(農学)(2/6) (PDF:2804KB)

第4章
基本調査結果
1.教員レベルでの教育と研究のバランス
(1)教育と研究の相互作用
まず、教育と研究のバランスについて、教員調査において、
「教育と研究の関係性」、
「教
育と研究の時間配分の現実と理想」、「教育と研究の時間的なバランスの詳細」についての
回答を求めた。教員自身の研究成果を教育に反映できていると考えている割合は85.7%
と高い。また、教育活動により得られた情報が研究に効果的に反映されている割合も57.
1%と比較的高い値を示しており、教育と研究の相乗効果や相互作用が認められる。
教育と研究のバラン 時間配分の現 教育と研究の
ス
状と理想
関係
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
自身の研究成果を教育に反映できている。
教育(授業・学生指導)で得た情報が研究に反映されてい
る。
36.1%
15.0%
42.1%
どちらかというと教育活動より、研究活動に時間を割いてい
11.3%
る。
27.1%
どちらかというと教育活動より、研究活動に時間を割きたい
と考えている。
19.5%
研究にもっとウェイトをおきたいが、教育(学生指導含む)に
時間を取られている。
18.0%
教育(学生指導含む)にもっとウェイトをおきたいが、研究に
3.0%
時間を取られている。
教育や研究にもっとウェイトをおきたいが、大学の管理運営
(会議、学内外の役職)や学内行事に時間を取られている。
あてはまる
ややあてはまる
図 4-1
どちらともいえない
49.6%
21.1%
27.1%
33.1%
27.8%
33.8%
あまりあてはまらない
42.1%
30.1%
20.3% 1.5%
10.5%
24.1%
33.8%
33.1%
30.1%
8.3%6.0%
2.3%
10.5% 0.8%
15.8%4.5%0.8%
21.1%
17.3% 14.3% 8.3%
あてはまらない
無回答
教員調査による教育と研究のバランス(教員調査)
(2)教員評価における教育と研究のバランス
図 4-2 示したように、教員の人事評価に関して「教員の人事評価の際には、どちらかとい
うと教育活動より、研究活動を重視している」と問うたところ、学科では5割程度が「あ
てはまる(あてはまる+ややあてはまる)」としている。専攻では6割が「あてはまる(あ
てはまる+ややあてはまる)」としており、学科に比較して研究に10%程度多く重視して
いる。
研究に評価のウェイトおいている割合は学科で50%程度、専攻で60%程度である。
一方、研究にウェイトをおいているとはいえないとした学科は6%、専攻は7%と非常に
少ない。教員評価においては、研究評価に重きが置かれている。
71
32%
専攻
29%
28%
学科
0%
10%
22%
26%
20%
30%
3% 5%
35%
40%
50%
60%
70%
9%
4%1%6%
80%
90%
あてはまる
ややあてはまる
どちらともいえない
あまりあてはまらない
あてはまらない
無回答
100%
図 4-2 教員の人事評価の際には、どちらかというと教育活動より研究活動を重視している
(3)教育と研究の時間配分に関する状況
教育と研究の時間配分について、現状を図 3 に学科・専攻調査と教員調査の結果を合わ
せて表示した。「教育活動より、研究活動に時間を割いている」という質問に対しては、学
科調査、専攻調査、教員調査に大きな差はなく、いずれも 4 割程度が「あてはまる(あて
はまる+ややあてはまる)」と回答している。
0%
10%
20%
30%
教員調査
11.3%
27.1%
学科調査
10.0%
29.3%
専攻調査
11.8%
あてはまる
図 4-3
40%
50%
70%
27.1%
30.0%
29.4%
ややあてはまる
60%
30.9%
どちらともいえない
あまりあてはまらない
80%
90%
10.5%
24.1%
6.4% 5.0%
19.3%
15.4%
100%
2.2% 10.3%
あてはまらない
無回答
現状「どちらかというと教育活動より、研究活動に時間を割いている」
72
0%
10%
教員調査
学科調査
専攻調査
19.5%
9.3%
7.4%
あてはまる
図 4-4
20%
30%
40%
50%
60%
33.1%
80%
90%
52.9%
30.9%
44.1%
どちらともいえない
あまりあてはまらない
100%
10.5% 2.3%0.8%
33.8%
24.3%
ややあてはまる
70%
5.0%3.6%5.0%
2.9%4.4%
あてはまらない
10.3%
無回答
希望「どちらかというと教育活動より、研究活動に時間を割きたい(割いて欲しい)」
時間配分に関する希望を問う質問「どちらかというと教育活動より、研究活動に時間を
割きたい」、
「あてはまる(あてはまる+ややあてはまる)
」に対しては、教員調査では 5 割
を超えるのに対し、学科調査では 3 割、専攻調査では 4 割弱となっている。教員個人は現
状より研究にウエイトを置きたいと考えている。学科長、専攻長としては現状よりは教育
に少しシフトして欲しいように思われる。
(4)大学管理・運営業務とのバランス
教育と研究だけではなく、教員の業務全般における時間配分を図 4-5 に示した。
図 4-5 1年間に仕事をする時間を 100%とした時の各業務の割合(n=131)
1年間に仕事をする時間(労力)を 100%とした場合、「教育・研究以外の業務(管理運
営(会議出席等)、学外活動(学会、審議会等)、臨床等その他)」の割合は、27.4%となっ
ており、「研究」の割合とほとんど変わらなくなっている。
73
図 4-1 に示したように、教員調査では、「教育や研究にもっとウェイトをおきたいが、大
学の管理運営(会議、学内外の役職)や学内行事に時間を取られている」にあてはまる(あ
てはまる+ややあてはまる)割合が 60.2%と高いことと符合している。
また、図 4-6 の教育上の課題に関して、教員調査と学科・専攻調査で比較しても、いずれ
も「(多忙で)十分な研究室での指導が行えない」「(多忙で)授業の準備等に十分な時間が
確保できない」の割合が高くなっている。
0%
10%
十分な授業(座学)の枠が確保できない
20%
3.6%
7.4%
30%
40%
37.6%
52.9%
45.6%
48.9%
(多忙で)十分な研究室での指導が行えない
66.4%
58.8%
4.3%
1.5%
学生の授業や研究に対する意欲が低い
12.0%
11.8%
30.8%
22.9%
30.8%
35.7%
36.0%
学生のレベルにバラつきがあり、授業を行いにく
い
FD活動等に対する参加する時間がない(教員の
参加意識が低い)
3.0%
2.9%
0.7%
6.0%
課題はない・無回答
図 4-6
17.1%
14.0%
6.8%
7.9%
6.6%
14.3%
10.7%
13.2%
その他
教員調査
70%
17.3%
(多忙で)授業の準備等に十分な時間が確保で
きない
授業や研究指導の改善方法がわからない
60%
19.5%
16.4%
10.3%
十分な授業(実習、演習等)の枠が確保できない
実習を充実させたいが、実習地がない
50%
学科調査
専攻調査
教育上の課題(複数回答)
(教員調査 Q9、学科調査 Q21、専攻調査 Q21)
「教員が多忙であり、教育(特に授業準備時間の創出と学生の研究指導の時間創出)に
影響を感じている」という認識は学科長や専攻長などの教育組織の長にも教員個人にも双
方に認識されている。多忙であることの具体的内容に関しては、教員自身の研究活動、学
会活や審議会等の社会的貢献、学内の管理・運営業務など多様ではあろう。しかし、学科・
専攻と教員の双方がそのように感じているということが、実証データとして得られたとい
74
う事実は重要である。これは、大学の規模や立地などに関わらない結果である。
2.教育が目指す資質と能力
農学系の大学教育が育成を目指している資質や能力に対する、大学の自己評価、企業側
の評価と期待、さらには出身者からの評価をアンケート調査に収集し、これら3者間の関
係分析を通じてマッチングの現状について実態把握を行った。
(1)学位(学士、修士、博士)と職種との関係
農学系出身者に求める資質と能力について、学科・専攻調査項目「育成を目指す能力」
と、企業調査項目「農学系出身者に最も求める能力」を比較した。設問で挙げた能力につ
いては下記のとおりである。
表 4-1
資質と能力
趣旨
設問
1.専門分野の研究・開発能力
専門性に卓越し、先進的な研究・開発を行う能力
2.専門技術者としての能力
専門性を生かして活躍する技術者としての能力
大学で学ぶ専門性を必ずしも生かす必要はないが、そ
3.ジェネラリストとしての技術者
こで学んだ考え方、学びの技術を生かして、幅広い分
野で活躍できる技術者としての能力
4.職業人としての基礎的能力
大学で学んだ専門性を生かしつつ、技術分野以外でも
活躍できる能力
5.学士:社会人基礎力
修士・博士:研究・開発チームの
特定の専門にこだわらず、意欲や基礎力を備えて活躍
有能なメンバー・リーダーとして
できる能力
の能力
農学系の教育課程において学科・専攻が「育成を目指す能力」と、企業が「農学系出身
者に最も求める能力」を比較した。学科・専攻科調査が複数回答、企業調査が単一回答と
しため、定性的な比較を行う。
図 4-7,8,9 に、大学が育成すべき資質・能力として、学士、修士、博士の各課程において
重視しているものを示し、図 4-10 に企業が求めている資質・能力を学歴ごとに示した。さ
らに、図 4-11 に出身者調査により、学歴ごとの現在の職種を示した。この3つの調査結果
を比較考察する。図 4-7 でわかるように、大学は学士課程においては「専門性を生かして活
躍する技術者としての能力」に最も重点を置いていた。また、「大学で学ぶ専門性を必ずし
も生かす必要はないが、そこで学んだ考え方、学びの技術を生かして、幅広い分野で活躍
できる技術者としての能力」すなわちジェネラリストとしての能力についても同様に重視
75
している。
0%
専門性に卓越した先進的な研究・開発を担う能力
10%
20%
11.5%
40%
50%
50.6%
大学で学ぶ専門性を必ずしも活かす訳ではないが、そこで学んだ考え方、学
びの技術を活かして、幅広い分野で活躍できる技術者としての能力
80%
90%
48.7%
19.9%
大学で専門を学ぶが、卒業後は技術と関わらない仕事につくことも意識して
3.8%
いる(カリキュラムではその意識は明確化されていないかもしれない)
26.9%
将来、多様な業務に携わることを前提として、特定の専門には偏らず、幅広
5.1%
い知識・技術を提供し、汎用的能力を育てようとしている
最もあてはまる
70%
30.8%
31.4%
大学で専門を学ぶが、卒業後は技術と関わらない仕事につくことも意識して
1.9%
いる(カリキュラムにもその意識が反映されている)
22.4%
あてはまる
大学が育成を目指す能力(学部)(学科:n=156)
0%
専門性に卓越した先進的な研究・開発を担う能力
10%
20%
15.0%
専門性を活かして活躍する技術者としての能力
30%
40%
50%
24.8%
32.0%
43.1%
大学で専門を学ぶが、卒業後は技術と関わらない仕事につくことも意識して
3.3% 10.5%
いる(カリキュラムにもその意識が反映されている)
大学で専門を学ぶが、卒業後は技術と関わらない仕事につくことも意識して
2.6%
いる(カリキュラムではその意識は明確化されていないかもしれない)
将来、多様な業務に携わることを前提として、特定の専門には偏らず、幅広
3.3%
い知識・技術を提供し、汎用的能力を育てようとしている
最もあてはまる
18.3%
19.6%
あてはまる
大学が育成を目指す能力(修士)(専攻:n=153)
76
60%
35.3%
39.9%
大学で学ぶ専門性を必ずしも活かす訳ではないが、そこで学んだ考え方、学
びの技術を活かして、幅広い分野で活躍できる技術者としての能力
図 4-8
60%
41.7%
専門性を活かして活躍する技術者としての能力
図 4-7
30%
70%
80%
0%
10%
専門性に卓越した先進的な研究・開発を担う能力
30%
40%
49.7%
専門性を活かして活躍する技術者としての能力
大学で学ぶ専門性を必ずしも活かす訳ではないが、そこで学んだ考え方、学
びの技術を活かして、幅広い分野で活躍できる技術者としての能力
20%
16.3%
7.2%
50%
60%
10.5%
38.6%
27.5%
大学で専門を学ぶが、卒業後は技術と関わらない仕事につくことも意識して
2.6%3.9%
いる(カリキュラムにもその意識が反映されている)
大学で専門を学ぶが、卒業後は技術と関わらない仕事につくことも意識して
0.0%
5.9%
いる(カリキュラムではその意識は明確化されていないかもしれない)
将来、多様な業務に携わることを前提として、特定の専門には偏らず、幅広
1.3% 11.1%
い知識・技術を提供し、汎用的能力を育てようとしている
最もあてはまる
あてはまる
図 4-9 大学が育成を目指す能力(博士)(専攻:n=153)
※「最もあてはまる」「あてはまる」のいずれも複数回答。ただし、
「最もあてはまる」を回答していない
学科、専攻も存在することに注意が必要。
企業も学士課程出身者には「大学で学ぶ専門性を必ずしも生かす必要はないが、そこで
学んだ考え方、学びの技術を生かして、幅広い分野で活躍できる技術者としての能力」も
高く期待しているが、それとともに「特定の専門にはこだわらず、意欲や基礎力を備えて
活躍できる能力」をより重視している。図 4-11 の学士課程の出身者の職種は、事務職、営
業職、セールスエンジニアなどが50%を超え、大学や企業のスタンスと整合している。
修士課程に対して大学は、研究・開発の能力を含めて専門技術者としての資質・能力の
育成を重視している。企業は、専門技術者としての能力や先進的な研究・開発への期待も
増えている。これも、修士課程出身者の職種分布そ整合しており、研究者が28.5%、
開発職が9.0%、生産技術職が4.2%と、品質管理職が11.4%と半数以上が研究
職・専門技術者となっており、大学と企業の思いはおおよそ合致している。
博士課程では、大学は「専門性に卓越し、先進的な研究・開発を行う能力」の育成に重
点を置いている。企業も「専門性に卓越し、先進的な研究・開発を行う能力」に期待して
いる。それとともに、専門技術者としての能力も期待している。博士課程の出身者は半数
が研究者で大半が専門技術者と言える。また、企業としては、高度な研究者として自分の
狭い専門のみを担当するのではなく、研究チームのリーダーとしては、隣接分野や関連分
野に精通できる能力が必要であるため、「特定の専門にこだわらず、意欲や基礎力を備えて
活躍できる能力」や「大学で学んだ専門性を生かしつつ、技術分野以外でも活躍できる能
力」などの資質を期待している。学士課程においてもこの能力を企業は期待しているが、
その趣旨は異なると推定される。(なお、学科・専攻科調査が複数回答、企業調査が単一回
答、出身者調査は単一回答であることを結果の解釈において留意すべきである。
)
77
70%
0%
5%
10%
15%
20%
25%
30%
1.5%
専門性に卓越し、先進的な研究・開発を担う能力
3.5%
16.0%
10.1%
専門性を活かして活躍する技術者としての能力
15.4%
10.7%
22.0%
大学で学ぶ専門性を必ずしも活かす訳ではないが、そこで学んだ考え方、
学びの技術を活かして、幅広い分野で活躍できる技術者としての能力
19.3%
12.8%
12.8%
14.0%
大学学んだ専門性を活かしつつ、技術分野以外でも活躍できる能力
9.5%
27.6%
特定の専門にはこだわらず、意欲や基礎力を備えて活躍できる能力
18.8%
15.2%
11.8%
積極的に現場で活動できる能力
5.0%
4.8%
3.5%
2.9%
2.9%
その他
10.7%
無回答
21.2%
28.1%
学部生
図 4-10
0%
修士
博士
農学系分野の大学・大学院出身者に最も求める能力(n=736)
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
0.9%
学部(n=640)
修士(n=166)
5.3%
5.6% 4.5% 3.1%
5.5% 4.8%
0.8% 0.2%
1.9%
23.5%
博士(n=44)
9.0%
12.3%
2.0%3.9% 3.3%
4.2%
3.0%
2.4%
11.4%
47.7%
0.3% 1.6%
3.3%
29.7%
0.6%
5.4%
2.4%
5.4%
0.6%
2.4%
1.2%
2.3% 2.3%
2.3%
13.6%
100%
10.9%
0.6%
10.2%
3.0%3.6%
10.8%
27.3%
研究職
開発職
生産技術職
製造職
生産管理職
品質管理職
調達
企画職
セールスエンジニア
営業職
コンサルタント
システムエンジニア
MR
販売職
事務職
農業従事者
教員
大学教員
獣医
その他
図 4-11 学歴別
90%
4.5%
現在の職種(n=850)
※本調査における学歴分布から、修士/学士が 25.7%とほぼ学校基本調査の値(23.3%)に同程度である。博士/修士
は 26.7%で学校基本調査の値の倍以上になっている。学校基本調査では、人文社会系なども含んでいることから、農学
系の比率としては現状とそれほどかけ離れてはいないと推察される。
78
以上、図 4-7~図 4-11 で見たように、大学調査、企業調査、出身者調査の結果は定性的
には整合している。
また出身者学歴別に、修めた専門分野が、大学(大学院)卒業後の仕事につながるイメージ
をもっていたかどうかを問うた。これも、当然ながら、学歴が進むにつれて、そのイメー
ジが強くなるという結果が示された。
0%
10%
学部(n=640)
20%
30%
25.0%
修士(n=166)
40%
50%
19.7%
70%
80%
90%
25.9%
12.0%
28.9%
9.1%
65.9%
100%
26.4%
28.9%
33.1%
博士(n=44)
60%
9.1%
15.9%
つながるイメージを持っていたし、実際につながっていると思える
つながるイメージを持っていたが、実際にはつながっているとは思えない
つながるイメージはなかった
考えたことがなかった
図 4-12
0%
20歳代
30歳代
40歳代
50歳代
10%
20%
20.5%
29.5%
26.9%
専門分野と仕事の関連性(n=850)
30%
40%
50%
60%
70%
36.4%
20.5%
17.9%
19.9%
31.5%
22.5%
80%
90%
100%
22.7%
28.9%
23.7%
28.7%
24.5%
24.9%
21.1%
つながるイメージを持っていたし、実際につながっていると思える
つながるイメージを持っていたが、実際にはつながっているとは思えない
つながるイメージはなかった
考えたことがなかった
図 4-13 年齢別、出身者の専門分野が、その仕事がつながるイメージ
79
(2)職業人共通の資質と能力
今日の職業人として分野や職種を問わず求められる4つの役割(専門家、被雇用者、指
導者、知的市民)に係わる資質と能力を8つの設問として企業調査、大学調査に配した。
表 4-2
職業人共通の資質と能力
①仕事の基本となる専門知識を得ることができる
A.専門家としての
②仕事の基本となる技術を得ることができる
③仕事に直接役立つ専門知識を得ることができる
B.被雇用者として
C.指導者として
④仕事のやり方(現場作業や研究作法等)などを学ぶのに役立つ
⑤現場での積極性や、誠実さを身につけられる
⑥異分野領域間の調整能力が身につけられる
⑦業界・分野の全体像を体系的・総合的に把握することに役立つ
D.知的市民として
⑧勉強や研究する習慣を身につけられる
80
図 4-14
職業人共通の資質と能力に関しての学科、出身者、企業ごとの見方
これらについて、大学、出身者、企業の見方を図 4-14 に示した。「仕事の基本となる専
門知識を得ることができる」については、企業、出身者、大学共に最も高い値を示した。
「仕
81
事に基本となる技術」についても3者ともに高い値で一致している。逆に、「異分野領域間
の調整能力を身に着けられる」は、この図では3者とも低い値を示している。
(3)学力、社会性、実務能力に関するマッチング
表 4-3 に職業人としての資質・能力の評価項目として、学力・社会性・実務の観点から1
2項目を挙げた。
表 4-3
学力、社会性、実務能力に関連する評価項目
a.専門知識・専門科目の学力
学力
b.基礎学力・一般教養
c.外国語(英語など)の能力
d.仕事に対する理解力・適応力
e.仕事の報告・連絡・相談
社会性
f.様々な人と話せるコミュニケーション能力
g.言われなくても取り組む姿勢
h.チームワーク・協調性
i.パソコン操作などの能力
実務能力
j.資格
k.異文化に関する知識やビジネスマナー
l.海外の農学関連分野に関する知識
①企業の期待
図 4-15 に a~l.の12の項目について、企業が求めるものを問うた。各項目について、強
く求めている=5 点、求めている=4 点、どちらともいえない=3 点、あまり求めていない=2
点、求めていない=1 点、として得点化処理を行った。すなわち3点を基準点として、それ
以上であれば求めている、それ以下であれば求めていないことになる。
82
0.00 0.50 1.00 1.50 2.00 2.50 3.00 3.50 4.00 4.50 5.00
a 専門知識・専門科目の学力
3.47
b 基礎学力・一般教養
4.06
c 外国語(英語など)の能力
2.91
d 仕事に対する理解力・適応力
4.31
e 仕事上の報告・連絡・相談
4.34
f 様々な人と話せるコミュニケーション力
4.44
g 言われなくても進んで取り組む姿勢
4.38
h チームワーク、協調性
4.36
I パソコン操作などの能力
3.77
j 資格
2.87
k 異文化に関する知識や海外でのビジネスマナー
2.80
l 海外の農学関連分野に関する知識
2.58
※強く求めている=5 点、求めている=4 点、どちらともいえない=3 点、あまり求めていない=2 点、求めて
いない=1 点、として計算
図 4-15
企業側が農学系分野の大学・大学院出身者求めている能力(n=736)
学力では、a.基礎学力・一般教養が最も高く、次いで、b.専門知識・専門科目の学力も求
められている。外国語(英語など)は 3.0 より低く、あまり求められていないという傾向を
示している。ただし、ヒアリングなどで企業に問うたところ、英語の能力は必要であると
の意見が多く、英語の学力の問い方には検討が必要と考えられる。社会性については、d.
仕事に対する理解力・適応力、 e.仕事の報告・連絡・相談、f.様々な人と話せるコミュ
ニケーション能力、g.言われなくても取り組む姿勢、h.チームワーク、協調性といった
5項目すべてを強く求めている。実務に関連する能力としては、i.パソコン操作などの
能力のスコアが高いが、j.資格、k.異文化に関する知識は海外でのビジネスマナー、l.
海外の農業関連分野に関する知識などは3.0以下で低い値となっている。
なお、ここで企業側が例示した資格は、下記のようなものであった。
管理栄養士
獣医師(※回答多数あり)
授精師
食品衛生監視員
森林組合監査士
森林評価、森林経営、森林環境
83
土木施工管理技士
簿記検定
運転免許・危険物等
応用情報技術者
技術士
車の普通免許
重機
証券外務員資格(Ⅱ種・Ⅰ種)
森林施業プランナー
専門医
宅建
FP
毒劇物取扱
農業土木技術
図 4-16
分野別で企業側が農学系分野の大学・大学院出身者求めている能力(n=736)
次に、分野別に求める能力を図 4-16 に示した。そこで特徴的専門は獣医であり、当然の
ことながら獣医師資格を求めているとともに、すべての項目で他の業種より高い能力を求
めている。また、農水産業組合では、林業技士など各組合の業務に必要な資格を求めてい
るとみられる。
図 4-17 に、①30人未満、②30人以上300人未満、③300人以上1000人未満、
④1000人以上と自治体という5つの企業規模別に、農学系分野の大学・大学院出身者
求めている能力を示した。企業規模が異なっても、図 4-15 に示した傾向は変わらない。学
力では基礎学力・一般教養を重要視しており、社会性に関する資質や能力が特に重要と考
84
えている。30未満の零細な規模の場合、a.専門知識・専門科目の学力、b.基礎学力・一般
教養などを最も高く重要視しており、資格についても唯一3.36と重視していると答え
ている。
0.00 0.50 1.00 1.50 2.00 2.50 3.00 3.50 4.00 4.50 5.00 3.94 3.51 a 専門知識・専門科目の学力
2.88 3.26 3.42 3.94 4.06 4.22 4.15 4.04 b 基礎学力・一般教養
3.01 2.71 2.92 3.10 2.84 c 外国語(英語など)の能力
4.35 4.42 4.25 4.28 4.27 d 仕事に対する理解力・適応力
4.38 4.44 4.31 4.32 4.29 4.42 4.48 4.58 4.53 4.35 e 仕事上の報告・連絡・相談
f 様々な人と話せるコミュニケーション力
g 言われなくても進んで取り組む姿勢
4.43 4.46 4.36 4.46 4.27 h チームワーク、協調性
4.34 4.44 4.31 4.45 4.31 3.91 3.84 3.72 3.55 3.82 I パソコン操作などの能力
3.36 2.93 j 資格
k 異文化に関する知識や海外でのビジネスマナー
2.92 2.71 2.73 2.89 2.69 l 海外の農学関連分野に関する知識
2.90 2.41 2.30 2.37 2.63 30人未満
図 4-17
2.51 2.57 2.82 30~300人未満
300~1000人未満
1000人以上
自治体
企業規模別で企業側が農学系分野の大学・大学院出身者求めている能力(n=736)
85
②出身者の評価
0%
a 専門知識・専門科目の学力
b 基礎学力・一般教養
c 外国語(英語など)の能力
d 仕事に対する理解力・適応力
10%
g 言われなくても進んで取り組む姿勢
h チームワーク、協調性
i パソコン操作などの能力
j 資格
図 4-18
50%
60%
70%
3.9% 15.9%
29.3%
9.3%
10.7%2.9%
34.1%
16.8%
13.1% 6.1%
43.2%
17.2%
35.8%
33.3%
100%
10.4%3.8%
39.4%
26.7%
90%
30.7%
32.1%
9.3%
80%
23.4%
45.9%
9.8%
6.6%
16.1% 5.5%
12.6%
33.8%
38.0%
10.8% 4.8%
9.8%
37.6%
37.4%
10.9%4.2%
12.2%
28.8%
7.2%5.3%
28.7%
31.1%
10.4%
31.3%
l 海外の農学関連分野に関する知識 2.8%10.7%
どちらかというと身につけた
40%
46.0%
k 異文化に関する知識や海外でのビジネスマナー 2.5%9.8%
身につけた
30%
16.5%
e 仕事上の報告・連絡・相談 6.4%
f 様々な人と話せるコミュニケーション力
20%
31.5%
どちらともいえない
17.8%
46.1%
21.3%
35.2%
19.8%
35.2%
あまり身につけていない
12.5%
身につけていない
出身者が身に着けたと考えている能力(学士、修正、博士の全体)
さらに、同じ 12 項目について、出身者がこれらの能力を身につけることができたかどう
かを尋ねた。ここでは、a.専門知識・専門科目の学力を最も身に着けたと考えており、
次いで、b.基礎学力・一般教養、となっている。社会性はこれらより低い評価とはなっ
ているが、比較的高い評価となっている。このように、同じ11項目設に対して企業調査
と出身者調査を比較してみると、ほぼ平仄が合っており、出身者の自己評価と企業の求め
る能力はほぼ対応している。社会性の部分が若干、出身者の方が企業が求めているよりは
低い自己評価となっている。
出身者の自己評価について、学士、修士および博士の学歴別に示した。修士では学士よ
り学力および社会性の自己評価が高くなっている。また、外国語も若干身についたとして
いる割合が増加している。博士では、よりこの傾向は強まり、学力と社会性で大きく能力
が身についたと自己評価しており、また、実務能力も総じて増加している。
86
0%
a 専門知識・専門科目の学力
10%
20%
30%
11.1%
40%
50%
60%
70%
44.2%
b 基礎学力・一般教養 6.4%
46.1%
c 外国語(英語など)の能力 2.7%10.8%
28.0%
d 仕事に対する理解力・適応力 6.1%
g 言われなくても進んで取り組む姿勢
8.1%
h チームワーク、協調性
7.5%
i パソコン操作などの能力
8.1%
32.0%
11.7% 3.8%
19.1%
14.7%
19.2%
35.5%
33.1%
29.2%
30.2%
10.0%4.7%
20.9%
10.9%
15.3%
48.3%
k 異文化に関する知識や海外でのビジネスマナー 1.9%
7.8%
30.0%
21.6%
38.8%
l 海外の農学関連分野に関する知識 1.7%9.1%
29.7%
20.5%
39.1%
身につけた
図 4-19
どちらかというと身につけた
どちらともいえない
5.9%
11.9% 5.6%
39.1%
26.4%
6.7%
7.5%
17.7%
41.3%
38.8%
j 資格 5.9%4.7%
12.8% 4.7%
44.8%
33.9%
100%
27.2%
42.5%
25.0%
f 様々な人と話せるコミュニケーション力 7.0%
90%
39.5%
30.0%
e 仕事上の報告・連絡・相談 3.4%
80%
あまり身につけていない
身につけていない
大学・大学院における勉強や経験を通じて身につけた力:学部卒(n=640)
0%
10%
a 専門知識・専門科目の学力
b 基礎学力・一般教養
c 外国語(英語など)の能力
d 仕事に対する理解力・適応力
6.0%
j 資格
32.5%
22.3%
11.4% 5.4%
図 4-20
40.4%
10.2%4.2%
39.8%
12.0% 3.6%
36.7%
どちらともいえない
9.0%2.4%
13.3% 3.0%
36.1%
31.9%
36.7%
36.7%
10.8%
10.2% 5.4%
28.3%
34.9%
9.0% 4.8%
28.9%
41.0%
10.2%
21.7%
26.5%
20.5%
26.5%
あまり身につけていない
身につけていない
大学・大学院における勉強や経験を通じて身につけた力:修士(n=166)
87
100%
7.2%
0.6%
19.3%
38.0%
20.5%
90%
12.0% 3.6%
1.2%
29.5%
33.1%
12.7%
80%
30.7%
39.8%
l 海外の農学関連分野に関する知識 3.6% 12.7%
どちらかというと身につけた
70%
36.1%
k 異文化に関する知識や海外でのビジネスマナー 1.8%13.3%
身につけた
60%
44.0%
15.1%
12.0%
50%
55.4%
27.7%
f 様々な人と話せるコミュニケーション力
i パソコン操作などの能力
40%
17.5%
12.0%
h チームワーク、協調性
30%
27.7%
e 仕事上の報告・連絡・相談
g 言われなくても進んで取り組む姿勢
20%
0%
10%
20%
a 専門知識・専門科目の学力
身につけた
図 4-21
どちらかというと身につけた
18.2%
40.9%
25.0%
29.5%
27.3%
どちらともいえない
2.3%
20.5%
あまり身につけていない
4.5%
34.1%
15.9%
38.6%
2.3%
2.3%
15.9% 2.3%
34.1%
13.6%
15.9%
9.1% 6.8%
27.3%
31.8%
40.9%
13.6%
13.6% 2.3%
25.0%
27.3%
31.8%
9.1%
11.4% 6.8%
29.5%
27.3%
40.9%
100%
31.8%
27.3%
31.8%
i パソコン操作などの能力
90%
11.4%
22.7%
34.1%
27.3%
h チームワーク、協調性
80%
11.4% 9.1%
45.5%
g 言われなくても進んで取り組む姿勢
70%
36.4%
34.1%
f 様々な人と話せるコミュニケーション力
l 海外の農学関連分野に関する知識
60%
50.0%
13.6%
e 仕事上の報告・連絡・相談
k 異文化に関する知識や海外でのビジネスマナー
50%
29.5%
d 仕事に対する理解力・適応力
j 資格
40%
52.3%
b 基礎学力・一般教養
c 外国語(英語など)の能力
30%
15.9%
6.8% 11.4%
身につけていない
大学・大学院における勉強や経験を通じて身につけた力:博士(n=44)
出身者が大学・大学院において身に着けた能力として自己評価しているものを年齢別に
比較した。ここでも、年齢間で大きな影響は見られない。
(4)大学での学習・経験の仕事への役立ち方
理工系(農学系含む)の大卒・大学院卒の正社員・職員にとって、大学における学習・
経験が職場においてどのように役立っているかを聞いたところ、理工系全般と農学系分野
で大きな違いは見られない。農学系分野では「仕事の基本となる専門知識を得ることがで
きる(61.1%)」「勉強や研究する習慣を身につけられる(58.1%)」の割合が高い。上記の
2 項目は、その他製造・建設、動物病院において特に高い。
88
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
62.1%
61.1%
仕事の基本となる専門知識を得ることができる
48.5%
46.1%
42.3%
40.8%
34.8%
34.1%
38.8%
38.9%
仕事の基本となる技術を得ることができる
仕事に直接役立つ専門知識を得ることができる
業界・分野の全体像を体系的・総合的に把握することに役立つ
仕事のやり方(現場作業や研究作法等)などを学ぶのに役立つ
16.7%
17.7%
異分野領域間の調整能力が身につけられる
32.3%
33.9%
現場での積極性や、誠実さを身につけられる
57.1%
58.1%
勉強や研究する習慣を身につけられる
4.6%
3.5%
4.4%
3.2%
その他
大学時代の勉強は、全く役立っていない
理工系全般(n=520)
図 4-22
70%
農学系分野(n=434)
企業から見て、大学における学習・経験はどのように役立っているか(理工系と
農学系の比較)(複数回答)
農学系分野の大学・大学院出身者に対する企業の見方を聞いたところ、「仕事の基本とな
る専門知識を身につけている」がやや高い。
0%
20%
40%
60%
80%
100%
0.2%
a 仕事の基本となる専門知識を身につけている
9.1%
20.4%
51.5%
16.9%
1.8%
0.7%
b 仕事の基本となる技術を身につけている 7.5% 16.0%
56.6%
16.9%
2.2%
0.5%
c 仕事に直接役立つ専門知識を身につけている 8.0%
21.3%
50.5%
2.6%
17.1%
0.9%
d 就職する業界・分野の全体像を体系的・総合的に把握し
3.8%11.7%
ている
62.7%
17.5%
3.5%
1.1%
e 仕事のやり方(現場作業や研究作法等)を身につけてい
4.2% 13.8%
る
60.3%
3.5%
61.2%
2.7%
17.1%
1.1%
f 異分野領域間の調整能力を身につけている 5.6% 12.4%
16.9%
0.2%
g 仕事現場での積極性や真面目さを身に付けている 6.7%
18.8%
56.1%
1.1%
17.1%
0.5%
h 勉強や研究する習慣を身につけている 4.7% 14.4%
優れている
図 4-23
どちらかといえば優れている
特に差はない
60.8%
もう少し頑張ってほしい
2.0%
物足りない
17.5%
無回答
農学系分野の大学・大学院出身者に対する企業側の見方(n=549)
89
理工系出身者と農学系出身者に対する評価について、企業調査(農学系の専門知識・能
力が必要な企業)と学科・専攻調査の結果を比較した。理工系と農学系の出身者に対する
企業の評価に差はなかった。全体的に大学(学科と専攻)の自己評価より社会の評価が低
い傾向がある。ただし、全体像の把握、異分野間の調整などの指導者としての資質や能力
に対しては、大学側も十分ではないと認めており、また、企業側、出身者も同様である。
出身者(被雇用者)の自己評価よりも企業側(雇用者側)の評価が総じて高い。現場での
実務能力に関しては比較的低い。しかし、この弱い部分は理工系全体でも農学系と共通し
ており、企業側、出身者、大学側も程度の差こそあれ一致している。従来の理工系教育が
被雇用者として専門技術者を養成することに主眼をおいてきたということからすると理解
できる。一方、企業側の採用理由も、まずは専門知識が大きい。その上で、企業側は専門
性の高い人材であるとともに、ジェネラリストとしての資質も求めてもいると解釈可能で
ある。日本の企業の人事運用からみて、若年期においては専門性を重視した仕事を与えな
がら、中年以降はジェネラリストとしての仕事に振むけるという傾向があるが、それを反
映したデータとして見ることもできる。
3.教育カリキュラムと育成する資質・能力の関係
育成している資質と能力を具体的に育成する教育カリキュラムのコンテンツとの関係に
ついて検討する。
(1)授業科目に関するマッチング
教育コンテンツである授業科目などについての社会と大学教育のマッチングについて概
観する。企業として理工系人材全体と農学系人材にそれぞれ期待するもの、学科として充
実していると考えているもの、教員として重視しているもの、農学系出身者が役立ったと
考えているものについて問うた。
表6
カリキュラム
課外活動
私的活動
授業科目
講義科目(教養)
講義科目(専門)
実習科目
実験科目
演習科目
研究室等のゼミ
卒業研究・論文作成
インターンシップ(単位認定)
インターンシップ(単位非認定)
留学
サークル活動やボランティア
アルバイト
90
①企業の重視度
企業に対して新卒採用にあたり重視している授業コンテンツについて聞いたところ、理
工系全般と農学系分野で大きな違いは見られない。農学系分野で重視している項目として、
「講義科目(専門)
(50.6%)」
「講義科目(教養)
」であり、研究室ゼミや、卒論も重視して
いる。課外活動の「サークル活動やボランティア(50.1%)」も高く評価している。分野別
では、食品製造業、その他製造・建設、動物病院において「講義科目(専門)」の割合が高
い。学科および専攻として充実していると考えているのは、専門の講義科目、卒論・修論
などの論文研究、研究室ゼミである。専攻では、論文研究、研究室ゼミ、専門科目の講義
がより高くなっている。
0%
10%
20%
30%
40%
60%
46.2%
46.5%
52.4%
50.6%
講義科目(教養)
講義科目(専門)
31.6%
34.0%
29.8%
27.9%
24.9%
25.4%
実習科目
実験科目
演習科目
41.9%
42.1%
36.6%
36.9%
研究室等のゼミ
卒業研究・論文作成
15.4%
16.1%
16.2%
17.4%
インターンシップ(単位認定)
インターンシップ(単位非認定)
36.8%
36.2%
アルバイト
49.2%
50.1%
サークル活動やボランティア
12.3%
10.5%
留学
20.6%
18.6%
大学時代の学習・経験は重視しない
理工系全般(n=494)
図 4-24
50%
農学系分野(n=409)
理工系(農学系含む)新規学卒者採用で重視している事項(複数回答)
4段階企業規模と自治体という5つの企業カテゴリー別に、農学系の新規学卒採用で重
視している項目を調べた。規模別に特徴的なものを挙げると、1000人以上の大企業で
は、卒業研究・論文作成や研究室ゼミなどを講義科目(専門)と同等以上に重要と考えて
いる。実験科目も他のそれより小さな規模よりも高い値を示している。さらに、留学の重
要性についても 19.8%と高い値を示しており企業活動のグローバル化を反映している。ま
た、自治体では総じて低い値をしめしており、大学時代の学習・経験は重視しないという
ものが約30%と30人未満の規模の企業と同程度の値を示している。
91
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
30.9%
54.7%
講義科目(教養)
67.3%
47.3%
43.3%
48.5%
67.9%
講義科目(専門)
51.9%
50.5%
42.3%
41.2%
37.7%
36.5%
38.5%
実習科目
18.3%
22.1%
26.4%
26.9%
実験科目
40.7%
16.3%
22.1%
24.5%
25.0%
演習科目
36.3%
16.3%
29.4%
37.7%
研究室等のゼミ
51.9%
57.1%
27.9%
26.5%
32.1%
44.2%
50.5%
卒業研究・論文作成
28.8%
20.6%
20.8%
インターンシップ(単位認定)
13.5%
12.1%
17.3%
17.6%
20.8%
15.4%
14.3%
17.3%
22.1%
26.4%
インターンシップ(単位非認定)
50.0%
52.7%
アルバイト
23.1%
41.2%
41.5%
サークル活動やボランティア
65.4%
56.0%
47.1%
7.4%
9.4%
留学
15.4%
19.8%
3.8%
30.9%
大学時代の学習・経験は重視しない
17.0%
9.6%
6.6%
29.8%
30人未満
図 4-25
30~300人未満
300~1000人未満
1000人以上
自治体
農学系含む)新規学卒者採用で重視している事項(規模別)
92
②大学(学科・専攻)の充実度
0%
20%
講義科目(教養)
40%
67.9%
14.7%
実験科目
70.5%
13.5%
演習科目
57.7%
14.1%
研究室等のゼミ
75.6%
10.9%
卒業研究・論文作成
100%
77.6%
12.2%
実習科目
81.4%
9.0%
39.7%
34.6%
インターンシップ(単位認定)
インターンシップ(単位非認定)
7.1%
留学
7.7%
無回答
8.3%
24.4%
58.3%
18.6%
①充実しているもの
②今後、充実させたいもの
学科として充実していると考えている授業コンテンツ
0%
20%
40%
講義科目(教養)
19.0%
13.1%
講義科目(専門)
15.0%
実習科目
実験科目
演習科目
9.2%
52.3%
80.4%
83.0%
21.6%
インターンシップ(単位認定)
インターンシップ(単位非認定)
留学
無回答
100%
49.7%
11.8%
卒業研究・論文作成
80%
42.5%
7.8%
9.2%
60%
69.9%
6.5%
研究室等のゼミ
5.9%
32.0%
20.3%
11.8%
10.5%
46.4%
29.4%
①充実しているもの
図 4-27
80%
50.6%
17.3%
講義科目(専門)
図 4-26
60%
②今後、充実させたいもの
専攻として充実していると考えている授業コンテンツ
大学(学科、専攻)として充実していると考えている授業コンテンツを図 4-26 と 4-27
に示した。卒業研究・論文作成(修論、博論も含む)、研究室等のゼミ、講義科目(専門)
が充実していると考えている。一方、講義科目(教養)については講義科目(専門)に比
較して充実度は低く、特に専攻ではその傾向が強い。
93
③出身者の評価
出身者として役立ったと感じている授業コンテンツを見てみると、講義科目(専門)3
5%、実習科目25%、講義科目(教養)21.6%となっている。研究室ゼミ等は20.
5%、卒業研究・論文作成は18.1%と、大学(学科)の充実度81%と比較すると低
くなっている。これを以下に学歴別にみていくと、修士では、講義科目(専門)が54.
8%と最も高く、それに卒業研究・論文作成が48.2%と続く。博士では、卒業研究・
論文作成が最も高く72%、研究室ゼミ等が54.5%、講義科目(専門)43.2%とな
っている。また、すべての最終学歴で講義科目(教養)は講義科目(専門)などに比べて
低く20%代である。
また、出身者年代別の評価を図 4-31 に示した。講義科目(専門)で年代別に大きな違い
がある。50代では、これを非常に高く評価しているが、20代では評価が低い。学士の
場合、一般事務職など専門分野とは異なる分野に配属されることが多く、直ぐには大学で
学んだ専門の講義科目の重要性を認識するに至らない可能性がある。一方、年齢が高くな
るにしたがって、専門の講義科目が役立つ機会が増加するものと理解できる。
0%
5% 10% 15% 20% 25% 30% 35% 40%
講義科目(教養)
21.6%
講義科目(専門)
35.0%
実習科目
25.0%
実験科目
19.5%
演習科目
8.4%
研究室等のゼミ
20.5%
卒業研究・論文作成
18.1%
インターンシップ(単位認定)
1.1%
インターンシップ(単位非認定)
0.5%
アルバイト
17.3%
サークル活動やボランティア
13.4%
留学
1.1%
その他
1.3%
大学時代の勉強・経験は役に立っていない
30.2%
図 4-28 学士課程出身者の評価
94
0%
10%
20%
30%
講義科目(教養)
40%
50%
60%
27.1%
講義科目(専門)
54.8%
実習科目
33.1%
実験科目
35.5%
演習科目
14.5%
研究室等のゼミ
41.6%
卒業研究・論文作成
48.2%
インターンシップ(単位認定)
1.8%
インターンシップ(単位非認定)
1.8%
アルバイト
19.3%
サークル活動やボランティア
11.4%
留学
3.0%
その他
1.8%
大学時代の勉強・経験は役に立っていない
11.4%
図 4-29 修士課程出身者の評価
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80%
講義科目(教養)
22.7%
講義科目(専門)
43.2%
実習科目
31.8%
実験科目
36.4%
演習科目
15.9%
研究室等のゼミ
54.5%
卒業研究・論文作成
72.7%
インターンシップ(単位認定)
0.0%
インターンシップ(単位非認定)
0.0%
アルバイト
11.4%
サークル活動やボランティア
13.6%
留学
4.5%
その他
6.8%
大学時代の勉強・経験は役に立っていない
4.5%
図 4-30 博士課程出身者の評価
95
0.0%
10.0%
20.0%
30.0%
40.0%
25.0%
20.5%
23.2%
23.2%
29.5%
講義科目(教養)
34.7%
39.8%
43.3%
講義科目(専門)
29.5%
実習科目
20.5%
実験科目
20.5%
20.5%
25.1%
24.2%
27.3%
25.3%
26.9%
26.3%
27.3%
28.4%
28.7%
23.5%
研究室等のゼミ
卒業研究・論文作成
インターンシップ(単位非認定)
27.2%
30.4%
9.1%
10.5%
9.2%
10.7%
演習科目
インターンシップ(単位認定)
2.6%
0.9%
0.7%
2.3%
2.1%
0.3%
27.3%
18.9%
18.3%
13.8%
15.9%
15.3%
12.2%
12.1%
アルバイト
サークル活動やボランティア
留学
その他
2.3%
3.2%
0.9%
1.4%
2.1%
1.5%
1.7%
22.7%
27.4%
24.2%
25.3%
大学時代の勉強・経験は役に立っていない
20歳代
図 4-31
50.0%
30歳代
40歳代
出身者の年代別による評価
96
50歳代
④マッチングに関する考察
企業側は特に講義科目は専門と教養ともに重要と考えており、大学や出身者が考えてい
る以上に教養科目の重要性を認識している。一方、卒業研究・論文作成や研究室ゼミ等は
企業規模、大学、出身者でかなり評価が異なる。学士では、大学(学科)がこれを最も充
実していると考えているのに対して、中小企業や出身者の評価は同等とは言えない。修士
や博士の場合は、出身者の評価と大学(専攻)の重視度は一致してくる。
留学に関しては、企業の重視度は 11%、学科と専攻の充実度は 7.7%、11.8%、出身者の
評価度は 1.1%、3.0%,4.5%といずれにしても低い。今後充実すべきものとして、学科
58.3%、専攻 46.4%の値を示している。これは、近年グローバル化の進展により、企業側
(特に大企業)、社会そして学生からの需要が生まれ、大学がそれに応えようとする姿が見
える。
一方、企業側には、正規授業以外に、アルバイトやサークル活動についての評価を問う
た。特にサークル活動については専門授業課目と並ぶほどにその価値を認めている。それ
についでアルバイトも同様に評価している。出身者調査では、アルバイトを高く評価して
おり、サークル活動やボランティアも評価している。教員調査でも両者に対して評価を与
えている。これらは、社会人として身につけるべき資質としての、協調性、コミュニケー
ション能力、リーダーシップなどに関係しており、大学キャンパスのもつ教育効果は正規
の授業のみに依っているのではないことを示している。人生の若く多感な一時期を過ごす
キャンパスの持つべき役割と機能について、実証データからの重要な示唆と言えよう。
図 4-32
大学時代の学習・経験についての比較
(教員調査 Q6、学科調査 Q16_1、出身者調査 Q14、企業調査 Q8②)
97
(2)実験・実習科目に関するマッチング
また、農学教育における特徴的な教育コンテンツの実習・演習等について、大学での実
施状況(学科調査)、企業ニーズ(企業調査)、出身者の評価を比較した。
0% 5% 10% 15% 20% 25% 30% 35% 40% 45% 50%
無
回 シミュレー
答 ション系
フィールド系
ラボラトリー系
生命科学分野の実験
化学分野の実験
物理分野の実験
動物臨床(獣医)実習
その他
農地での実習
森林での実習
海洋での実習
農山漁村、企業、地域コミュニティ等での実習
その他
生命科学分野でのシミュレーション等
農地、森林、水域、地球環境等でのシミュレーション
その他
22.3%
23.3%
14.4%
22.1%
3.3%
36.4%
20.0%
10.0%
43.3%
3.3%
12.6%
27.7%
2.3%
7.9%
図 4-33 大学・大学院時代に経験した方が良いと企業が考える実習等(n=390:複数回答)
0%
20%
40%
60%
ラボラトリー系
化学分野の実験
39.7%
31.4%
物理分野の実験
その他
13.5%
9.2%
4.5%
4.6%
フィールド系
農地での実習
森林での実習
海洋での実習
農山漁村、企業、地域コミュニティ等での実習
生命科学分野でのシミュレーション等
農地、森林、水域、地球環境等でのシミュレーション
その他
無
回
答
シミュレー
ション系
その他
学科(n=156)
図 4-34
100%
76.3%
69.9%
75.6%
58.2%
生命科学分野の実験
動物臨床(獣医)実習
80%
45.8%
59.6%
31.4%
27.5%
19.2%
23.5%
43.6%
43.1%
9.0%
7.2%
25.6%
35.3%
28.2%
35.3%
3.2%
3.9%
5.8%
9.8%
研究科(n=153)
大学での実習・演習等の実施状況(学科(n=156):複数回答)
図 4-33 に大学・大学院時代に経験した方が良いと企業が考える実習等を示した。1081
社のうち 390 社がこの設問に回答した。農村漁村、企業、地域コミュニティーでの実習の
98
意義を企業は非常に高く評価がしている。また、シミュレーションについても期待が高く、
安価なPCでも高精度の数値シミュレーションが普及してきたことを反映して、農学分野
においても、新たな教育ニーズと捉えることができる。
一方、基礎的な実験であるラボラトリー系の実験も依然とその必要性は認識されている。
多くの企業は農業関係が多く、森林、水産関連業種はそれに対して少ないために、森林実
習や海洋実習の割合が低くなっている。また、大学では、企業側で必要とされる実験科目
は準備されている。
農学系基本 7 分野それぞれにおいてもこれを行った、その結果、全ての分野で、企業が
実施してきてほしい実験・実習に対して、大学が実施している実験・実習科目は、おおよ
そそれらをカバーできている。
生命科学
分野の実験
100.0%
シミュレ
ーション
その他
化学分野
の実験
90.0%
80.0%
農地、森林、
水域、地球
環境等での
シミュレー
ション
70.0%
物理分野
の実験
60.0%
50.0%
40.0%
30.0%
生命科学
分野での
シミュレー
ション等
20.0%
動物臨床
(獣医)実習
10.0%
0.0%
ラボラト
リー系
その他
フィールド系
その他
農山漁村、
企業、地域
コミュニティ
等での実習
農地での
実習
海洋での
実習
森林での
実習
図 4-35 実習・演習等の比較(農芸化学)
99
企業
学科
生命科学
分野の実験
100.0%
シミュレ
ーション
その他
化学分野
の実験
90.0%
80.0%
農地、森林、
水域、地球
環境等での
シミュレー
ション
70.0%
物理分野
の実験
60.0%
50.0%
40.0%
30.0%
生命科学
分野での
シミュレー
ション等
20.0%
動物臨床
(獣医)実習
10.0%
0.0%
ラボラト
リー系
その他
フィールド系
その他
農山漁村、
企業、地域
コミュニティ
等での実習
農地での
実習
海洋での
実習
森林での
実習
企業
学科
図 4-36 実習・演習等の比較(生産農学)
生命科学
分野の実験
100.0%
シミュレ
ーション
その他
化学分野
の実験
90.0%
80.0%
農地、森林、
水域、地球
環境等での
シミュレー
ション
70.0%
物理分野
の実験
60.0%
50.0%
40.0%
30.0%
生命科学
分野での
シミュレー
ション等
20.0%
動物臨床
(獣医)実習
10.0%
0.0%
ラボラト
リー系
その他
フィールド系
その他
農山漁村、
企業、地域
コミュニティ
等での実習
農地での
実習
海洋での
実習
図 4-37
森林での
実習
実習・演習等の比較(森林学・林産学)
100
企業
学科
生命科学
分野の実験
100.0%
シミュレ
ーション
その他
化学分野
の実験
90.0%
80.0%
農地、森林、
水域、地球
環境等での
シミュレー
ション
70.0%
物理分野
の実験
60.0%
50.0%
40.0%
30.0%
生命科学
分野での
シミュレー
ション等
20.0%
動物臨床
(獣医)実習
10.0%
0.0%
ラボラト
リー系
その他
フィールド系
その他
農山漁村、
企業、地域
コミュニティ
等での実習
農地での
実習
海洋での
実習
図 4-38
森林での
実習
企業
学科
実習・演習等の比較(獣医学)
生命科学
分野の実験
100.0%
シミュレ
ーション
その他
化学分野
の実験
90.0%
80.0%
農地、森林、
水域、地球
環境等での
シミュレー
ション
70.0%
物理分野
の実験
60.0%
50.0%
40.0%
30.0%
生命科学
分野での
シミュレー
ション等
20.0%
動物臨床
(獣医)実習
10.0%
0.0%
ラボラト
リー系
その他
フィールド系
その他
農山漁村、
企業、地域
コミュニティ
等での実習
農地での
実習
海洋での
実習
図 4-39
森林での
実習
実習・演習等の比較(水産学)
101
企業
学科
生命科学
分野の実験
100.0%
シミュレ
ーション
その他
化学分野
の実験
90.0%
80.0%
農地、森林、
水域、地球
環境等での
シミュレー
ション
70.0%
物理分野
の実験
60.0%
50.0%
40.0%
30.0%
生命科学
分野での
シミュレー
ション等
20.0%
動物臨床
(獣医)実習
10.0%
0.0%
ラボラト
リー系
その他
フィールド系
その他
農山漁村、
企業、地域
コミュニティ
等での実習
農地での
実習
海洋での
実習
図 4-40
森林での
実習
企業
学科
企業
学科
実習・演習等の比較(森林学・林産学)
生命科学
分野の実験
100.0%
シミュレ
ーション
その他
化学分野
の実験
90.0%
80.0%
農地、森林、
水域、地球
環境等での
シミュレー
ション
70.0%
物理分野
の実験
60.0%
50.0%
40.0%
30.0%
生命科学
分野での
シミュレー
ション等
20.0%
動物臨床
(獣医)実習
10.0%
0.0%
ラボラト
リー系
その他
フィールド系
その他
農山漁村、
企業、地域
コミュニティ
等での実習
農地での
実習
海洋での
実習
図 4-41
森林での
実習
実習・演習等の比較(農業経済学)
102
生命科学
分野の実験
90.0%
シミュレ
ーション
その他
化学分野
の実験
80.0%
70.0%
農地、森林、
水域、地球
環境等での
シミュレー
ション
60.0%
物理分野
の実験
50.0%
40.0%
30.0%
生命科学
分野での
シミュレー
ション等
20.0%
動物臨床
(獣医)実習
10.0%
0.0%
ラボラト
リー系
その他
フィールド系
その他
農山漁村、
企業、地域
コミュニティ
等での実習
農地での
実習
海洋での
実習
図 4-42
森林での
実習
実習・演習等の比較(農業工学)
103
企業
学科