AN-11-DMS

デジタルパネルメータ・アプリケーションノート
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AN-11-DMS
DMS-EB-RMS を用いた実行値計測
概要
DMS-EB-RMS 自体には AC 入力信号とメータの 5V リターン間に絶縁性能
2 V入力レンジの 3-1/2 桁 DMS-30 シリーズを DMS-EB-RMS アプリケーショ
は備わっていません.AC 主電源を DMS-EB-RMS への入力信号源とする際
ンボードに半田付けして使用すれば、750V までの交流電圧の真の実効値
は接続に極端なまでの注意を払ってください.DMS-EB-RMS の 5V リターン
(RMS)計測が 1V の分解能でできます.同じボードに 200mV 入力レンジの
は決してアースしないでください.もしアースすると他の安全対策用のグラン
DMS-30 メータを載せれば、分解能 0.1V、199.9V までを表示します.
ド接続を無効にしてしまい、システムの+5V 電源やこれに付随する諸回路を
DMS-EB-RMS は LED 表示タイプの DMS-30PC や 5V 電源型 LCD 表示タ
危険な AC ライン電位にまで引き上げてしまいます.
イプの DMS-30LCD と併用されます.
これらの配慮が軽減されるのは、入力信号がトランス結合や他の方法で電気
図 2 に示すように R1=988kΩ、R2=988kΩ、R3=1.98kΩを用いて 1000:1 の
的に絶縁されている場合だけです.AC 電流測定時の電流トランスの出力は
分圧回路を作り、U1 に入力できるレベルまで AC 入力を減衰します.U1 は
所要の絶縁条件をクリヤーしている例といえます.この用例に関してご質問
精密な AC/RMS 変換器 IC で、その出力は DMS-30 に直接入力されます.
などありましたら遠慮なくデイテルまでお申し越しください.
120Vrms、60Hz の AC 商用ラインが TB1 の端子 1 と 3 に与えられたとします.
この入力は 0.120Vrms に分割された上で U1 に入力されます.±2V 入力範
囲の DMS-30(商品番号末尾 -1)を使用した場合、表示器は[120](1Vac 精
入力回路の変更
度)を示します.±200mV(商品番号末尾 -0)であれば表示は[120.0]となり
前述の 1000:1 の分圧回路をやめて、他の用例に適したものにすることもでき
ます.ただしこの場合 SG1 を埋めて小数点位置 DP3 を選んでおきます.
ます.しかしながらいずれの場合でも U1 の入力端子(ピン 2)に入力できる最
大電圧は 1.0Vac です.たとえば、0~1Vac を 1mV 精度で表示するためには
R1 と R2 をジャンパー線でショートします.(図 1)
DMS-EB-RMS への電源
DMS-EB-RMS のデータシートにも記載があります通り、AC 電圧からの入力
この場合 R3 は取り外して信号の負荷低下とならないようにします.この構成
信号を測定するにあたって、安全な動作を確保するためには専用のトランス
で 1.0Vac を入力した場合、DMS-30PC-1 メータ(±2V 入力範囲)では
絶縁された+5V 電源が必要です.トランスの定格絶縁電圧は測定対象となる
[1.000]を表示します.
AC 入力電圧より常に高くなければなりません.
ジャンパー線 JP1
R1 と R2 を短絡後に R3 を取り除く
DMS-40 では配線を切る
図 1. DMS-EB-RMS アプリケーションボードの改良
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他の例として入力範囲が 0~10Vac の場合を想定します.10Vac は U1 に直
校正用の穴
接入力するには大きすぎますから 10:1 に分圧して U1 のピン 2 に 1.0Vac が
DMS-EB-RMS には DMS-30 や DMS-40 のメータ本体背面にある校正用ポ
入るようにします.これは R1 と R2 を残したまま R3 を精密な±0.1%の 221kΩ
テンショメータにアクセスできるよう所定の位置に穴があけてあります.多くの
の抵抗に置き換えるだけで簡単にできます.こうすれば DMS-30PC-1 は
用例で、とくに本例のように 1000:1 の分圧用抵抗が使われる場合は、仕様
10Vac の入力時に[10.00]を表示します.もちろん小数点位置は各例に見合
書に記載する精度(0~199.9Vac 範囲で±0.5%、0~750Vac 範囲では±2%)
った点を選びます.
より高い精度を追及する際に、背面のポテンショメータでの調節は欠かせま
せん.
DC 成分の除去
ポテンショメータの機械的な調節範囲は DMS-30 ではたったの 3/4 回転、
DC 電 圧 の 上 に 乗 っ て い る AC 成 分 だ け を 測 定 す る 場 合 に は 、
DMS-40 では 3 回転です.DMS-30 のポテンショメータには回転止めがありま
DMS-EB-RMS への AC 入力を容量結合します.ここで選ばれる容量性リアク
すが、DMS-40 にはありません.したがって調節の際にはあまり強く回さない
タンス(インピーダンス)は測定周波数領域の下限で充分小さくなければなり
でください.調節作業時にメータは通電状態ですから十分な注意を払い、プ
ません.120~220Vac、50/60Hz の入力に対しては 0.1uF のセラミックまたは
ラスチックで絶縁されたねじ回しなどを用いて作業してください.
フイルムコンデンサが妥当です.結合コンデンサの最小定格電圧は AC 信号
のピーク値と DC 成分の和に安全係数として 1.5 を掛けたものが適当です.
結合コンデンサは TB1 と AC 入力に直列に取りつけます.コンデンサの一方
その他の部品
の端子を TB1 の端子 1 に、他方の端子は AC 入力に半田付けされます.
DMS-EB-RMS のボードレイアウトは最近改良されました.+5VDC/DC コンバ
ータ(PS1)や LM7805 三端子レギュレータ(U3)が取り付けられ、R1 と R2 の
下には表面実装用のパッドが、DMS-40 使用時の小数点位置 DP4 用の半田
DMS-40 のアプリケーション
ギャップそれにメータ背面のポテンショメータに接触できる穴も取り付けられ
DMS-EB-RMS は DMS-40PC-1-RS ( 2V 入 力 、 LED 表 示 ) 、
ました.
DMS-40LCD-1/2-5(2V 入力、5V 電源、LCD 表示)の2つの 4-1/2 桁の電
圧計にも使えます.この場合は図 1 で示すようにピン 7 と 8 の間の配線を切り
AC 電圧から入力信号を取る用例で必要な+5V 電源を DMS-EB-RMS ボード
取って使います.こうすることによって DMS-30 で必要だったリファレンス入出
上に直接取りつけられるように PS1 が用意されています.また標準的な+5Vdc
力間のショート状態を解除します.SG4、SG1、SG2 および SG3 はそれぞれ小
以外の電源でも使用できるように LM7805 の取り付け場所が U3 に用意され
数点位置 DP4、DP3、DP2 および DP1 の選択に対応しています.
ています.
図 2. DMS-EB-RMS への電源供給
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