おばあさんと孫むすめ おばあさんに孫むすめがいました。

第 7 話(5 頁)
おばあさんと孫むすめ
おばあさんに孫むすめがいました。これまで孫むすめは小さくて、ねてばかり
いました。おばあさんは孫むすめのために、自分でパンを焼き、家のそうじをし、
せんたく、ぬいもの、糸つむぎ、そして、はたをおりました。
でも、それからおばあさんは年をとり、ペチカの上に横になってねてばかり。
そこで、孫むすめがおばあさんのためにパンを焼き、せんたく、ぬいもの、はた
おり、そして糸をつむぎました。
「おばあさんが孫娘にしたこと、孫娘が年を取ってからのおばあさんにしたことが、きちん
と対になっている。小さい子に読み書きを教えるためにわざと対にしたのではないか。」
「本当にそうだ(と驚いた様子)。前半の『そうじ』が抜けているだけだ。日本語の子ども
たちへの教え方とも相通じる気がするなあ。」
「文章として稚拙感はあっても、小気味よさというかリズム感が出てくるね。」
「お年寄りの人から世話になった恩に報いる、あるいは、弱い者の面倒を見ておけば後で報
われる、とは捉えられないか。」
「それでは道徳的すぎるし、トルストイの意図とは違ってくるよ、きっと。」
「同感だ。もっと自然に、素直な気持ちで読めばいいんだ。」