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S-QUE 院内研修 1000’ 2016 年度 E ナース
第 5 回 呼吸管理(シリーズ) 最新呼吸療法のエッセンスシリーズ~ハイフローセラピーの正しい知識と活用方法
清水 孝宏 氏(那覇市立病院 集中ケア認定看護師)
(演習問題 全 10 問)
Q1.酸素療法で正しいものを 1 つ選びなさい。
1.リザーバーマスク 15L/分で酸素投与をしたら酸素濃度は 90~100%維持することが出来る
2.15L/分の酸素流量計では 90~100%の酸素濃度を維持することは困難である
3.ハイフローセラピーは機器を用いるので人工呼吸器である
Q2.呼吸不全で正しいものを 1 つ選びなさい。
1.PaO2 低下と PaCO2 上昇を伴うのが I 型の呼吸不全である
2.PaO2 の低下のみで PCO2 は上昇しないのが II 型呼吸不全である
3.PaO2 の低下のみで PCO2 は上昇しないのが I 型呼吸不全である
Q3.II 型呼吸不全で正しいものを 1 つ選びなさい。
1.II 型呼吸不全はそれまで健康なひとに起こりやすい急性呼吸不全である
2.II 型呼吸不全は慢性的な呼吸不全で COPD などが代表疾患である
3.II 型呼吸不全はハイフローセラピーの良い適応である
Q4.人工呼吸器について正しいものはどれか 1 つ選びなさい。
1.マスク式人工呼吸器が IPPV で気管挿管人工呼吸器が NPPV である
2.NPPV では高い PEEP を長時間維持可能である
3.NPPV で呼吸管理出来ないほどの重症呼吸不全は IPPV の適応である
Q5.心原性肺水腫について正しいものを 1 つ選びなさい。
1.重症な心原性肺水腫による低酸素性呼吸不全には NPPV が有効である
2.心原性肺水腫は血管透過性亢進による肺水腫である
3.重症な心原性肺水腫による低酸素性呼吸不全にはハイフローセラピーが有効である
Q6.ハイフローセラピーで誤っているものを 1 つ選びなさい。
1.ハイフローセラピーは酸素濃度 21%から 100%まで供給することが出来る
2.ハイフローセラピーでは 5cmH2O 以上の PEEP を付加することが出来る
3.低酸素性の急性呼吸不全がハイフローセラピーのよい適応である
Q7.ハイフローセラピーの適応について誤ったものを 1 つ選びなさい。
1.高二酸化炭素血症を伴う呼吸不全にはハイフローセラピーの使用で二酸化炭素の貯留に注意が必要である
2.小児科領域ではハイフローセラピーは適応となるケースが少ない
3.ハイフローセラピーで低酸素血症の改善が認められない場合は NPPV または IPPV を考慮すべきである
Q8.ハイフローセラピーで誤っているものを 1 つ選びなさい。
1.ショック状態にある呼吸不全でもハイフローセラピーは有効である
2.抜管後の呼吸不全発症予防にハイフローセラピーは有効である
3.終末期などの呼吸器症状の緩和ケアにハイフローセラピーは有効である
Q9.高炭酸ガス血症、CO2 ナルコーシスについて正しいものを 1 つ選びなさい。
1.CO2 が体内に貯留すると副交感神経系が活性化される
2.CO2 が体内に貯留すると交感神経系が活性化される
3.CO2 が体内に貯留すると頭蓋内圧は低下する
Q10.ハイフローセラピーの管理で誤っているものを 1 つ選びなさい。
1.ハイフローセラピーでは口腔内が乾燥するため加温加湿のレベルを適宜調整する
2.鼻に装着するカニューレが鼻孔に当たるのでカニューレの部分をハサミなどでカットすると良い
3.カニューレによる鼻孔の潰瘍を予防するのにワセリンが有効である
演習問題
S-QUE 院内研修 1000’ 2016 年度 E ナース
第 5 回 呼吸管理(シリーズ) 最新呼吸療法のエッセンスシリーズ~ハイフローセラピーの正しい知識と活用方法
清水 孝宏 氏(那覇市立病院 集中ケア認定看護師)
(演習問題 解答・解説)
Q1.酸素療法で正しいものを 1 つ選びなさい。
1.リザーバーマスク 15L/分で酸素投与をしたら酸素濃度は 90~100%維持することが出来る
2.15L/分の酸素流量計では 90~100%の酸素濃度を維持することは困難である
3.ハイフローセラピーは機器を用いるので人工呼吸器である
解答:2
解説
健常時の吸気流量は 30L/分であり、100%の酸素濃度を吸入するためには 30L/分以上の酸素流量が必要です。ハイフローセラピーは酸素療
法のひとつであり人工呼吸器ではありません。
Q2.呼吸不全で正しいものを 1 つ選びなさい。
1.PaO2 低下と PaCO2 上昇を伴うのが I 型の呼吸不全である
2.PaO2 の低下のみで PCO2 は上昇しないのが II 型呼吸不全である
3.PaO2 の低下のみで PCO2 は上昇しないのが I 型呼吸不全である
解答:3
解説
PaO2 の低下のみが I 型呼吸不全、PaO2 低下に PCO2 上昇を伴うのが II 型呼吸不全です。
I 型呼吸不全は PaO2 低下に注意し II 型呼吸不全は PaO2 の低下と PCO2 の上昇の両方に注意しなければなりません。
Q3.II 型呼吸不全で正しいものを 1 つ選びなさい。
1.II 型呼吸不全はそれまで健康なひとに起こりやすい急性呼吸不全である
2.II 型呼吸不全は慢性的な呼吸不全で COPD などが代表疾患である
3.II 型呼吸不全はハイフローセラピーの良い適応である
解答:2
解説
健康なひとが肺炎などで急性呼吸不全になった場合、低酸素血症(PaO2 低下)のみを特徴とするのが I 型呼吸不全です。これに対し慢性的
な低酸素血症に加え、高二酸化炭素血症(PCO2 上昇)を伴った呼吸不全が II 型呼吸不全で COPD や肺結核後遺症、神経筋疾患などが
代表的な疾患です。このような II 型呼吸不全にはハイフローセラピー使用は高二酸化炭素血症を助長する可能性があり注意が必要です。
Q4.人工呼吸器について正しいものはどれか 1 つ選びなさい。
1.マスク式人工呼吸器が IPPV で気管挿管人工呼吸器が NPPV である
2.NPPV では高い PEEP を長時間維持可能である
3.NPPV で呼吸管理出来ないほどの重症呼吸不全は IPPV の適応である
解答:3
解説
気管挿管して人工呼吸管理することを侵襲的陽圧換気(invasive positive pressure ventilation;IPPV)といい、マスクを用い人工呼
吸管理することを非侵襲的陽圧換気(noninvasive positive pressure ventilation;NPPV)と言います。NPPV はマスクのリークをある程
度許容しながら人工呼吸管理をしますが、高い PEEP を必要とする重症呼吸不全においては確実に陽圧を維持できる IPPV が有利となります。
Q5.心原性肺水腫について正しいものを 1 つ選びなさい。
1.重症な心原性肺水腫による低酸素性呼吸不全には NPPV が有効である
2.心原性肺水腫は血管透過性亢進による肺水腫である
3.重症な心原性肺水腫による低酸素性呼吸不全にはハイフローセラピーが有効である
解答:1
解説
心原性肺水腫は静水圧の上昇による肺水腫です。ハイフローセラピーでは静水圧の上昇を抑える PEEP 効果が少ないので PEEP 効果の高い
NPPV が第 1 選択です。また NPPV でも肺水腫が改善しない場合は IPPV を選択します。
解答・解説 1
Q6.ハイフローセラピーで誤っているものを 1 つ選びなさい。
1.ハイフローセラピーは酸素濃度 21%から 100%まで供給することが出来る
2.ハイフローセラピーでは 5cmH2O 以上の PEEP を付加することが出来る
3.低酸素性の急性呼吸不全がハイフローセラピーのよい適応である
解答:2
解説
ハイフローセラピーによる PEEP 効果は閉口している条件でも PEEP は 5cmH2O 未満と言われています。供給できる酸素濃度は 21%から
100%まで可能で、低酸素性の急性呼吸不全が良い適応です。
Q7.ハイフローセラピーの適応について誤ったものを 1 つ選びなさい。
1.高二酸化炭素血症を伴う呼吸不全にはハイフローセラピーの使用で二酸化炭素の貯留に注意が必要である
2.小児科領域ではハイフローセラピーは適応となるケースが少ない
3.ハイフローセラピーで低酸素血症の改善が認められない場合は NPPV または IPPV を考慮すべきである
解答:2
解説
小児、新生児領域でもハイフローセラピーは積極的に用いられています。特にウイルス性の肺炎などで低酸素血症が問題となるときにハイフローセラ
ピーが用いられます。また気管挿管の前後の呼吸管理にハイフローセラピーが用いられることもあります。
Q8.ハイフローセラピーで誤っているものを 1 つ選びなさい。
1.ショック状態にある呼吸不全でもハイフローセラピーは有効である
2.抜管後の呼吸不全発症予防にハイフローセラピーは有効である
3.終末期などの呼吸器症状の緩和ケアにハイフローセラピーは有効である
解答:1
解説
ショック状態にある呼吸循環が不安定な状態では気管挿管下の人工呼吸管理が安全とされ、ハイフローセラピーや NPPV はほぼ禁忌となっていま
す。ハイフローセラピーは抜管後や終末期の呼吸困難緩和に有効とされています。
Q9.高炭酸ガス血症、CO2 ナルコーシスについて正しいものを 1 つ選びなさい。
1.CO2 が体内に貯留すると副交感神経系が活性化される
2.CO2 が体内に貯留すると交感神経系が活性化される
3.CO2 が体内に貯留すると頭蓋内圧は低下する
解答:2
解説
CO2 が体内に蓄積された状態では交感神経系が活性化されます。その主な症状は血圧上昇、脈拍上昇、腎血管収縮による腎血流量の低下に
よる尿量の低下などです。また CO2 貯留は頭蓋内圧を亢進させ頭痛を伴います。
Q10.ハイフローセラピーの管理で誤っているものを 1 つ選びなさい。
1.ハイフローセラピーでは口腔内が乾燥するため加温加湿のレベルを適宜調整する
2.鼻に装着するカニューレが鼻孔に当たるのでカニューレの部分をハサミなどでカットすると良い
3.カニューレによる鼻孔の潰瘍を予防するのにワセリンが有効である
解答:2
解説
医療機器や物品は使用者が改造して使用することは禁止されています。改造して使用すると本来の性能が発揮されないばかりか思わぬトラブルを
引き起こす原因にもなります。ハイフローセラピーを快適に実施する工夫として鼻孔へのワセリン塗布や加温加湿レベルの調整は重要です。
解答・解説 2