一般演題ポスター ネフローゼ症候群2 ポスター P

一般演題ポスター ネフローゼ症候群2 ポスター
6月19日 11:00〜12:15
ポスター会場 (パシフィコ横浜会議センター 3階 301+302,311~314)
司会
小松田 敦 司会 (秋田大学大学院医学系研究科血液・腎臓・膠原病内科分野)
P-302 微小変化型ネフローゼ症候群の寛解と再発についての検討
演者
山内 佑 (大阪労災病院)
梶本 幸男 (大阪労災病院)
中村 隼 (大阪労災病院)
妻鹿 旭 (大阪労災病院)
森田 将史 (大阪労災病院)
芳賀 亮太 (大阪労災病院)
山口 嘉土 (大阪労災病院)
長門谷 克之 (大阪労災病院)
山内 淳 (大阪労災病院)
【目的】微小変化型ネフローゼ症候群(MCNS)の寛解や再発に関する報告は少なく,発症年齢
が予後に与える影響についても一定の見解は得られていない.当施設において腎生検で診断した
初発のMCNS症例において,年齢をはじめとする背景因子が寛解と再発に対して与える影響につ
いて検討した.【方法】単施設後方視的コホート研究.2005年1月から2014年12月の間に,当
院で腎生検により診断された初発MCNS患者36例を対象に,65歳未満の若年群と65歳以上の高
齢群に分類し,検討した.Outcomeを観察期間中の寛解と再発とし,それぞれでCox比例ハザー
ドモデルを用いて解析した.【結果】観察期間は1094(810-1593)日,対象年齢は50±20歳
,男性61.1%であった.寛解と再発に関して,ログランク検定では若年群と高齢群で有意差は認
めなかった.寛解導入期間について,発症時の年齢,性別,Cre値,Alb値,LDL値,尿蛋白(g/
gCr),ステロイドパルスの有無で調整した多変量解析の結果,高齢,女性,Cre高値が寛解導
入遅延に関する寄与因子であり,再発までの寛解維持期間については,女性,Cre高値,発症時
尿蛋白低値が寛解維持に関する寄与因子であった.【結論】初発のMCNS患者において,高齢者
は寛解導入が遅延する可能性が示唆された.
P-303 微小変化型ネフローゼの寛解期間に年齢が及ぼす影響
演者
渡邉 真央 (国立病院機構千葉東病院)
川口 武彦 (国立病院機構千葉東病院)
土屋 洋平 (国立病院機構千葉東病院)
永田 真依子 (国立病院機構千葉東病院)
山川 貴史 (国立病院機構千葉東病院)
首村 守俊 (国立病院機構千葉東病院)
西村 元伸 (国立病院機構千葉東病院)
北村 博司 (国立病院機構千葉東病院)
今澤 俊之 (国立病院機構千葉東病院)
【目的】成人発症,とりわけ高齢発症の微小変化型ネフローゼ(MCNS)における治療反応性に
ついては明確でない点が多い.今回,成人発症MCNSにおける年齢と寛解期間との関連についてr
etrospectiveに検討した.【方法】千葉東病院にて腎生検を行いMCNSと診断された27例を対象
とした.全例ステロイド治療が行われた.年齢によって3分位に分け,若年(24.8±7.0歳),中
年(45.7±4.4歳),高齢(65.2±11.5歳)の3群間で,完全寛解(尿蛋白<0.3g/gCr)を評価
項目として比較した.統計解析としてCox回帰を用いた.なお寛解期間が143日であった1例は外
れ値として予め対象から除外した.【結果】全患者の背景は男女比14:13,尿蛋白9.9±4.9g/g
Cr,血清Alb1.6±0.6g/dl,eGFR74±32
ml/min/1.73m2
,平均血圧90±13mmHg,パルス施行例17例であり,これらのうちeGFRのみ3群間で差を認め
た.全例で完全寛解を認め,寛解期間は若年,中年,高齢で8.0±3.0日,17.0±11.3日,28.3±2
0.0日であった.eGFRで調整した寛解に対するハザード比(95%CI)は,若年を対照として,中
年で0.38(0.11, 1.21),高齢で0.15(0.04, 0.59)であった.【結論】高齢のMCNSでは若年
と比較し有意に寛解期間が長いことが示唆された.
P-304 当院における成人微小変化型ネフローゼ症候群の検討
演者
清水 優佳 (県立広島病院)
内藤 隆之 (県立広島病院)
大谷 真帆子 (県立広島病院)
金井 亮 (県立広島病院)
小田川 誠治 (県立広島病院)
小川 貴彦 (県立広島病院)
正木 崇生 (広島大学病院)
【目的】微小変化型ネフローゼ症候群(以下MCNS)に関する報告は小児を含む検討や古いもの
が多く,近年成人MCNSの治療成績を再考する報告が散見される.そこで今回当院における成人
MCNSの治療と効果に関する症例集積検討を行った.【方法】2009年4月以降に当院で腎生検を
施行し,MCNSと診断した24例を対象とした.治療内容,寛解率および寛解までの期間,再発率
と寛解から再発までの期間を検討した.【結果】年齢は中央値46(IQR:31-59)歳,性別は男
性12例,女性12例,観察期間は中央値27ヵ月であった.ステロイド初期投与量は中央値0.78(I
QR:0.70-0.90)mg/kgで,10例にステロイドパルスが施行されていた.全例が完全寛解し,
ステロイド投与から寛解までの期間は中央値10(IQR:7-29)日であった.治療前Crが高値で
あった群,血液透析が必要であった2例を含むAKIを合併した4例で寛解までの期間が長い傾向を
認めた.6例(25%)が再発し,寛解から再発までの期間は中央値204(IQR:31-642)日であ
った.非再発群18例のうち2例,再発群6例のうち3例に免疫抑制薬が併用されており,ステロイ
ドパルスの有無で再発率は変わらなかった.【結論】寛解導入は高率であったが,治療前のCrが
高値である症例とAKIを合併した症例は寛解までの期間が長く注意が必要である.
P-305 小児期発症の頻回再発型微小変化型ネフローゼ症候群の成人期移行
後の検討
演者
下串 浩矢 (名古屋第二赤十字病院腎臓内科)
伊藤 衣里 (名古屋第二赤十字病院腎臓内科)
亀谷 直輝 (名古屋第二赤十字病院腎臓内科)
加藤 明子 (名古屋第二赤十字病院腎臓内科)
水谷 南美 (名古屋第二赤十字病院腎臓内科)
田中 章仁 (名古屋第二赤十字病院腎臓内科)
新城 響 (名古屋第二赤十字病院腎臓内科)
大塚 康洋 (名古屋第二赤十字病院腎臓内科)
稲熊 大城 (名古屋第二赤十字病院腎臓内科)
武田 朝美 (名古屋第二赤十字病院腎臓内科)
【背景】小児期発症の頻回再発型ネフローゼ症候群が成人期へ移行する割合は高く,再発を繰り
返すことや免疫抑制薬を併用していることが報告されており,小児期と成人期での治療方法の違
いについても指摘されている.当院通院中の小児期発症微小変化型ネフローゼ症候群において成
人期移行後の治療方法や再発について検討を行った.
【方法】当院通院中である小児期発症ネフローゼ症候群のうち腎生検で微小変化型ネフローゼ症
候群と診断されている16例を対象とし後方視的に検討した.再発時は成人期での標準的治療方法
に準じて行った.
【結果】発症年齢は9(2-15)歳で移行時の年齢は21(16-31)歳であった.小児期に頻回再発
型であった症例が15例,免疫抑制薬を併用している症例は15例であった.成人期移行後も頻回
再発型を呈している症例は4例であったが,そのうち2例は再発回数の減少が認められた.免疫抑
制薬を併用している症例は13例であり,3例はステロイド薬のみで寛解維持できていた.
【結論】頻回再発型の微小変化型ネフローゼ症候群は成人期移行後も再発を認める症例は多く,
免疫抑制薬の併用も必要とするが,治療方法も変化しており,再発頻度は減少していた.
P-306 当院における膜性腎症の臨床的検討
演者
堀越 慶輔 (富山県立中央病院内科)
今井 祐子 (富山県立中央病院内科)
下村 修治 (富山県立中央病院内科)
能勢 知可子 (富山県立中央病院内科)
山端 潤也 (富山県立中央病院内科)
川端 雅彦 (富山県立中央病院内科)
【目的】当院における膜性腎症例の臨床的背景と予後について検討を行う.【対象と方法】200
7年から2015年までに腎生検で膜性腎症と診断した27症例を対象とし,後ろ向き調査を行った.
診断時の平均年齢は63(16~84)歳,平均観察期間は41(0~102)ヶ月であった.【結果】
背景疾患は,SLEを含む膠原病7例,悪性腫瘍2例,GVHD後2例,結核1例,HBV感染1例,薬剤
性1例(ブシラミン),特発性13例であった.診断時の平均蛋白尿は6.2 g/g・Cr,診断時にネ
フローゼ症候群を呈していた例は19例であった.電子顕微鏡所見では,均一型が14例,混合型
が11例であり,phase 1が13例,phase 2が5例,phase 3が7例,phase 4が1例であった.治療
は,19例でステロイド療法,うち10例でパルス療法を併用した.免疫抑制薬は,9例でシクロス
ポリン,1例でタクロリムス,1例でミゾリビン,これら2剤の併用が2例であった.最終観察時
での蛋白尿完全寛解は21例,Cr倍化は2例であり,腎死・個体死はなし,重症感染症の合併は1
例であった.Cr倍化の2例については,ともに混合型phase 3であり,1例は診断6年後に半月体
形成性腎炎を合併,1例は診断時から腎硬化症を合併した症例であった.【結論】当院での膜性
腎症例の検討では,積極的な免疫抑制療法による尿蛋白抑制が,生命予後悪化を招くことなく,
腎予後改善に寄与したと考える.
P-307 ネフローゼ症候群が持続する特発性膜性腎症における腎予後の検討
演者
北島 信治 (金沢大学附属病院腎臓内科)
清水 美保 (金沢大学附属病院腎臓内科)
古市 賢吾 (金沢大学附属病院腎臓内科)
横山 仁 (金沢医科大学腎機内科学)
和田 隆志 (金沢大学附属病院腎臓内科)
【目的】ネフローゼ症候群を呈した特発性膜性腎症において,非寛解例の腎予後と関連する臨床
病理学的な特徴を検討した.【対象】当院ならびに関連施設で1965年から2012年までに特発性
膜性腎症と診断し,3年以上,あるいは末期腎不全または個体死に至るまで観察しえた初発時に
ネフローゼ症候群を呈し,寛解(完全寛解または不完全寛解I型)に至らなかった35例(男24
例,女11例,発症時平均年齢50.0歳,平均観察期間 76ヶ月)を対象とした.【結果】35例中1
1例(31.4%)が腎死に至った.腎死群では,腎生存群に比べ,ネフローゼ症候群が持続した症
例の割合が多い傾向にあった(腎死群 63.6%,腎生存群 37.5%).電子顕微鏡所見における高
電子密度沈着物が異なる時相の沈着物からなる混合型の割合は腎死群で高い傾向にあった(腎死
群 100%,腎生存群 47.6%).腎死群ではステロイド単独による治療例が多い傾向にあった.初
発時の尿蛋白量や腎機能は予後に影響を与えなかった.【結語】ネフローゼ症候群で発症し,寛
解に至らなかった特発性膜性腎症例において,電顕分類が混合型の症例の腎予後は不良であった
.
P-308 巣状分節性糸球体硬化症に対するリツキシマブ単回投与の治療効果
に関する検討
演者
井野 文美 (東京女子医科大学第四内科)
武井 卓 (東京女子医科大学第四内科)
岩渕 裕子 (東京女子医科大学第四内科)
佐藤 尚代 (東京女子医科大学第四内科)
森山 能仁 (東京女子医科大学第四内科)
板橋 美津世 (東京女子医科大学第四内科)
土谷 健 (東京女子医科大学第四内科)
新田 孝作 (東京女子医科大学第四内科)
【目的】ステロイド依存性(SD),頻回再発の難治性ネフローゼ症候群に対するリツキシマブ(
RTX)の有効性は示されたが,ステロイド抵抗性(SR)に対しては,一定の見解は得られていな
い.また多くの症例で,4週連続投与で,単回投与による報告は少ない.今回我々は,難治性ネ
フローゼ症候群の代表疾患であるFSGSに対するRTX単回投与の効果について検討した.【方法
】当院で2008-2015年までにRTX治療を行ったFSGS患者13名について,検討を行った.【結果
】RTX初回投与時の年齢27.9±8.8歳,男性:女性7:7,SDNS:SRNS=5:8,尿蛋白3.94±3.6
1g/day,Cr1.27±0.89mg/dlであった.初回は440mg-500mgのRTXが投与され,8例が12ヵ月
目までにRTXの再投与が行われた.12ヶ月目の尿蛋白2.91±4.91g/day,Cr0.52±0.03mg/dl
と前値と比較して有意差はないものの,PSLは有意差をもって減量できた(20.5mg vs 7.5mg, P
<0.05).12ヵ月にSDNSに関して5例ともCRが得られ,SRNSに関してはCR1例,PR3例,NR4
例であった.【結論】FSGSに対するRTX単回投与は,SDNSに対しては有効で,一部のSRNSに
対しても有効であった.
P-309 難治性ネフローゼ症候群におけるLow density lipoprotein
apheresis(LDL-A)直後の血清IL-10上昇について
演者
垣田 浩子 (田附興風会医学研究所北野病院)
岩崎 由加子 (田附興風会医学研究所北野病院)
矢野 景子 (田附興風会医学研究所北野病院)
石村 拓也 (田附興風会医学研究所北野病院)
半田 貴也 (田附興風会医学研究所北野病院)
有安 由紀 (田附興風会医学研究所北野病院)
高田 大輔 (田附興風会医学研究所北野病院)
新川 神奈 (田附興風会医学研究所北野病院)
遠藤 知美 (田附興風会医学研究所北野病院)
鈴木 洋行 (田附興風会医学研究所北野病院)
米本 智美 (田附興風会医学研究所北野病院)
渡邊 武 (田附興風会医学研究所北野病院)
武曾 惠理 (田附興風会医学研究所北野病院)
LDL-Aのネフローゼ症候群(Nephrotic syndrome;NS)寛解導入促進への有効性が認知されて
いるが,効果発現機序は明らかではない.LDL-AによるNS寛解導入の免疫学的機序を検討するた
め,NS状態及びLDL-A前後での血清サイトカイン濃度,各種末梢血単核球内のサイトカイン陽性
率を検討した.前回,NSでCD3+
細胞でのTNFα,IFNγ陽性率の上昇傾向を認め,TNFα,sCD40L,IL-6,IL-31濃度はLDL-A直
後に減少し,IL-10は上昇したことを報告した.今回,新にLDL-Aを施行したNS2例に対して測
定サイトカインを増やし,同様の検討を行った.また,IL-10産生細胞同定のため,CD19,CD5
発現を検討した.今回もNSで血清IL-6上昇と細胞内IFNγ,TNFα陽性率の上昇傾向及びLDL-A直
後の血清IL-10上昇を認めたが,前回,LDLA直後に減少していたサ
イトカインに有意な変化は認めなかった.CD19-細胞に加えCD19+CD5+
細胞でもIL-10陽性を認め,T細胞,単球に加えIL-10産生性の制御性B細胞の存在を確認できた
.LDL-A直後のIL-10 上昇は一貫しており,NS状態で亢進している炎症性サイトカイン発現状態
に対して,LDLAが制御性B細胞を含むIL10 産生系を介して,影響を及ぼすことが示唆された.
P-310 ネフローゼ症候群(NS)における99mTc-HSAD
scintigraphyの意義
演者
高島 毅 (嬉野医療センター腎臓内科)
佐藤 早恵 (嬉野医療センター腎臓内科)
吉崎 真衣 (嬉野医療センター腎臓内科)
大塚 伸 (嬉野医療センター腎臓内科)
岸 知哉 (佐賀大学内科)
宮園 素明 (佐賀大学内科)
池田 裕次 (佐賀大学内科)
【目的】
NSでは糸球体を透過したアルブミン(Alb)が近位尿細管で再吸収・異化されると考えられてお
り,最終的な尿蛋白量が糸球体の蛋白漏出量を反映しているとは限らない.以前尿蛋白がNS域に
なく,腎生検でNSに準じた病態で低蛋白血症を呈したと考えられた症例を報告したが,蛋白漏出
性胃腸症除外のため99mTc-HSAD scintigraphyを施行した所,24時間後の前面像で肝より腎に
強い陽性集積を認めた.健常成人に99mTc-HSADを静脈内投与するとAlb代謝とほぼ同じ動態を
とり,24時間後の臓器放射能は肝腎共に同程度とされる.
【方法】
本シンチ施行例をNS群10例,非NS群7例に群別.
1.99mTc-HSAD投与24時間後の前面像で肝より腎に強い陽性集積を呈するものをDense
Kidney(+),肝腎同程度を(±),腎<肝を(-)と定義.
2.99mTc-HSAD投与24時間後の前面・後面像で左右腎と肝の関心領域を設定し,肝に対する左
右腎のカウント比(K/L)を計算.
【結果】
1.NS群9例でDense Kidney(+)を認めるも,非NS群では1例も認めなかった.
2.前面・後面像での左右腎のK/Lはいずれも,NS群は非NS群に比し有意に高値であった.
【結論】
Dense KidneyはNSに特徴的な所見であり,尿細管でのAlb再吸収を反映して尿蛋白量がNS域に
ない症例をNSに準じた病態と診断するための補助的検査になりうる可能性が示唆された.
P-311 ネフローゼ症候群に対する診療録の監査基準策定(第一報)
演者
廣瀬 弥幸 (長崎大学病院腎臓内科)
梅根 隆介 (長崎大学病院腎臓内科)
平井 達大 (長崎大学病院腎臓内科)
辻 清和 (長崎大学病院腎臓内科)
澤 未来 (長崎大学病院腎臓内科)
鳥越 健太 (長崎大学病院腎臓内科)
川口 祐輝 (長崎大学病院腎臓内科)
岡 哲 (長崎大学病院腎臓内科)
阿部 伸一 (長崎大学病院腎臓内科)
牟田 久美子 (長崎大学病院腎臓内科)
太田 祐樹 (長崎大学病院腎臓内科)
北村 峰昭 (長崎大学病院腎臓内科)
川崎 智子 (長崎大学病院腎臓内科)
北村 里子 (長崎大学病院腎臓内科)
浦松 正 (長崎大学病院腎臓内科)
小畑 陽子 (長崎大学病院腎臓内科)
西野 友哉 (長崎大学病院腎臓内科)
【目的】診療の質を証明する診療録記載が適切であることは重要で,それには具体的監査基準に
よる監査が必要である.我々はネフローゼ症候群の監査基準を策定して診療録の現状を調査した
ので,報告する.
【方法】2014年度に長崎大学病院腎臓内科に入院したネフローゼ症候群の初発症例(12例)を
対象とした.腎臓専門医・診療情報管理士により病歴等,身体所見,検査所見,臨床経過等でネ
フローゼ症候群の診療録記載に必須と考える47の監査項目を選定した.
【結果】記載状況は比較的良好であったが,肉眼的血尿の有無,膠原病を示唆する症状の有無,
皮疹の有無,selectivity index,抗核抗体,食事療法等の記載が不十分だった.原疾患が糖尿病
性腎症の症例は,それ以外より検尿歴,発症形式,抗核抗体等の記載が乏しい傾向が見られた.
【考察】監査基準により記載状況を可視化でき,改善すべき点が明確となった.また,糖尿病性
腎症と考えられる症例でも,それ以外の可能性を考えた記載が必要と考えられた.
【結論】今後は監査基準の周知徹底を図り,診療録記載や診療の標準化につなげていきたい.
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