プレスリリース

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古川美術館 分館爲三郎記念館
爲三郎記念館 特別企画
こうぞう
竹田耕三追悼展 「有松絞りを世界へ」
2016年6月11日(土)〜8月7日(日)
前期:6月11日(土)~7月10日(日)
後期:7月12日(火)~8月7日(日)
竹田耕三 SHIBORI にささげた人生
愛知が誇る日本の文化!! 今まさに蘇る、絞りの花
江戸時代より脈々と受け継がれ、時代と共に可憐な花を咲かせてきた有松絞り。江戸時代に
東海道沿いの宿場間から生まれた産業であり、世界の絞り技法の7割が有松で考案されるな
ど世界に誇る愛知県発、日本の文化です。本展覧会ではそんな世界へ誇る、愛知県産の文
化・有松絞りをクローズアップします。その中でも2013年に逝去した竹田耕三の輝かしい軌
跡に注目します。有松絞りの創始者である竹田庄九郎の流れをくむ竹田嘉兵衛商店の旧家に
生まれ、研究者であった竹田耕三は、有松絞りの伝統技術を後世に伝えるほか、その類稀な
る華麗な技術を世界へと発信し、
その可能性を幅広いジャンルで
発揮してきました。
竹田は生前、絞りは人の手が括
(くく)るからこそ一つ一つに
滲みや揺らぎが生まれ、独特の
美しさを放つといいました。
日本の古きものに美を見出し、
技術を伝承し、職人と共に歩ん
だ竹田耕三の、まさに人生を捧
げた絞りの数々を一堂に展示し
ます。
(図1)右:若松に飛鶴文様打掛(前期展示)
左:松竹梅に飛鳥文様打掛(後期展示)いずれも江戸時代の復元
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古川美術館 分館爲三郎記念館
―有松絞りの歴史東海道筋の新町として1608年に誕生した有松は、宿場町・鳴海に隣接し、農作に適した土地ではな
いことから、農作以外の方法で生計を模索する必要がありました。そこで当時開拓者の中心的存在
であった竹田庄九郎が、九州から名古屋城の築城のために来ていた人々の藍染めによる絞り衣装に
着目し、絞りの生産を開始したことが有松絞りの始まりとされています。竹田庄九郎の商売人とし
ての眼は非常に優れており、どうにかしてこの産業を広めたいと考えた庄九郎は東海道という立地
に注目します。絞りを東海道を通行する人々に土産として販売し、通行人を通して絞りを全国へと
広めたのでした。通行人が増加に比例するように、絞りの販売数も増加、一大産業へと発展して
いったのです。そして有松で絞り染めが盛んになり、現在に繋がる豪壮な町並みが形作られ、東海
の名所となり、多くの浮世絵にも描かれまでに発展したのでした。有松絞りは伝統的な技法に改良
を加え、次々と新技術を開発。その結果、日本の絞りは大きく発展し、有松は日本の絞りの約7割
を担うまでに発展しています。
-ここがポイント!!絞りの研究者、竹田耕三が急逝してから三周忌を迎えます。この数年、彼が遺した芸術品の数々は
有松の竹田嘉兵衛商店のみで展示され、その機会も稀でした。本展では、前期と後期に分け、竹田
耕三が遺した芸術品を一堂に展示。高価といわれる有松絞りの中でも竹田耕三の絞りの着物は、色、
デザイン、どれをとっても最高峰の水準です。非常に美しい絞りの世界が楽しめます。
伝統を未来へ
竹田耕三(1946年~2013年)
1946年、名古屋市、有松絞りの旧家に生まれる。1969
年、京都にて手描友禅の染匠・4代目田畑喜八に師事。
その後有松に戻り、古い有松絞りの資料を参考に研究を
かさねる。その過程で400年続く有松絞りには藍染めの技
術が不可欠であることに気付き、1973年、本藍染めを有
松で復活させる。1982年には有松絞りの技法解説書の
『日本の手絞り』を出版し、世界に向け有松絞りを発信。
2003年故杉本健吉画伯とコラボレート作品を制作。2004
年には山本寛斎スーパーショー「アボルダージュ~接舷攻
撃」での絞り衣裳制作。また、2006年、衣裳デザイナー・
ワダエミ氏よりTBS正月特番「里見八犬伝」での衣裳協力
依頼があり、絞り着物を制作するなど、幅広いジャンルで
有松絞りを発表する。その他、絞りの国際会議や作品展を
開催し、有松絞りをはじめとする日本の絞りを世界の絞りに
育て上げる文化活動に情熱をそそいできた。しかし2013
年、胆管癌にて急逝。
(図2)故・竹田耕三
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ここがポイント!!
有松絞りの華麗な世界には”藍”が不可欠。
竹田は途絶えていた本藍による染色を有松にて復興させた!!
図3) 折花市松文様訪問着
手描友禅の染匠・四代目田畑喜八の元での修行を終えた竹田耕三
は有松に戻り、絞りの研究に没頭する。竹田が目指したのは古い有松
絞りの復興である。研究を始めた1971(昭和46)年、有松絞りは天然
藍ではなく、化学染料、スレン染料が使用されていた。スレン染料は
浸透力が強く、藍と地色の染際がはっきりとする。しかしこうした表現は
古い有松絞りにはなかったため、竹田は染料自体を見直し、植物藍
の使用が不可欠であると考え、植物藍を甦らせることから始めた。
すべてが手探りの状況の中で行われ、様々試すこと50日目。ようやく
藍液を発酵させる事に成功。そしてついに1973(昭和48)年、本藍染
めを有松で復活させる。その後、竹田は手元にある古い有松絞りを元
に研究を重ね、表現豊かな絞りの世界を構築していく。
【コラム】日本における藍文化
天然藍とは人類最古の染料として古くから使用されており、飛鳥時代には藍染の存在が確認で
きる。鎌倉時代、藍色は武士の色として定着し、室町時代になると日本人の衣装を彩る最もポ
ピュラーな色となった。江戸時代には人々は衣服の華美を競い日本の衣服は織り柄、染め、す
べての面において華やいだ。だが、1880(明治13)年、青色の成分を化学的に合成することに
成功してから急速に天然藍は姿を消す。しかし、藍の本来の美しさを信じ、自らの命を藍に注い
だ佐藤平助氏(国選定無形文化財保持者、藍師・佐藤昭人の曽祖父)の力により、その美しさ
は絶やすことなく継承され、現在では本藍の素晴らしさが再認識され、染色の世界において
本藍が重宝されている。天然藍は醗酵菌が染色後も永く繊維の中でいき続けるため、年とと
もに色が冴え、鮮やかな色合いになる。
ここがポイント!!
藍染絞の第一人者、片野元彦の図案研究!甦る日本美の数々!!
竹田耕三の研究は、藍絞りの第一人者・片野元彦の図案の研究にまで及
んだ。片野元彦は、1899(明治32)年名古屋に生まれ、1920(大正9)年、
21歳のとき画家 岸田劉生に師事。劉生の他界により絵筆を捨て、1934
(昭和9)年35才の頃に染色の世界に専念。そして57歳で民芸運動の創始
者・柳宗悦に「有松、鳴海の絞りを再興するように」と示唆され、有松絞りの
制作に没頭し、素材、色彩に独自の作風を確立。素朴な絞りの着物を素
材として、歌劇の舞台の金襴のきらびやかな着物にも勝る、唯一無二の美
しさを誇る絞りの世界を構築し、近代的な感覚で日本の絞りの世界に新た
な道を開拓した。竹田は片野の遺族の了承を経て、片野作品の研究、コ
ピーを制作し、その美しさを後世に残してきた。こうした研究を通じ竹田は、
絞り史上最も素晴らしい技術を生み出した片野の絞りを、そしてそこに込め
られたメッセージを後世に残そうとしているのである。
図4) 木綿地藍帽子絞吹雪文様訪問着
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古川美術館 分館爲三郎記念館
ここがポイント!!
「SHIBORI」として世界共通語として定着している有松絞り。
小さな産地から世界へと絞りの領域を広げた竹田の軌跡に注目!!
民芸品からファッションシーンを彩るまでに発展した絞りの発展を紹介。
絞りの研究を進めていくにつれ、有松絞りを小さな産地的な
考えでとらえるのでなはなく、広い視野から有松という産地を
見る必要性に気付いた竹田は、1982年に有松絞りの技法
解説書の『日本の手絞り』を出版するなど、世界に向け有松
絞りを発信していった。その歩みは、国内はもちろん、世界の
国から絞り研修者が有松に訪れるまでに広がり、国内外に
絞り作家が増えてきた。
一方で藍と絞りの表現は、民芸という枠からファッションシー
ンへと発展をとげる。
ここでは竹田が有松を世界へとむけて発信していった痕跡
を紹介。
【コラム】竹田耕三とのコラボ
※本展覧会では以下の衣装は出品しておりません。
★TBS開局50周年正月番組「里見八犬伝」での絞り衣装
衣裳デザイナー・ワダエミ氏より協力依頼があり
2006年に制作
★山本寛斎ライブパフォーマンス「アボルダージュ」での絞り衣裳
山本寛斎氏より依頼があり2004年に制作
参考画像:http://www.kansai-inc.co.jp/ky/fashion/
ここがポイント!!
あの日展作家ジュディ・オング倩玉とのコラボレーショ作品
旧交を温めた人形作家・阿部肥とのコラボレーションを一堂に展示!!
竹田耕三×ジュディオング倩玉「水光花酔」 2005年
古川美術館にて2005年に開催した万博開催記念展「有松絞り~
ジャパンブルーから現代まで」の際に制作された作品。
ジュディ・オング 玉氏による絵画に竹田耕三氏の嵐絞りをあわせ
た共同作品です。木綿地に発色のよい中国絵の具を使って風に棚
引く姿の菖蒲の花が優しく描かれています。
その上に嵐絞りによる藍染めの布が重ねられ、
涼やかな花撫でる風と水面の波紋を見事に
表現しています。
竹田耕三×阿部肥 「市松人形」
人形作家・阿部肥の才能をいち早く見抜き、阿部を生涯に渡り支援して
きた竹田は、阿部の手掛ける人形に、総鹿の子絞りの着物を作った。総
鹿の子の着物は、市場にでると着物の中でも最高級品として扱われるほ
どの貴重さ。いかに竹田が阿部を心から応援していたことがわかる品で
ある。
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古川美術館 分館爲三郎記念館
※ご希望の方はご連絡ください
◆古川美術館 担当学芸員 林 奈美恵
電話 052-763-1991
広報で使用できる画像はこちらです。
mail : [email protected]
広報使用画像
①
④
②
⑤
③
① 右:若松に飛鶴文様打掛(前期展示)
左:松竹梅に飛鳥文様打掛(後期展示)
② 松竹梅に飛鳥文様打掛(後期展示)
③ 若松に飛鶴文様打掛(前期展示)
④ 折花市松文様訪問着
⑤ 藤文様訪問着
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古川美術館 分館爲三郎記念館
展覧会情報
展覧会名称
爲三郎記念館 特別企画
竹田耕三追悼展「有松絞りを世界へ」
会場
爲三郎記念館(古川美術館分館)
会期
平成28年6月11日(土)~8月7日(日)
午前10時~午後5時(入館は午後4時30分まで)
前期:6月11日(土)~7月10日(日)
後期:7月12日(火)~8月7日(日)
主催
公益財団法人 古川知足会
協力
株式会社竹田嘉兵衛商店 特定非営利活動法人コンソーシアム有松鳴海絞
後援
愛知県教育委員会、名古屋市教育委員会 一般財団法人民族衣裳文化普及協会
スターキャット・ケーブルネットワーク株式会社
あいちトリエンナーレ2016パートナーシップ事業
休館日
月曜日
観覧料
大人1,000円
高・大学生500円
小・中学生300円【Pコード
767-523】
【お問い合わせ】
公益財団法人 古川知足会 古川美術館・分館 爲三郎記念館
電話 052-763-1991
FAX 052-763-1994(学芸課直通)
〒464-066 名古屋市千種区池下町2丁目50番地
担当学芸員 林奈美恵([email protected] )
広報担当 学芸課
山内綾子([email protected] )
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古川美術館 分館爲三郎記念館
★竹田耕三展イベント★
担当学芸員が語る
~ギャラリートーク~
日 時|平成28年6月11日(土) 7月14日(木) 7月30日(土)
各日15:00~
参加費|無料(別途展覧会チケット必要)
会 場|爲三郎記念館(古川美術館 分館)
要
予約
有松絞りを知ろう!!
~有松絞り講演会 ~有松の未来
重要伝統的建造物群保存地区へ
伝統的建造物群保存地区となった有松。そこに住み、家業を営み、支えてきた方々の
今と未来に密着します。
日 時|7月3日(日)14:00〜15:30
参加費|500円(別途展覧会チケット必要)
会 場|ルブラ王山
パネリスト|竹田嘉兵衛(株式会社竹田嘉兵衛商店代表取締役社長)
服部豊(有松まちづくりの会会長)
成田治(あないびとの会会長)
司会者|家田崇(南山大学法学部教授)
要
予約
染色工場見学付有松美術ツアー
猿投温泉入泉
券付き!!
「竹田嘉兵衛商店で有松絞りに挑戦しよう!!」
日 時| 7月15日(金) 集合9:00~17:30(受付開始8:45)
定 員| 30名
参加費|一般8,500円 パスポート会員8,000円
(絞体験費・お弁当代・入泉代込)
行 程
古川美術館→有松・竹田嘉兵衛商店(ストール作り・抹茶と和菓子)
久野染工場(染色工場見学・染色体験)→猿投温泉(入泉・休憩)→古川美術館
※昼食は竹田嘉兵衛商店で猿投温泉お弁当をお楽しみください。
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要
予約
古川美術館 分館爲三郎記念館
今咲き誇る絞りの美
「SHBORIショーと音楽の祭典」
有松絞り研究家、竹田耕三の遺作を使ったファッションショーです。
竹田耕三と交流の深かった中国琵琶奏者・宗ティンティンの
ミニコンサートを開催します。
日 時|平成28年7月2日(土)18:00~(受付17:30~)
定 員|60名
参加費|3500円(呈茶付、展覧会チケット付)
パスポート会員3000円(呈茶付)
会 場|爲三郎記念館邸内
演奏者|宗ティンティン(中国琵琶奏者)
申 込| お電話にて
協 力|一般財団法人民族衣裳文化普及協会
泉水きものインスティチュート、有限会社本藍染矢野工場
要
予約
ワークショップで絞りを体験
「絞りの日傘作りに挑戦!!」
これからの季節にピッタリな自分だけの日傘を作りませんか?
日 時|7月9日(土)
午前10:00~12:00 午後14:00~16:00
参加費|5,000円(別途展覧会チケット必要)
定 員|各16名
協 力|有限会社 絞染色久野染工場
会 場|古川美術館3F会議室
※汚れてもかまわない服装でエプロン持参のうえご参加下さい。