住宅前の堆雪処理を目的とした 省力・低コストな埋設型融雪槽 新潟工科大学 建築学科 教授 富永 禎秀 1 積雪地域の住宅地の課題① • 積雪地域において、除雪車によって民地側(車庫前 等)に積み上げられ、硬くなった雪(雪堤)の処理が住 民の大きな負担となっている。 http://blogs.yahoo.co.jp/singikun/54487589.html 2 積雪地域の住宅地の課題② • 積雪地域のニュータウンにおけるアンケート調査 (長岡市、秋田市:2003年実施) その他 その他 Nニュータウン 除雪する範囲が広い Gニュータウン Nニュータウン Gニュータウン 業者に依頼して除雪してもらう 重労働で疲れる 融雪システムによって処理する 雪を捨てる場所がない 小型除雪機で飛ばす 処理する雪の量が多い スノーダンプ等で出入りしていない道路脇に積む 除雪をする人手が少ない スノーダンプ等で庭などの敷地内に運ぶ 早起きが大変 [%] 0 10 20 30 40 50 60 玄関・車庫前の除雪における問題点 [%] 0 10 20 30 40 50 60 玄関・車庫前に積まれた雪の処理方法 雪を捨てる場所がないのが最大の問題 3 積雪地域の住宅地の課題③ • 積雪地域のニュータウンにおけるアンケート調査 (長岡市、秋田市:2003年実施) 100% 80% 非常に感じる やや感じる あまり感じない まったく感じない 60% 40% 20% 0% 全体 20代 30代 40代 50代 60代 70代 Nニュータウン 100% 全体の80%以上が何らか の不安を感じている ⇒理由:高齢に伴う体力 の低下、子供が独立する と除雪できる人が減って しまう等 80% 非常に感じる やや感じる あまり感じない まったく感じない 60% 40% 20% 0% 全体 20代 30代 40代 50代 60代 70代 体力を必要としない簡易な 雪堤処理システムの開発が 課題 Gニュータウン 雪処理に関する将来への不安 4 埋設型融雪槽の開発 • この雪堤処理の方法として、朝、除雪車によって積み 上げられた雪を落とし込み、翌日の朝までの24時間 で融雪処理する住宅用の埋設型融雪槽を開発 雪投入時 融雪時 5 埋設型融雪槽の使用方法 • 前夜の降雪が10数cm程度の日の除雪後であれば,女性であ っても,車が出せる範囲を除雪するために要する時間は10分( 投入雪量約190kg) 6 従来技術の問題点 • 融雪槽内に地下水を散水したり,ボイラ等を利用して 大量の熱を加えて短時間に融雪するものが一般的 • 融雪効果を確実に発揮できる利点はあるが,融雪槽 の内部や外部に多くの装置を必要とすることになり, コスト高 地下水利用型:地下水が利用できる場所に限られる。過 剰な汲み上げによる地盤沈下の問題 ボイラ利用型:熱を間接的に使用する手段であるため,配 送などの過程で熱の損失があり、熱効率が悪い。融雪水 を排水する場合,この融雪水と共に温水の一部も排水さ れてしまうため,エネルギー効率が悪化 7 埋設型融雪槽の基本構成 • 特徴:融雪水が加熱されエネルギー効率が低下することを避 けるため,融雪槽内の傾斜させた底面に熱源を設け,常に 雪塊と熱源が接触する状態を作り出すように融雪水を排水 ボックス・カバー 雪 投入口 プレキャスト・ボックス 中水利用 (散水・洗車等) ボックス・カバー 雪 投入口 融雪マット 断熱材 融水の排水 中水用ポンプ 排水用ポンプ プレキャスト・ボックス 電気式融雪マット(融雪電力)を利用 中水利用 =ゆっくり融かす (散水・洗車等) (翌朝までに融ければよい) 融雪マット 8 埋設型融雪槽の性能評価 • 投入エネルギーから計算される融雪水量190L/日に 対して,融雪水量の実測値は180L/日 • 無駄な水温上昇は生じていない。 ⇒効率は約95%(極めて高効率) 600 kWh 積 算 融 雪 水 量 ( )L ) 500 融雪水温 積算融雪水量(L) 4.0 消費電力(kWh) 400 温度[℃] 消 費 電 力 ( 5.0 300 200 3.0 2.0 100 1.0 0 0.0 12:00 2/22 0:00 2/23 12:00 2/23 0:00 2/24 12:00 2/24 0:00 2/25 融雪水量と消費電力 12:00 2/25 12:00 0:00 12:00 0:00 12:00 0:00 12:00 2/22 2/23 2/23 2/24 2/24 2/25 2/25 融雪水温の変化 9 新技術の特徴 • 簡単・確実な融雪 • 誰でも簡単にできる楽な投入作業 • 省エネ・低コスト 初期費用:35万円程度(施工費を除く):従来市販されてい る同程度の容積で消費電力がやや大きい電気式埋設型 融雪槽の半額以下 運転コスト:約160円/日(使用日のみ) • 楽なメンテナンス(ほぼ不要) • 多様な用途:散水などの中水タンクとして 10 想定される用途 豪雪地域 • 既存住宅への設置(特に高齢者の住まい) • 住宅地開発等における一斉導入による付加価値づく り • マンション、アパート等の駐車場への導入 非豪雪地域 • 気候変動に伴う突発的な降雪に対応する貯水槽も 兼ねた防災設備(重要施設) 11 実用化に向けた課題 • 基本的な性能については実証済み。 • 普及のためには、さらなる初期費用の低コス ト化が課題である。 • 製品のPRも含めた、販路開拓や住宅メーカ 等との連携が必要である。 12 本技術に関する知的財産権 • • • • • 発明の名称 出願番号 特許番号 出願人 発明者 :融雪装置 :特願2003-208177 :4259943号 :新潟工科大学 :青木 泰伸、富永 禎秀、 高橋 正男、藤井 伸之、 後藤 信一、浅妻 貴夫 13 産学連携で取り組む主な課題 • 風洞実験及び数値流体力学(CFD)解析による 建築の風利用設計支援、風害評価・対策提案 連携先:ゼネコン、住宅メーカー、建設コンサルタント • 強風による飛雪、飛砂問題の対策提案 連携先:建設コンサルタント、ゼネコン • 建築用分散型エネルギーシステム(マイクログ リッド)の構築及び導入支援 連携先:ゼネコン、エネルギー関連企業 14 お問い合わせ先 新潟工科大学 地域産学交流センター リサーチアドミニストレータ- 高橋 正子 TEL 0257-22-8110 FAX 0257-22-8123 e-mail [email protected] 15
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