自動車の「街角景気」が持ち直す - 三菱UFJモルガン・スタンレー証券

「平成 28 年熊本地震で被災された方々に心よりお見舞い申し上げ
ますとともに、被災地の一日も早い復旧・復興を祈念いたします。」
景気循環研究所レポート
自動車の「街角景気」が持ち直す
2016 年 6 月 8 日
乗用車販売に先行する
自動車の「街角景気」が持ち直しつつある。内閣府が 8 日に発表した 5
「乗用車・自動車備品販
月の景気ウォッチャー調査によると、「乗用車・自動車備品販売店」の現
売店」の先行き判断 DI
状判断 DI が前月比 3.8 ポイント上昇した。同 DI の上昇は 4 ヵ月振りであ
る。一方、「乗用車・自動車備品販売店」の先行き判断 DI は、4 月に続き
5 月も上昇した（図 1、表 1）。「乗用車・自動車備品販売店」先行き判断
DI の、国内乗用車販売台数に対する先行性を踏まえると、自動車関連の
収益環境は今後、改善に向かう可能性がある（図 2）。
自動車生産の回復や販
年明け以降、自動車部品工場における大規模爆発事故や、平成 28 年熊
売・受注の増加を見込む
本地震の発生に伴う自動車生産ラインの停止などを背景に、自動車の生
声も
産・販売を取り巻く環境は厳しさを増していた。しかし、5 月の景気ウォ
ッチャー調査・景気判断理由をみると、「熊本地震の復旧が進み、生産台
数も元に戻ってくる。スクラップ価格の相場が 4 月以降は上がっているの
で、景気は良くなる（東海・輸送用機械器具製造業）」、「大手自動車メー
カーの燃費不正問題の影響と合わせて、夏のレジャーに向けた買換え需要
の高まりにより、今後数ヵ月は受注の増加を予想している。業界全体の市
場回復ではなく、一時的な動きではあるものの、にぎわいを期待している
嶋中雄二
景気循環研究所長
（近畿・乗用車販売店）」
「前々月からの流れをみていると、自動車購入を
鹿野達史
景気循環研究所副所長
の見方が寄せられている。
検討している客が増えているようである（南関東・乗用車販売店）」など
尚、5 月 30 日に発生した自動車ブレーキ部品工場の爆発事故に関して
シニアエコノミスト
は、各種報道によると、事故発生後 1 週間程度で、停止していた生産ライ
宮嵜
ンが全て再稼働した模様である。
浩
シニアエコノミスト
03-6627-5132
図 1. 景気ウォッチャー調査の分野別 DI（乗用車・自動車備品関連）
miyazaki-hiroshi＠sc.mufg.jp
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
福田
圭亮
シニアエコノミスト
03-6627-5133
fukuda-keisuke＠sc.mufg.jp
本レポートは､嶋中雄二の見方に基づ
き､宮嵜･福田が執筆を担当しています｡
景気循環研究所
東京都千代田区大手町 1-9-2
大手町フィナンシャルシティ
グランキューブ
（DI）
景気の先行き判断DI（乗用車・自動車備品販売店）
景気の現状判断DI（乗用車・自動車備品販売店）
10
11
12
13
14
15
16
（年、月次）
（注）ｼｬﾄﾞｰ部は景気後退局面（内閣府調べ）。
（資料）内閣府「景気ウォッチャー調査」をもとに三菱UFJモルガン・スタンレー
証券景気循環研究所作成
1
2016 年 6 月 8 日
図 2. 乗用車販売台数と自動車の「街角景気」
（千台）
（DI）
480
440
400
360
320
280
240
乗用車販売台数
（軽を含む、左目盛）
200
乗用車・自動車備品販売店
先行き判断DI（右目盛）
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
160
05
06
07
08
09
10
11
12
13
14
15
16
（年、月次）
（注）乗用車販売台数は当研究所季節調整値。
（資料）内閣府「景気ウォッチャー調査」をもとに三菱UFJモルガン・スタンレー証券
景気循環研究所作成
表 1. 景気ウォッチャー調査の分野別 DI（乗用車・自動車備品関連）
現状判断DI
乗用車・
自動車備品販売店
2015年6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
2016年1月
2月
3月
4月
5月
51.0
51.6
49.3
47.5
48.2
46.1
48.7
46.6
44.6
45.4
43.5
4 3. 0
(-2.3)
(0.6)
(-2.3)
(-1.8)
(0.7)
(-2.1)
(2.6)
(-2.1)
(-2.0)
(0.8)
(-1.9)
( -0 .5 )
乗用車・
先行き判断DI
44.7
(-0.4)
48.0
(3.3)
45.5
(-2.5)
45.2
(-0.3)
44.3
(-0.9)
44.9
(0.6)
47.7
(2.8)
52.6
(4.9)
48.8
(-3.8)
47.7
(-1.1)
36.4 (-11.3)
4 0. 2
(3 .8 )
自動車備品販売店
53.5
51.9
48.2
49.1
49.1
48.2
48.2
49.5
48.2
46.7
45.5
4 7 .3
(-1.0)
(-1.6)
(-3.7)
(0.9)
(0.0)
(-0.9)
(0.0)
(1.3)
(-1.3)
(-1.5)
(-1.2)
( 1. 8)
52.8
52.8
49.7
50.6
53.1
54.0
58.0
50.0
45.4
42.2
43.7
48 .0
(-2.1)
(0.0)
(-3.1)
(0.9)
(2.5)
(0.9)
(4.0)
(-8.0)
(-4.6)
(-3.2)
(1.5)
( 4. 3)
（注）カッコ内の数値は前月差。
（資料）内閣府「景気ウォッチャー調査」をもとに三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所作成
（以
上）
みやざき
ひろし
(16.6.8 宮嵜
浩)
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ご自身でご判断くださいますようお願い申し上げます。巻末に重要な注意事項を記載していますので、ご参照下さい。
2
2016 年 6 月 8 日
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