JICA モンゴル事務所ニュースレター 2016 年 5 月号 トップニュース 「持続可能な開発ビジョン 2030」策定メンバーを日本に招聘 柏の葉オープンイノベーションラボを 視察する参加メンバー モンゴルでは、2016 年 2 月に国の開発方針を定めた「持続可能な開発ビジョン 2030」が国 会で承認されました。今後、同ビジョン実現に向けて公共投資計画等の策定が予定される中、 同ビジョン策定の際に中心的役割を担った超党派のサブワーキンググループメンバーを 5 月 9 日~16 日まで日本に招き、同ビジョン実現に向けたプロセスや体制・仕組みの構築に役立 てるため、日本の経験・事例を紹介しました。訪日中は、内閣府や国土交通省等で政策立案 から実施管理に至る行政組織の在り方や全国総合開発計画の変遷等を紹介した他、けいは んな学研都市等の視察を行いました。参加者からは、日本の経験を踏まえ、モンゴルで同ビ ジョンの具体的な実現方策を集中的に議論する貴重な機会となったとの声や JICA の継続的 な支援を期待する声が挙がりました。 政治・経済動向 6 月 29 日総選挙に向けた動きが活発化 来る 6 月 29 日、モンゴルでは国政選挙、ウランバートル市議会議員及び 21 の県議会議員選挙が同日に開催されます。今後 6 月 11 日から 18 日間に渡って選挙戦が繰り広げられます。今回の選挙に先立ち、今月 5 日に選挙法が改正され、これまで の「中選挙区(26 選挙区)比例代表並立制」から「小選挙区制(76 選挙区)」へと変更となりました。 これにより、すでに 13 の党 と 3 つの連盟が選挙の届出を行いましたが、与党/民主党(現 37 議席)と最大野党/人民党(現 30 議席)の 2 大政党優位 との見方が強まっています。実際、今月 5 日に公正連合(人民革命党と民族民主党との連合)が 11 名中 7 名の議員離党に 伴い解体されました。今後益々、選挙戦を意識した動きが活発化するものと思われます。 日・モ経済連携協定(EPA)が 6 月 7 日に発効 協議を行う日・モ両国関係者 (出典:モンゴル外務省) 5 月 8 日に、日・モ経済連携協定(EPA)の効力の発生のための外交上の公文の交換が行わ れ、いよいよ 6 月 7 日に発効することとなりました。この協定により、日本はモンゴルからの輸 入額の 100%が、モンゴルは 4500cc 以下の完成車の即時関税撤廃を含む日本からの輸入 額の約 96%(いずれも 2012 年時点)が 10 年間で無税となり、両国間の貿易及び投資の自 由化及び円滑化が推進され、両国経済が一段と活性化することが期待されます。また、この協 定はモンゴルにとって初めての EPA であり、日・モ間の「戦略的パートナーシップ」の強化に 大きく寄与することが期待されます。なお、日・モ EPA はシンガポール、メキシコ等に続き、15 番目に発効する EPA となります。 その他の主要イベント、動向等 ・5 月 2~5 日 ボロル大蔵大臣、ADB 総会出席@フランクフルト ・5 月 12~13 日 ASEM 高級実務者会合(SOM)開催@UB ・5 月 16~18 日 バヤルサイハン労働大臣、日本公式訪問 ・5 月 18~20 日 エルベグドルジ大統領、韓国公式訪問 ・5 月 30~31 日 プレブスレン外相、日本公式訪問 プロジェクトの動き 熊本地震を受けてモンゴル人 JDS 生が義援金を寄付 義援金寄付を発起した九州大学 JDS 生 4 月に発生した熊本地震を受け、日本に留学中のモンゴル人 JDS 生が義援金を熊本市に寄 付しました。九州大学法学部に在籍中の JDS 生4名が熊本地震の被害に大きく心を痛め、自 分たちできることはないかと考えた結果、現在留学中のモンゴル人 JDS 生に呼びかけて義援 金を募ったもので、わずか 1 週間で 22 名から寄付があり、熊本市へ送られました。「困った時 の友が真の友」というモンゴルの諺があるように、JDS 生の即座の行動は、日本とモンゴルの 絆を感じさせます。突然の震災で本人達も不安だったはずですが、このような行動をすぐに起 こしてくれた JDS 生に感謝します。 技プロ「建設分野における労働安全管理能力強化プロジェクト」詳細計画策定調査を実施 UB 市内の建設工事現場を視察する調査団 ウランバートル市では高層アパート等の建設現場を多く目にしますが、建設現場の死亡者数 の割合(対建設業就労者数)は日本の約 10 倍と高く、建設現場の労働安全環境改善が急務 です。かかる状況下、4 月 11~27 日に技プロ「建設分野における労働安全管理能力強化プ ロジェクト」実施に向けて詳細計画策定調査を実施し、建設労働災害防止方策の策定や事例 集等の整備、パイロットサイトでの実地研修等を支援することを C/P 機関の建設・都市開発省 及び専門監察庁と合意しました。同プロジェクトは、JICA で初めての建設分野に特化した労 働安全分野の技プロで、2017 年春から本格実施される予定です。 ゲル地区に新たなモニタリングステーションを供与 引渡式典でのテープカットの様子 2013 年より実施中の「UB 市大気汚染対策能力強化プロジェクト・フェーズ 2」では、大気汚 染対策を科学的根拠に基づき検討する能力の向上を支援しています。UB 市の主要な大気 汚染の発生源の一つとなっているのが、ゲル地区の 20 万以上に及ぶストーブです。今般、ゲ ル地区の大気汚染状況の解析を目的に、モニタリングステーションがバヤンホシュ区に新しく 供与されました。既存のモニタリングステーションではゲル地区の大気汚染の測定が十分に行 えませんでしたが、ゲル地区に設置された新局で測定が開始されたことにより、大気汚染物質 の濃度等の解析が進められます。5 月 2 日に実施された式典には在モンゴル日本国大使館 関係者、UB 市のバットエルデネ副市長も列席し、新局を活用したゲル地区での大気汚染のメ カニズム解明への期待が寄せられています。 国立生命科学大学獣医学部に大講義室と図書室がオープン! 大講義室で講義中の梅村専門家 現在、技プロ「獣医畜産分野人材育成能力強化プロジェクト」を実施しているモンゴル国立生 命科学大学獣医学部では、講義室や図書室のスペース不足が学部教育の課題の一つとなっ ていました。今回、自己資金で新たに増設した大講義室と新図書室に、JICA とスイス開発協 力庁(SDC)の支援を受けて関連機材や教材等が供与され、4 月 29 日、盛大にオープニン グセレモニーが行われました。JICA からは、新図書室に対して獣医学関係の書籍や教科書 (昨年 565 冊、今年 187 冊)と本棚、大講義室に対してプロジェクターやスクリーン、移動式マ イクを供与しており、今後、整備された大講義室と図書室が、獣医学部における教育研究に 有効に活用されることが期待されます。 技プロ「国税庁徴税機能強化及び国際課税取組支援プロジェクト」フェーズ 2 の詳細計画策定調査を実施 詳細計画策定調査ミニッツ署名式の様子 技プロ「国税庁徴税機能強化及び国際課税取組支援プロジェクトフェーズ 2」詳細計画策定 調査が 4 月 17 日~28 日に行われました。2013 年から開始した同プロジェクトフェーズ 1 で は国際課税分野の人材育成、徴収業務強化に向けた組織体制改善等を進めました。2016 年 3 月に実施された終了時評価では 3 年間の活動成果と目標が概ね達成されたことが確認 された一方で、組織体制強化等が必要と指摘されました。これを受けて、C/P 機関の関税・国 税庁の要請に基づき、同プロジェクトフェーズ 2 の実施に向けた詳細計画策定調査を行い、 関税・国税庁の更なる組織体制強化、調査官の法執行能力向上等を実施する方針を確認 し、4 月 27 日に JICA、関税・国税庁、大蔵省間でミニッツに署名しました。 その他の事業の動き等 ・モンゴル・日本人材開発センター協力によるスタディツアー参加者募集中(詳細は下記 URL 参照) http://eco.his-j.com/volunteer/tour/TF-ULN0001 ・円借款「工学系高等教育支援事業」トピックス:「高専留学の第 1 期生が新生活をスタート」 http://www.jica.go.jp/topics/2016/20160419_01.html ・5 月 31 日に千葉長期専門家及び磯部長期専門家(ともにウランバートル市における障害者の社会参加促進プロジェクト)、高 梨長期専門家(社会保険実施能力強化プロジェクト)が着任。 ボランティア事業の動き ボランティア活動紹介 (ヒロシマ・ナガサキ原爆展開催 ~モンゴルからの平和の声~) 原爆展での特別イベントの様子 2016 年 3 月~5 月、広島出身の大平緑 JOCV(職種:青少年活動)の発意で、モンゴル国 内の 3 つの学校で、原子爆弾の恐ろしさ、平和の尊さを伝える「ヒロシマ・原爆セミナー」が開 催されました。5 月 9~13 日には、モンゴル・日本人材開発センターで「ヒロシマ・ナガサキ 原爆展」も開催され、多くの方が来場して展示パネルに真剣に見入る姿が見られました。ま た、12 日に開催された「特別イベント」では、80 名を越える学生や一般の方が参加し、広島 在住の被爆者の方から直接、被爆体験を聞く Web 会議が実施され、被爆者の方に当時の 体験、想いを聞こうと、参加者から沢山の質問が投げかけられました。一連のイベントを通じ て、モンゴルの若い世代に、戦争や平和について考える良い機会が提供されました。なお、 来場者の作成した折り鶴と平和に対する想いを綴った「平和のメッセージ」は、モンゴルから の「平和の声」として広島に郵送されました。 研修・帰国研修員同窓会 帰国研修員同窓会 2015 年度グッドプラクティス賞 2015年度グッドプラクティス賞授賞式 JICA モンゴル事務所は、帰国研修員同窓会と連携し、本邦研修に参加した帰国研修員の 活動を奨励しています。2016 年 3 月に行われた同窓会総会の場で、2015 年度グッドプラ クティス賞の授与式が行われ、4名の帰国研修員が受賞しました。そのうち、国立感染症セ ンター医師のムンフツェツェグさんは、2008 年に「肝炎の疫学、予防及び治療」研修に参 加。研修を通じて、ウイルス性肝炎は早期に診断を受け、予防に関する診断を定期的に行 うことの重要性や、治療方法を学びました。研修帰国後は、全国の医師を対象に肝炎の予 防及び治療法に係る情報提供、セミナーを主催。また国家的なレベルでウイルス性肝炎予 防対策を策定しました。さらに「肝炎の疫学、予防及び治療」ガイドブックを作成し、TVイン タビューを受けたことが評価され、Good Practice 賞に選定されました。 事務所ナショナルスタッフが日本語で執筆! ~モンゴルの文化・生活事情紹介~ 「6 月 1 日は母子の日」 子供たちの目が幸せに光り、笑顔で溢れる日が 6 月 1 日です。モンゴルでは クリスマスを祝う習慣がなく、子供たちにプレゼントを贈るお祭りは大晦日 (12 月 31 日)と母子の日(6 月 1 日)です。子供たちにプレゼントを贈る のは両親、兄姉や親戚のみならず、親の勤め先からもプレゼントを贈るのが一 般的で、あちこちで子供たちのプレゼント用のフェアが実施され、皆が愛する 子供たちをいかに喜ばせるかで盛り上がっています。6 月 1 日はスフバートル 広場でさまざまな子供向けのイベント、コンテストなどが毎年実施されるほ か、幼稚園や学校の一学年が終了する日でもあるため、子供たちは過去一年で 学習した歌、踊りや絵などを披露したり展示したりします。(オド所員) スフバートル広場でイベント当日の 練習をする子供達 独立行政法人 国際協力機構 モンゴル事務所 Bodi Tower 7th Floor, Sukhbaatar Square 3, Ulaanbaatar, Mongolia (Central P.O.Box 682, Ulaanbaatar 211213, Mongolia) Tel:+976-325939, 311329 Fax:+976-310845 E-mail: [email protected]
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