫 教授
三浦半島(江奈湾):NPO 法人 OWS 主催 江奈湾干潟モニタリング、ごみ回収ボランティア
千葉県立房総のむら:吹春俊光 博士(県博研究員)菌類の採集及び観察・同定
葛西臨海公園:守屋研究員・奴賀研究員 シギ・チドリ類およびカモ類の観察及び個体数調査
城ケ島:プレート移動に伴う付加体の地形・地質の巡検 、フィールドマップ作成
(2) 宿泊を伴う実習
西表島(4 泊 5 日):琉球大学熱帯生物圏研究センター 馬場繁幸 名誉教授
亜熱帯多雨林生態系干潟の地盤高測量及び研究試料の採集
国際マングローブ生態系協会 主任研究員 小菅丈治博士
亜熱帯干潟のベントス観察と東南アジアと琉球地方の比較考察講義
瀬底島(4 泊 5 日):琉球大学熱帯生物圏研究センター 山城秀之教授、中辻裕研究員
サンゴの生態・発生観察、サンゴの病理と環境、隆起サンゴ岩礁帯での観察
尾瀬ヶ原(1 泊 2 日):尾瀬山の鼻ビジターセンター
保護財団レンジャー、東電ガイドによる湿原保護対策、湿原植生観察、
至仏山にて亜高山帯~高山植物観察
尻掛海岸(1 泊 2 日):横浜国立大学真鶴臨海環境センター 菊池知彦教授
磯生物の観察と真鶴港でのプランクトン採集及び顕微鏡による観察・同定
4.検証
仮説(1)
昨年同様専門家との打ち合わせは、できるだけフィールドでの調査に同行する形式をと
った。教員にとっては事前指導等の大きな指針、専門家にとっては実施ポイントのヒントにな
った。特に宿泊を伴うプログラムでは時間的余裕が大きな効果を生み、生徒と専門家とのやり
取りの活性化を促した。今後、学習効果を期待するのであればフィールド実習の回数よりじっ
くりと腰を据えた宿泊型を前提として企画すべきと考える。
仮説(2)
現在、本校には生物系のスーパープロジェクトとして西表、クラゲがある。今年のフィ
ールド実習の参加者の多くがこのプロジェクトのメンバーであった。生態の総合理解、深化の
ため自主的に参加するようになった。特に西表班の取り組みは JSEC の選考において30傑(優
等賞)に選出された。中には今の取り組みを一生の仕事として進学先を選ぶ生徒も増えている。
— 29 —
-29-
縦の連携 ●
を織り込みやすくなり、研究者について意識を高めることができる。
<縦の連携> ●
SS 科学技術実践 ~教科「奉仕」~
第1学年
担任
佐藤 真
1. 仮説
教科「奉仕」の目標は「奉仕に関する基礎的・基本的な知識を習得させ、活動の理念と意義を理
解させるとともに、社会の求めに応じて活動し、社会の一員であること及び社会に役立つ喜びを体
験的に学ぶことを通して、将来、社会に貢献できる資質を育成する」(東京都立高等学校教育課程
編成基準)こととされ、卒業までにすべての生徒が 1 単位(35 単位時間)以上履修し、その少な
くとも半分は奉仕体験活動を行うものとしている。
これをふまえて本校では、科学技術高校の特色を生かした教科「奉仕」の在り方について検討を
続け、今年度も下記の活動を通じて「SS 科学技術実践(奉仕)
」としての目標達成を目指した。
2. 研究内容・方法
縦の連携 ●
東京都では平成 19 年度よりすべての都立高校で教科「奉仕」が必修化され、本校では科学技術高
校の特色を活かした「奉仕」として「SS 科学技術実践(奉仕)
」のカリキュラム開発を行ってきた。
その内容は 1 学年の生徒全員が本校の文化祭において科学技術をテーマに実践活動を行うものであ
る。今年度、取り組んだ内容について報告する。
(1) 事前学習(合計 9 単位時間)
①全体事前指導(6 月 3 日・1 単位時間) HR 合宿での見学施設の事前学習。
②HR 合宿・筑波研究施設見学・クラス別ミーティング(6 月 4 日・5 単位時間)
クラスごとに筑波研究施設を見学して最先端の科学技術にふれ、興味関心を高めるとともに、
科学技術をわかりやすく他者に伝えるために実際の展示方法を学習した。熱心に解説を聞き、
質問をするなど積極的に参加する様子が見られた。生徒各自が実践活動の原案を作成し、ク
ラス別ミーティングで意見を出し合い、クラス全体の企画を決定した。
(2) 実践活動(合計 24 単位時間)
①四葉祭準備(9 月 11 日・8 単位時間)
四葉祭の前日に実践活動の直接的な準備を行った。会場である各ホームルームの飾り付け、
研究内容のポスターの掲示、実験装置の確認等来場者の対応準備を行った。
②四葉祭 1 日目・2 日目(9 月 12 日 13 日・各 8 単位時間)
来場者に対して展示・実演・ポスター発表などの実践活動を行った。2 日目は、1 日目に行った
実践活動を振り返って問題点を見つけ、展示方法の修正や実演の行い方の改善を行った。近隣
の方々や中学生、生徒の保護者など多くの方が四葉祭に来場した。
(3) 事後活動(合計 2 単位時間)
①全体発表会(12 月 21 日 24 日・各 2.5 単位時間)
全 28 班が発表し、生徒が司会進行を務め、1 班 6 分の発表後、質疑応答を行った。科学的な
内容の発表に加え、実験や文化祭の実践の様子、反省点などを熱心に説明する様子が見られ
た。また、生徒同士の活発な質疑応答が見られ、プレゼンテーションの良さによって決める投
票を行った。
3. 検証
全体発表会より、文化祭で来場者に科学や技術の魅力を説明する活動を通じて、教科「奉仕」の
目標を本校の特色を生かして達成することができたと考えられる。しかし、テーマの設定や当日の
発表の仕方については、多くの改善点が挙げられていたため、さらに分かりやすく、多くの人に科
学や技術の魅力を伝えられるようにレベルアップを目指していきたい。
また、本活動を通じて、生徒に社会に貢献できる科学者や技術者を目指そうという精神を涵養し
ていきたいと考えている。
— 30 —
-30-
<縦の連携> ●
日本ヒューレット・パッカード株式会社との連携
SSH 運営委員
小幡 章、廣瀬 公一郎
1. 仮説
高校生が小中学生にプログラミングを教えることにより、論理的思考力を向上させ、コミュニケ
ーション能力を育成することができる。また、企業、NPO の方と交流することにより、キャリア
教育へのよい影響も期待できる。
2. 研究内容・方法
MIT メディアラボが開発した教育用プログラミング言語 Scratch を用いて、小中学生向けにプ
ログラミング講座を実施した。高校生が授業内容を考え、進行役を務め、授業を行った。
(1) 連携機関
・日本ヒューレット・パッカード株式会社(以下 HP)
・NPO 法人スーパーサイエンスキッズ(理事長は HP 瓜谷様)
本校生徒の事前学習のサポートをしていただいた。
(2) 参加生徒募集
参加したい生徒を 1、2 年生から公募して集めた。
(3) 事前学習
平成 27 年 5 月 30 日(土)HP 本社にて Scratch の事前学習を行った。
(4) 江東区立南陽小学校における講座
①実施日
平成 27 年 7 月 10 日(金)
②参加本校生徒
35 名
③受講児童数
4 クラス 122 名
(5) 江東区立深川第六中学校における講座
①実施日
平成 27 年 12 月 21 日(月)、22 日(火)、24 日(木)
②参加本校生徒
34 名
③受講生徒数
3 クラス 95 名
3. 検証
小中学校とも大変好評で、多くの児童・生徒はプログラミングに興味を持ってくれた。本校生徒
も下図のように肯定的な回答が 8 割以上になったことから、論理的思考力やコミュニケーション能
力を向上させることができたと考える。
周囲と協力して取り組む姿勢
16.1 61.3 16.1 学んだことを応用することへの興味
12.9 67.7 16.1 0.0 3.2 0%
20%
40%
60%
80%
もともと高かった
大変増した
やや増した
効果はなかった
100%
図 南陽小学校の講座に参加した生徒の事後アンケート結果(一部抜粋)
内外からの関心も高く、総務省情報通信利用促進課、江東区議会議員、江東区教育長等の方々も
視察に訪れ、「サイエンスコミュニケーション、言語活動、中高連携、アクティブラーニング、キ
ャリア教育、理数離れ対策など、さまざまな切り口で評価できる活動」と評価していただいた。HP
の方には、コンピュータ等の機材提供、ネットワーク設定で大変お世話になり、このプログラムが
可能となった。また、今後の継続を考えると、授業に影響のない土日に本校コンピュータ室に小中
学生を招いて講習を行う形態が現実的かもしれない。世界的に子供向けのプログラミング教育が推
進されており、このような活動を通じて、プログラミング教育普及の一端を担えればよいと考える。
— 31 —
-31-
縦の連携 ●
コンピュータ等の機材提供、ネットワーク設定等のサポートをしていただいた。
<縦の連携> ●
他校生との生徒同士の連携
~SSH 交流会~
SSH 運営委員
小幡 章
1. 仮説
本校文化祭『四葉祭』で実施してきた SSH 交流会を、開発計画の 2 番目の柱<縦の連携>と
して行った。本校でポスター発表の機会を多く設けることでプレゼンテーション能力やコミュ
ニケーション能力の育成を図ることができる。さらに本校独自のポスター発表とはせず他校生
徒との交流を行うことで以下の仮説を立て、実践した。
(1) 本校において他校のポスターによる研究発表を聞く機会を設けることで、研究発表会に参加
する意欲を高めるとともに、今後の学習意欲の向上を図ることができる。
(2) 他校との生徒と交流することにより、情報交換の場となるとともに、研究意欲を高めること
ができる。
縦の連携 ●
2. 研究内容・方法
(1) 名
称 四葉祭 SSH 交流会
(2) 日
時 平成 27 年 9 月 13 日(日)10:30~14:00
(3) 場
所 本校(2 年 6 組教室、303・304 ゼミ室、体育館ほか)
(4) 内
容
第1部
ポスター展示・発表(10:30~11:30)
各校の研究をまとめたポスターを持ち寄り、一般の方々も含め生徒同士で発表し合う
形式で行い、本校からは 3 年課題研究の生徒を中心に発表を実施した。
第2部
交流会(12:30~14:00)
「Paper Wings ST Final 2015」と称して自作紙飛行機大会を実施した。大会は飛行
距離部門(A 部門)、飛行時間部門(B 部門)の 2 部門を設け実施した。
この企画は F-Pro の生徒達が中心となって運営を行った。
(5) 招待校
東京都立戸山高等学校、東京都立多摩科学技術高等学校
(順不同)
3. 検証
交流会の第 1 部において本校から 6 本(12 名)、招待校 2 校から 2 本(9 名)の合計 8 本(21 名)でポ
スター展示・発表を行った。短い時間ではあったが、同じ科学研究を志す高校生同士、お互いに刺
激し合い、有効な時間を共有することができた。第 2 部は本校で 2 回目となる自作紙飛行機大会
「Paper Wings ST Final 2015」を実施した。今回も本校生徒 25 名、招待校生徒 9 名、合計
34 名が 2 部門に分かれ熱戦を繰り広げた。運営は生徒があたり、生徒の企画・運営力の涵養
に繋がった。記録を出すために物理法則に則り各校どうしたら長い距離・長い時間飛行する紙
飛行機を作ることができるか工夫を凝らした。大会終了後に行われた表彰式では、優勝者 A
部門は 15.67m(日本記録 31.7m)、B 部門が 6.71 秒(日本記録 13.7 秒)と前回大会より記録が下
回ったことより、来年こそはもっと記録を延ばしたい、またぜひ参加したい等の意見が多数寄
せられた。前回より招待校が少なかったのは当日の本校と招待校との行事の重なりの問題があ
り、今後、運営方法、開催時期等さらに改善し、本校・科学技術高校としての特色が前面に出
せるよう、生徒間の交流がさらにし易い形式にしていきたい。
— 32 —
-32-
<縦の連携> ●
科学研究部生徒等による実験指導
科学研究部顧問
小澤 栄美
1. 仮説
本年度、科学研究部は科学未来館で開催された
「ふしぎ祭エンス 2015」
「Fusion フェスタ in Tokyo」
に参加させていただいた。どちらの企画も以下の仮説を立て、実施した。
(1) 生徒が実験教室を行うことにより、小中学生に「科学」、「技術」のふしぎや楽しさを伝えるこ
とができるとともに、生徒たちの科学・技術への興味・関心、理解力が高められる。
(2) 実験教室で発表、指導をすることにより、コミュニケーション能力を高めることができる。
(3) 参加している研究者の方々、大学、高校との交流を通して、生徒たちの「科学」、「技術」へ
の視野を広げることができる。
イベント名:ふしぎ祭(さい)エンス 2015
1.日時
平成 27 年 4 月 19 日(日)イベント 10:00~17:00
本校発表 ★工作教室(ホバークラフト)
10:00~17:00
★実験教室(電池実験)
2.場所
10:00~17:00(1 回 10 名×3 回)
日本科学未来館
3.内容
今年は①ホバークラフト②電池実験の 2 本立てで参加した。
ホバークラフトは本校生徒が設計したものを来場者の方と生徒が一緒に作製し、空気の力につ
いて考えた。また、電池実験では、電池の歴史、仕組み、次世代電池の話を、自作パネルを用い
て説明し、最後には電子メロディーの作製を行った。どちらの教室も多くの来場者の方に参加し
ていただき、充実した時間を過ごすことができた。
※参加生徒 科学研究部 12 名、フライングプロジェクト 15 名
イベント名:Fusion フェスタ in Tokyo
核融合科学研究所イベント
1.日時
平成 27 年 5 月 2 日(土)イベント 10:00~17:00
2. 場所
日本科学未来館
3. 内容
① 核融合科学研究所展示 協力(超伝導による磁気浮上列車、真空実験、大気圧プラズマ等)
② フライングプロジェクトによる工作教室「体験しよう空気の力のすごさ!!」
③ 科学研究部による実験教室「身の回りのもので電池ができる!!」
※参加生徒 科学研究部 22 名、フライングプロジェクト 12 名
報告書には記載できなかったが、
演劇部による科学啓発活動「サイエンスライブ」も本年も 7 月と1
月の二回小中学生を対象に実施した。特に、二回目は科学研究部の実験教室も連携して行った。
3. 検証
今回は準備から生徒が進んで動き、当日は来場した子供たちに積極的に声をかけ、一緒に製作、実
験を行った。生徒同士でも活発な意見交換が行われた。当日は来場者の方々に発表、指導をしたこと
により改めて科学・技術への興味・関心がわいたという意見が挙げられた。また、大学生や研究者の
方々との交流を通して科学・技術の視野が広がったという意見もあげられた。
「ふしぎ祭エンス2015」の来場者の事後アンケートでは「テレビでみた実験を目の前で見ることが
できて嬉しかった。」「家でも試してみたい。」等の意見をいただき、「Fusionフェスタin Tokyo」
では研究者の方々から「質問は鋭く、良く勉強してきてくれて嬉しい。」というありがたい言葉をい
ただきました。両イベントともに「身の回りのもので、変化がわかりやすい実験だったのでよかった」
という意見もいただけた。次回も今回以上に多くの方に科学に触れていただけるようにしたい。
— 33 —
-33-
縦の連携 ●
2. 研究内容・方法
<縦の連携> ●
キャリアデザインツアー
第 2 学年 担任 新井 雄基
1. 仮説
(1) 生徒が主体的に企画・立案をすることにより自主性を育て、また学習意欲を喚起させる。
(2) 科学や技術に関して新たな認識を持たせ、職業観を得る手掛かりを得させるとともに、自ら課
題を見出す能力を育てる。
(3)「科学技術科」であり、SSH 指定校であることの独自性をもった新たな学年行事を開発する。
背景
SSH 事業として、本校生徒の主体性、リーダーシップ、協調性等を伸ばすことに主眼を置いた実践がで
きないか?これがキャリアデザインツアーの出発点であった。本校生徒の日常は一般の高校と比べれば「時
間的ゆとり」がある方ではない。ともすれば「与えられる」ことに慣れ、
「こなす」ことに意識が置かれて
しまうこともある。高等教育の基礎にある自立性、主体性を自覚させる非日常的きっかけ、取り組みが必
要だと考えた。それを学年行事として実践しようとした試みが本プログラムである。去年からスタートし
縦の連携 ●
た今回の本プログラムは 2 回目であるが、下町城東地区の立地だけでなく、東京都すべての地区の施設・
企業を対象とした。また、キャリア教育の要素を中核にし、各地域社会との連携を模索する体験学習を目
指した。
2. 研究内容・方法
(1) 実施日時 2015 年 6 月 5 日金曜日 8:30~17:00 学校集合・解散
(2) 参加者数 生徒 第 2 学年 213 名 引率教員 18 名
(3) 研修形式 校外体験学習 18 班、18 コース別行動。
移動は、各班毎に公共交通機関と徒歩による。
(4) 研修時間 1 施設当たり 70~120 分
(5) 研修施設 32 施設・企業
マツダ自転車工場/NHK スタジオパーク/環境科学研究所/富岡八幡宮/
砂町水再生センター/アステラス製薬/太陽堂封筒/ヒューレット・パッカード/
日本バイオインダストリー協会/ライフイズテック/ユーグレナ/田中工業/
先端フォトニックス/国立科学博物館/清水建設技術研究所/小原工業/
博報堂/オビツ/滝澤硝子工芸/田中医科器械/くすりミュージアム/
金星ゴム工業/ノーブル電子工業/造幣局東京支局/ヤフージャパン/
タニタ/笹川製作所/ディーエムエム・ドットコム/葛西水再生センター/
墨田川造船/ディテクト/鑑定科学技術センター/
(6) 研修内容 社会現場で本物の科学技術を実感する総合的な校外体験学習。
・科学技術とは何か。各施設・企業の特色等を通じて体験的に学ぶ。
・担当者との質疑応答等を通じて社会人とのコミュニケーションを経験する。
・都市生活の利便性と安全性が人や技術によって支えられている実態を知る。
(7) 事前準備 企画・立案・運営は、原則として各班ごとに行い、生徒一人ひとり自分が研修した
い施設や企業を決め、2 か所ずつに絞っていった。施設・企業選定は「東京 23 区内に立地」
「科
学技術に関する研修内容の実現」を条件に、各班の代表生徒による 100 を超える電話交渉やメ
ールによって決定した。見学や研修を専門的に想定した博物館や水族館等の社会教育施設では
なく、社会現場で実働している人、技術、ものに出会うことができる場所を可能な限り選択す
るようにした。代表生徒が中心となり、生徒が作成した書き込み式の栞を使用し、各班ごとに
当日の行動計画等を作成させることで学年全体の事前学習とした。見学依頼書作成や先方との
打合せについては、教員が行った。
3. 検証
事後アンケートの結果を一部記す。
「1 日中ほぼ同じ作業を繰り返すのはとても根気のいる仕事
なんだと思ったと同時に、そんな中で細かな微調整をする職人さんはすごいと思った。
」
「一番驚
いたのは、患者さんや医者の使いやすさによって作る器械に細かな違いがあるので、色々なバリ
エーションのものを作っていること。
」
「研究職において必要なのは技術だけでなく、人の役に立
ちたいという思いであるということが分かった。」
「職人さんが仕事を好きだと思えるようになっ
たのは 50 年たってからだそうです。振り返ってそれを誇りに思えるってすごいと思いました。」
仮説については一定の成果を得たと判断できる。また、11 月の台湾修学旅行における班別行動時
には本プログラムの成果が出ていて、生徒全員が主体的・計画的に活動することができた。
— 34 —
-34-
<上への伸長> ★
3.上への伸長
スーパープロジェクト研究開発概要
SSH 運営委員 金子 雅彦
1. 仮説
(1) 意欲・能力の高い生徒に対して、授業や部活動の枠を超えて、研究する環境を提供すること
は、さらなる意欲・能力の育成に寄与する。
(2) 学年の枠を超え、チームを組み、それぞれの役割を果たしながらチームサイエンスを経験す
ることは協同性の涵養に寄与する。
(3) 研究の指導を教科の枠を超えて科学技術科、理科、数学科、英語科等の教員が連携して指導
することは、教員の力量向上が図れるとともに意識の向上につながる。
2. 研究内容・方法
(1) テーマ決定、活動
① 生徒が研究したいもの、課題研究や科学研究部で行われていた研究でさらに進化させたい
もの、大学等の連携で研究させたいものなど、テーマを公募し、その中からスーパープロ
ジェクトとして研究するテーマを決定する。
② 生徒に対して説明会を開き、各テーマについて説明。昨年度は 2 学期に行っていた説明会
を今年度は 1 年生にも研究の機会を増やすため、1 学期に実施。
③ 希望する生徒が希望書を提出し、担当教員と面接等を行い、研究開始。学年の枠を超え、
放課後や土曜日等に研究を行う。
(2) 4年目のテーマ
本年は以下のプロジェクトが活動を行っている。
プロジェクト名
ロボットプロジェクト
担当者
研究内容
科学技術科、理科、 自律制御ロボットの開発
英語科
イリオモテプロジェクト
理科
西表フィールドワークを実施。マングロ
ーブおよびその生育環境について研究
フライングオブジェクト
科学技術科
飛行物体についての総合研究
理科、科学技術科
すみだ水族館と連携したクラゲの生態に
プロジェクト
クラゲプロジェクト
ついての研究
3. 検証
(1) 成果
研究してきた結果、SSH 生徒研究発表会ポスター賞、千葉大学主催第 9 回高校生理科研究
発表会千葉大学長賞および優秀賞、JESIC優等賞など昨年度以上の多くの成果をあげること
ができた。参加者数は昨年度より 1 年生 14 名、2 年生 20 名増え、研究活動を積極的に行う
生徒が増加した。
(2) 生徒による自己評価について
1 年生のスーパープロジェクト参加者の自己評価はすべて観点で不参加者の項目を上回っ
た。特にまとめる力、独創性などの自己評価が 5 段階で 0.3 ポイント程度の上昇が見られた。
(3) 教員の意識の変容
昨年度と同様に教員にも昨年度と同様に教科の枠を越えてプロジェクトを指導することに
より、教育の手法の共有し、教育技術の向上が見られた。意欲の高い生徒を指導すること
により教員の方も教育への意欲が高まり、相乗効果が見られた。
(4) 課題
活動内容をもっと多くの生徒に伝えることによりさらなる活性化を図る工夫が必要となる。
— 35 —
-37-
上への伸長 ★
④ 研究発表会等で研究発表。
<上への伸長>
★
<縦の連携> ●
スーパープロジェクト
「F-Pro」
報告
F-Pro 指導担当 科学技術科
佐々木 義秀
1. 仮説
空中を飛ぶ物(飛翔体、浮遊物、跳ねる物など)を対象に、その原理を調査・実験等を通して、
以下の目指す生徒像になると考える。
(1) 身近なに疑問に、科学技術を手立てに解決できる生徒
(2) 自ら考え行動し、課題や問題を解決できる生徒
(3) 課題研究において、リーダーとして活動できる生徒
(4) 大学で基礎研究に対応できる能力を身に付けた生徒
2. 研究内容・方法
実施場所:本校工業計測室
対象生徒:参加希望者 第 1 学年 13 名(男子:13 名) 第 2 学年 19 名(男子:15 名、女子:4 名)
研究内容:(1)研究テーマ
①第 2 学年「火星飛行機の研究製作」
②第 1 学年「エッグドロップコンテスト」「パラシュートの研究」「飛行機の性能調査研
究」
(2)成果普及
①平成 27 年 4 月 19 日(日) 科学未来館 「Tokyo ふしぎ祭(サイ)エンス 2015」
上への伸長 ★
オリジナル「ホバークラフト」の製作指導 第 2 学年 14 名
②平成 27 年 5 月 2 日(土) 科学未来館 「Fusion フェスタ in 東京 2015」
オリジナル「ホバークラフト」の製作指導 第 2 学年 12 名
(3)競 技 会
①平成 27 年 6 月 20 日(土) 文京学院大学 本郷キャンパス
「エッグドロップコンテスト」1 位獲得
第 1 学年 13 名 第 2 学年 19 名
②平成 27 年 5 月 2 日(土) 多摩科学技術科高校 科学の甲子園
「パラシュート」の試作 サポート 第 1 学年 13 名 第 2 学年 19 名
③平成 27 年 12 月 23 日(土) 東京農工大学 SSH 指定校東京都合同発表会
ポスターセッション「火星探査飛行機の研究 -主翼の性能調査・研究報告-」
第 2 学年 6 名
以上の活動を通して、仮説に基づき指導を行い研究開発を実施した。
オリジナルホバークラフト
ホバークラフト製作指導
エッグドロップコンテスト
3. 検証
(1) 身近な疑問や興味関心から、各グループの研究テーマを設定し、研究方法や実験装置の製作など、
文献や企業の情報を元に、検討を重ね研究を進められようになった。
(2) 成果普及や競技会を通して基礎基本を改めて学び、新たな課題や問題に気づき主体的に解決する
能力を身に付けた。
以上から、仮説の(1)、(2)は達成した。今後、大学と連携し基礎研究への対応能力を身に付けせる。
— 36 —
-35-38-
<上への伸長> ★
IRIOMOTE
スーパープロジェクト
I-Pro 指導担当 理科
七森 敦行
1. 仮説
沖縄県西表島における野外体験研修と日常の生徒研究活動をつなげることを目指して、スーパー
プロジェクト IRIOMOTE は始まった。体験と探求活動を通じ、生徒の科学的な思 考力、問題解決
能力、コミュニケーション能力の伸長が期待できると考えた。以下の仮説を立て実践した。
(1) 学年や部活動を超えた多くのメンバーで取り組むことで、より目標の高い研究活動を進める
ことができる。
(2) 自ら計画を立て、現地で得られた試料やデータをもとに研究を進めることは、研究への意欲
を向上させることができる。
2. 研究内容・方法
(1) メンバー
現在、1~3 学年の 10 名が活動している。科学研究部、ハンドボール部、MCG 部、卓球部、
サッカー部に所属する生徒がおり、活動できるメンバーは日によって変化する。
(2) 活動日時
① 通常活動は月~土曜日の放課後(15:50~18:00)である(土曜日は 13:30~)。
② 野外体験研は平成 27 年 4 月 1 日(水)から 4 月 5 日(日)まで沖縄県西表島で行い、
(3) 研究テーマ
プロジェクト設立から現在までの研究テーマは以下の通りである。
・ヤエヤマヒルギの散布体に特異的にみられる繊維についての研究
・ヤエヤマヒルギの散布体の接触刺激にともなう発根条件の研究
・ヤエヤマヒルギの初期成長についての研究
・ヒルギ科植物に含まれる光合成色素についての研究
・ヒルギ科植物の緑葉と黄葉に含まれる塩類の定量と、その比較研究
・マングローブ林の成立が土壌に与える影響についての研究
・ヒルギ科散布体の抗菌作用についての研究
(4) 研究発表
今年度参加した研究発表会等は以下の通りである。
・グローバルサイエンスリンク in シンガポール
・高校生理科研究発表(千葉大学)
・SSH 生徒研究発表会(大阪)
・理系女子による科学研究発表交流会
・東京都理科研究発表会
・東京都 SSH 指定校合同発表会
・関東近県 SSH 合同発表会
・高校生科学技術チャレンジ(JSEC2015)
・つくばサイエンスエッジ 2016
・日本水産学会春季大会
・日本生態学会
・日本森林学会
3. 検証
3 年目を迎え、研究結果の蓄積と個々の生徒の成長が実を結び、さまざまな研究発表会等で評価・
表彰を受け、これまで以上に顕著な成果を残すことができた。SSH 生徒研究発表会における優秀ポ
スター賞、高校生理科研究発表における千葉大学学長賞と優秀ポスター賞、JSEC 最終審査会出場(フ
ァイナリスト選出)等、プロジェクトとして飛躍の一年だったと言える。今後「土壌」と「葉」の研
究は、その内容をさらに深化させることができるであろう。一方で、個々の力に頼った活動が軸とな
っていて、チーム研究・活動としては発展途上である。SSH フィールドワークでの研究者の方との
ディスカッション、日常の生徒間でのグループディスカッション等を通じて地道な経験を積み重ね、
生徒の主体性・意欲が原動力のスーパープロジェクトしてより一層変貌していくことを期待したい。
— 37 —
-39-
上への伸長 ★
8 名の生徒が参加した。現地では試料採集やデータ測定、専門家からの講義を聴講した。
<上への伸長> ★
科学技術系部活動の充実・振興
SSH 運営委員 科学研究部顧問 髙木 昭美
1. はじめに
本校科学研究部は、学校開設時に設置されて平成 27 年 6 月の時点で部員数は、物理・数学班男子
38 名女子 3 名計 41 名、生物・化学班男子 27 名女子 12 名計 39 名、科学研究部合計 80 名である。こ
の数は、本校在籍生徒数の約 13%に相当し本校の部活動では最大の部員数である。
例年通りコンテスト等で成果をあげているが(「研究開発の経緯」参照)
、今年度科学研究部の特徴的
な活動として、
「フィールドワークを中心とした夏季合宿」と「化学分析日本一(第 15 回高校生ものづ
くりコンテスト全国大会(九州)化学分析部門 優勝 文部科学大臣賞)」の 2 点について報告をする。
2. 仮説
フィールドワークは、通常の授業や部活動では体験できない野外での観察・調査など様々な視点か
ら科学的に体験させることができ、野外調査の基本を習得するため以下の目的を持って実施した。
①野外での活動により実物に触れ、体験的に学ぶことにより感性を磨く。
②フィールドワークにより観察力や想像力、考察力を高める。
上への伸長 ★
③身近な題材を例として、生物学・環境学に対する興味や関心を高める。
④自ら考え、計画を立てて研究を進める力を養う。
⑤部員の意見交換や交流によりコミュケーション能力やプレゼンテーション能力を高める。
3. 研究内容・方法
(1) 実施日
平成 27 年 8 月 26 日(水)~8 月 28 日(金)
(2) 場 所
①フィールドワークⅠ
千葉県富津海岸 「地曳網体験」
②フィールドワークⅡ
千葉県鴨川市 「内浦山県民の森」 植物及び水質調査
③フィールドワークⅢ
千葉県勝浦市 「県立海の博物館」 博物館前の磯場の生物調査及び博物館見学
④施設見学
千葉県袖ケ浦市 「東京ガス袖ヶ浦工場」
(3) 対象生徒
1年生 24 名、2年生 22 名 計 46 名 引率教諭 4 名
(4) 行
程
第 1 日目:8/26(水)
学校集合→(貸切バスにて移動)→富津海岸 フィールドワークⅠ 昼食(とれた魚を含む)→
→宿舎(千葉県立鴨川青年の家) (夕食、ミーティング、就寝)
— 38 —
-35-
第 2 日目:8/27(木)
宿舎(起床、朝食)→内浦山県民の森 フィールドワークⅡ 昼食→宿舎(採取した植物の調査)
宿舎 (夕食、ミーティング、就寝)
第 3 日目:8/28(金)
宿舎(起床、朝食)→千葉県立海の博物館 フィールドワークⅢ 昼食→東京ガス 袖ヶ浦工場
(施設見学)→学校着 解散
4. 検証
フィールドワークⅠは、富津海岸の位置が京葉工業地帯も近く、対岸の三浦半島では久里浜火力発
電所の集合煙突が見えて、工場地帯と市街地に近い海岸であるが、地曳網では真鯛、舌平目、シマア
ジなど多数入っていた。東京湾の入り口に位置するが、水質環境の改善が直接感じられた成果である。
フィールドワークⅡは、房総半島山間部の植物調査である。房総半島に標高の高い山岳地帯はない
が、宿舎周辺の海岸地区とは明らかに植物の植生が異なり図鑑に記載通りの事柄を体験できた
フィールドワークⅢは、海の博物館学芸員 柳研介様のご尽力により、磯場の観察案内と海の博物
館の館内では、バックヤードまで案内をして頂いた。博物館には展示されていない収蔵物がたくさん
あり、学芸員の仕事の重要性が体験できることにより、生徒の進路選択に生かせる成果である。
施設見学は、定番の工場見学コースであったが、生徒からの質問が多数あり見学最後の質疑応答時
問を受けることはないと、賞賛の言葉を頂いた。
5. 研究内容・方法
高校生ものづくりコンテスト全国大会化学分析部門は今年度で第 15 回目となる。過去には本校科学
研究部の生徒が優勝した実績があったが、3 年ほど前には東京都予選に参加できる生徒が一人だけに
なってしまった。キレート滴定法による検水の硬度測定は、化学分析の基本操作と実験器具の基本操
作が含まれている。今年度は 2 年生 4 名、1 年生 2 名が練習を重ね校内選考会を経て、東京都大会、
関東大会を勝ち進み全国大会で優勝し、文部科学大臣賞を受賞する成果が得られた。
(1) 実施日
平成 27 年 11 月 14 日(土)~11 月 15 日(日)
(2) 場 所
宮崎県立宮崎工業高等学校
(3) 対象生徒
科学研究部
6.
2 年生 女子生徒
検証
キレート滴定法による検水の硬度測定は、化学系工業高校の実習項目の一つであるが、全国大会は
全国 9 ブロック(北海道、東北、関東、北信越、東海、近畿、中国、四国、九州・沖縄)と開催県代表
の 10 で競技が行われ滴定量が 1 滴違えば優勝と入賞外となり、本校の生徒以外は 9 名すべてが 3 年生
でとてもレベルの高い大会であった。優勝したという成果はとても大きいが、化学系の研究で化学分
析を正確に実施する重要性も生徒たちに伝わった成果である。
— 39 —
上への伸長 ★
間は 20 分程度要した。見学担当者から工場見学団体は、毎日多く受け入れているがこれだけ沢山の質
<上への伸長>
★
SSH委員会
SSH運営委員 小幡 章
1. 仮説
SSH 委員会活動を通じて、科学的素養に溢れ、国際的な視野を持ち、社会に貢献できる科学者・
技術者を育成するための望ましい人間関係を形成し、集団や社会の一員としてよりより学校生活づ
くりに参画し、協力して諸問題を解決しようとする自主的、実践的な態度を育てことができる。
生徒の自主性、自発性をできるだけ尊重し、生徒が自ら活動の計画を立て、協力し合って望まし
い SSH 活動を進めるように指導・援助することが大切である。
2. 研究内容・方法
(1)活動名:「ST オリンピック 2015」運営業務
実施日:平成 27 年 7 月 16 日(木)
場
所:ゼミ室(201・202・203・204・303・304)
方
法:平成 27 年 11 月 8 日(日)出場予定の「科学の甲子園東京都大会」本校代表を決定する
上への伸長 ★
ためメンバーの選出および試験監督業務を実施した。メンバーは各クラス SSH 委員が 1・
2 年生縦割りのクラス編成で物理・化学・生物・地学・数学・情報の 6 分野の担当者を決
定させて実施した。
(2)活動名:「平成 27 年度課題研究校内発表会」運営業務
実施日:平成 27 年 9 月 1 日(火)
場
所:3 会場(視聴覚室・405 講義室・4 階コンピュータ室)
時 間:発表①13:30~13:50
発表②13:50~14:10
発表③14:20~14:40
発表④14:40~15:00
方
休 憩 14:10~14:20
法:各クラスの SSH 委員(1・2 年生)は各発表会場での発表会における司会・進行・運営を
実施。発表時間 10 分、質疑応答 5 分、発表者交代 3 分などの時間管理、発表会場への
出入り管理等を担当した。
3. 検証
本年度から開始した SSH 委員会による SSH 行事の運営・参加は、第一歩としては成功であった。
特に下級生である 1・2 年生が先輩である 3 年生の課題研究発表会の運営を通じて、ただ単に発表
会を見学するという受け身の立場から自ら主体的に運営に参加したことに意義がある。しかし、今
回は生徒による企画という点ではまだまだ改善の余地があった。SSH 委員会活動を活性化し、その
教育的価値を高めていくには、我々指導する立場である教師の適切な指導・援助と、活動に必要な
場や機会の計画的な確保も含めた学校の一貫した指導体制の下で運営される必要がある。また、本
活動を通じて、SSH 指定校である本校生徒に、将来的に社会に貢献できる科学者や技術者を目指そ
うという精神を涵養できればと考えている。
— 40 —
-40-
4.外への拡大
<外への拡大> ■
英語力強化に関する研究開発(GTEC・海外からの受け入れ)
英語科 櫛野千織、大竹真樹
1. 仮説
グローバル化により、今後ますます英語が必要となってくることは言うまでもない。特に科学技
術の分野においては、英語で自らの考えを表現する能力のみならず、情報を検索し、概要を把握す
るなどの英語による総合的なコミュニケーション能力が求められている。そのような英語力を身に
つけた生徒育成の一助として、本校では GTEC の受検と海外交流体験に取り組み、次の成果があが
ると考えた。
(1) GTEC 受検によって自らの現在の英語力や前年度からの伸び率を知ることにより、さらに上位レ
ベルの学習への意欲を高める。
(2) 海外交流体験として台湾木柵高校の生徒を招き、英語をコミュニケーションの手段として用い
ることで、英語学習の動機づけを行う。
2. 研究内容・方法
・GTEC
・海外からの受け入れ
(1) 日 程 平成 27 年 7 月 16 日(木)
(1) 日 程 平成 27 年 5 月 22 日(金)
(2) 対象
(2) 対象
全校生徒
(3) 内容
希望生徒32名
(3) 内容
・事前学習 GTEC 問題演習
・文化交流(柔道・剣道・茶華道・紙飛行機コ
・事後学習 ライティングのリライト
ンテスト)
・家庭学習 e-learning 学習
・英語による学校説明
3. 検証
(1) 英語力向上について(GTEC スコアレポートより)
科学技術高校では、100 点以上伸びた生徒が 2 年生で 31 名、3 年生で 8 名。特に、3 年生:185 点
up(443 点→628 点)2 年生: 167 点 up(215 点→318 点)と大きくトータルスコアを伸ばした生徒
Total スコア
高 1 前半
伸び
高2前半
伸び
高3前半
全国平均
409
36
445
16
461
科学技術高校 現1年
357.3
科学技術高校 現2年
358.1
46.9
405.0
科学技術高校 現3年
358.9
56.3
415.2
9.9
425.1
(2) 英語学習の動機づけ向上について(海外受け入れのアンケートより)
この交流イベントで身に付いた能力として「コミュ
表2
ニケーション能力」
(46%)
、
「国際性」
(33%)
、
「英語力」(19%)という結果となった(表2)。
「英語力」と回答した生徒よりも、「コミュニケー
ション能力」と回答した生徒が多く、英語をコミュ
ニケーションの手段として用いる機会となったと
考える。このような経験から英語学習へのよい動機
づけができたと考える。
— 41 —
-41-
外への拡大 ■
もいる。次年度以降も継続して GTEC スコアを定点観測し、英語力向上プログラムの改善を進める。
<上への伸長>
★
<外への拡大> ■
英語による講演会
SSH 運営委員
岡本 悠太
1. 仮説
(1) 外国人研究者の最先端研究に触れることにより、世界基準の研究を肌で感じることができる。
また研究が世界規模で行われていることも知り、世界に目を向ける契機になる。
(2) 英語での講演を聞くことにより、研究の分野でも共通言語が英語であることを再認識できる。
また英語が理解できる楽しさや逆に理解できない悔しさを感じることにより、今後一層英語の学
習に励む契機になる。
2. 研究内容・方法
場所
実施日
第1回
第2回
第3回
第4回
4/28
7/8
12/16
3/16
本校
視聴覚室
本校
視聴覚室
本校
視聴覚室
本校
視聴覚室
参加生徒(※)
内容(全て講演 80 分質疑応答 10 分)
1年:69名
台湾人研究者の講演
2年:16名
「天体望遠鏡を使った宇宙物質の研究」
3年: 2名
1年:213名
アメリカ人研究者の講演
2年:211名
「ヒューレット&パッカード社での
3年: 0名
セキュリティーシステム開発業務について」
1年:35名
フランス人研究者の講演
2年: 4名
「高性能熱伝導モジュールについて」
3年: 1名
1年:20名
アルゼンチン人研究者の講演
2年:15名
「意識と無意識状態における脳内の
(※予定)
情報伝播について」
※全学年からの希望者が参加
外への拡大 ■
3. 検証
成果は事後の参加者へのアンケートにより検証した。仮説の順番に沿って記載する。パーセンテ
ージはすべて3回分の平均値である(第4回はこれから実施)。
(1) 「科学的な関心が高まり、世界に目が向くきっかけになったか」という質問に対し、約 92%
以上がが「強くそう思う」
「そう思う」と答え、
「あまり変わらない」
「そうは思わない」が約
8%だった。
外国人研究者が異国でも生活を楽しみつつ研究に励む姿をみて、海外での研究活動に対して前
向きな考えをもつようになった。同時に多くの外国人研究者が日本の大学で最先端の研究をし
ていることを目の当たりにし、日本の科学技術の水準が極めて高いことを再確認する機会にも
なった。
(2) 「英語の勉強意欲が高まったか」という質問に対し「高まった」と答えた生徒は約 88%、
「変
わらない」と答えた生徒は約 12%だった。講演の中で出てきた専門用語に戸惑った生徒も散
見されたが易しい単語に置き換えて説明してくれるなど、各講演者は工夫を凝らしながら説
明してくれた。
自由意見欄には「もっとわかるように英語の勉強を頑張りたい」「英語でプレゼンがしたくな
った」といった英語講演ならでは感想が並んだ。
英語学習の動機付けになったことはもちろん、
英語が使えればいかに多くの人とコミュニケーションがとれるか実感する機会にもなった。
— 42 —
-41-42-
<外への拡大> ■
海外校との連携・海外での発表会(Global Science Link)
SSH 運営委員
1. はじめに
研究部 SSH 担当
岡本悠太
究・体験入学・ホームステイ等の学校交流
Global Science Link(以下 GSL)は、高校生の
等を通じ異文化を理解し国際的な視点をも
ための国際科学コンテストである。今回の GSL
てるようにする。
には6ヶ国 28 校・85 名の高校生が参加し研究
③ 生徒のプレゼンを含む科学的・技術的活動
の一助とすることができる。
成果の発表を行った。
本校の参加生徒は2年生5名。マングローブ
④ 自らテーマを決めて調査・研究を行うこと
の生態を研究開発しているスーパープロジェ
で,自己学習の能力と計画性を身につける
クト・マングローブ班のメンバーが参加した。
ことができる。
今回の研修の目的として、「海外の高校との
共同研究」
「海外の研究者との交流」
「英語での
3. 研究内容・方法
プレゼン」「シンガポールのマングローブ関連
(1) 日
程
平成 26 年 7 月 24 日(金)
~ 7 月 29 日
(水)
施設の視察・見学」を設定した。
5泊6日
事前学習として、英語発表にそなえての英語
原稿作り、プレゼンの練習、想定問答の作成と
(2) 対象生徒および参加者
受け答えの練習、外国人講師や日本科学未来館
国際科学コンテストでの発表がメインの海
による英語力強化の特別講座などを行った。
外研修なので、日ごろから熱心に研究活動を
事後学習として、シンガポールでの発表の成
しており実績を上げている研究グループを全
果と反省をしっかり行い、その成果を9月の校
学年から候補として複数選び、その中から参
内発表会及び文化祭、12 月の東京都SSH指定
加グループを選考した。
結果として、条件を一番満たすマングロー
ブ班の生徒を選んだ。
2. 仮説
(3) 研修内容
7 月 24 日(金)
国際科学コンテスト参加,英語プレゼン,現
地高校生との交流見学,現地のマングローブに
夜
関する施設の視察・見学及び事前学習・事後学
羽田空港集合、飛行機でシンガポール・チャンギ空港へ。
習を通して得ることができる力を次の4点設
【機内泊】
7 月 25 日(土)
定した。
① 国際科学コンテストに参加することで世界
午前
基準の高校生の研究を肌で感じることがで
セントーサ島へ移動。セントーサ水族館
きる。また審査員となっている世界の研究
バックヤードツアーに参加。
者達と交流することにより、今後世界に目
午後
を向ける契機となる。
南洋工科大学にて GSL の発表リハーサル
② 英語を使って過ごすことで語学力の向上を
【セントーサ泊】
7 月 26 日(日)
図るとともに、シンガポールチャイニーズ
ガールズスクール(以下 SCGS)との共同研
終日
— 43 —
-43-
外への拡大 ■
校合同発表会で再び発表した。
GSL 参加。審査員の研究発表に続き、
出 発 直 前 指 導 (諸 注 意 )
ポスター発表を行う。
●事後学習
8 月 3 日(月)
【SCGS 生徒宅ホームステイ】
7 月 27 日(月)
振り返り指導、アンケート実施
9 月 1 日(火)
校 内 課 題 研 究 発 表 会 に て ポスター発 表
9 月 12 日 13 日 ( 土 ・ 日 )
本校文化祭にてポスター発表
12 月 23 日 ( 水 )
東京都SSH指定校合同発表会に
てポスター発表
終日
SCGS の 生 徒 達 と シ ン ガ ポ ー ル 国 立 大 学
National History Museum の Guide Tour&
マングローブ特別講義に参加。
【SCGS 生徒宅ホームステイ】
7 月 28 日(火)
終日
4. 検証
SCGS を訪問し、1日体験入学。授業参加
今回の体験研修の成果は事後の参加生徒へ
や合同研究の振り返りを行う。
の聞き取り・アンケート、各種発表での成果、
【機内泊】
によって検証した。仮説の順番に沿って記載す
7 月 29 日(水)
る。
午前
①国際学会に参加することで世界基準の研究
羽田空港着。到着後、現地解散。
を肌で感じることができる。また世界の研
(4) 事前学習・事後学習
究者達と交流することにより、今後世界に
●事前学習
目を向ける契機となる。
4 月 28 日(月)
⇒基調講演は世界各国で実績を積んだシ
英語力強化のための英語講演会受講①
ンガポール若手研究者達の講演だった。ど
5 月 28 日 ( 木 )
外への拡大 ■
第1回英語プレゼン講習会
れも最先端の研究であり研究が世界各地
6 月 13 日 ( 土 )
保護者向け取扱旅行業者説明会
6 月 19 日 ( 金 )
第2回英語プレゼン講習会
(外国人講師による指導)
6 月 26 日 ( 金 )
第3回英語プレゼン講習会
(日本科学未来館職員指導)
7 月 3 日(金)
第4回英語プレゼン講習会
(外国人講師による指導)
7 月 8 日(水)
英語力強化のための英語講演会受講②
7 月 17 日 ( 金 )
第5回英語プレゼン講習会
(日本科学未来館職員指導)
7 月 22 日 ( 水 )
第6回英語プレゼン講習会
(英語科・理科教員による指導)
と連携して行われていることを目の当た
りにした。また英語を使えれば世界で研究
ができることを実感し、世界に目が向き始
めた。ポスター発表においてもこれらの研
究者から多くのアドバイスがもらえ、じっ
くりと話をする機会があった。アンケート
でも「他国の科学技術に関する興味・関心
が高まった」という項目で5名全員があて
はまると答えた。
②
英語を使って過ごすことで語学力の向上を
図るとともに、シンガポールチャイニーズ
ガールズスクール(以下 SCGS)との共同研
研究・体験入学・ホームステイ等の学校交
流等を通じ異文化を理解し国際的な視点を
もてるようにする。
⇒GSL では、コンテストや見学活動・食事な
— 44 —
-44-
<外への拡大> ■
ど各国生徒と多くの時間を共有し、一緒に
を自主的に考えてきた。到達点に届く発表
過ごす中で英語を使いコミュニケーション
ができたことからも、生徒たちの自己学習
をとった。SCGS との交流では合同研究を
能力と計画性を感じることができる。
行ったことにより半年以上に渡る交流がで
きた。合同発表、ホームステイ、学校訪問・
授業参加等により、絆がさらに深まった。
アンケートでは「英語力が高まった」
「英語
をさらにがんばろうと思った」
「異文化理解
へ積極的な姿勢が持てた」いう項目に5名
全員がそう思うと答えた。
③ 生徒の科学的・技術的活動の一助とするこ
とができる。
⇒事前事後学習を通じ、研究のわかりやすい
GSLでのSCGSとの合同ポスター発表の様子
テーマ設定、プレゼン原稿の書き方、発表
の仕方などのレクチャーを受けて、実践し
てきた。校内・校外を問わず、様々な教員
や研究者から指導を受けることにより深化
した科学的・技術的活動を行うことができ
た。多くの生徒が「プレゼン能力が高まっ
た」
「いろいろな角度から研究活動をみられ
るようになった」と話している。
④ 自らテーマを決めて調査・研究を行うこと
で,自己学習の能力と計画性を身につける
Museum での特別講義の様子
⇒シンガポールでの発表が決まって以来、全
員が自らの強みを生かして役割を分担し
てきた。研究を全員で深化させることはも
ちろん、英語力を生かして発表原稿を作成
する生徒、デザイン力や PC スキルを生か
し発表ポスターの構成やデザインを考え
たり iPad を使った映像資料を作成する生
徒、他国生徒の日本への興味をリサーチし
プレゼントの品を作り上げる生徒などで
ある。それぞれの担当分野やテーマのなか
で出てきた課題はメンバー全員で共有し
一緒に課題解決を目指した。その過程でチ
SCGS学校訪問の様子
ームサイエンスの意味を体感していった。
発表における到達点を設定し、その実現の
ために発表の日までを逆算し、どの時点ま
でに何をどこまで終わらせておくべきか
— 45 —
-45-
外への拡大 ■
シ ン ガ ポ ー ル 国 立 大 学 内 National History
ことができる。
5.下からの支え
<下からの支え>
▲
SSH プランカード・生徒の活動記録
SSH 運営委員
金子 雅彦
1. はじめに
本校の SSH 活動の特色として学校設定科目以
評価をフィードバックさせることは、生徒
外に多くの研修を行っている。特にやる気のある
の意欲の向上につながり、SSH 活動の効果
生徒のための希望者研修も多数展開している。
そ
を高める。
のため、SSH 活動に計画的に取り組み、自己評価
できるように組めるように SSH プランカードを
3. 研究内容・方法
策定している。
本校では全生徒が参加する研修の他、多くの
研修を用意している。効果的に<下からの支え>
2. 仮説
を行うために、SSH プランカード用いて以下の
多岐にわたる SSH 活動を支えるために 5 番
ような指導を行った。
目の柱として<下からの支え>を置き、その取
(1) 概要
4月入学当初に生徒に対して 1 年間の SSH
組の一つとして以下の仮説を立てた。
(1) 生徒個人が体験した SSH の活動を振り返
活動の予定を提示して説明を行い、SSH プ
り、次の活動計画を立てることは、SSH 活
ランカードを配布して以下の流れで指導を
動の効果を高める。
行うことにより活用した。
(2) 生徒が行ってきた SSH 活動を評価し、その
① 5 年後の自分、10 年後の自分が何をし
科学技術高校 SSH 自分の力を大いに伸ばそう
Feb-15
SSHプランカード
年 組 番
2月、3月
4月
2月、3月
4月
☆5年後の自分、10年後の自分が何をしている
か想像してみよう。
☆5年後の自分、10年後の自分が何をしている
か想像してみよう。
研究してみたい課題研究部会のテーマ、今年度の 今年度の課題研究やSSH活動で自分として良
SSH活動に対する抱負や、自分自身が期待するこ かったことを評価してみよう。また、来年度
とを書いてみよう
に向け、特にSSH関連で自分でやりたいこ
5年後の自分
5年後の自分
10年後の自分
と、行動したいことを書いてみよう。
研究してみたい課題研究のテーマ
課題研究のテーマ、研究をやって良かったこと、チームへの貢献等
SSH活動への抱負や期待すること
今年度のSSH活動の自分としての評価
10年後の自分
☆SSH活動を通して身につけたいものとして4月
☆SSH活動を通して自分が身につけたいものを表
に選んだものの達成度を%で書いてみよう。その
Aから選んで番号を書いてみよう
他のものもあったら達成度をかいてみよう
下からの支え ▲
番号
番号
※その他
※その他
科学技術について興味を持った、興味が深まった内容。来年度に課題研究やSSH関連で自分でやりたいこと、行動したいこと。
達成度
表1 伸ばしたい能力
1 科学技術に対する興味・関心・意欲
2 科学技術に関する学習に対する意欲
3 未知への事柄への興味(好奇心)
4 理科・数学の理論・原理への興味
5 理科実験への興味
6 観測や観察への興味
☆上のことを考えて、自分がSSH講座(別表)か
ら受講した講座を選ぼう
☆自分が受講したSSH講座をかき、もっとも身に
そのとき、身につけたいものの番号を書いてみよ つけたいものを書いてみよう(複数可)
う。
7 学んだ事を応用することへの興味
8 社会で科学技術を正しく用いる姿勢
9 自分から取り組む姿勢(自主性・やる気・挑戦心)
受講したい 身につけた
準備したいこと
講座
いもの
10 周囲と協力して取り組む姿勢(協調性・リーダーシップ)
受講した講 身につけた
備考
座
もの
11 粘り強く取り組む姿勢
12 独自なものを創り出そうとする姿勢(独創性)
13 発見する力(問題発見力、気づく力)
14 問題を解決する力
15 真実を探って明らかにしたい気持ち(探求心)
16 考える力(洞察力・発想力・論理力)
17 成果を発表し伝える力(レポート作成、プレゼンテーション)
18 国際性(英語による表現力、国際感覚)
表1
SSH プランカード
— 46 —
ているか想像し、SSH 活動を通して身
1 年次
につけたいものを考える。そこから、自
・入学、科学研究部 生物化学班に入部.
分が SSH 講座(別表)から受講したい
研究のやり方などを、先輩から教わる。
講座を選ぶ。
・「西表島フィールドワーク」に参加。
② 実際に参加し、担任との面談を通じて、
科学研究部・スーパープロジェクトとして研究
活動を振り返り、次にやることを策定し、
を始めた.
次の活動を行っていく。
・「SSH 生徒研究発表会」を見学し、全国大会で
発表してみたいと思う.
☆SSH活動2015 主なもの(予定も含む)
研修
対象者
学校設定科目
全員参加
研修
略称
SS科学技術と人間
1年生
SS科学技術実践
1年生
SS科学技術特論
2年生
SS科学技術理論Ⅰ
2年生
SS科学技術理論Ⅱ
3年生
・
「日本マングローブ学会」にてプロの世界を垣間
見た.発表についていくのに必死だった.
・「日本森林学会、高校生ポスター発表会」にて 2
SS科学技術実習
2,3年生
課題研究
2,3年生
SS数理物理(自由選択)
3年生
筑波研究施設見学
5月末のHR合宿
科学プレゼンテーション研修
10月予定
進路模擬授業
略称
大学の講義体験
短集-大
短期集中講座 科学や技術に関する講座
プロの方々に初めてクリティカルな質問を頂い
短集-科技
時期等
短集-英
フィールドワーク(日帰り)
フィ日
5月~ 4,5回予定
フィールドワーク(宿泊)
フィ宿
7月(クラゲプロジェクト)
Fusionフェスタ
Fusion
5/2
電子顕微鏡(SEM)研修
SEM
8月
東海大学体験研修
東海大
8月(予定)
その他
科研
通年
ロボット部
ロボ部
通年
他校生との交流 SSH交流会
交流会
9月の四葉祭にて
SSH生徒発表会(大阪)
コンテストへの参加
は個人的にメールできるようになった).以下略
…
西表島フィールドワークへの参加が、私の高校
随時
科学研究部
科学技術系の部活
希望者
た(名刺も頂き、土壌のことでわからないこと
12月、3月の
年2回
英語の力を高めるための講座
部活動
発表会への参加
(参観、場合によ
り発表)
つの研究発表を行い最優秀賞。
2年生
研修
対象者
研修
時期等(予定)
東京都指定校合同発表会
東京都
12月
関東近県指定校発表会
関東近県
3月
STオリンピック
STオリン
9月の四葉祭にて
科学オリン
それぞれ年1回
科学オリンピック
生活を変えた.計 15 日間(1 年に 1 回参加した.、
滞在期間は 5 日)の西表島での経験が、研究のき
8月
っかけをつくり、志望大学を決めた.
(数学、物理、化学、生物、 情報、地理)
SSH講演会
講演会
土壌のことについて、他校の生徒や先生、大学
11月
講演会への参加
その他
随時
スーパープロジェクト
の先生に自分からメール・交流を行った.そして
ロボットプロジェクト(R)
イリオモテプロジェクト(I)
スープロ
研究活動への参加
放課後、課題研究、科学研究部
土壌の実験方法や知識を収集していった.…いろ
フライングオブジェクトプロジェクト(F)
スカイプロジェクト(S)
んな高校生と LINE を交換し、各校の SSH の取り
クラゲプロジェクト(K)
英語力強化
サイエンスダイアログ・海外研究者の講演
英語講義
年3回程度 第1回4/28
海外交流
海外交流プログラム
海外交流
5月等
海外研修への参加
海外セミナー(研究実績等必要)
海外セミナー 夏休み
組みを教わり、良い例(研究の取り組み方や、プ
創造性、問題解決能力、コミュニケーション能力を向上させよう。
レゼン作りの方法、発表の作法、参考になったウ
☆2,3年生で取り組む課題研究に向けて準備を進めよう
表2
SSH 講座
ェブサイトなど)は積極的に吸収した.
4. 検証
2 年次は、ひたすらにいろんな大会に参加した.
(1) 2 年生の科学技術に対する意識の向上は
コンスタントに大会に参加することは、研究への
モチベーションを維持することにもなった.また、
いる。(『SSH 実施効果の定量的評価』参照)
プレゼン力も増していった.様々な大会での経験
(2) スーパープロジェクトの参加者数が昨年
が、JSEC につながっていった.
度より 1 年生 14 名、2 年生 20 名増え、研
私が成長できたのは、人とのつながりあいによ
究活動を積極的に行う生徒が増加した。
ったものだった.西表島で、大会・発表会で、い
ろんな方々に出会った.数多くのアドバイス、ヒ
5. 生徒の活動記録
ントを頂いた.本気で取り組んだ分、本気で返し
ある 3 年生の活動の記録の一部を以下に示
てくれる方々がいたからこそ、成長できた.
す。
先生方にはそのための環境を用意して頂いた.
— 47 —
-47-
下からの支え ▲
昨年度の 2 年生に比べ高い水準となって
Ⅳ.
実施の効果とその成果
SSH 実施効果の定量的評価
SSH 運営委員
渡辺 幸夫
はじめに
次の1,2,3,4の4つのアンケート調査にもとづいて、SSH実施の効果を分析する。
1
本校独自で全校生徒対象に実施したSSH自己評価アンケート。
2
PISA2006調査のアンケート項目にもとづく「高校生科学教育アンケート」。これは、運営
指導委員の大阪教育大学・仲矢史雄先生のご協力をいただいたものである。
3
卒業生(7期生・8期生)へのアンケート(2015年12月~2016年1月
4
学校評価アンケート(2015年12月実施)より
実施)より
1. SSH 自己評価アンケートの結果について
(1) 目的:本校における SSH の評価基準
①創造性・問題解決能力が育ったか
②コミュニケーション能力が育ったか
③科学者・技術者に向けた意欲・態度が育ったか
の3つの観点について、その効果を調査する。
(2) 対象:全校生徒
(3) 時期:2015 年 12 月(1 学年のみ 2015 年 5 月にも同様のアンケートを実施)
(4) 回答方法:5 段階の間隔尺度による自己評価で、マークシートを利用。また、質問用紙に自由意見
の記述欄を設け、マークシートと質問用紙の両方を回収。
(5)
集計:回答数は、1 学年 212 人中 210 人、99.0%。2 学年 212 人中 209 人、98.6%。3 学年 194
人中 185 人、95.4%。全校では、618 人中 604 人で、回答率は 97.7%であった。
(6) 結果とその分析…13 期生(現 3 学年)について
調査は、全校生徒に対して行ったが、紙面の都合上、入学時から 3 学年までの 3 年間の経過をす
べてみることができる、現 3 学年(13 期生)の年次経過に絞り、結果をみておく。1, 2 学年の調査
結果については、来年度の報告書の中に反映させていく予定である。この報告の中の、1 学年前期
と 1 学年後期、2 学年のデータは、一昨年度および昨年度に実施したものである。
① 13 期生…創造力・問題解決能力について
【質問1】「自分の力で問題点を発見できる」(敏感性)
学年
5
4
3
2
1
合計
平均
1 年前
11
69
94
32
7
213
3.2
1年前 5.2%
1 年後
8
55
106
39
5
213
3.1
1年後 3.8%
2年
10
48
89
31
12
190
3.1
2年 5.3%
3年
7
56
87
23
9
182
3.2
3年 3.8%
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
32.4%
44.1%
25.8%
49.8%
25.3%
46.8%
30.8%
-48-
3
2
80%
90%
1全くあてはまらない
100%
15.0%
3.3%
18.3%
2.3%
16.3%
47.8%
5非常にあてはまる 4
— 48 —
70%
12.6%
6.3%
4.9%
【質問2】「たくさんのことを速く考えられる」(流暢性)
学年
5
4
3
2
1
合計
平均
1 年前
17
46
91
50
10
214
3.0
1年前 1.4%
16.0%
43.7%
30.5%
8.5 %
1 年後
18
46
84
53
12
213
3.0
1年後 1.9 %
15.0%
43.7%
30.0%
9.4 %
2年
18
33
85
40
16
192
3.0
2年 3.6%
3年
15
36
82
39
13
185
3.0
3年 2.7%
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
90%
5非常にあてはまる 4
3
2
100%
13.5%
7.6%
27.0%
42.7 %
20.0%
80%
27.1%
44.8%
10.9 %
70%
1全くあてはまらない
【質問3】「他人と比べて独創的なことを考えられる」(独創性)
学年
5
4
3
2
1
合計
平均
1 年前
25
44
85
43
16
213
3.1
1年前
7.9%
21.5%
1 年後
25
36
89
47
16
213
3.0
1年後
8.5%
21.6%
2年
21
27
102
36
7
193
3.1
2年
9.4%
17.2%
3年
27
39
86
35
16
203
3.1
3年
8.1%
19.5%
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
42.5%
8.3%
20.8%
44.3%
4
5.6%
24.9%
44.3%
7.0%
21.1%
3
2
100%
4.7%
23.4%
39.4%
5非常にあてはまる
90%
1全くあてはまらない
【質問4】「物事を多くの観点から考えられる」(柔軟性)
学年
5
4
3
2
1
合計
平均
1 年前
12
55
91
46
10
214
3.1
1 年後
9
52
99
43
10
213
3.0
2年
9
46
83
40
14
192
3.0
3年
6
46
87
37
9
185
3.0
0%
10%
20%
1年前 5.6 %
30%
40%
50%
24.4 %
2年 4.7%
24.0%
3年 3.2 %
70%
80%
90%
21.5%
4.7 %
46.5 %
20.2 %
4.7 %
3
4.9 %
20.0%
47.0 %
5非常にあてはまる 4
7.3 %
20.8 %
43.2%
24.9%
100%
42.5 %
25.7 %
1年後 4.2 %
60%
2
1全くあてはまらない
【質問5】「物事を具体的・計画的に考えられる」(綿密性)
0%
10%
20%
30%
40%
50%
学年
5
4
3
2
1
合計
平均
1 年前
9
46
91
57
11
214
2.9
1年前 4.2 %
1 年後
5
39
100
57
12
213
2.8
1年後 2.3%
18.3%
46.9%
2年
7
31
95
39
19
191
2.8
2年 3.7 %
16.2%
49.7%
3年
8
36
81
48
12
185
2.9
3年 4.3%
60%
70%
80%
42.5%
21.5%
5非常にあてはまる 4
5.1 %
26.8%
5.6 %
9.9%
6.5 %
25.9%
3
2
100%
26.6 %
20.4%
43.8 %
19.5%
90%
1全くあてはまらない
【質問6】「物事を異なる観点から考えられる」(再定義)
学年
5
4
3
2
1
合計
平均
1 年前
12
61
92
38
11
214
3.1
1年前 5.6%
1 年後
9
53
100
39
11
212
3.0
1年後 4.2%
2年
14
43
86
37
12
192
3.1
2年
3年
7
48
82
38
9
184
3.0
3年 3.8%
0%
10%
7.3%
20%
30%
40%
-49-
60%
70%
43.0%
28.5%
47.2%
25.0%
22.4%
26.1%
5非常にあてはまる
— 49 —
50%
4
80%
90%
100%
17.8%
5.1%
18.4%
5.2%
44.8%
19.3%
6.3%
44.6%
20.7%
4.9%
3
2
1全くあてはまらない
② 13 期生…コミュニケーション能力について
【質問7】「観察や実験をレポートにまとめることができる」
学年
5
4
3
2
1
合計
平均
1 年前
17
63
84
42
8
214
3.2
1年前
1 年後
13
51
100
40
8
212
3.1
1年後
6.1%
24.1%
2年
12
47
98
26
9
192
3.1
2年
6.3%
24.5%
3年
17
70
71
20
6
184
3.4
3年
0%
10%
20%
7.9%
30%
40%
50%
60%
29.4%
70%
80%
39.3%
90%
19.6%
3.7%
18.9%
3.8%
47.2%
51.0%
9.2%
13.5%
38.0%
38.6%
5非常にあてはまる
4
3
2
100%
4.7%
10.9%
3.3%
1全くあてはまらない
【質問8】「観察や実験を班の仲間と話しあうことができる」
学年
5
4
3
2
1
合計
平均
1 年前
46
76
66
23
3
214
3.6
1年前
1 年後
20
78
89
25
1
213
3.4
1年後
2年
22
63
80
17
10
192
3.4
2年
3年
31
64
61
21
8
185
3.5
3年
0%
10%
20%
30%
40%
21.5%
50%
60%
70%
35.5%
9.4%
36.6%
11.5%
32.8%
16.8%
80%
90%
30.8%
10.7% 1.4%
41.8%
11.7% 0.5%
41.7%
34.6%
33.0%
5非常にあてはまる
4
3
2
100%
8.9%
5.2%
11.4%
4.3%
1全くあてはまらない
【質問9】「観察や実験を発表する(プレゼン)資料を作れる」
学年
5
4
3
2
1
合計
平均
1 年前
15
45
83
60
11
214
3.0
1年前
1 年後
21
53
93
37
7
211
3.2
1年後
2年
16
49
90
26
11
192
3.2
2年
3年
30
56
64
26
9
185
3.4
3年
0%
10%
20%
7.0%
30%
40%
50%
21.0%
10.0%
60%
80%
38.8%
25.5%
16.2%
90%
28.0%
25.1%
8.3%
70%
5.1%
44.1%
17.5%
46.9%
13.5%
5.7%
14.1%
4.9%
30.3%
34.6%
5非常にあてはまる
4
3
100%
2
3.3%
1全くあてはまらない
【質問10】「観察や実験したことをみんなの前で発表できる」(発表力)
学年
5
4
3
2
1
合計
平均
1 年前
18
44
86
51
15
214
3.0
1 年後
21
51
80
50
9
211
3.1
2年
21
44
86
28
12
191
3.2
3年
21
63
66
25
9
184
3.3
0%
10%
20%
30%
1年前
8.4%
1年後
10.0%
24.2 %
2年
11.0%
23.0 %
3年
11.4%
40%
50%
20.6%
60%
70%
80%
40.2 %
90%
23.8%
37.9%
7.0%
23.7 %
45.0 %
34.2%
3
2
4.3%
14.7%
35.9%
5非常にあてはまる 4
100%
6.3 %
13.6%
4.9 %
90%
100%
1全くあてはまらない
【質問11】「観察や実験を簡単な英文で表現できる」(英語による発信力)
学年
5
4
3
2
1
合計
平均
1 年前
3
13
46
84
68
214
2.1
1年前 1.4% 6.1%
1 年後
4
22
68
73
46
213
2.4
1年後 1.9% 10.3%
2年
12
19
68
64
29
192
2.6
2年
6.3%
3年
11
32
56
58
27
184
2.7
3年
6.0%
0%
10%
20%
30%
40%
60%
17.4%
— 50 —
21.6%
34.3%
33.3%
35.4%
31.5%
30.4%
5非常にあてはまる
4
3
80%
31.8%
31.9%
9.9%
70%
39.3%
21.5%
-50-
50%
2
1全くあてはまらない
15.1%
14.7%
③13 期生…科学者・技術者に向けた意欲・態度について
【質問12】「班で協力して観察や実験ができる」(協調性)
学年
5
4
3
2
1
合計
平均
1 年前
61
84
57
11
1
214
3.9
1年前
1 年後
29
84
77
22
1
213
3.6
1年後
2年
20
69
75
22
6
192
3.4
2年
3年
30
68
63
17
7
185
3.5
3年
0%
10%
20%
30%
40%
50%
28.5%
60%
70%
80%
39.3%
13.6 %
5.1%0.5%
36.2 %
35.9%
10.3% 0.5%
39.1%
16.2 %
36.8%
34.1 %
5非常にあてはまる 4
100%
26.6%
39.4 %
10.4%
90%
3
2
11.5%
3.1%
9.2 %
3.8 %
1全くあてはまらない
【質問13】「科学者・技術者の生き方について考えをまとめられる」
学年
5
4
3
2
1
合計
平均
1 年前
6
37
104
54
13
214
2.9
1 年後
6
37
92
56
22
213
2.8
2年
5
30
95
46
16
192
2.8
3年
8
42
77
46
12
185
2.9
0%
10%
20%
30%
40%
50%
28.5%
1年前
90%
10.3% 0.5%
39.1%
36.8%
34.1 %
5非常にあてはまる 4
100%
5.1%0.5%
36.2 %
35.9%
16.2 %
3年
80%
26.6%
39.4 %
10.4%
2年
70%
39.3%
13.6 %
1年後
60%
3
2
11.5%
3.1%
9.2 %
3.8 %
1全くあてはまらない
【質問14】「自分の将来や進路が明確である」(進路の明確性)
学年
5
4
3
2
1
合計
平均
1 年前
39
53
49
37
35
213
3.1
1 年後
31
43
58
47
33
212
3.0
2年
31
41
45
43
32
192
3.0
3年
40
48
56
20
21
185
3.4
0%
10%
1年前
20%
30%
14.6%
2年
16.1%
3年
50%
60%
15.6%
16.7%
3
2
11.4%
10.8%
30.3%
4
100%
16.4%
22.4%
25.9%
5非常にあてはまる
90%
22.2%
23.4%
21.4%
80%
17.4%
27.4%
20.3%
21.6%
70%
23.0%
24.9%
18.3%
1年後
40%
1全くあてはまらない
【質問15】「科学技術を通して社会に貢献したいと思う」(社会への貢献)
学年
5
4
3
2
1
合計
平均
1 年前
67
57
63
19
8
214
3.7
1年前
1 年後
36
52
75
32
16
211
3.3
1年後
2年
19
48
61
42
21
191
3.0
2年
9.9 %
3年
21
47
71
23
22
184
3.1
3年
11.4%
0%
10%
20%
30%
40%
50%
90%
15.2 %
12.5 %
38.6%
25.5 %
3
2
100%
8.9 % 3.7 %
22.0%
31.9%
25.1 %
80%
35.5%
24.6%
17.1 %
70%
29.4%
26.6 %
31.3%
5非常にあてはまる 4
分析
60%
7.6 %
11.0%
12.0%
1全くあてはまらない
①創造性・問題解決能力については、ほぼ横ばいの状態である。②コミュニケーション能力に
ついては、質問8を除いて着実な向上が見られる。特に「英語による発信力」の向上が著しいことも
11 期生以来の特徴である。また、質問7、8以外では、2 学年での落ち込みが目立たなかった。③科
学者・技術者に向けた意欲・態度については、
「進路の明確性」で向上が見られるものの、「協調性」
や「社会への貢献」では、むしろ低下していることは、この間変わらない傾向であり、引き続き改善
が求められる課題である。
— 51 —
-51-
2. PISA2006調査のアンケート項目にもとづく「高校生科学教育アンケート」
(1) 目的:本校生徒の科学に対する態度や関心が世界あるいは日本の高校生と比較して、どのような特
徴があるのかを明らかにする。
実施時期:2015 年 12 月
(2) 対象:全校生徒(1 年、2 年、3 年)
(3) 回答方法:質問項目は、
Ⅰ 科学に関する全般的価値
Ⅱ
科学に関する個人的価値
Ⅲ 理科学習における自己認識
Ⅳ
科学の楽しさ
Ⅴ 理科学習に関する道具的有用感
Ⅵ
将来志向的動機づけ
Ⅶ 科学への全般的興味・関心
Ⅷ
科学における自己効力感
Ⅸ 科学に関連する活動
XI 環境問題に関する認識
の10の尺度について、各尺度は4~8項目の選択質問項目から構成され、各選択質問項目は 4 段
階の間隔尺度による自己評価で、マークシートを利用。
(4) 集計:回答数は、1 学年 212 人中 210 人、99.1%。2 学年 212 人中 207 人、97.6%。3 学年 194 人
中 189 人、97.4%。全校では、618 人中 606 人で、回答率は 98.1%であった。
(5) 結果 各質問について、
「そうだと思う」
「全くそうだと思う」と肯定的な回答をした生徒の割合(%)
を上記の尺度ごとに平均した結果、①日本・OECD 平均との比較では、多くの項目(Ⅲ、Ⅷ、XI を除
く)で高い値である。昨年度との比較では、Ⅰを除いて全般的に低下したが、一昨年度と比べると
若干高い値である。②現在の学年間の比較では、2学年での落ち込みがあまり見られず、Ⅱ、Ⅲ、
Ⅵ、Ⅷ、Ⅸなど 2 学年が一番高い結果となったのは、これまでにない結果である。
① 科学技術高校生と日本、OECD 平均との比較
100
80
H27全学年
60
H26全学年
40
H25全学年
OECD平均
20
日本
0
I
II
III
IV
V
VI
VII
VIII
IX
XI
② 科学技術高校生の学年間比較
100
80
1年
60
2年
40
3年
20
0
I
II
III
IV
V
VI
— 52 —
-52-
VII
VIII
IX
XI
3. 卒業生アンケートの結果から
(1) 解答した卒業生の進学状況は右の
通りであり、大学院進学率が 20%
となっている。また、進学した専
攻の分野は 84%が理系であり、理
系の中では工学系が 75%、理学系
が 15%を占めている。
(2) 将来就きたい職業(または現在の
職業)は企業の研究者・技術者が
41%、理系分野へは 61%である。
(3) 科学技術高校での経験が現在の専
攻分野(現在就職している人は職
業)の選択に影響があったと考え
る卒業生は 80%以上である。
(4) 科学技術高校での SSH 活動等の経
験は就きたい職業を考える上で、
影響を与えていると考える卒業生
も 62%になる。
(5) 科学技術高校で SSH 関連の学習、
体験したことによって科学技術に
対する興味・関心・意欲は向上し
たと解答した卒業生は 83%である。
7 期生、8 期生は SSH 指定 1 期目の卒業生であり、本校を卒業してから 6 年、5 年が経過している。
そのため、アンケート回収率は残念ながら 2 割程度と低い状況であったが、上記のような結果が出た。
本校での SSH 活動の経験は専攻や職業の選択に大きな影響を与え、協調性・自主性・発表力・考える
力・問題解決能力等が向上したと解答している。大学院への進学者も東京大学、京都大学、慶応大学
等をはじめとする理系の専攻に進学している。
4. 学校評価アンケートの結果から
グラフは、本校の学校評価アンケー
地域
トの中の設問:
「本校は、SSH に関す
る他校には見られない独自の教育プ
ログラムが充実している。」への回答
生徒
保護者
である。
地域、生徒、保護者、教職員ともに、
教職員
SSHのプログラムが充実している
と感じている割合が約 8~9 割と高い
0%
10%
そう思う
ことがわかる。
— 53 —
-53-
20%
30%
ややそう思う
40%
50%
60%
あまりそう思わない
70%
80%
そう思わない
90%
無回答
100%
Ⅴ.校内における SSH の組織的推進体制
SSH 活動を行うための教員組織体制の検討
SSH 運営委員
金子雅彦
1. 仮説
多くの SSH 活動を積極的に展開していくためには教員の指導体制を整えていくことが必要であ
る。そのために『生徒ひとりひとりの成長が見え、SSH 活動が活発化する方法および指導体制の研
究開発 <下からの支え>』という5番目の柱を置いて、教員組織体制についても検討を行った。
(1) 教員の組織体制は認識を共有しつつ、開発計画の進行状態によってフリキシブルに設定する
ことで、スムーズな SSH 活動を行える。
(2) 分掌、教科の枠を超えた教員間の連携が SSH 活動を活発化する。
(3) 文書やデータの整理により情報の共有化が図られ、効率的な運営ができる。
2. 研究内容・方法
指定 1 年目から 3 年目までは SSH 研修会や SSH 運営委員会、企画調整委員会で全体の意思疎通
を図ると同時に各担当や SSH 運営委員会事務局が中心となる機動性を重視した運営体制であっ
た。
4 年目の本年は研究開発課題にあげている『創造性、問題解決能力、コミュニケーション能力』
に富み、主体的・協働的に行動できる生徒を育成するための取組を理数系以外の教科でも活発に行
うために、教員研修会の実施、アクティブラーニングプロジェクトの設置を行った。
生徒の思考力を高めるための教員研修会として、SSH 運営指導員の東京農工大学の三沢和彦先生
にご講演をお願い
した。また、アク
東京都
教育委員会
校長
ティブラーニング
プロジェクトは国
学校運営
連絡協議会
副校長
語科、数学科、理
科、英語科の教員
後援会
(PTA)
それぞれの科目で
江東区および
周辺地域の
小中学校
江東区
大島町内会
図
アクティブラーニングプロジェクト
江東区
教育委員会
江東区理科
教育研究会
評 価 ・検討部会
参照)
事務担当
SSH専門部会
研究開発 ⑥理系
科目以外の取組
SSH運営
指導員会
国際交流部会
学校設定科目等の
経営企画室
SSH運営委員会事務局
スーパープロジェクト部会
解決能力…(1)
連携大学
・研究所
・企業等
小中連携部会
1.創造性、問題
SSH運営委員会
高大連携部会
た。(本校報告書
各種委員会
学校設定科目部会
研究開発を行っ
企画調整委員会
研究部
5 名で構成し、情
報を共有しつつ、
職員会議
東京都立科学技術高等学校 SSH研究組織図
3. 検証
SSH の研究開発で育成したい『創造性、問題解決能力、コミュニケーション能力』に富む生徒の
育成は理数系の教科にとどまらず、学校全体として取り組んでいく必要がある。教員研修会の実施
後の教員アンケートから生徒の思考力を高める取組へ教員意識の向上が伺える。一方で、教員評価
アンケートでは SSH 事業肯定割合が H25 年度 80.9%、H26 年度 88.6%、H27 年度 87.7%となり、
昨年度は上昇したが、今年度はほぼ横ばいとなった。意識向上へ向けて研修会の充実が必要である。
来年度以降も教員研修会の実施、アクティブラーニングプロジェクトの活動の拡大化を図り、学
校全体の教育力の向上を行っていく予定である。
-54— 54 —
-53-
Ⅵ. SSH中間評価において指摘を受けた事項のこれまでの改善・対応状況
研究開発実施上の課題及び今後の研究開発の方向・成果の普及
SSH 運営委員 金子 雅彦
生徒による SSH 委員会を立ち上げ、ST
1. はじめに
前回の SSH 指定 5 年間の SSH 事業全体の評
オリンピックや課題研究発表会、生徒交流
価・検証を通して、課題となったことを踏まえ、
会等にて企画・運営に参加した。また、キ
それらの課題に対して改善を図り、更に新たな視
ャリデザインツアーを 2 年生全員が行い、
点で発展させるために、5 つの柱を置き 5 年計画
自主性の涵養を図った。(本報告書
を策定した。
今年度は昨年度に中間評価でいただ
p.32,34,40)
いた指摘の対策および本校で認識された課題に
③「専門科の特色を活かし、制御等の工学から
入って理学の学習をすれば効果的になる。」
ついて取り組んできた。
来年度より SS 科学技術特論の科目を導
2. 研究開発実施上の課題
(1) 中間評価での評価と指摘およびその対応
入し、その内容を入れることを検討してい
る。(本報告書 p.17)
昨年度、文部科学省より本校 SSH 事業に対
④「科学技術と社会との接点を学ばせたい。」
して以下の評価をいただいた。
SS 科学技術と人間にて 1 年生全員が学習
「これまでの努力を継続することによって,研
した。(本報告書 p.18,19)
究開発のねらいの達成が可能と判断される」
○工業系高校の特色を生かして,
積極的に様々な
⑤「語学力の育成をさらに進めてほしい。」
英語科を含め、学校全体で英語力強化の
課題に取り組み,成果が得られているほか,
取組を行った。(本報告書 p.41~45)
全校一丸となって SSH 事業を推進しており
⑥「女性科学技術者を増やすために女子生徒
評価できる。
○ 教員の SSH 事業への理解も大きな支えにな
が増化する工夫をしてほしい。」
っている。更に,内部の教員間の連携だけで
女子を対象とした研究発表会に参加する
なく,外部との連携を取り入れた,多角的な
とともに、女子を中心にシンガポールの高
教員の指導力向上の取組が行われている。
校と連携して共同研究を行った。(本報告
書 p.43~45)
○ 第二期の課題分析が十分になされており,そ
の課題をひとつずつクリアしていくことによ
⑦「数学の指導法の改善によって女子生徒へ
の対応を含め、効果が上がる。」
る,更なる発展が期待される。
また、ヒアリングにおいて、指摘されたこと
について次のように取り組んできた。
数学科で教材研究を行ってきた。
⑧「コンテスト出品数を増やしてほしい。」
①「地学基礎を全員履修できないか。」
課題研究、科学研究部、スーパープロジ
専門課程の履修単位数が多く全員履修は
ェクト等で研究のレベルを上げ、発表会コ
難しい状況であるため、フィールドワーク
ンテストへの参加を促す取組を行ってい
や短期集中講座で地学の内容を展開し、希
る。(本報告書 p.16,20~22,35~39)
望生徒に受講させた。(本報告書 p.25,29)
⑨「継続的な高大連携の実施をしてはどうか。
」
②「生徒の自主性・企画力を育成するために生
2 年生全員が大学の研究室を訪れ、課題研
徒による発表会等の実施ができないか。」
究の指導を受けるなど高大連携を拡大して
― 55 ―
— 55 —
識した評価方法、指導方法をとる必要がある。
課題研究のレベルアップを図っている。
(本報告書 p.20~22)
3.
(2) 運営指導員会での指摘・助言
今後の研究開発の方向性
文科省よりいただいた指摘については来年度
運営指導委員の先生方から課題研究について
の取組をさらに進めていく。運営指導員会での指
「ユニークなテーマが多く、生徒は主体的に取り
摘・助言には SS 科学技術特論や理科等の科目と
組んでいるが、研究の手法、データの出し方に
課題研究をさらに有機的に結びつけて、
改善を図
差があり、実験に対する見通しが不十分」、「課
っていきたい。また、本校で意識している課題に
題研究の前に確かめ実験等で条件を考えさせ、
対して、以下のように対応を考えている。
思考させるステップが必要である」等、レベルア
⑩について、SS 課題研究を新設し、普通科の
ップするためにご指摘、ご助言をいただいた。
教員が課題研究に直接関わる取組を行うととも
(3) 本校の課題
に、アクティブラーニングプロジェクトをさらに
昨年度は①「Ⅲ理科学習における自己認識」
活発化させ、学校全体の授業力を上げる。
等の低評価、② 学年進行により改善されていく
⑪について、大阪教育大学の仲矢先生から「1
項目の減少、③『国際性』の自己評価の低さ、
年生後半から 2 年生の最初にかけて有用感を涵
④独創性の育成、⑤SSH プランカードの活用方
養するような指導が改善に効果がある」というア
法工夫、⑥学力の向上、⑦課題研究、スーパー
ドバイスをいただいた。SSH プランカードの活
プロジェクトの向上、⑧生徒の自主性・企画力
用や面接を充実させて、対応して行きたい。
の育成、⑨各取組の有機的な結びつきを課題に
⑫について、
教員研修会等で教員研修を行うと
あげた。英語力の強化や SSH 委員会の活動、大
ともに、課題研究部会で検討を進めていきたい。
学研究室訪問等である程度の改善が図られてき
4.
た。今年度はさらに次のような課題への対応が
(1) 研究開発した教育内容の公開等
重要であると判断した。
成果の普及
来年度も「SSH 情報」を配布・ホームペー
⑩ 普通教科(理科・数学等)と専門教科が協力
ジ上で公開する。また SSH 関連科目に限らず
して学校設定科目等のカリキュラム開発を行
に授業やテキストを公開して他校における教
って来たが、より効果的に創造性・問題解決
材開発に役立ててもらう。
能力・コミュニケーション能力を育成するた
(2) SSH 体験教室の充実
生徒が行う SS 科学技術実践や科学実験教
めには国語や社会を含めた全教科が連携して
教育活動を展開していく必要がある。
室、サイエンスライブ、企業と連携したプログ
⑪ 自己評価アンケートでは、1 年生が比較的高
ポイントで、2 年生で一端落ち込み、3 年生
ラミン教室の実施等の啓発活動を行っていく。
(3) SSH 指定校等との交流
で改善される傾向がある。今年度の 3 年生は
SSH 指定校や理数研究校等を招待して、交
コミュニケーション能力には着実な向上が見
流会等で連携し、生徒のみならず教員を含めた
られたが創造性・問題可決解決能力はほぼ横
交流を図る。
ばいであり、この傾向は PISA2006 調査アン
(4) 小中学校の教員・生徒との交流
ケートでも同様であった。一方、2 年生では
今年度と同様に江東区理科教育研究会と
落ち込みが見られず、良い水準を維持してい
連携し中学校理科教員の研修会や生徒成果
る。分析し、改善に役立てていく必要がある。
発表会を本校にて開催する。
⑫ 課題研究の指導にあたり、大学との接続を意
― 55 ―
— 56 —
資
料
1.
SSH 運営指導委員会記録
平成 27 年度 SSH 運営指導委員会記録
1. 第 1 回 SSH 運営指導委員会
(1) 日
時
平成 27 年 9 月 1 日(火)13:40~16:50
(2) 内
容
① 学校長あいさつ
② 生徒課題研究校内発表会参観
③ 課題研究指導および高大接続での本校の動き
④ 指導・助言
今年度の運営指導委員は 12 名となった。生徒課題研究校内発表会の参観後、本校の課題研究
指導等に関して説明し、それに関わる指導、助言をいただいた。その一部を記載する。
<課題研究指導について>
・ 課題研究発表会でポスター発表だけではなく、各分野の代表者による口頭発表も実施する。
・ 口頭発表においては 1,2 年生の各クラスの SSH 委員が司会進行を行い、
生徒も運営に携わる。
・ 科学技術科で課題研究の要旨・報告書の形式を統一する。
・ 報告書データを PDF 化して分野、年度、キーワードから校内サーバーで検索可能にする。
・ 研究ついてのガイドブックを作成し研究手法のマニュアル化を行いたい。
・ 評価基準の調整・策定を行っていきたい。
<大学との連携について>
・ 研究室訪問の拡大をめざし、各分野間で実施時期について検討調整を行っている。
・ 研究室との連携を強化するため、可能な範囲で発表会での評価・アドバイスをいただく。
<指導・講評・助言>
・ 研究テーマの継続性があってよい。
・ 未完成が多く、データの出し方に疑問がある研究がある。
・ 失敗したという発表が多かった。なぜうまくいかなかったのかを考察させる必要がある。
・ 口頭質問の時に質問が少なかった。
・ 全員参加は本校の特徴であり、この発表会は望ましい形である。
・ 生徒は主体的に取り組んでいるが、研究の手法に差がある。専門の知識・実験手法の取得が研
究のベースになる。
・ 確かめ実験の中で条件を考えさせ、思考させ、最後に課題研究で自由なテーマに発展させると
良い。
・ 研究ガイドブックに実験ノートの取り方と研究を進める上での倫理について書いてほしい。
・ 海外の高校との連携を進めていった方がよい。その際、英語の基礎教育が心配である。
・ 3期目に向けては、今までの実績を高め、強調し、ここにあげなければならないというユニー
クさを入れ込まなければ指定は難しくなる。
・ ユニークなテーマが多かったが、予想を立てたが、そこで止まってしまっている。これは実験
に対する見通しが見えていないからである。実験して過程を修正することが見えていない。
・ 課題研究では実験の本質、探求の追試が大事である。
・ 生徒の自分が行っている研究に対する姿勢に差がある。これを明らかにしたいと思い、やるこ
とを明確にしていくことが大切である。
・ 大学のオープンキャンパスで興味を持ったテーマを研究している班があった。大学と連絡をと
りあい、費用の問題も含め、大学と協力したらどうか。
2. 第 2 回 SSH 運営指導委員会(実施予定)
(1) 日
時
平成 28 年度 3 月 22 日(火)
— 57 —
-57-
資
2.
料
教育課程表(平成 27 年度入学生)
教科
国
語
地理
歴史
公
民
科目名
国語総合
現代文B
世界史A
日本史A
現代社会
数学Ⅰ
数学Ⅱ
数
数学Ⅲ
学
数学A
数学B
物理基礎
物理
化学基礎
理
化学
科
生物基礎
生物
SS数理物理
保健 体育
体育 保健
芸 音楽Ⅰ
術 美術Ⅰ
コミュニケーション英語Ⅰ
外 コミュニケーション英語Ⅱ
国 コミュニケーション英語Ⅲ
語 英語表現Ⅰ
英語表現Ⅱ
家 家庭基礎
庭 フードデザイン
奉仕 SS科学技術実践
工業技術基礎
情報技術基礎
課題研究
機械製図
機械工作
工 機械設計
業 コンピュータシステム技術
ソフトウエア技術
電子技術
地球環境化学
化学工学
工業化学
SS科学技術と人間
SS科学技術特論(1)
SS科学技術特論(2)
SS科学技術特論(3)
SS科学技術実習(1)
科
SS科学技術実習(2)
学
SS科学技術実習(3)
技
SS科学技術理論Ⅰ(1)
術
SS科学技術理論Ⅰ(2)
SS科学技術理論Ⅰ(3)
SS科学技術理論Ⅱ(1)
SS科学技術理論Ⅱ(2)
SS科学技術理論Ⅱ(3)
ホームルーム
合計
備考
標準
単位数
4
4
2
2
2
3
4
5
2
2
2
4
2
4
2
4
2
7~8
2
2
2
3
4
4
2
4
2
第1学年
必履修
学校必履修
3
第2学年
必履修
学校必履修
1
2
2
必履修
2
2
第3学年
学校必履修
●3,◯◎2
2
◎2
◎2
◎2
自由選択
2
3
4
●◯5
●◯5
2
2
2
2
※2
※4,◎4
※2
※4,◎4
※2
※4,◎4
2
2
2
2
1
♪2
♪2
3
3
1
2
3
◎◯2
4
2
2
2
●2
2
2
1
3
2
4
1
2
2
2
2
2
◎2
2
2
2
◎2
◎2
2
2
2
2
2
2
4
4
4
2
2
2
2
2
2
2
■2
■2
■2
★2
★2
★2
☆2
☆2
☆2
★2
★2
★2
☆2
☆2
☆2
1
1
1
34
33
27~33
1学年の♪を付した科目から1科目を選択して履修する。2学年の※、■、★、☆を付した科目からそれ
ぞれ1科目を選択して履修する。3学年の●、◯、◎を付した科目からそれぞれ1科目を選択して履修す
るとともに、※及び☆、★を付した科目から2学年で選択した科目と同一の科目を1教科履修する。3学年
の自由選択科目はその中から最大6単位まで選択して履修する。ただし、物理、化学、生物のうち1科目
を選択した者は自由選択科目を4単位まで選択できる。
— 58 —
-58-
資
料
2.
教育課程表(平成 26 年度入学生)
教科
国
語
科目名
国語総合
現代文B
地理 世界史A
歴史 日本史A
公
民
現代社会
数学Ⅰ
数
学
数学Ⅱ
数学Ⅲ
数学A
数学B
物理基礎
物理
理
科
化学基礎
化学
生物基礎
生物
SS数理物理
保健 体育
体育 保健
芸
術
音楽Ⅰ
美術Ⅰ
コミュニケーション英語Ⅰ
外
国
語
コミュニケーション英語Ⅱ
コミュニケーション英語Ⅲ
英語表現Ⅰ
英語表現Ⅱ
家庭
家庭基礎
第1学年
標準
単位数
必履修
4
4
2
2
2
2
3
4
5
2
2
2
4
2
4
2
4
2
7~8
2
2
2
3
4
4
2
4
2
3
第2学年
学校必履修
必履修
第3学年
学校必履修
必履修
学校必履修
自由選択
2
●3,○◎2
3
◎2
◎2
◎2
2
●○5
●○5
2
2
1
2
2
4
2
3
2
※2
※4,◎4
※2
※4,◎4
※2
※4,◎4
2
2
2
3
1
♪2
♪2
4
2
1
2
4
1
◎○2
4
1
●3
2
2
フードデザイン
奉仕 SS科学技術実践
工業技術基礎
情報技術基礎
課題研究
1
3
2
3
1
2
2
1
2
2
機械製図
工
業
◎2
機械工作
2
2
コンピュータシステム技術
ソフトウエア技術
◎2
◎2
電子技術
地球環境化学
2
2
化学工学
工業化学
SS科学技術と人間
SS数理情報
SS科学技術実習(1)
科
学
技
術
2
SS科学技術実習(2)
SS科学技術実習(3)
SS科学技術理論(1)
SS科学技術理論(2)
SS科学技術理論(3)
2
2
5
5
5
4
4
4
2
2
★3
★3
★3
☆4
☆4
☆4
★2
★2
★2
2
機械設計
ホームルーム
合 計
備 考
1
36
1
33
1
27~33
1学年の♪を付した科目から1科目を選択して履修する。2学年の※、★、☆を付した科目からそれ
ぞれ1科目を選択して履修する。3学年の●、○、◎を付した科目からそれぞれ1科目を選択して履
修するとともに、※及び★を付した科目から2学年で選択した科目と同一の科目を1科目履修する。3
学年の自由選択科目はその中から最大6単位まで選択して履修する。ただし、物理、化学、生物のう
ち1科目を選択した者は自由選択科目を4単位まで選択できる。
— 59 —
-59-
資
料
2.
教育課程表(平成 25 年度入学生)
教科
国
語
科目名
国語総合
現代文B
地理 世界史A
歴史 日本史A
公
民
現代社会
数学Ⅰ
数
学
数学Ⅱ
数学Ⅲ
数学A
数学B
物理基礎
物理
理
科
化学基礎
化学
生物基礎
生物
SS数理物理
保健 体育
体育 保健
芸
術
音楽Ⅰ
美術Ⅰ
コミュニケーション英語Ⅰ
外
国
語
コミュニケーション英語Ⅱ
コミュニケーション英語Ⅲ
英語表現Ⅰ
英語表現Ⅱ
家庭
家庭基礎
第1学年
標準
単位数
必履修
4
4
2
2
2
2
3
4
5
2
2
2
4
2
4
2
4
2
7~8
2
2
2
3
4
4
2
4
2
第2学年
学校必履修
必履修
第3学年
学校必履修
必履修
学校必履修
2
2,4,6
2
2
2
2
2
2
2
2
3
2
4
6
4
2
3
2
※3
※3
4
※3
※3
4
※3
※3
4
2
2
2
3
1
♪2
♪2
4
2
1
2
4
2
4
1
1
4
2
2
フードデザイン
奉仕 SS科学技術実践
工業技術基礎
情報技術基礎
課題研究
1
3
2
3
1
2
2
1
2
2
2
2
2
2
2
2
2
機械製図
工
業
機械工作
コンピュータシステム技術
ソフトウエア技術
電子技術
地球環境化学
化学工学
工業化学
SS科学技術と人間
SS数理情報
SS科学技術実習(1)
科
学
技
術
SS科学技術実習(2)
SS科学技術実習(3)
SS科学技術理論(1)
SS科学技術理論(2)
SS科学技術理論(3)
自由選択
2
2
5
5
5
4
4
4
2
2
★3
★3
★3
☆4
☆4
☆4
★2
★2
★2
2
機械設計
ホームルーム
合 計
備 考
1
36
1
35
1
18~33
1学年の♪を付した科目から1科目を選択して履修する。2学年の※、★、☆を付した科目からそれ
ぞれ1科目を選択して履修する。3学年の●、○、◎を付した科目からそれぞれ1科目を選択して履
修するとともに、※及び★を付した科目から2学年で選択した科目と同一の科目を1科目履修する。3
学年の自由選択科目はその中から最大6単位まで選択して履修する。ただし、物理、化学、生物のう
ち1科目を選択した者は自由選択科目を4単位まで選択できる。
— 60 —
-60-