日本語 - 千葉大学国際教育センター

公開シンポジウム
千葉大学帰国留学生連携事業
講師の紹介
ネパール
ディネッシュ・ラジュ・ブジュ氏 (Dr. Dinesh Raj Bhuju)
1993-1998年 理学研究科在籍 (国費研究留学生)
現職
王立ネパール科学技術アカデミー(NAST) アカデミシャン
ネパール政府最大の研究機関であるNAST所属の研究者。
植物生態学を専門とする。ネパールの環境研究の第一
人者として、大学をはじめ様々な機関において教育指
導も行っている。
演題
ヒマラヤ研究に私を導いてくれた千葉大学
要約
私は1998年に千葉大学を卒業して、日本で得た知識と情熱で、ネパールの生態系、特にヒマラ
ヤの環境変化についての調査と研究を続けてきました。およそ35年前から千葉大学はネパー
ル・ヒマラヤの生態系調査のパイオニアとして研究を続けてきました。チュレ山系はネパー
ル・ヒマラヤでも最も新しくできた小さい丘陵ですが、今日人間による自然破壊等の大きな問
題を抱えております。私達のチームは2004年までにネパール国内800kmにわたる山岳地の生
態系データを作りあげました。私達の次の目標は高地の生態系における地球温暖化の影響を調
査することです。既に全国に10か所の観測地点を設け、データを収集しました。その結果、高
地の樹木限界は年に2~3mずつ上昇していることが判明しました。これは牧草地が将来減少
することを意味します。これは家畜の季節移動で生計を立てている牧畜業の人たちに大きな影
響を与えます。今現在、私は日本の皆様に多くの刺激を受けてネパール人の教育水準のアップ
と科学的意識を広めることに邁進しております。
当日の様子
公開シンポジウム
講師の紹介
千葉大学帰国留学生連携事業
フィリピン
デリア・フファナ・パタルド氏 (Dr. Delia Hufana Patalud)
1999-2000年 教育学部在籍 (国費教員研修留学生)
現職
フィリピン教育省 パンガシナン州第二学区 教育長
教育長としてパンガシナン州マンガルダン学区の
公立学校を統括する教育行政にたずさわり、地方
の学校教育の指導にあたっている。
演題
フィリピンの教育の現状
Overview of the Educational System in the Philippines
要約
1998年から2000年にかけて千葉大学で学校経営に関する研究ができたことは、私に
とって、日本と日本人との強い絆を得られたという点で、素晴らしい機会であり、大きな財産
となりました。特に、千葉大学国際ネットワークの奨学金で子どもたちを学校に行かせること
ができましたことに感謝申し上げます。途上国にとって、教育の質を向上させることが急務で
あります。フィリピンに戻りましてから、私は地区の教育長となりました。フィリピンの公立
学校の教育長の仕事には職員と生徒の監督、私たちの管轄の地域の人々や自治体の職員との情
報交換などがあります。校長の職務評価、教員の指導評価、国全体で行われる学力検査の評価
も重要な職務です。教育長の仕事にまつわる苦労やプレッシャーについてもお話したいと思い
ます。
当日の様子
公開シンポジウム
千葉大学帰国留学生連携事業
講師の紹介
インドネシア
ドゥディ・ウィヤンチョコ氏 (Dr. Dudy Wiyancoko)
1996-2000年 工学研究科在籍 (国費研究留学生)
現職
バンドン工科大学 准教授 工学デザイン学科長
インドネシアデザイン教育界のキーパーソン。
デザインを社会的・文化的側面から捉える研究
者。日本企業とのコラボレーションも多く手が
けている。
演題
デザインと文化によるイノベーション
Design and Culture-Based Innovation
要約
インドネシアにおいては“デザインと文化”という課題はデザイン教育また地域開発プログラムとして実
行されるべき優先順位の高い教育課題です。この課題実行に当たってはインドネシアの多様な人種社会、
又豊富な自然資源を考慮せずには出来ません。これももし“デザインと文化”という研究が実際のさまざ
まな工業デザインの実践において成功裏に実践されていたらもっと説得力がある事でしょう、又デザイ
ンという分野の重要性も色々な技術革新を達成する上に多大に貢献するであろう事と併せて実証される
でしょう。本講演の目的は製品革新を達成する為のもう一つのアプローチ法としてのデザインと文化
(生活習慣)に対する研究をどうすべきか明らかにしようというものです。デザイン(製品構想)と文
化(生活習慣)に基く技術革新は、ユーザの要求に基いて、とか技術の応用拡大などに触発された革新
より、一般社会の文化をより深く理解することによる新商品開発戦略としてより重要な役割を果たしま
す。本講演では1つのケーススタディーとしてインドネシアの古くからの社会生活における座るという
文化についての研究をご紹介します、特に座る姿勢の文化的な意味合いの分析との関連においてインド
ネシアの人々に適した座る椅子のデザインをどうしたら良いか追及します。又、地域工業の発展を促す
競争力ある優位性を推進させていく上で地域資源の開発の重要性という点にも言及します。
当日の様子
公開シンポジウム
千葉大学帰国留学生連携事業
講師の紹介
ドイツ
ドロテア・ムラデノヴァ氏 (Ms. Dorothea Mladenova)
2007-2008年 人文社会科学研究科在籍 (交換留学生:JPAC)
現職
ライプチッヒ大学 東アジア学 日本学科 講師
ライプチッヒ大学で教鞭をとる傍ら、社会学の観
点から日本人、日本社会の意識について研究して
いる。ドイツ日本学の若き研究者
演題
ドイツにおける日本研究の重要性に関して
On the Importance of Japanese Studies in Germany
要約
日本社会は今や世界各地でその研究者により詳細に研究・分析がなされていますが、それでも
未だ短絡的思考経路をたどるケースが多くエクゾチック化と美化のレトリックを使いがちです。
つまり、現実と乖離(かいり)した結論付けが多く見られます。
私はドイツにおける日本研究ではどのようにしてそういう問題を避けようとしているかをご紹
介したいと思います。先ず最初に、比較分析を行う時に「欠陥の言語」を使わないようにする
ということです。また、日本を一つの「隔絶された島」と捉えるのではなく「国際的な潮流の
中の一部」であると認識することによります。
このように探究することにより、研究成果が日本研究という枠を大きく超えて広範な分野で適
応可能になっていくと考えます。
当日の様子
公開シンポジウム
千葉大学帰国留学生連携事業
講師の紹介
カンボジア
キネット・コン氏 (Dr. Kynet Kong)
2009-2014年 園芸学研究科在籍 (国費研究留学生)
現職
農林水産省 カンボジア農業研究開発所 植物育種
部 上級研究員
イネを対象として、非生物的ストレス耐性および高
品質な品種の育成および改良に取り組んでいる。カ
ンボジアの将来を担う若き研究者。
演題
穀物の品種改良及び香り米
Varietal Improvement for Grain Quality and Aromatic Rice
要約
農業国カンボジアの耕作可能面積は、全国土181.035平方キロの26%に及ぶ(WFP2012年)。
米の生産性は、過去数十年の間年率9%の驚異的な速さで成長し、1995年には国内消費を上回
るに至った。カンボジア農業研究開発機構(CARDI)は、カンボジアでの農業研究で重要な役
割を果たしている。米の自給化を成し遂げた現在、研究課題は生産性向上に加え品質向上にも
向かっている。なかでも米の香り特性が優先課題となっている。そのなかで、香り米6種類
(Phka Romeat)が開発されたが、これらは高品質であり、高生産性を誇り(3.0-5.8t/ha)、
またビタミンAの含有量が高い。因みに玄米の場合0.83ppm、白米の場合0.81ppmとなってい
る。これらのなかで、Phka Rumduolは2012、2013及び2014年の3年連続で世界最優秀米賞に輝
いている。香り品質以外では、CARDIはカンボジアの地域毎の生育環境に合わせ、36種類の米
を開発し市場に提供している。
当日の様子