新たな技術も取り入れて-(PDF) 『真宗』2013年8月号掲載

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この垂木金物をはじめ大小含めて五
所 あ り ま す。こ の た び の 修 復 で は、
取 り 付 け ら れ、合 計 で 千 二 百 四 十 箇
垂 木 の 先 に は、一 つ ひ と つ 錺 金 物 が
打 ち こ む こ と で、金 属 の 表 面 に 細 か
端 の 刃 が リ ン グ 状 に な って い る 鏨 を
草 の 紋 様 を 彫 り、空 地 の 部 分 に は 先
に打ち出しを行い、その上で寺紋、唐
外 部 錺 金 物 の 多 く は、銅 版 の 地 金
られました。
て取れてしまっている金物も見受け
た め、よ り 錆 び や す い 鉄 釘 が 腐 食 し
ま た、鉄 釘 に よ っ て 固 定 さ れ て い た
化 銅︶に 覆 わ れ て し ま っ て い ま す。
たがね
千個以上の金物の修復を行っていま
い粒を密に陰刻する魚子︵七子、魚々
なな こ
す。
子とも︶という 加工がされています。
に あ た る 職 人 の 方 た ち か ら も、明 治
たつくりとなっており、このたび修復
その 魚 子 が 非 常 に 細 か く 精 緻 を 極 め
阿 弥 陀 堂 の 錺 金 物 工 事 と し て、破
のき さき
期 再 建の 際の 技 術 に 感 嘆の 声 が あ が
ふ
箇 所 の 錺 金 物 は 、全 体 が 緑 青 錆︵ 酸
ろく しょう さび
物 を は じ め、特 に 風 雨 に さ ら さ れ る
を 確 認 し た と こ ろ、屋 根 面 の 妻 錺 金
つま
と こ ろ で、修 復 に あ た っ て 錺 金 物
仕上げに施されていました。
凹部分には黒い塗料による墨差しが
は 漆 を 用 い て 金 箔 が 押 さ れ て お り、
ま た、地 金 が 形 作 ら れ た 凸 部 分 に
るほどです。
風や軒先に付けられた大きな金物の
修 復 に 取 り 掛 か っ て い ま す。御 影 堂
に使用されていた外部錺金物は約八
十 種 類 と 多 種 多 様 で し た。阿 弥 陀 堂
についてもほぼ同じ種類の錺金物が
たる き
用 い ら れ て い ま す が、 目 立 っ て 御 影
堂 と 異 な る 箇 所 が、垂 木 の 錺 金 物 で
こ ぐち
す。御 影 堂 の 垂 木 の 先 は 、 材 木 の 切
断面に白く塗装する木口塗りが施さ
なお、汚れの取り除かれた金物は、
材にあわせてさまざまな研磨材が
に3Dの画像情報として記録しまし
叩 き 直 し を し て 形 を 整 え、も と の 工
どの植物系など、用途や加工品の素
た。こ の 機 器 は 主 に 飛 行 機 や 車 の エ
垂木錺金物
ある。このたびの修復では、樹脂系
法にしたがって漆金箔や墨差しなど
けでなくガラスビーズやナイロンな
の仕上げが施されていきます。
どの樹脂系、
クルミの殻や桃の種な
ンジンなどの精密部品の金型作成の
品の加工のためのサンドブラストが
た め に 用 い ら れ て お り、二 十 メ ー ト
一般的に知られる。最近では、砂だ
ルの範囲を誤差三ミリ以下の精度で
いて、錆を丁寧に落としていました。
これらの工法は湿式の工法として化
学 的 な 作 用︵酸 化 や 硫 化 な ど︶に よ
り 汚 れ を 除 去 し て い た の で す が、少
なからず地金をいためる 危険性や除
去 す る 上 で も 限 度 が あ り、修 復 後 の
経過として錆も発生しやすいもので
ありました。
そ こ で、こ の た び の 阿 弥 陀 堂 の 錺
金 物 の 修 復 は、最 新 の 技 術 で あ る
﹁ショットブラスト﹂という乾式の工
法 を 用 い て、地 金 の 表 面 を 覆 っ て い
のポリビーズが用いられている。
計 測 し ま す。こ れ に よ り、こ れ ま で
わ か ら な か っ た 凹 凸 も 鮮 明 に な り、
間違いのない資料を残すことができ、
さらに後々の管理も非常に容易にな
りました。
再度金箔を押すために取り外した
金 物 は、錆、汚 れ を し っ か り と 取 り
除 く 必 要 が あ り ま す。御 影 堂 の 修 復
では、梅酢に浸すか又は希硫酸を用
漆を接着剤として一枚一枚金箔を貼っていく
る 錆 を 落 と す こ と に し ま し た。
﹁ショットブラスト﹂の工法は、地金
を 傷 め ず に 済 み、後 々 錆 も 発 生 し に
く い も の で あ り、今 後 の 錺 金 物 修 復
のスタンダードになると期待される
工法です。
などの研磨材を混ぜて対象物に吹
金物を取り外す前の確認作業
金物の叩き直し
れているだけでしたが、阿弥陀堂の
金物を慎重に取り外して修復を行
う 際、従 来 は 修 復 後 の 取 り 付 け 位 置
が変わらないように一つひとつに位
置番号をつけ、写真撮 影 や 寸 法 取 り 、
拓 本 採 取 を 行 っ て い ま し た が、こ の
たびの修復では拓本に代 わ り レ ー
ザーを照射して位置情報ととも
き付ける加工法のことで、ガラス製
2
※この修復にあたり、指定寄付を募集しています。
詳しくは、本誌81頁をご覧ください。
凹面に黒い塗料を塗る
(墨差し)
青海波の金物を3D計測中
せいがいは
花弁の内にも規則正しく
打ちこまれている魚子
コンプレッサーによる圧縮空気に砂
は
新
た
な
技
術
も
取
り
入
れ
て
<ショットブラスト>
かざり
阿
弥
陀
堂
外
部
錺
金
物
工
事
御
修
復
の
あ
ゆ
み
ショットブラストにより錆などの汚れを除去中
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真 宗
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