葛尾村の避難指示解除について [PDFファイル/168KB]

○国から示された葛尾村の解除についての考え方
葛尾村の避難指示解除について
平 成 2 8 年 5 月 1 9 日
原 子 力 災 害 現 地 対 策 本 部
本日(5月19日)原子力災害現地対策
本部の高木本部長(経済産業副大臣)
より、葛尾村に出されていた避難指示
を帰還困難区域以外の区域について、
平成28年6月12日(日)午前零時
に解除するとの伝達がありました。
葛尾村の皆様には、東日本大震災及
び東京電力福島第一原子力発電所事故
の発生以降、不自由な避難生活を強い
ており、改めてお詫び申し上げます。
本日、原子力災害現地対策本部とし
て、避難指示解除日を伝達するととも
に、今般の避難指示解除の意義と、今
後の復興にかける決意を申し上げます。
避難指示解除の意義
まず、避難指示解除の意義について、
改めて説明をさせていただきます。
○
避難指示はふるさとに「戻りたい」
と考える住民の方々も含めて、一律
かつ強制的に避難を強いる措置です。
これまで5年以上にわたって、住民
の方々には、不自由な生活を強いて
おり、長期避難に伴う心身の健康状
態の悪化等も指摘されています。
○ このため、避難指示解除の要件が
充足され、生命・身体に危険が及ぶ
状況が解消されれば、速やかに避難
指示を解除し、戻りたいと考えてい
る住民の方々が自由にふるさとで居
住できるようにし、真の復興に向け
た一歩を歩み出すことが重要と考え
ております。
ただし、避難指示を解除したから
といって、帰還するかしないかは、
当然のことながら、住民お一人お一
人の御判断であり、帰還を強制する
ものではありません。
また、避難指示の解除はゴールで
なく、スタートです。避難指示の解
除によって国の支援策が終了するわ
けではなく、解除後も、国が一丸と
なって、復興に向けた施策にしっか
り取り組みます。
○ 葛尾村の現在の状況は、原子力災
害対策本部決定(平成23年12月
26日付)に照らして、避難指示を
解除する要件を満たしており、避難
指示を解除し、ふるさとへの帰還を
希望される村民の皆様が帰還できる
ようにするとともに、復興を新たな
段階に進めることが必要だと考えて
います。
復興に向けた取組と
避難指示解除日
ここで、葛尾村の復興の状況につい
て説明するとともに、具体的な避難指
示解除日についてお話させていただき
ます。
まず、葛尾村の居住制限区域・避難
指示解除準備区域については、宅地ま
わりの除染が一巡しており、線量の低
減を確認しております。農地、道路、
森林などの面的な除染についても完了
しており、引き続き、事後モニタリン
グの結果や、村が実施しているガンマ
カメラ測定の結果などを踏まえ、今後
一層の線量低減に取り組んでいきます。
また、インフラや生活関連サービス
については、村内での暮らしが再開で
きる状態となっており、本年4月には
村役場が全面再開、今月には村内の温
浴施設である「せせらぎ荘」がオープ
ンしています。住民説明会やお宅への
戸別訪問において要望があがっており
ました、生鮮食品などを商店から各世
帯へ宅配するサービスの開始や、オン
デマンドタクシーによる村民の皆様の
村内外への交通手段の確保も開始の見
込みが立っております。オンデマンド
タクシーは解除後速やかに開始される
ことが決まりました。葛尾郵便局の窓
口も再開される予定です。
こうした復興の状況をふまえて、追
加的な生活関連サービスの実施の見込
みが立っております6月12日に避難
指示を解除し、葛尾村の本格的な復興
に向けた取組を進めてまいります。
今後の取組
○
繰り返しになりますが、避難指示
の解除はゴールではなく、これから
が復興の本格的なスタートです。
○ 葛尾村が真の復興を成し遂げてい
くために、引き続き、国、県、村が
一丸となって、生業をはじめ住民の
方々が安心して帰還できる環境を一
層整えていく所存です。
○ 加えて、住民の方々、特に若い方
々が希望を持って暮らせるような、
そして多くの人々を惹きつけるよう
な魅力ある村づくりを押し進めてい
くことが重要です。
○ このため、国としては、こうした
魅力ある村づくりを後押しするべく、
県、村と一緒に、住民の皆様や有識
者の方々も交えて、葛尾村ならでは
のビジョンを議論していく協議会を
立ち上げたいと考えており、今後、
関係者とよく相談させていただきた
いと考えています。
葛尾村民の皆様へ
平成28年5月19日、原子力災害現地対策本部の高木本
部長(経済産業副大臣)より、葛尾村に出されていた避難指
示を帰還困難区域以外の区域について、平成28年6月12
日(日)午前零時に解除するとの発表がありました。
これを受け葛尾村長から村民の皆様へコメントを申し上げ
ます。
東日本大震災に起因する原子力発電所事故により、全ての村民
が 避 難 を 余 儀 な く さ れ 、5 年 2 ヶ 月 が 経 過 し て お り ま す 。こ の 間 、
村民の皆様におかれましては不自由な避難生活を余儀なくされて
いることに対し、心よりお見舞いを申し上げます
本日、帰還困難区域を除く区域の避難指示解除の期日が発表さ
れましたが、避難指示の解除は、村としても、長期避難による高
齢者等の心身への健康状態の悪化等や、一日でも早く戻りたいと
考えている村民のため、また、村の復興再生を前に進めるために
も必要であると考えており、これまでの経過も踏まえ総合的に判
断し、政府の方針を受け入れる事といたしました。
村 へ の 帰 還 に つ い て は 、「 か つ ら お 再 生 戦 略 プ ラ ン 」 に お い て
「平成28年春の帰村開始」を目標と定め、昨年3月、村政懇談
会において「帰村に向けたプログラム」を示し、帰村の準備を進
めてまいりました。
その結果、村内は除染が一通り終了し、簡易水道など生活イン
フラ並びに公共施設等の修繕が、文教施設を除き、ほぼ終了しま
した。
本年3月にはJA葛尾支店が再開、4月からは役場の全業務を
本庁舎で再開し、今月11日には宿泊交流館せせらぎ荘が一部再
開するとともに、6月1日より地域福祉センターの事務局の一部
が再開いたします。
生活関連サービスでは、内科診療所、買い物環境の再開に課題がござい
ますが、当面、広域連携や商工会の協力により、対応することとしており
ます。
このように村内は、震災前と同じ状態とまではいきませんが、帰還の環
境が概ね整ってきたと認識しております。
一方、本村を取り巻く環境は、放射線量に対する不安や長期避難に伴う
避難先での生活の定着化による子育て世代及び子供の帰村者の減少が想定
されると共に、基幹産業である農業においては、経営者の高齢化及び農地
汚染や風評被害による経営意欲の低下、企業の避難先での定着化により村
内での営業再開見合わせなど、村の将来が極めて厳しい状況にあります。
また、村の復興再生においては、中心部の拠点整備をはじめ、村民生活
の安全安心の確保、農業や商工業の再生、幼稚園・小中学校の村内での再
開、住む人を増やすための定住促進策、地域の活性化など喫緊に取り組む
必要がある課題が山積しております。
自主財源に乏しく規模が小さい本村にとっては、どれをとっても村単独
で の 対 応 が 困 難 で あ る た め 、「 原 子 力 災 害 か ら の 復 興 」 と い う 共 通 認 識 に
立ち、政府及び県に対し本村が真の復興・創生を成し遂げるために必要な
支援を強く求めると共に、避難指示が継続される帰還困難区域の道筋を速
やかに示していただく事を要望します。
村としては、このたびの避難指示の解除を弾みに、復興再生に全力で取
り組んでまいる所存でありますので、村民の皆様には引き続きご理解ご協
力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
平成28年5月19日
葛尾村長
松本
允秀