平成28年度の主な税制改正

平成28年
月
平成28年度の 主な税制改正
鈴木 基史
法人関係 前編
公認会計士・税理士 法人税率の引下げ
基本税率が23.4%(改正前23.9%)に引き下げられました(中小法
平成27年度
(改正前)
人等の軽減税率は15%のまま)。
事業税率の引下げ措置(下記
平成29年度
平成30年度
)も加えて、実効税率が29.97%(改
法 人 税 率
正前32.11%)に引き下げられます。
平成28年 月1日以後に開始する事業年度から適用
さらに、平成30年
平成28年度
(改正後)
月1日以後に開始する事業年度からは、基本税
基本税率
23.9%
23.4%
23.4%
23.2%
中小法人の
軽減税率
15%
15%
(注)
(注)
実 効 税 率
32.11%
29.97%
29.97%
29.74%
率が23.2%、実効税率が29.74%に下がります。
(注)中小法人の軽減税率の特例(15%)については、平成29年
月31日までに開始する事業年度
に適用されます。適用期限が延長されない場合は、本則19%となります。
事業税の外形標準課税の拡大
① 大法人(資本金1億円超)の事業税率が、次のとおりとされまし
た。
② 上記の改正により事業税が負担増となる法人(欠損法人、事業規
模に比し所得が小さい法人等)には、
年間、負担軽減措置が講ぜ
られます。
平成27年度
(改正前)
平成28年度
(改正後)
平成29年度
③ 平成29年
月1日以後に開始する事業年度から、所得割と収入割
に対する地方法人特別税は廃止されます(付加価値割と資本割に対
0.72%
1.2%
1.2%
資 本 割
0.3%
0.5%
0.5%
1.6%
0.3%
1.9%
所 得 割
付 加 価 値 割
する課税は元々なし)。
参考:中小法人の事業税率〉
平成27年度
年400万円以下
平成28年度
平成29年度
事 業 税
年800万円以下
年800万円超
地方法人特別税
2.3%
0.5%
3.1%
0.7%
93.5%
414.2%
2.7%
3.4%
3.4%
5.0%
年800万円以下
5.1%
5.1%
7.3%
年800万円超
6.7%
6.7%
9.6%
43.2%
43.2%
3.6%
(廃止)
平成28年 月1日以後に開始する事業年度から適用
地方法人税と法人住民税の税率変更
平成29年
年400万円以下
月1日以後に開始する事業年度から、それぞれの標
準税率が次のように変わります。
地方法人特別税
欠損金の繰越控除制度の見直し
平成27年度税制改正において、大法人の繰越控除限度割合の段階的引
下げが行われましたが、その影響を緩和するため再改正がなされました。
平成27年度
平成28年度
控 除 限 度 割 合
平成29年度
平成27年度改正
地 方 法 人 税
(廃止)
4.4%
4.4%
10.3%
平成27年度
平成28年度改正
65%
65%
平成28年度
住 民 税
道 府 県 民 税
3.2%
3.2%
1.0%
60%
平成29年度
55%
50%
平成30年度
市 町 村 民 税
合 計
9.7%
9.7%
6.0%
17.3%
17.3%
17.3%
50%
(注)中小法人は従来どおり、繰越欠損金の全額を控除することができます。
上記の改正に伴い、繰越期間を
年から10年に延長する措置の適用開
始時期が、平成30年度(27年度改正では平成29年度)からとされました。
すず き
もと ふみ
鈴木 基史(公認会計士・税理士)
著者紹介
神戸大学経営学部卒業。大手監査法人に勤務後、昭和57年に鈴木公認
会計士事務所開設。公認会計士試験・税理士試験の試験委員を歴任。
▶著書
「法人税申告書作成ゼミナール」
「法人税申告書別表 ・ ゼミナール」
「個別事例でわかる 法人の修正申告実務」他