阿弥陀堂防蟻・防腐工事 │ 人や環境にも配慮する │ 阿弥陀堂御修復工事の終盤と ぼう ぎ なる阿弥陀堂床下のシロアリ被 ぼう ふ 害 や 木 材 腐 朽 菌 に 対 す る 防 蟻・ 防 腐 工 事 を 行 い ま し た。目 の 届 きにくい床下の木部の大半にお いて健全な状態が保たれていま し た が、一 部、シ ロ ア リ に よ る 損傷が見られました。 従 来、建 築 物 に お け る シ ロ ア リ防止や腐朽防止のための対策 と し て は、一 般 住 宅 か ら 国 宝 文 化財修理まで有機溶剤系の防腐 剤 を 用 い る の が 一 般 的 で あ り、 御 影 堂 御 修 復 に お い て も、そ の 他の防腐剤の性能を確認した上 剤 が 用 い ら れ ま し た。し か し な あるため雨にあたらない限り効 ﹁ホウ酸﹂を主原料とするもので 的にホウ酸を含むものを食べる は機能障害をさけるために本能 器官の腎臓を持たない昆虫たち 木部が燃えにくくなる難燃の効 こ の 防 蟻・防 腐 工 事 は さ ら に で 、 従 来 型 の 有 機 溶 剤 系 の 防腐 が ら、そ れ ら は 薬 効 期 間 が 比 較 果 は 半 永 久 的 で、再 施 工 も 不 要 ことはありません。したがって、 腐において建物の長期保全性が 関 し て は、あ ら た め て 防 蟻・防 今回の阿弥陀堂御修復工事に 料や小学校では理科の実験にも さ な い 安 全 な 鉱 物 で、目 薬 の 原 れ ま す が、人 体 に は 影 響 を 及 ぼ 策 の﹁ホ ウ 酸 団 子﹂が 思 い 出 さ ホ ウ 酸 と い え ば、ゴ キ ブ リ 対 は、自然界の生き物と伝統木造 くようになり ま す 。 ホ ウ 酸 処 理 の落ち葉や枝を食べて生きてい を 食 べ る こ と は な く な り、野 外 昆虫が柱や板などの木造建築物 ホウ酸が浸透することによって 寄与することが期待されます。 阿弥陀堂全体の長期保全性にも り、床 下 部 の 保 全 の み な ら ず、 果も副次的に得られることもあ をつくるものといえます。 建築物が共存するための境界線 的 短 く、定 期 的 な 保 守 が 必 要 で となる点で画期的でした。 期待できるより良い防腐剤を探 使 用 さ れ て い ま す 。 ま た 、 排泄 ていました。 あることが課題として挙げられ 現在の阿弥陀堂の様子 し て い た と こ ろ、こ れ ま で の 有 機 溶 剤 系 と 異 な る、無 機 質 の ホ ウ素系木材保存剤があることが 分 か り、そ れ が 従 来 の 溶 剤 の 課 題を解消するものであることが 判 明 し ま し た。こ の た め、京 都 府の文化財保護課や御修復の技 術 専 門 員 の 先 生 方 の 確 認 を 得 て、 阿弥陀堂でこの新たな溶剤を用 いることとなりました。 この溶剤は有機溶剤系と比較 して日本国内での実績がなく新 しいものでしたが、天然鉱物の 溶剤を噴射する作業の様子 阿弥陀堂の床下部 御 修 復 の あ ゆ み シロアリ被害箇所 56 2016年 (平成28年)3 月 真 宗 真 宗 57 2016年(平成28年)3 月
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