2016 年 6 月 21 日 厚生労働大臣 塩崎 恭久 様 日本労働組合総連合会 会 長 神津 里季生 要 請 書 東日本大震災の発生から 5 年が経過しましたが、いまだに約 17 万人が避難生活を 余儀なくされています。被災地における生活基盤の再建や、安定雇用の確保は十分と は言えず、引き続き国をあげての被災地支援が必要とされています。あわせて、4 月 中旬に発生した「熊本地震」により、九州各地で甚大な被害が生じており、迅速かつ 適切な対応が求められています。 一方、わが国は、少子高齢化の急速な進展や雇用者間の格差や貧困の拡大など、様々 な課題を抱えています。また、景気は回復局面にあると言われていますが、国内総生 産の 6 割を占める個人消費を喚起するものとはなっておらず、多くの働く者・生活者 が景気回復を実感するまでには至っていません。加えて、持続可能で安心できる社会 保障制度への改革は不十分であり、多くの国民が将来に大きな不安を抱えています。 今、わが国に求められているものは、安定した雇用や安心できる社会的セーフティ ネット機能を基盤とした、堅い内需に支えられた経済と安定した社会の実現です。東 日本大震災からの復興・再生を着実に成し遂げ、日本経済を持続的に発展させ、地域 経済の活性化をはかっていくためには、雇用不安と将来不安を払拭し、格差是正、暮 らしの底上げ・底支えを進めていくことが不可欠です。政府は、働く者・生活者の視 点に立った政策を実行し、すべての国民が将来に希望と安心が持てる道筋を示す必要 があります。 連合はこのような認識に立ち、このたび「2017 年度 連合の重点政策」をとりまと めました。働く者の立場からの意見・提言としてお受け止めいただき、当面の経済財 政運営および 2017 年度予算編成において反映いただきますよう、以下の通り要請申 し上げます。 -1- 記 1.労働者の健康・安全の確保と生活時間の保障という観点から、労働時間規制を緩 和するのではなく、「休息時間(勤務間インターバル)規制」や「労働時間の量 的上限規制」などの実効ある長時間労働抑制策を導入すること。 2.正規労働者と非正規労働者の公平な処遇を実現するためのルール等の検討を進め、 有期契約、パートタイム、労働者派遣、請負など雇用・就業形態にかかわらない 均等待遇原則を法制化すること。 3.医療・介護・保育で働く職員の処遇改善と勤務環境改善を強力に進め人材の離職 防止をはかるほか、復職や新たな担い手をめざす人への支援を充実するなど、人 材確保対策を強化すること。 4.男女の仕事と生活の調和をはかるため、改正育児・介護休業法の施行にあたって は、就業継続を可能とする環境の整備および改正法の周知徹底に資する内容とす るよう、施策を講じること。 以 -2- 上
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