− − この垂木金物をはじめ大小含めて五 所 あ り ま す。こ の た び の 修 復 で は、 取 り 付 け ら れ、合 計 で 千 二 百 四 十 箇 垂 木 の 先 に は、一 つ ひ と つ 錺 金 物 が 打 ち こ む こ と で、金 属 の 表 面 に 細 か 端 の 刃 が リ ン グ 状 に な って い る 鏨 を 草 の 紋 様 を 彫 り、空 地 の 部 分 に は 先 に打ち出しを行い、その上で寺紋、唐 外 部 錺 金 物 の 多 く は、銅 版 の 地 金 られました。 て取れてしまっている金物も見受け た め、よ り 錆 び や す い 鉄 釘 が 腐 食 し ま た、鉄 釘 に よ っ て 固 定 さ れ て い た 化 銅︶に 覆 わ れ て し ま っ て い ま す。 たがね 千個以上の金物の修復を行っていま い粒を密に陰刻する魚子︵七子、魚々 なな こ す。 子とも︶という 加工がされています。 に あ た る 職 人 の 方 た ち か ら も、明 治 たつくりとなっており、このたび修復 その 魚 子 が 非 常 に 細 か く 精 緻 を 極 め 阿 弥 陀 堂 の 錺 金 物 工 事 と し て、破 のき さき 期 再 建の 際の 技 術 に 感 嘆の 声 が あ が ふ 箇 所 の 錺 金 物 は 、全 体 が 緑 青 錆︵ 酸 ろく しょう さび 物 を は じ め、特 に 風 雨 に さ ら さ れ る を 確 認 し た と こ ろ、屋 根 面 の 妻 錺 金 つま と こ ろ で、修 復 に あ た っ て 錺 金 物 仕上げに施されていました。 凹部分には黒い塗料による墨差しが は 漆 を 用 い て 金 箔 が 押 さ れ て お り、 ま た、地 金 が 形 作 ら れ た 凸 部 分 に るほどです。 風や軒先に付けられた大きな金物の 修 復 に 取 り 掛 か っ て い ま す。御 影 堂 に使用されていた外部錺金物は約八 十 種 類 と 多 種 多 様 で し た。阿 弥 陀 堂 についてもほぼ同じ種類の錺金物が たる き 用 い ら れ て い ま す が、 目 立 っ て 御 影 堂 と 異 な る 箇 所 が、垂 木 の 錺 金 物 で こ ぐち す。御 影 堂 の 垂 木 の 先 は 、 材 木 の 切 断面に白く塗装する木口塗りが施さ なお、汚れの取り除かれた金物は、 材にあわせてさまざまな研磨材が に3Dの画像情報として記録しまし 叩 き 直 し を し て 形 を 整 え、も と の 工 どの植物系など、用途や加工品の素 た。こ の 機 器 は 主 に 飛 行 機 や 車 の エ 垂木錺金物 ある。このたびの修復では、樹脂系 法にしたがって漆金箔や墨差しなど けでなくガラスビーズやナイロンな の仕上げが施されていきます。 どの樹脂系、 クルミの殻や桃の種な ンジンなどの精密部品の金型作成の 品の加工のためのサンドブラストが た め に 用 い ら れ て お り、二 十 メ ー ト 一般的に知られる。最近では、砂だ ルの範囲を誤差三ミリ以下の精度で いて、錆を丁寧に落としていました。 これらの工法は湿式の工法として化 学 的 な 作 用︵酸 化 や 硫 化 な ど︶に よ り 汚 れ を 除 去 し て い た の で す が、少 なからず地金をいためる 危険性や除 去 す る 上 で も 限 度 が あ り、修 復 後 の 経過として錆も発生しやすいもので ありました。 そ こ で、こ の た び の 阿 弥 陀 堂 の 錺 金 物 の 修 復 は、最 新 の 技 術 で あ る ﹁ショットブラスト﹂という乾式の工 法 を 用 い て、地 金 の 表 面 を 覆 っ て い のポリビーズが用いられている。 計 測 し ま す。こ れ に よ り、こ れ ま で わ か ら な か っ た 凹 凸 も 鮮 明 に な り、 間違いのない資料を残すことができ、 さらに後々の管理も非常に容易にな りました。 再度金箔を押すために取り外した 金 物 は、錆、汚 れ を し っ か り と 取 り 除 く 必 要 が あ り ま す。御 影 堂 の 修 復 では、梅酢に浸すか又は希硫酸を用 漆を接着剤として一枚一枚金箔を貼っていく る 錆 を 落 と す こ と に し ま し た。 ﹁ショットブラスト﹂の工法は、地金 を 傷 め ず に 済 み、後 々 錆 も 発 生 し に く い も の で あ り、今 後 の 錺 金 物 修 復 のスタンダードになると期待される 工法です。 などの研磨材を混ぜて対象物に吹 金物を取り外す前の確認作業 金物の叩き直し れているだけでしたが、阿弥陀堂の 金物を慎重に取り外して修復を行 う 際、従 来 は 修 復 後 の 取 り 付 け 位 置 が変わらないように一つひとつに位 置番号をつけ、写真撮 影 や 寸 法 取 り 、 拓 本 採 取 を 行 っ て い ま し た が、こ の たびの修復では拓本に代 わ り レ ー ザーを照射して位置情報ととも き付ける加工法のことで、ガラス製 2 ※この修復にあたり、指定寄付を募集しています。 詳しくは、本誌81頁をご覧ください。 凹面に黒い塗料を塗る (墨差し) 青海波の金物を3D計測中 せいがいは 花弁の内にも規則正しく 打ちこまれている魚子 コンプレッサーによる圧縮空気に砂 は 新 た な 技 術 も 取 り 入 れ て <ショットブラスト> かざり 阿 弥 陀 堂 外 部 錺 金 物 工 事 御 修 復 の あ ゆ み ショットブラストにより錆などの汚れを除去中 78 2013年 (平成25年)8 月 真 宗 真 宗 79 2013年(平成25年)8 月
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