ADA-SCID - GSK グラクソ・スミスクライン株式会社

PRESS
RELEASE
この資料は、英国グラクソ・スミスクライン plc が 2016 年 5 月 27 日に発表したプレスリリースの日本語抄訳であり、報道関係者各位の
利便性のために提供するものです。この資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語が優先します。詳細
は http://www.gsk.com をご参照下さい。
2016 年 6 月 16 日
グラクソ・スミスクライン株式会社
報道関係各位
<2016 年 5 月 27 日 英国ロンドン発>
極めて稀な疾患である ADA-SCID を治療する
StrimvelisTM が欧州にて販売承認を取得
GSK、Fondazione Telethon および Ospedale San Raffaele が
承認取得した遺伝子治療は患者の延命に寄与します
グラクソ・スミスクライン(本社:英国、以下 GSK)、Fondazione Telethon(Telethon)および
Ospedale San Raffaele(OSR)は 5 月 27 日、極めて稀な免疫不全疾患である ADA-SCID(アデ
ノシン・デアミナーゼ欠損による重症免疫不全症)患者に対して初の生体外幹細胞遺伝子治療とな
る Strimvelis を、欧州委員会が承認したことを発表しました。生まれつき ADA-SCID を抱える小児
患者には、十分に機能する正常な免疫システムがないため、日々の感染症に対する抵抗力があり
ません。Strimvelis(ADA 遺伝子を形質導入した自己由来の CD34 陽性細胞)は、世界で初めて
承認を受けた小児患者用の遺伝子治療です。この治療は、ヒト白血球抗原(HLA)の一致した適切
な近親者による幹細胞ドナーがいない ADA-SCID 患者の治療を適応としています。
欧州では1年間に15名がADA-SCIDを発症すると推定されていますが、本日の承認を受けて、治
療の適応となる患者は、ミラノにあるOspedale San Raffaeleにおいて遺伝子治療を受けることが
できるようになります。
GSKの稀少疾患ユニット責任者のマーティン・アンドリュースは次のように述べています。
「この度の承認は、ミラノの協力機関との長年にわたる連携の賜物であり、ADA-SCID患者さんと
そのご家族に対し、人生を変えることのできる治療を届けるための新しい一歩となります。これは、
稀少な遺伝子疾患の治療における新たな時代の始まりであり、私たちはこの治療法によるアプロ
ーチが将来、他の稀少疾患患者さんに対しても役立つことを期待しています。」
この度の承認は、Strimvelisを投与した18名の小児患者から収集したデータに基づいて審査され
ました。主要な臨床試験に参加した小児患者においてStrimvelis投与後の3年生存率は100%でし
た。また、承認申請のデータ収集に協力いただいたすべての小児患者(n=18)は現在も生存してお
り、追跡調査期間の中央値は約7年です。分析の詳細な結果は、先般”BLOOD”にて発表されてい
ます 1。
1
Cicalese, MP et al. Update on the safety and efficacy of retroviral gene therapy for immunodeficiency due to adenosine
deaminase deficiency. BLOOD. DOI 10.1182/blood-2016-01-688226
OSRとTelethonとの共同研究協力機関であるSan Raffaele Telethon Institute for Gene
Therapy(SR-TIGET)の臨床研究コーディネーターであるAlessandro Aiuti 教授は次のように述
べています。
「この度、Tigetでの20年以上にわたる研究開発の集大成となるニュースが届いたことを、非常に嬉
しく思います。この革新的で個別化された治療へのアプローチでは、自己由来の遺伝子組換え幹
細胞を使用して、疾患の根本原因を改善します。この重篤な免疫不全症患者さんが、成長をし、他
の子どもたちと遊び、学校に通う姿を見るのは、私たち全員にとって喜ばしいことです。 GSKと連
携してきた私たちは、今後、ADA-SCID患者さんにStrimvelisを提供することが可能となり、この治
療を待ち望んでいた小児患者さんの人生を変えることができるようになるのです。」
Ospedale San Raffaele のCEOであるNicola Bedinは次のように述べています。
「この素晴らしい成果は、長年にわたる科学研究、高度な医療技術および製品開発の専門知識を
集約させたOSR、TelethonおよびGSKの強固な協力関係がなければ成し遂げられませんでした。
今後さらに前進するにあたり、私たちは同じ使命の下、ニーズが満たされていない新薬を開発し、
稀少疾患の患者さんに届けていきたいと思います。」
Fondazione Telethon のジェネラルマネージャーである Francesca Pasinelli は次のように述べて
います。
「この度の承認は私たちだけでなく、Strimvelis の開発に携わった全ての人たちにとって、忘れられ
ないものとなるでしょう。Strimvelis によって、私たちは患者さんに貢献していくことができます。これ
は私たちのような慈善事業団体が、単に資金提供機関としての機能を果たすだけでなく、患者さん
にアクセス可能な治療法を提供するという最終的なゴールを達成するために、研究開発において
主要な役割を担ってひとつひとつのプロセスに関わっていくという新しいモデルを構築したといえる
でしょう。」
ADA-SCID について
ADA-SCID は、両親から受け継いだ遺伝子異常によって引き起こされる極めて稀な疾患です。こ
の遺伝子異常により、白血球の一種であるリンパ球の産生に必要なアデノシン・デアミナーゼ
(ADA)と呼ばれる必須タンパク質が産生されなくなります。生まれつき ADA-SCID を抱える小児
患者は正常な免疫システムを構築することができないため、日々の感染症に対する抵抗力がなく、
重篤かつ生命を脅かす疾患に至ります。直ちに治療しないと多くの場合、この疾患は生後 1 年以
内で死に至ります。欧州では、1 年間に約 15 名が ADA-SCID を発症すると推定されています。
Strimvelis について
Stirmvelis の投与回数は 1 回のみであり、また第三者のドナーに依存することがないため、骨髄移
植治療でよく見られる副作用である拒絶反応(移植片対宿主病)を引き起こす免疫不適合のリスク
がありません。Strimvelis では、患者自身の骨髄細胞を採取し、ベクターを用いて ADA 遺伝子の
正常なコピーを細胞に導入します。このステップを形質導入と呼びます。その後、遺伝子操作した
細胞を静脈内注射によって患者に再導入し、その一部の細胞が骨髄に戻ります。患者の骨髄内で
の遺伝子組換え細胞の定着を向上させるため、患者は低用量の化学療法による前治療も受けま
す。
販売承認に用いた主要データの中で、プライマリーデータとした臨床試験に参加した 12 名の小児
患者全員において、Strimvelis 投与後の 3 年生存率(主要評価項目)は 100%、うち無介入生存率
(治療後に 3 ヵ月以上に渡り酵素補充療法を必要としない、または造血幹細胞移植を必要としなか
った割合)は 92%でした。販売承認申請に使用するデータとした Strimvelis の投与を受けた 18 名
の小児患者は現在も生存しており、追跡調査期間の中央値は約 7 年、最初の患者がこの遺伝子
治療を受けたのは 13 年以上前でした。評価対象集団(n=17)の無介入生存率は 82%でした。
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安全性に関する知見は、低用量化学療法による治療を受けて免疫再構築しているADA-SCID小
児患者において予測されるものと全般的に一致しています。また、重篤な感染症が大幅に減少して
いることが報告されており 2、これまでに白血病性の事象は認められていません。
GSK / Telethon / OSR の協力について
ADA-SCID に対する遺伝子治療は、当初、Ospedale San Raffaele(OSR)および Fondazione
Telethon(Telethon)の合弁事業である San Raffaele Telethon Institute for Gene Therapy(SRTiget)によりミラノで開発に着手され、GSK、OSR および Telethon の戦略的提携に基づき 2010
年より GSK が推進してきました。この提携関係の中、GSK はバイオテクノロジー企業 MolMed
S.p.A と連携し、製品開発における専門性を活かし、これまでは臨床試験にのみ適しているとされ
ていた製造工程を最適化、標準化、特性化し、安定した販売供給に適合する製造工程を確立しま
した。
生きる喜びを、もっと Do more, feel better, live longer
グラクソ・スミスクラインは、研究に基盤を置き世界をリードする、医薬品およびヘルスケア企業であ
り、人々が心身ともに健康でより充実して長生きできるよう、生活の質の向上に全力を尽くすことを
企業使命としています。
Fondazione Telethon – Telethon is a major biomedical charity in Italy whose mission is to
advance biomedical research towards the cure of rare genetic diseases. For further
information, visit www.telethon.it/en/
Ospedale San Raffaele – Ospedale San Raffaele is a clinical-research-university hospital
established in 1971 to provide international-level specialised care for the most complex and
difficult health conditions. Since 2012 it is part of the San Donato Hospital Group, the leading
hospital group in Italy. The group includes 18 hospitals with a total of more than 5000 beds,
4000 physicians and treats 4 million patients per year. For further information, visit:
www.hsr.it
San Raffaele Telethon Institute for Gene Therapy (SR-TIGET) – Based in Milan, Italy, the
San Raffaele-Telethon Institute for Gene Therapy (SR-TIGET) is a joint venture between the
Ospedale San Raffaele and Telethon. SR-TIGET was established in 1995 to perform
research on gene transfer and cell transplantation and translate its results into clinical
applications of gene and cell therapies for different genetic diseases. For further information,
visit http://www.tiget.it/.
<お問い合せ先>
グラクソ・スミスクライン株式会社
コミュニケーション
本多 祥子
TEL:03‐5786‐5041
http://jp.gsk.com
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Cicalease, MP et al. Long-term safety and efficacy of retroviral-mediated gene therapy for ADA-SCID. J Clin Immunol (2014)
34 (Suppl 2): S311.
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