平成28 年度 裁判所職員(一般職)本試験(専門試験) 講評

平成 28 年度 裁判所職員(一般職)本試験(専門試験) 講評
№
科目
出題内容
正解
主権
2
B
2
検閲
3
B
3
生存権
5
A
4
教育権の所在
4
A
5
国会の権能
3
A
6
国会の権能・国会議員の地位
2
A
7
財政・地方自治
1
A
未成年者
4
A
9
代理
5
A
10
時効
1
B
11
不動産物権変動
3
A
12
即時取得
5
A
13
抵当権
5
C
14
譲渡担保
1
C
15
債務不履行
3
B
16
詐害行為取消権
2
A
17
解除
4
B
18
請負
4
A
19
不当利得
3
B
20
不法行為
2
C
目的刑論
2
C
22
正当防衛・緊急避難
1
B
23
原因において自由な行為
5
C
24
共同正犯
1
A
25
教唆犯・幇助犯
5
C
26
文書偽造罪
4
C
27
遺棄罪
1
A
28
信用毀損罪・業務妨害罪・公務執行妨害罪
3
B
29
窃盗罪
4
A
30
強盗罪
2
A
インフレーション
3
B
32
ハロッド=ドーマー成長理論
1
A
33
45度線分析
2
B
34
物価水準を示す指標
4
C
35
金融政策
5
A
36
財の性質・分類
3
A
37
需要の価格弾力性
2
A
38
操業停止点
5
A
39
独占
5
B
40
自由貿易の余剰分析
1
A
1
8
21
31
憲 法
民 法
刑 法
経済理論
講評
正答率※
【憲 法】
各分野の出題数は,憲法総論1問,人権3問,統治3問の構成であった。また,7問中6問が組合せ問題なので,すべ
ての記述の正誤を判別できなくても,肢を利用し消去することで正解に至る問題が多い。各問題を概観すると,№2(検
閲概念)と,№4(教育権)は,判例の見解と通説の見解との相違を問う比較問題であり,基礎的であるが正確な知識
が要求されている。№3(生存権)は,判例の基本的知識で正答できる。№1(主権)
,№5(国会の権能)
,№7(財
政・地方自治)は,いずれも学説問題に属するが現場思考で正答することは可能である。むしろ,このような問題を確
実に得点することが日々の学習の目的だと示す好例といえる。№6(国会の権能・議院の地位)は,条文の基本的知識
を問う問題であり,容易に正答できる。前述のとおり,№1(主権)
,№5(国会の権能)
,№7(財政・地方自治)で
差がついたのではないかと思われる。普段から考え抜く訓練をしているかどうかで明暗が分かれる内容であった。
【民 法】
各分野の出題数は,総則3問,物権4問,債権総論2問,債権各論4問であり,昨年と比べて,総則・債権各論からの
出題が減り,物権からの出題が増えた。また,全 13 問中 11 問が組合せ問題(昨年と比べて出題数は増えた)なので,
すべての記述の正誤を判別できなくても,肢を利用することで正解を出せる問題が多い。各問題を概観すると,№9(代
理)
,№10(時効)
,№11(不動産物権変動)
,№12(即時取得)
,№15(債務不履行)
,№16(詐害行為取消権)
,№19(不
当利得)
,№20(不法行為)は,どれも基本的な条文・判例の知識を問う問題なので,確実に正解したい。これに対し
て,№13(抵当権)
,№18(請負)は,あまり出題されたことのない条文・判例の知識がなければ,正解を絞り込めな
い。№14(譲渡担保)は,譲渡担保の法的構成について学説の理解が問われている。№8(未成年者)は,各記述の事
例がどの条文の問題なのかを正確に分析できない感があるが,問われている知識自体は基本的なので正解に達しうる。
№17(解除)は,あいまいな選択肢が多く,正解を絞り込みにくい。この問題はすこし難しい問題といえる。
【刑 法】
形式面では,全 10 問中,総論から5問,各論から5問出題されており,すべてが組合せ問題であった。内容面では,
学説問題が3問出題されているが,それ以外は主要判例の知識が正面から問われている。特徴的な点では,各論の№28
で信用および業務に対する罪が出題されているのが注目される。かつて出題された形跡がない。また,総論の№.24(共
犯)
,№.25(教唆犯・幇助犯)
,各論の№.26(文書偽造罪)
,№29(窃盗罪)
,№30(強盗罪)は,判例の知識を正面に
おいた基本論点の出題が目立つ。したがって,組合せから消去して判断できる点で受験生にとっては取り組みやすかっ
たと思われるが,今後は,判例の知識が一層重要になると考えられる。
【経済理論】
マクロ経済学(№31-35)
:№31 はインフレーションよる経済効果が詳細に問われており,難易度は高めである。№32
はハロッド=ドーマー成長理論に関する問題であるが,問われている内容は典型的なものであり得点したい問題であ
る。№33 は乗数効果を問う問題であるが,比例税や定額税のそれぞれの場合の乗数効果を定式化して捉えられているか
どうかが鍵となる。№34 は代表的な物価の指標の知識を問う問題であり,主な物価指数の定義やその経済的な意味に関
して正確に把握していることが求められている点で難易度は高めである。№35 は金融政策に関する問題で,金融政策の
手段や貨幣乗数,金融政策とLM曲線との関係など,問われている内容は典型的なものである。
ミクロ経済学(№36-40)
:№36 は財の分類に関する問題であり,需要の所得弾力性の値に応じて的確に財の分類ができ
ていれば解答できる基本問題であり,肢3のギッフェン財については,下級財の一部でかつ所得効果が代替効果を上回
ることを押さえていれば判断が付く。№37 は需要の価格弾力性の計算問題で難易度は基本レベルである。№38 は操業
停止点における生産量を求める基本問題である。操業停止点において成立する条件を正確に捉えられていれば解答可能
である。№39 は独占についてのグラフの読み取りの基本問題である。独占における利潤最大化条件を踏まえたうえで検
討することで解答可能である。№40 は自由貿易における経済全体の余剰をグラフから読み取る基本問題である。貿易が
行われない閉鎖経済と比較して自由貿易が行われる開放経済とで消費者余剰や生産者余剰がどのように変化するかを,
それぞれの場合の市場均衡点をふまえて正確に捉えることができれば解答可能である。
※ 正答率(A:60%以上,B:40%以上60%未満,C:40%未満)は,LEC公務員試験 受験生応援企画『本試験無料成績診断』のデータ(6/16 14:30 時点)に基づいて算出して
います。本成績診断のご利用方法等の詳細は,LEC公務員Web サイトの専用ページ(http://www.lec-jp.com/koumuin/juken/seiseki/)にてご案内しています。
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