原議保存期間 1年(平 成30年3 月31日まで) 有 効 期 間 二種(平 成30年3 月31日まで) 警視庁生活安全部長 警 視 庁 地 域 部 長 警 視 庁 刑 事 部 長 殿 各道府県警察本部長 各 方 面 本 部 長 (参考送付先) 警察大学校生活安全・刑事教養部長 各管区警察局広域調整担当部長 各管区警察局情報通信部長 各警察情報通信部長 各府県(方面)情報通信部長 警察庁丁生企発第430号、丁地発第117号 警察庁丁少発第119号、丁捜一発第110号 警察庁丁刑企発第72号 平 成 2 8 年 6 月 2 0 日 警察庁生活安全局生活安全企画課長 警 察 庁 生 活 安 全 局 地 域 課 長 警 察 庁 生 活 安 全 局 少 年 課 長 警 察 庁 刑 事 局 捜 査 第 一 課 長 警 察 庁 刑 事 局 刑 事 企 画 課 長 人身安全関連事案への的確な対処に係る留意事項について(通達) 過日、東京都小金井市において発生した女性に対する殺人未遂等事件は、被害者等から 事前に相談を受けていた中でのものであった。恋愛感情等のもつれに起因する暴力的事案 等の人身安全関連事案に対処するための基本的な考え方については、「人身安全関連事案 に対処するための体制の確立について」(平成25年12月6日付け警察庁丙生企発第132号ほ か)のとおりであるが、この種事案に対しては、認知の段階から警察本部が関与した組織 的な対処が必須であり、また、最近の情報通信技術の急速な進展等を背景としたコミュニ ケーション手段の変化や、社会情勢の変化等を背景とした対人関係の多様化等、この種事 案を取り巻く状況についても、これを十分に勘案する必要がある。 各都道府県警察においては、下記の事項にも留意の上、人身安全関連事案への的確な対 処に努められたい。 記 1 人身安全関連事案に係る組織的な対処 人身安全関連事案については、認知した段階では事案の危険性・切迫性を正確に把握 することが困難であるため、警察本部に人身安全関連事案について一元的に対処するた めの体制(以下「本部対処体制」という。)を確立した上で、警察本部が確実に関与す ることとしているところである。警察署等において把握した事案の中には、危険性・切 迫性の把握が困難である場面もあり得るところ、そのような場合には、危険性等の見極 めをより適切に行うため、広く人身安全関連事案として捉え、警察署長への速報のみな らず、本部対処体制に速報されることにより、組織的な対処がなされるよう徹底するこ と。 2 予断を排した危険性・切迫性の判断 人身安全関連事案の危険性・切迫性の判断に当たっては、その前提として、被害者と 加害者の関係性を勘案する必要があるところ、若年層を中心にソーシャル・ネットーワ ーキング・サービス(以下「SNS」という。)等が主要なコミュニケーション手段と なりつつあることや、社会情勢が変化していることなどを背景に、その関係性には多様 なものがあり得ることを認識した上で、これに当たること。 例えば、被害者と加害者の関係性には、元交際相手であるなどの人身安全関連事案と しての取扱いの多い場合以外にも、頻繁なやり取りがあることが通常である学校や職場 等における関係、一方的な憧れ等に基づくやり取りであることが通常である著名人と一 般の者の関係、現実に対面するに至っていないSNS等におけるやり取りのみの関係な ど、多様なものがあり得る。したがって、両者のやり取りが、その関係性に基づく通常 の状況を著しく逸脱するとまでは認定できない場合であっても、被害者等が警察に相談 するに至った経緯、加害者との間のSNS等におけるやり取り等の関連情報も踏まえ、 予断を排し、事態が急展開して重大な被害が発生するおそれがあることを念頭に、的確 な判断に努めること。 3 被害の未然防止・拡大防止の徹底 被害の未然防止・拡大防止に当たっては、被害者と加害者との間のSNS等における やり取りを慎重に検討した上で、状況に応じて、被害者等の一時避難、身辺の警戒、加 害者に対する指導・警告等の措置を図ること。 また、被害者等に対し、加害者が認識している場所等への立ち寄りを控えることや、 一時避難の必要性について理解を求めることなども含め、具体的な防犯指導等に努める こと。 4 関係情報の適切な共有 被害者と加害者の関係性によっては、当初の段階では特に加害者に係る情報が明らか でない場合があり、加害者の行為が複数の都道府県に及ぶなど広範囲にわたる可能性が 排除できないところ、人身安全関連事案に関しては、引き続き、その相談を含む各種取 扱いの情報について、関係都道府県警察間のものを含めた適切な共有に努めること。 5 被害者等からの110番通報への適切な対応 緊急時に備え110番緊急通報システムに被害者等を登録している場合、当該被害者 等からの110番通報へ適切な対応を図る必要があるところ、同システムは、都道府県 警察によって画面に表示される情報や操作方法が異なることを踏まえ、これが迅速かつ 的確な指令を行い得るものとなっているか確認すること。 確認に当たっては、システム上の観点のみならず、指揮官を始めとする全勤務員が確 実に連携して対応し得るものになっているかという点にも配意し、また、その確認結果 に応じ、システムの改善のほか、全勤務員を対象とする教養や実践的訓練等を実施する など、より適切な対応が可能となるよう徹底すること。
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