資料② 国債の海外IRについて 平成28年6月13日 海外IRの目的及び方針 海外IRの目的 1.国債保有者層の多様化 → 国債の確実かつ円滑な発行、国債市場の安定 2.国債及び日本経済に関する正確かつタイムリーな情報提供 → 長期安定保有の促進 3.海外投資家の動向及びニーズの的確な把握 → 国債管理政策へのフィードバック 海外IRの実施方針 国債管理政策に加えて、広く日本の経済政策や財政健全化の取組み等に関しても情報発 信を強化。 海外中央銀行(外貨準備)、年金基金、生命保険など国債の安定的な保有が見込まれる 投資家を重視。 欧米に加えて、アジア地域・新興国向けのIRを一層強化。 個別投資家との面談を通じて、投資家のニーズを踏まえた的確な情報提供・情報収集。セ ミナー方式やニュースレターの送信等の方法を適宜組みあわせ、費用対効果の高い海外 IRを実施。 海外投資家等から得られた情報について、関係部局で幅広く共有。 各国の国債管理当局や国際機関、海外中央銀行との関係強化。 2 (「国の債務管理の在り方に関する懇談会」議論の整理(平成26年6月18日)をまとめたもの) 平成27年度の取組み ① 海外IRは9回実施。23か国、25都市、105件訪問。各国中央銀 行、年金基金、生保、資産運用会社などを中心に面談を実施。 (北米)米国、カナダ (欧州)英国、ドイツ、ルクセンブルク、ベルギー、オーストリア、ハンガリー、スペイン、 フィンランド (アジア大洋州)中国(香港含む)、シンガポール、タイ、マレーシア、台湾、韓国、インド、 フィリピン (中東)アラブ首長国連邦、サウジアラビア、クウェート、カタール ② 国内での面談等(来訪、訪問、ビデオ会議等)は84件。 うち在京各国中銀事務所等への訪問(計13回)、定期化(年2回)。 ③ 各種セミナーでの講演7件(国内3件、国外4件)。 ④ ニュースレターによる情報発信の継続。 3 海外投資家の保有割合 <平成7年度末> 国債+T-Bill 3.7 % 2.7% 3.5% 23.0 % 23.3 % 17.2 % 30.3 % T-Billのみ 3.7% <平成17年度末> 0.0% 0.9% 27.6 % 4.4 % 11.5 % 12.2 % 1.3% 10.6 % 3.7 % 41.4 % 0.2% 32.0 % 28.5 % 40.8 % 27.4 % 7.8 % 30.0 % 65.5 % <平成27年末> 0.0% 40.7 % 48.9 % 6.5 % 34.5 % 14.6 % 1.9% (出所)財務省、日本銀行 (注)家計は「T-Billのみ」のグラフには含まれない。 4 (参考)ドル円ベーシススプレッド 0 ‐10 (bp) ‐20 ‐30 ‐40 ‐50 ‐60 1年 ‐70 2年 ‐80 ‐90 2013/10 2014/1 2014/4 2014/7 2014/10 2015/1 2015/4 2015/7 2015/10 2016/1 2016/4 ドル建てJGB2年債と米国2年債の利回り較差の要因分析 120 (%) (bp) 100 80 60 40 20 0 12/1 12/7 13/1 変動金利間の期間調整 2年JGB(ドルベース、右軸) 5 13/7 14/1 14/7 スワップスプレッドの影響 米国2年債利回り(右軸) 15/1 15/7 1.8 1.6 1.4 1.2 1.0 0.8 0.6 0.4 0.2 0.0 16/1 ドル/円ベーシスのマイナス幅 (年/月) (出所)ブルームバーグ 海外投資家による国債保有割合 (参考)円債の地域別保有内訳(カストディアンベース) 140 (兆円) 133.6 130 その他 120 中東 110 欧州 北米 100 10.9 79.5 80 10.6 70 6.3 9.1 50 71.9 71.7 4.5 10.1 60.4 2.3 65.5 10.6 3.6 38.6 33.7 13.9 5.1 6.1 36.0 36.8 11.6 9.7 28.1 30.5 23 24 100.9 19.0 15.4 8.3 9.1 7.4 59.6 9.4 6.1 19.7 50.2 40.5 27.0 46.3 40 30 96.9 91.6 アジア 90 60 115.9 30.8 11.9 22.5 17.6 9.2 20 10 0 6 6.5 7.7 6.9 8.7 9.0 10.4 9.9 11.9 18 19 20 21 20.2 22 25.7 25 20.8 26 22.7 27 (暦年) (出所)財務省、日本銀行 海外投資家の最近の動向(1) 60% 海外投資家のプレゼンス 54.7% ① 国債流通市場における海外投資家売買シェア(先物) 50% 40% 30% 29.0% ② 国債流通市場における海外投資家売買シェア(現物) 20% ③ 海外投資家の国債保有割合(ストック) 10.6% 10% (注)国庫短期証券を除き、債券ディーラー分を含まない。 (出所)日本証券業協会、大阪証券取引所 0% 2004/12 月別売買高(短期債を除く) (兆円) 超長期債 長期国債 中期国債 7 海外投資家 2005/12 2006/12 2007/12 2008/12 都市銀行 2009/12 2010/12 2011/12 2012/12 信託銀行 4 4 3 3 3 2 2 2 1 1 1 0 0 0 -1 -1 -1 -1 -2 -2 -2 -2 -3 -3 -3 -3 -4 -4 -4 -4 -5 -5 -5 -5 -6 -6 -6 -6 -7 -7 -7 1 月 4 月 7月 1 0月 1月 4月 7月 1 0月 1 月 4 月 2014 2014 2015 (出所)日本証券業協会 2 016 2015 2016 2014/12 2015/12 生保等 4 1月 4 月 7月 1 0月 1 月 4月 7 月 1 0月 1 月 4月 2013/12 4 3 2 1 0 1 月 4 月 7月 1 0月 1 月 4月 7月 10 月 1 月 4月 2 014 2 015 2 016 -7 1月 4 月 7月 10 月 1月 4月 7 月 1 0月 1 月 4月 2 014 2015 2016 海外投資家の最近の動向(2) 海外IRを通じて把握した投資動向 マイナス金利政策導入によって極端に金利が低下したため、これまでJGBを保有していた先 が、より利回りの高い米国債や欧米社債、資産担保証券に入れ替えるといった投資行動が 見受けられる。 一方、円の調達コスト低下によって、ドル保有者によるJGB投資の妙味が高まっており、短期 債において海外勢の投資は増加。 中銀については、円を含む通貨配分が設定されていることが多く、リターンにかかわらず一 定程度のJGBを保有。ただし、一部の中銀では、低金利であることもあり、日本の格付けがさ らに下がれば、新規投資を手控えるとの声。 海外IRを通じて寄せられた質問・意見・関心事項等 先方の関心としては、発行計画・方針、国債市場動向に加えて、財政再建の取組み、日銀に よるマイナス金利の導入、アベノミクスの進捗状況など。最近では、100年債や永久債の発行 の可能性にも関心。 マイナス金利政策導入を一因としたボラティリティの上昇と流動性の低下、さらには一部には VaRショックのような事態の再来を懸念。 物価連動債への関心を示す投資家は多い。発行頻度・発行量を高めるほか、より長い年限 の商品を望む意見も聞かれた。一方、流動性が高まり、市場の厚みが増せば、ポジションを 取ることを検討したいとの声もあった。 8 債務管理政策に関する国際会議について 目的 国際会議名 債務管理当局間の情報交換 OECD Working Party on Debt Management(先進国中心) IMF Public Debt Management Forum 世銀 Government Borrowers Forum ADB Regional Public Debt Management Forum(新興国中心) 外準運用担当者間での情報交換 ADB Regional Forum on Investment Management of Forex Reserve 個人向け国債関係 International Retail Debt Management Conference • 平成27年度は、IMF Forum(15年6月)、OECD Working Party(15年11月)、ADB Regional Forum on Investment Management of Forex Reserve(15年9月)に、 平成28年度に入り、世銀Forum(16年5月)、ADB Regional Public Debt Management Forum(16年5月)参加。 • 出席した会議のほとんどで、日本の国債管理政策について発表。更に場外で個別バ イ会談を設置することによりIR活動に利用。 • OECD Working Partyでは、複数の議題でプレゼンターを務めた日本の貢献が評価さ れ、会議の運営に関与する運営委員会のメンバーに新たに選出された。 9 最近の国際会議での主な論点 国債市場の流動性 債務管理当局の多くが、国債市場の流動性の低下への懸念といった共通 の課題を抱えている。 売買高やBid-Askスプレッドといったデータ面では大きな変化がみられてい ないものの、市場参加者からは流動性が低下しているとの指摘。市場の厚 みが失われつつある可能性。 規制強化の影響とその対応 規制強化の動きについては各国債務管理当局とも引き続き注目。 ボラティリティの低下により収益機会が減少する中、金融規制の強化等の影 響によって、金融機関がバランスシート制約に直面している可能性が高い。 金融規制強化による影響を正確にとらえることは難しい。 10 今後の方向性 ― マイナス金利下の海外IR 情報提供・発信のあり方 マイナス金利下では、新たな投資家開拓は容易ではないと見込まれるな か、継続的な投資や長期安定保有が見込める外貨準備当局や年金基金な どの海外機関投資家を重視したIRを引き続き推進。 アジア地域やその他新興国の投資家についても、将来的な投資の可能性 を期待し、ネットワーク構築を継続。 引き続き、海外投資家のニーズや関心に即した説明を実施。 各国債務管理当局、国際機関との連携 マイナス金利採用国の債務管理当局との間で、マイナス金利の国債市場 に対する影響や債務管理政策の在り方に関する意見交換を密に行う。 IRや国際会議等で各国債務管理当局との情報交換を密に行い、更なるリ レーションを強化。 国際機関主催の国際会議等で、議事に関する提案や、海外当局・投資家 向けプレゼン等を積極的に行うなど、国際機関との連携を強化。 11
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