協会員に対する処分及び勧告について 平 成 28 年 6 月 16 日 日 本 証 券 業 協 会 本協会は、本日、下記のとおり、法令等違反の事実が認められた協会員に対し、定款第 28 条第1項の規定に基づく処分及び同第 29 条の規定に基づく勧告を行いました。 記 ○ 日本クラウド証券株式会社 ・ 「分別管理を適切に行っていない状況」及び「顧客に対し必要な情報を適切に通知し ていないと認められる状況」 1.事実関係 (1)分別管理を適切に行っていない状況 当社は、グリーンシート銘柄(日本証券業協会により創設された、非上場株式等の取 引制度に基づく銘柄)の売買等及び募集の取扱いに係る業務(以下、当該行為に係る業務 を「第一種業務」という。)並びに匿名組合の出資持分に係る募集の取扱いに係る業務(以 下、当該行為に係る業務を「第二種業務」という。)に関し、顧客から金銭の預託を受 け(以下、当該金銭を「顧客預り金」という。)、業務システムを使用して両業務に係る 顧客預り金の管理を行うとしていた。 しかしながら、当社経営陣は、法令遵守の意識が不十分であったことから、顧客預り 金を正確に算定するために必要となる社内規程や業務システムを整備するなどの内部 管理態勢を構築しないまま、第一種業務及び第二種業務を運営していた。 このため、当社は、下記ア及びイのとおり、第一種業務及び第二種業務に係る顧客預 り金残高を正確に把握できておらず、遅くとも第二種業務を開始した平成 25 年 12 月 10 日から検査基準日(同 27 年2月 24 日)までの間、顧客預り金について適切な分別管 理ができていない状況を継続させていた。 ア 第一種業務に関し、業務システムへの入力作業において多数の遅延等を発生させて いるところ、それらの補正を完了させておらず、顧客預り金残高を正確に把握してい ない。 イ 第二種業務に関し、上記アと同様に業務システムへの入力作業の遅延等に係る補正 を完了させていないほか、顧客の出資金を匿名組合の営業者名義の銀行口座に送金す るまでの間、当社銀行口座に滞留させている状況にあるにもかかわらず、顧客預り金 として管理すべき金額に含めていない。 日本証券業協会 東京都中央区日本橋茅場町1丁目5番8号 〒103-0025 TEL: 03-3667-8528 FAX: 03-3667-8010 http://www.jsda.or.jp (2)顧客に対し必要な情報を適切に通知していないと認められる状況 当社は、第一種業務又は第二種業務において成立した取引について、金銭の受渡年月 日等を記載した取引残高報告書を業務システムにより作成し、四半期ごとに顧客に交付 している。 しかしながら、当社は、取引量の増加等に伴い業務システムへの取引内容の入力遅延 が発生したことにより、平成 26 年1月から同年9月までの3四半期において、第一種 業務及び第二種業務について、金銭の受渡しに係る事項を正確に記載していない取引残 高報告書を交付しており、受渡状況等につき不適切な情報を顧客に通知している。 2.法令等適用 (1)分別管理を適切に行っていない状況 上記1. (1)の状況は、金融商品取引法第 43 条の2第2項に違反するものと認めら れる。 また、上記(1)については、定款の施行に関する規則第 14 条第2号に規定する「取 引の信義則違反」に該当すると認められる。 (注)上記1. (1)イの状況は、金融商品取引法第2条第8項本文に基づく金融商品取 引法施行令第1条の8の6第1項第4号に規定する内閣府令(金融商品取引法第二条 に規定する定義に関する内閣府令第 16 条第1項第 14 号)に定める金融商品取引業か ら除かれる要件(第二種金融商品取引業を行う法人であって、資本金5干万円以上で ある者が、同法第2条第2項の規定により有価証券とみなされる同項各号に掲げる権 利の募集の取扱いに関して、顧客から預託を受けた金銭を、同法第 42 条の4に規定 する方法に準ずる方法により、当該金銭と自己の固有財産とを分別して管理するも の)を満たしていないため、当社が顧客から金銭の預託を受ける行為は、同法第 28 条 第5項に定める「有価証券等管理業務」に該当することとなり、当該業務を営む第一 種金融商品取引業者に課される同法第 43 条の2第2項に違反するもの。 (2)顧客に対し必要な情報を適切に通知していないと認められる状況 上記1. (2)の状況は、金融商品取引法第 40 条第2号に基づく金融商品取引業等に 関する内閣府令第 123 条第1項第8号に掲げる「顧客の有価証券の売買その他の取引等 に関し、受渡状況その他の顧客に必要な情報を適切に通知していないと認められる状 況」に該当するものと認められる。 3.処分及び勧告の内容 以上のことから、日本クラウド証券株式会社に対し、次のとおり処分及び勧告を行っ た。 日本証券業協会 東京都中央区日本橋茅場町1丁目5番8号 〒103-0025 TEL: 03-3667-8528 FAX: 03-3667-8010 http://www.jsda.or.jp (1)定款第 28 条第1項の規定に基づく処分 会員権の停止6か月及び過怠金の賦課 1,000 万円 (2)定款第 29 条の規定に基づく勧告 以下の事項について、書面で報告すること。 ① 顧客預り金の分別管理及び金銭の受渡しに係る事項の取引残高報告書への正確 な記載といった金融商品取引業の最も基本的な業務に問題が認められた、当社の実 情について、経営陣の主導によりその原因を解明し、責任の所在を明確化するとと もに、経営管理態勢の見直しを行うこと ② 残高照合を拒否している顧客について、今後も対応を継続し、本件経緯の説明及 び残高照合を最優先事項として行い、本件の終結を図ること ③ 業務システムやオペレーションの見直し、社内規程及びマニュアルの整備、人員の 増強等といった現時点で認識されている個々の問題の改善にとどまらず、今後発生す る可能性がある類似の問題を未然に防止し、また、問題を早期に発見し改善を図るた めの業務運営態勢及び内部管理態勢の抜本的な見直しに加え、評価基準の見直しや研 修の実施等により役職員の法令遵守意識の徹底・強化を図ること 4.その他 当社は、本件について、平成 27 年7月3日、業務停止命令(①平成 27 年7月 10 日 から平成 27 年 10 月9日までの間、匿名組合の出資持分の募集の取扱い業務のうち、新 規の勧誘を伴う業務を停止すること、②平成 27 年8月 10 日から平成 27 年 10 月9日ま での間、グリーンシート銘柄の売買等業務のうち、新規の勧誘を伴う業務を停止するこ と、③平成 27 年7月 10 日から平成 27 年 10 月9日までの間、匿名組合の出資持分の募 集の取扱い業務及びグリーンシート銘柄の売買等業務以外の金融商品取引業に係る新 規の業務を行わないこと)及び業務改善命令の行政処分を受けている。 以 ○ 本件に関するお問い合わせ先:規律審査部(℡.03-3667-8475) 日本証券業協会 東京都中央区日本橋茅場町1丁目5番8号 〒103-0025 TEL: 03-3667-8528 FAX: 03-3667-8010 http://www.jsda.or.jp 上
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