協会員に対する処分及び勧告について 日 本 証 券 業 協 会 本協会は、本日

協会員に対する処分及び勧告について
平 成 28 年 6 月 16 日
日 本 証 券 業 協 会
本協会は、本日、下記のとおり、法令等違反の事実が認められた協会員に対し、定款第
28 条第1項の規定に基づく処分及び同第 29 条の規定に基づく勧告を行いました。
記
○
クレディ・スイス証券株式会社
・
法人関係情報等の管理に不備がある状況及び法人関係情報を提供した勧誘等
1.事実関係
(1)法人関係情報等の管理に不備がある状況
当社においては、株式調査部は、同部に所属するアナリストが上場会社に個別取材を
行うなど、上場会社をリサーチし、顧客に対し、アナリスト・レポート等を提供するほ
か、ヘッジファンドや運用会社等の顧客に対する株式営業部のリサーチ営業をサポート
している。
株式調査本部長は、アナリストに対し、有意義な情報を顧客に対して直接提供するこ
とを指導し、平成 27 年1月以降は、アナリスト一人当たり1か月に 100 件という具体
的な数値目標を掲げている。実際に、アナリストは、アナリスト・レポートのほか、電
話や電子メール等によって、上場会社から取材等で取得した情報を顧客や営業員に提供
したり、上場会社への個別取材における顧客との同行訪問によって顧客と情報を取得・
共有したりしている。
また、当社においては、平成 27 年6月以降、アナリストは自己売買の担当者に対し
ても顧客と同様に情報の提供を行っている。
アナリストが上場会社から取材等で取得した情報のうち非公表のものには法人関係
情報が含まれている可能性があるところ、顧客等に提供する情報の法人関係情報該当性
については、アナリスト自身の判断に委ねたまま、株式調査部内においても、コンプラ
イアンス担当者においても、審査がほとんど実施されていなかった。
こうしたことから、平成 27 年9月から 10 月までの間においては、少なくとも5件の
法人関係情報(うち3件はアナリスト・レポートに掲載)について、法人関係情報該当
性の審査がほとんどなされないまま複数の顧客に提供されていた。
日本証券業協会
東京都中央区日本橋茅場町1丁目5番8号 〒103-0025
TEL: 03-3667-8528 FAX: 03-3667-8010
http://www.jsda.or.jp
(2)法人関係情報を提供した勧誘等
平成 27 年9月、Aアナリストは、上場会社である甲社に対する個別取材において、
公表前の半期の連結業績予想(営業利益)に関する法人関係情報(以下「甲社情報」と
いう。)を取得した翌日に、当社営業員1名及び少なくとも1顧客に対し、電話によっ
て甲社情報を伝達している。
そして、甲社情報の伝達を受けた当該営業員が同日中に、少なくとも 33 顧客に対し、
甲社情報を甲社から公表される前に提供して甲社株式の買付けの勧誘を行っていた。
2.法令等適用
(1)法人関係情報等の管理に不備がある状況
当社における上記1.(1)のような法人関係情報の管理の状況は、法人関係情報に係
る不公正な取引の防止を図るために必要かつ適切な措置を講じていないと認められ、金
融商品取引法第 40 条第2号に基づく金融商品取引業等に関する内閣府令第 123 条第1
項第5号に該当するものと認められる。
(2)法人関係情報を提供した勧誘等
当社における上記1.
(2)のような株式の買付けを勧誘する行為は、有価証券の売
買その他の取引等につき、顧客に対して法人関係情報を提供して勧誘する行為と認めら
れ、金融商品取引法第 38 条第8号に基づく金融商品取引業等に関する内閣府令第 117
条第1項第 14 号に該当するものと認められる。
また、当社における上記1.
(1)のような状況及び上記1.(2)のような行為は、
法人関係情報や公表等前のアナリスト・レポートの内容など未公表の情報であって投資
者の投資判断に重大な影響を及ぼすと考えられる重要情報の適正な管理体制を整備す
ることを求める自主規制規則「アナリスト・レポートの取扱い等に関する規則」第8条、
及び重要情報を利用して、協会員の自己取引や一部の顧客への勧誘等を行うことのない
よう指導及び監督することを求める同規則第9条第1項に、それぞれ違反するものと認
められる。
3.処分及び勧告の内容
以上のことから、クレディ・スイス証券株式会社に対し、次のとおり処分及び勧告を行
った。
(1)定款第 28 条第1項の規定に基づく処分
過怠金の賦課 3,000 万円
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(2)定款第 29 条の規定に基づく勧告
以下の事項について、書面で報告すること。
①
本件に係る根本原因を究明・分析し、その責任の所在を明確化したうえ、重要情
報の管理態勢の見直しなど実効性ある再発防止策を策定するとともに、その確実な
実施・定着を図ること
②
営業部門における法令等に対する理解・認識の希薄、法令等遵守意識の欠如が認
められたこと、また、内部管理部門における営業部門に対するけん制や指導が十分
に果たされていたとはいえない状況等を踏まえ、経営陣主導により全社的な法令等
遵守意識の向上に加え、実効性ある経営管理態勢、内部管理態勢及び内部監査態勢
を構築すること
4.その他
当社は、本件について、平成 28 年4月 25 日、業務改善命令の行政処分を受けている。
以
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本件に関するお問い合わせ先:規律審査部(℡.03-3667-8475)
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