全日本学生フォーミュラ大会参戦報告

全日本学生フォーミュラ大会参戦報告
國 拓也 (北海道大学工学部 機械知能工学科 4 年)
3.車両設計
1.はじめに
北海道大学フォーミュラチームは 2007 年に行われた第 5 回大
会より全日本学生フォーミュラ大会に参戦しており,第 10 回大会
が開催された本年は,6 回目の参戦となった.
チーム設立時などの詳細に関しては過去のモータリンクで説明
させて頂いたので,過去の全成績に関して下表にて紹介させて
頂きたいと思う.
北海道大学全日本学生フォーミュラ大会参戦実績
年
大会
成績
2007 年
第 5 回大会
総合 58 位
2008 年
第 6 回大会
総合 20 位
2009 年
第 7 回大会
総合 18 位
2010 年
第 8 回大会
総合 11 位
2011 年
第 9 回大会
総合 39 位
2012 年
第 10 回大会
総合 14 位
2012 年度車両 FH06
第 9 回大会では,エンジントラブルにより全種目の完走が果た
せず,前年度順位を大幅に下げる結果となってしまい,大変悔い
の残る結果となってしまった.そこで,本年度はエンジン周辺に重
点を置き,開発を行った.前年度大会まで使用していた既製品を
利用していた電装ハーネスから完全自作の電装ハーネスへの変
2.第 10 回大会を終えて
更や,使用するECUの変更など,大幅な変更を行った.
2012 年に開催された第 10 回大会では昨年度車両トラブルで果
たせなかった全種目完走を果たし,昨年度の総合順位 36 位から
また,メンバーの人数が少なく開発に手が回らなかった前年度
大幅に順位を上げ,総合 14 位という結果となった.今大会が初参
の反省から,積極的な勧誘活動によりメンバー数を増やすなどの
加のチームメンバーが多い中,大会中のチーム全体としての動き
活動も行った.
昨年度,エンジン周辺に問題があったことを考慮し,操作性の
など車両製作などの面以外でも次年度以降につながる非常に実
向上を目指し,車両コンセプトを「一体感」とした.
りの多い大会となった.
計画性の低さから車両完成時期が大幅に遅れてしまった昨年
度の反省を生かし,今年度は開発に注力するパーツを限定し,製
作するすべてのパーツの作業スケジュールを作成し,実行するこ
とでチーム史上最も早い 6 月シェイクダウンを実現した。早期シェ
イクダウンが実現し,エンジン周辺の見直しを行ったことによって,
テスト走行を繰り返し行うことができ,高い操作性を実現し,開発コ
ンセプトである「一体感」を実現できた.
2012 年度 集合写真
1
Motor Ring No.35 2012 自動車技術会
http://www.jsae.or.jp/motorring/
4.車両製作
することができた.
昨年度の大会が終了後,行っていた設計が春休みにひと段落
アクセラレーション,スキッドパッドと順調に動的競技をこなして
し設計と製作を並行して行うなど,製作時間を短縮する工夫を行
いったが,シフトチェンジに不具合が起こってしまい,スムーズな
いながら製作を開始した.学校での講義の合間を利用して製作を
チェンジが行えず,目標順位に到達することができなかった.また,
行い,6 月にシェイクダウンを達成することができた.
オートクロスでは走行中にブレーキにトラブルが生じてしまった.
6 月にシェイクダウンを行った後,車両のセッティング出し,各パ
大会動的競技のメインであるエンデュランスの前に,大会期間中
ーツのマイナーチェンジ,破損部分の設計変更,修理などを行っ
に生じてしまった車両トラブルを解決するために,ピットにいること
ていった。テスト走行を繰り返していくうちに,耐久力の低いパー
ができる時間いっぱいまで整備をチーム全員で行った.
ツなどが破損していき,車両の中で壊れやすいパーツの設計変
大会のメインイベントの一つであるエンデュランスでは,車両の
更や破損への対策などに大会直前まで追われていた.
整備状況が万全とは言えないまでも全種目完走を目指しチーム
一丸となって協議に臨んだ.
結果は,無事完走を果たすことができたが,競技中のドライバ
ー交代に手間取るなどのタイムロスが重なり,ペナルティによるタ
イムロスなどがあり,順位が思うような結果とはならなかった.
大会の総合成績としては,目標としていた総合 10 位以内を果
たすことができず,総合 14 位という結果となってしまった.
大会期間中の様子
6.来年に向けて
今年度我々は,操作性の向上を目標とし車両設計を行った.
今後はそれに加えて走行性能自体の向上などを目標に開発を行
っていく必要があるだろう.また,今年度大会初参戦だったドライ
バーも,大会で得ることのできた経験を生かし,より技能の向上を
車両製作の様子
図るべく練習を重ねていけばより良い成績へとつながっていくの
ではないかと思う.
5.大会参戦
7.おわりに
大会で走行するためには,大会本部が行っている車検をパス
北海道大学フォーミュラチームは,多くの方々にお世話になり,
しなければならないが,昨年度までの準位であれば上位チームを
第 10 回大会に出場することができた.
対象に行われる事前車検を受けることができた.しかし,我々の
技術面,資金面で多大なご支援を頂いたスポンサーの方々,学
チームは昨年順位を大きく下げてしまったため,事前車検が受け
校の設備の利用など様々な面で支えて頂いた学校関係者の
られず,大会種目への参加が大きく遅れてしまう可能性があっ.
方々,円滑な大会運営を行って頂いた大会関係者の皆様に感謝
自分たちで何度も車検項目に沿って検査を行い,車検に備えた.
したいと思う.
十分に車検に備えた結果,2 回目の車検ですべての車検をパス
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Motor Ring No.35 2012 自動車技術会
http://www.jsae.or.jp/motorring/