グローバル・マクロ・ トピックス

2016/
グローバル・マクロ・
トピックス
6/22
投資情報部
シニアエコノミスト
吉川 健治
中国:6月民新製造業PMIが悪化、景気減速が続こう
 2016/6/21に公表の6月の民新製造業PMIが前月比▲2.6ポイントの43.2と2ヵ月連続で低下し
19ヵ月連続の50割れ、中小・零細企業の製造業景況感の厳しさを示す。7/15に4-6月期GDP
統計の公表が予定されているが、主力の民間投資の大幅鈍化、輸出の低迷、消費マインド
の低下、等を背景に景気は減速基調が続くと考えられる。
6月の民新製造業
PMIが悪化、19ヵ月
連続の50割れ。中
小・零細の製造業の
厳しさを示す
2016/6/21に公表された6月の民生新供給製造業総合指数(民新製造業PMIと略
称)が前月比▲2.6ポイントの43.2と2ヵ月連続で低下し19ヵ月連続の50割れ、中小・
零細企業の製造業景況感が厳しい状況であることを示している。
なお、民新製造業PMIは中国民生銀行と華夏新供給経済学研究院が共同で作
成、2014年12月から公表、調査対象先は中小・零細企業を中心とする4,000超の民
間企業である。財新製造業購買担当者指数(財新製造業PMI)も民間の中小企業
を主要な調査対象先とするが、民新製造業PMIの調査企業数が圧倒的に多い。国
家統計局製造業PMIは大型の国有企業を中心に3,000社を調査対象先とする。
6月の民新製造業PMIの内訳をみると、新規受注が前月比▲5.5ポイントの39.9、
生産が同▲3.9ポイントの42.9、雇用が同▲1.9ポイントの43.5、原材料在庫が同▲
0.3ポイントの40.9、サプライヤー納期が同▲2.8ポイントの48.6とすべてが悪化、そ
ろって50割れとなった。輸出の低迷継続、民間投資の悪化に符合する動きである。
中国の製造業PMIと鉱工業生産
(%)
(月次:2014/1~2016/6)
60
10
民新製造業PMI(左目盛)
財新製造業PMI(左目盛)
55
9
国家統計局製造業PMI(左目盛)
鉱工業生産(右目盛)
50
8
45
7
40
6
35
5
14
15
16
(年)
(注)鉱工業生産は前年同月比、毎年1~2月は累計の前年同期比で2016年5月まで
民新製造業PMIは2014年9月から。国家統計局と財新の製造業PMIは2016年5月まで
出所:中国国家統計局資料、マークイット資料、華夏新供給経済学研究院資料、
CEICデータよりみずほ証券作成
この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する
最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全
性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随
時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。
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2016/6/22
グローバル・マクロ・トピックス
主力の民間投資が5
月に前年同月比でほ
ぼゼロ、6月にはマイ
ナスに転じるか。6月
の投資全体も鈍化か
固定資産投資は1~5月累計で、民間投資の大幅な鈍化により押し下げられ、前
年同期比+9.6%と+10%を割れ、政府目標を下回った。前年同月比の数値を試算する
と、主力の民間投資は5月に、+0.9%とゼロに接近、6月はマイナスに転じる可能性が
高まっている。一方、国有企業投資が1~5月の期間、+20%台の高水準を維持し、
補完する動きがみられるが、5月の投資全体では+7.5%と大幅に鈍化した。
中国政府は公共事業の拡大を推進し、不動産開発投資の過熱ぎみの動きには
慎重な対応を図っているようにみうけられる。ただし、このような動きは不良債権や
地方債務のリスクを高める可能性がある。民間投資の低調な理由として、経済構造
の調整や「国進民退(国有企業の優遇・増強、民間企業の冷遇・退出)」、等が挙げ
られ、今後、持続可能かつ安定的な固定資産投資の増加が期待し難い。
中国の固定資産投資とその主な内訳
(月次:2011/1~2016/5)
(%)
40
固定資産投資
うち、民間投資
うち、国有企業投資
30
うち、不動産開発投資
20
10
0
▲ 10
11
12
13
14
15
16
(年)
(注)前年同月比、毎年1~2月は累計の前年同期比、月次数値はみずほ証券試算
出所:中国国家統計局資料、CEICデータよりみずほ証券作成
輸出の厳しさに大き
な変化はない。消費
マインドも低下の動
き。4-6月期も景気減
速の可能性が高まる
貿易動向については、5月の季節調整後では、輸出が同▲6.2%と再び減少に転
じ、輸入が同▲4.7%と減少幅は再び縮小も、19ヵ月連続の減少。1~5月累計では輸
出が前年同期比▲7.3%と2015年(前年比▲2.8%)より悪化、輸入が同▲10.3%と2015
年(同▲14.1%)より減少幅が縮小も、厳しさに大きな変化はない。
中国の貿易動向
(%)
(月次:2011/1~2016/5)
60
輸出
輸入
輸出(季節調整後)
輸入(季節調整後)
50
40
30
20
10
0
▲ 10
▲ 20
▲ 30
11
12
13
14
15
16
(年)
(注)前年同月比
出所:中国海関総署資料、CEICデータよりみずほ証券作成
7/15に4-6月期GDP統計の公表が予定されているが、投資の鈍化、輸出の低
迷、生産の伸び悩み、消費マインドの低下、等景気減速の可能性が高まっている。
この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する
最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全
性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随
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中国の消費財小売総額と消費マインド
(ポイント)
(%)
(月次:2008/1~2016/5)
120
25
110
20
100
15
消費者信頼感指数(左目盛)
うち、消費者満足度指数(左目盛)
うち、消費者期待指数(左目盛)
物価調整後の消費財小売総額(右目盛)
消費財小売総額(右目盛)
消費財小売総額の政府目標(右目盛)
90
80
08
09
10
11
12
10
5
13
14
15
16
(年)
(注)消費財小売総額は前年同月比、毎年1~2月は累計の前年同期比
物価調整後の消費財小売総額は2012年1月から
出所:中国国家統計局資料、CEICデータよりみずほ証券作成
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