審査結果報告書 - 病院機能評価結果の情報提供

社会医療法人近森会 近森病院
総括
貴院は 1955 年から救急告示病院として地域の救急医療を支える意思を表明し、高
知市、高知県の救急医療の中心的役割を担ってきた。職員も、このような病院の使命・
責任を理解し、全員一丸となって救急医療の拠点として活動してきた。その結果、2011
年 5 月から県内 3 番目ではあるが、私的医療機関としては初めての救命救急センター
に指定され、これまで以上に高度な救急医療を担っている。
地域の要望もあり、初期救急から三次救急までを受けていて、年間約 5,000 人の救
急車搬入患者および約 33,000 人の自力による受診患者を受け入れている。救急部門
は、ERと院内の全診療科が補完しあいながら救命救急センターとして運用され、病
院全体で「医療の原点が救急である」という理念を実践している。救命救急センター
の 18 床の構造・設備・看護体制は、ICUとまったく同じであり、高く評価できる。
また、重症患者の社会復帰を目指した早期リハビリテ-ションにも積極的に取り組む
姿勢についても高く評価できる。さらに、管理栄養士による栄養管理も徹底している。
一方、救急部門の組織図において病院の中での救命救急センターの位置づけ、特に
関連する診療各科および関連する他の部門との関係が示されていない。また、院内救
急委員会で、院外の協議会等での議論内容について種々の観点から議論された記録が
十分なされているとは言えない。委員会の権限を強化し、より一層救急部門の機能が
発揮されるよう求めたい。さらに、救急医療の質の改善を目指して貴院で求めた各種
アウトカム指標等をより一層活用されたい。加えて、医師のサマリー記載について完
成率 100%を達成されたい。
2014 年 5 月には新病棟が完成し、そこではER部門の充実と屋上ヘリポートの整備
もなされる。貴院が高齢者、早期リハビリテーション、栄養管理等をキーワードに、
救命救急センターとして、また災害拠点病院として、多職種協働による貴院に特徴的
な方向性を掲げ、さらに活躍されることを期待したい。
各領域の評価は、それぞれの領域に記載したので参考にされたい。
Em.1 救急部門の地域における役割と基本方針
「安全で高度な救命救急医療を通じての患者中心の医療を、地域医療機関・消防機
関との密な連携を、職員の継続的な教育を実践する」という基本方針が明確にされ、
全職員に周知・徹底されている。また、地域の救急医療協議会や連絡会議に代表者が
参加して地域の救急医療に関わる課題等を把握している。そこで、それらの課題につ
いて院内救急委員会あるいは救命救急センター運営委員会で検討した記録を残され
たい。このことによって地域の様々な課題についての貴院の対応をより明確にし、職
員へのフィードバックをより一層充実されたい。ドクターカーやヘリコプターによる
患者受け入れに関する手順などは適切にまとめられている。
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Em.2 救急部門の体制の確立
救急部門の組織図は、医師・看護部門に限定されており、病院全体の中での救命救
急センターの位置づけと、それに関連した救命救急センター専従医師のERおよび救
命救急病棟における役割とがわかりにくい。救急部門と関連する診療各科だけの関係
でなく、関連する他の部門(臨床検査、画像、薬剤、栄養、理学療法、臨床工学部門
等)との関係も組織図の中に提示することを求めたい。また、救急部門の医師勤務体
制については、彼らの果たしている機能に鑑みて、当直制から交替制へ移行するよう
努力されたい。
救命救急センターの 18 床の構造・設備は、隣接するICUと鏡像関係にあり、I
CUと同じく全室個室で室内の圧調節も可能である。医療機器等の設備・整備も同様
である。また、ICUと同じ看護体制(2:1 の看護体制)をとっており、これらは高
く評価できる。なお、救急部門の施設・設備は、適切に整備され、医療機器管理も行
われているが、救命救急センター担当の臨床工学技士を明確にしておくことを提案し
たい。
Em.3 救急部門の機能の発揮
救急委員会は毎月開催されているが、救急医療関連する部門(薬剤、栄養、リハビ
リ、臨床検査、臨床工学技士等)からも委員を選任されたい。また、救急委員会の権
限を強化し、会議の決定事項が実行に移しやすくするよう努力されたい。さらに、年
2~3 回開催の救命救急センター運営委員会には、救急委員会の活動を評価する等の機
能も求められる。
救急部門と診療各部門との連携は適切に取られている。特に、重症救急患者の早期
リハビリテーションに対する取り組みは、我が国の模範とも言うべき水準で、高く評
価できる。特に、心臓血管外科の術後に関しては、極めて早期に開始している。また、
管理栄養士による栄養管理にも積極的に取り組んでいる。
救急部門の主たる業務実績は把握されているが、すべての救急患者に関わる診療業
務量および収益等も含めることによって、救急関連部門の病院への貢献度を評価して
いくことが望まれる。
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Em.4 救急部門における質改善に向けた取り組み
救急医療に関する教育・研修は、救急部門だけでなく院内他部門および院外におい
ても積極的に行われていて、このことは高く評価できる。
症例検討会や死亡症例検討会は、救命救急センターのER部門の患者だけでなく、
救命救急病棟に入院し、他の診療科が関与した患者もすべて対象にして広く検討され
たい。その際、救急関連の多職種を交えての議論についても検討されたい。
救命救急センターで扱った患者情報を用いた各種アウトカム指標は把握されてい
るので、それらの指標を活用して議論し、新たなデータの収集も含め、ER部門から
入院、転棟、退院、転院まで多岐にわたる質の向上に努められたい。
Em.5 救急患者への適切な対応
救急患者を適切に受け入れているが、月平均 96 件の救急車受け入れ不能事例数は
少なくない。これは、貴院のみの問題ではなく地域の課題といえるが、迅速に関係す
る諸機関の間で協議し、件数を減らす体制の構築を求めたい。
救急患者受け入れ時の対応、緊急時の検査、診断、手術等は適切に実施されている。
全診療科が協力して救急患者を受け入れているが、関連する診療各科の医師が受け
持った、救命救急センター入院患者の病棟退出時に記載する中間サマリーないし退院
時に記載するサマリーは 100%の完成率を達成されたい。
患者・家族への配慮にも力を注いでいて、それらは適切に行われている。ハード面
で職員が問題と意識している待合室や説明室等は、来年の新病棟完成により解決され
る。
Em.6 災害時の対応
災害拠点病院に指定され、3 チーム 16 人がDMAT隊員として認定されている。院
内、院外の災害時の対応体制について、また特殊災害への対応体制についても適切に
備えられている。現状の災害に関わる活動を継続し、県内および県外における活躍を
期待したい。
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評価判定結果
Em.1
救急部門の地域における役割と基本方針
Em.1.1
救急部門設置の趣旨・理念と基本方針が明確に定められている
4
Em.1.2
救急部門の地域における役割と連携体制が適切に定められている
3
Em.2
救急部門の体制の確立
Em.2.1
救急部門の組織が確立し人員が適切に配置されている
3
Em.2.2
救急処置室・検査室・手術室の施設・設備・器機が適切に整備されている
4
Em.2.3
救急患者を受け入れる病床が確保されている
5
Em.3
救急部門の機能の発揮
Em.3.1
救急部門の運営委員会が設置され、適切に開催している
3
Em.3.2
診療各部門との連携が取られている
4
Em.3.3
救急部門の業務実績を把握している
3
Em.4
救急部門における質改善に向けた取り組み
Em.4.1
救急医療に関する教育・研修を行っている
4
Em.4.2
救急医療に関する症例検討会を開催している
3
Em.5
救急患者への適切な対応
Em.5.1
救急患者を適切に受け入れている
3
Em.5.2
救急患者受け入れ時の対応が適切に行われている
4
Em.5.3
緊急時の検査・診断に迅速に対応している
4
Em.5.4
救急患者の手術を適切に実施している
4
Em.5.5
救急部門において感染管理を適切に行っている
4
Em.5.6
救急医療の記録を適切に記載している
3
Em.5.7
患者・家族への配慮がなされている
4
Em.6
災害時の対応
Em.6.1
災害時の対応体制が適切である
4
Em.6.2
特殊災害への対応体制が適切である
4
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