ナノテクキャリアップ特論 太陽光発電技術とナノテク技術で 変貌する技術と市場の動向 平成28年6月10日(金) ナノサイエンスデザイン教育研究センター 特任教授 大阪大学大学院工学研究科(テクノアライアンス棟5F) カネカ基盤技術協働研究所 招へい教授 (株式会社カネカ シニアアドバイザー) 工学博士 太和田 善久 1 本日の講演の内容(レジメ) 1.自己紹介 2.はじめに 人類のかかえる3Eトリレンマ 3.太陽電池の開発の歴史 4.太陽電池の種類とこれまで主役の結晶Si、 薄膜Si太陽電池、新材料太陽電池登場 5.日本版FITと太陽電池市場の変貌 6.ナノテクを駆使した新たな太陽電池デバイス 7.今後の動向 2 自己紹介 1972年 カネカ入社(1947年生まれ、亥、AB型) 1980年~2年間 阪大基礎工電気工学教室研究員(濱川研) 1992年 電子材料開発研究部長 1997年 PV事業開発部長 2000年 理事・電材事業部長、PV技術開発部長 2003年 理事・エレクトロニクスRDセンター長 2004年10月 大阪大学特任教授(ナノ高等学際)兼務現在に至 2006年 6月執行役員、11月イノベーション企画部長 2007年 4月執行役員・研究開発本部副本部長 2007年 6月常務理事・研究開発本部副本部長 2009年 3月常務理事RD推進部イノベーション企画部 2010年 5月シニアフェロー 2011年 7月阪大大学院工学研究科カネカ基盤技術協働研究所 招へい教授、2012年5月カネカシニアフェロー引退 3 2014年5月 日本太陽エネルギー学会 会長就任 増大 人類が抱える3つのE(エネルギー、エンバイロンメント、エコノミー) のトリレンマ (三すくみ) Energy 【エネルギー】 減少 活性 クリンーなエネルギー に転換することで持続 可能な文明社会を築く 21世紀型社会規範へ パラダイムシフト クリーンエネルギー Clean Energy Economy 抑制 3E+S 破壊 【経済】 Environment 経済抑制 維持 【環境】 4 次の講演の内容 1.自己紹介 2.はじめに 人類のかかえる3Eトリレンマ 3.太陽電池の開発の歴史 4.太陽電池の種類とこれまで主役の結晶Si、 薄膜Si太陽電池、新材料太陽電池登場 5.日本版FITと太陽電池市場の変貌 6.ナノテクを駆使した新たな太陽電池デバイス 7.今後の動向 5 太陽電池の発明 Prof. Spear(1975), Prof. Nitta(1977) Souce: J. JSES 2010,no2 太陽電池の発明を発表(1954) Drs.Chapin、Fuller、and Pearson Souce:J. JSES, 2010 No2 Dr. D.E.Carlson(RCA, 1977) 出典: Alcatel-Lucent LTE, Bell Telephone Laboratories 6 日本が世界をリードしてきた太陽光発電技術開発 FIT開始 多→単結晶 薄膜Si CIS 原料Si不足 多結晶Si 住宅用 アモルファス 民生用 印刷CdTe 単結晶Si リモート用 7 世界の太陽光発電システム年間設置推移 8 世界のトップ5累積導入国 • • • • • 中国 ドイツ 日本 米国 イタリア 43.53GW 39.7GW 34.4GW 25.62GW 18.92GW 9 出典 IEAPVPS、2015 世界の太陽電池生産量推移 10 次の講演の内容 1.自己紹介 2.はじめに 人類のかかえる3Eトリレンマ 3.太陽電池の開発の歴史 4.太陽電池の種類とこれまで主役の結晶Si、 薄膜Si太陽電池、新材料太陽電池登場 5.日本版FITと太陽電池市場の変貌 6.ナノテクを駆使した新たな太陽電池デバイス 7.今後の動向 11 太陽光スペクトル 1kW/㎡ 12 太陽光発電の原理説明 高純度Siが7~10g/W要 13 太陽電池の材料系と種類 新型太陽電池登場 14 民生用の切り札 集積型薄膜Si太陽電池(桑野) 三洋電機桑野他 15 民生用薄膜Siの主役 a-SiC/a-Siヘテロ接合セルの構造(太和田) シ ン グ ルセ ルの構造 従来のa-Siのp層は色が黒くて光を吸収 a-SiCで透明な材料を開発して入射する 光の量を増やし、且電圧も改善された。 Sn O 2 a-Si: H a-SiC: H Zn O μc-Si: H Ag Ti ガラ ス p b i n 透明p型半導体a-SiC 16 Innovationとは? 重要科学技術史資料ー愛称 未来技術遺産 No.121号(2013年9月認定) 1983年 カネカがフィルムソーラー開発 17 エネルギー・ペイバック・タイム(EPT) ー生産に要するエネルギーを自ら発電するエネルギー で回収する期間ー 太陽電池は現在 GW単位で生産さ れており、2年以内 に回収できるシス テムとして認知。 化学工学会、小宮山教授主導→NEDO、PVTEC精査 18 電力用太陽電池への展開の動き始まる 国は「限界を越えた」意見側に立ち、モントリオール議定書(1987) を採択し、特定フロン全廃(1992年)を決めた。代替エネルギー開 発は太陽光発電に重点化を決め、実用化に向けた法改正に着手。 1990年4月 電気事業法改正 太陽光発電の電気設備技術基準規定 1992年4月 太陽光発電余剰電力購入 1993年4月 逆潮有り低圧系統連系 1994年住宅用太陽光発電モニター制度発足 制度上の障害が除かれ太陽光発電システムの時代到来兆し 電力用を目指した薄膜Si太陽電池の構造 Schem a tic Pro file o f A m orph ou s Sola r Cells a-Si C μc-Si a-Si カネカが採用 後にMHI採用 Gl ass Sing le Junction 4 .0m m SnO2 P n i Zn O Ag Double Junction a-Si Glass SnO2 P μc-Si μc-Si a-SiC a-Si C a-SiGe n i P n i Zn O 主要メーカーが採用、Soralex、三洋電機 シャープ、RWE、その他 Al 9 00nm μc-Si Grid Triple Jun ction μc-Si a-Si ITO P i μc-Si a-SiGe n P i a-SiGe n P i n Zn O Ag SUS ECD/USSC、 キヤノン 大面積薄膜Si集積モジュールの構造 1000µm String 150μm 8-15mm巾 In te rc on ne ct io n B ac k El e ct ro de S cr ib e Li ne Am or p ho us S il ic on S cr ib e Li ne S n O2 S cr ib e Li ne Isoration Lines Bus Bar St r in g s 1~1.2m Aperture Area Bu s B ar 1.2~1.4m Su bs trate Edge Area 21 世界発の安定化8%以上の大面積pin単接合モジュール 1995年9月JQAで測定してマイルストーン確認 10.2% 22 薄膜Si太陽電池事業化の壁 だれも経験したことのない技術課題 ✔S・W効果と性能保証? ✔屋外用のセルとモジュールの構造? ✔年間発電能力? ✔長期信頼性の保証(10年、20年)? ✔日本の住宅用太陽電池市場に市民権? ✔アーヘンモデルは独全土に拡大する? 23 大面積薄膜Siモジュールの光照射試験 4500時間(10年相当)安定を確認 910x455標準モジュールの加速光照射試験0.7kW/m2,38℃ モジュールの変換効率(%) 12.00 10.00 8.00 6.00 4.00 2.00 0.00 0 1000 2000 3000 4000 5000 連続照射時間(Hr) 24 拡大写真 a-Si発電瓦 1989年5月から稼動している10Wx2枚/組、独立電源5系列システム 25 民生用太陽電池の銚子、宮古島暴露試験(1993年8月~) 銚子では 70%保持 宮古島では 80%保持 26 電力仕様モジュールの銚子での暴露試験経過(1997年2月~) 年間平均 80%を保持 27 兵庫県豊岡市 カネカソ-ラッテク(株) 1999年秋創業(20MW) 世界発の電力用a-Si工場 1998年10月KST.(㈱) 設立 1999年10月20MW/年規模でア モルファス太陽電池生産開始 2001年4月 10%ハイブリッド生産 2004年度 20MWフル稼働 2006年度 30MW 2007年度 55MW 2008年度 75MW 2009年度150MW 2009年春 (75MW) 2010年6月(150MW) 28 ハイブリッド太陽電池の開発 薄膜ポリSi、a-Siとのハイブリッド太陽電池(山本、太和田) 薄膜多結晶Si太陽電池 従来の結晶Si太陽電池 3m 2µm 300 m 200μm 1 100 ガラス板 1 の薄膜 ・ 光閉込 ・ 大面積 29 真空プラズマでダイヤモンドができることに注目→Siも薄膜結晶化 30 初期の薄膜多結晶Si Back Reflector poly-Si cell 最初の実用型タンデム 他社対抗品 (ターンキー型) a-Si cell Textured TCO Glass Substrate 初期の薄膜ポリSi太陽電池 第3世代ハイブリッド Sun-Light Back Reflector thin film poly-Si Bottom Cell 第2世代タンデム intermediate layer a-Si Top Cell Textured TCO Glass Substrate Sun-Light 31 Poly-Si、a-Si、ハイブリッドセルの分光感度 1.0 2000 外部量子効率 E.Q.E. 0.8 1500 0.6 1000 poly-Siセル 0.4 a-Siセル 0.2 0.0 400 600 800 Wavelength(nm) 500 1000 太陽光照射強度(W cm -2m -1) ハイブリッドセル 0 32 ハイブリッドモジュール生産品(安定化10%) 0 .5 Current(A) 0 .4 910m m × 455m m サ イ ズ A M 1 .5 , 2 5 d e g . K a n e k a D u a l-lig h t s o u r c e s im u la to r V oc: 135V I s c : 0 .4 8 9 A F .F .: 0 .7 1 5 P m a x : 4 7 .1 W e ff.: 1 2 .3 % 0 .3 0 .2 0 .1 0 0 50 100 150 V o lt a g e ( V ) 33 32GW 2010年世界の太陽電池生産量、中国・台湾の大躍進 欧州市場縮小 在庫急増で 価格急落! 年末伊、独で 急回復 10年で100倍成長 中国、台湾 台頭、欧州トップ 中国トップ 高純度Si不足、高 独FIT導入 騰 メガソーラー加速 原料Si不足顕在化 (世界の60%) 34 出典 資源総合システム、PV News 住宅用に10%品投入(2001年) 35 5.6kW 発電所≪2013年8月開所) オムロンPCS管理 SolarClinic診断 既築住宅用 36 稚内PV5MW+NAS1.5MW、関電堺PV10MW 投資額 35万円/kW 借地料 5,100万円/21ha 除草 300人工/回 トラブルはコネクターショート 1回だけ 37 世界の太陽電池メーカートップ5の動向 2008年 1位 Q-Cells 574MW 2009年 First Solar 1,572MW 4位 シャープ 473MW 1,464MW Q-Cells 537MW 525MW 2011年 2012年 Suntech(倒産) 2,096MW FirstSolar 1,981MW First Solar JA Solar 595MW 5位 MOTECH Yingli 84MW JA Solar 704MW 3位 Suntech シャープ 497.5MW Suntech 1,011MW 2位 First Solar Suntech 504MW 2010年 1,411MW 1,690MW Yingtli Yingli 1,117MW 1,604MW→2,300MW Trina Solar Trina 倒産 1,116MW 米国でも倒産が相次ぐ、EVER GREEN, Solyndra Solar Trust, Konarka(7条) 1,512MW 中国原料S基板、セル メーカーLDK倒産 2013年世界のセル、モジュール生産企業トップ10社 39 次の講演の内容 1.自己紹介 2.はじめに 人類のかかえる3Eトリレンマ 3.太陽電池の開発の歴史 4.太陽電池の種類とこれまで主役の結晶Si、 薄膜Si太陽電池、新材料太陽電池登場 5.日本版FITと太陽電池市場の変貌 6.ナノテクを駆使した新たな太陽電池デバイス 7.今後の見通し 40 日本版フィールドインタリフ(全量買取法案)成立 (23年8月26日成立) 10kW以下の余剰電力 24年7月1日実施 3万kW 以下 42円/kWh、20年買取 41 42円/kWhは投資対象として魅力ある価格 42 固定買取制度の規模別認定推移 10kW以下 42円→38円→37円→35(33)円→33(31)/kWh 27年29円/kWh→27円/kWh→28年24円 潜在市場規模 70百万X15万円=10兆円 32円/kWh ¥32/kWh 36円/kWh 40円/kWh ¥36/kWh ¥40/kWh 累積の設備認定量は2015年12月末に79.3GW 出典:資源総合システム2804 43 80GWの設備認定に対し稼動済みは25.2GW(2012年12月末) 低圧累積約120万件、12GW←これが危険 約半数の12GWが 50kW以下の低圧案件 44 出典:資源総合システム 出典:資源総合システム2804 カネカ 鹿島西地区 薄膜Siメガソーラー 12.7MW 高信頼性 耐塩害性 45 鹿児島 七ツ島 70MW(京セラ) 46 日本で最大規模の瀬戸市錦海塩田跡4.9平方キロメーターに250MW 完成予想図 47 大分ソーラーパワー 80MW 48 グジャラートソーラーパーク(計605 MW)インド 49 出典:GPCLHPより 49 出典:GPCLHPより 太陽光発電システムはメンテナンスフリーか? • 太陽電池は摺動部がないのでメンテナンスフリーとして きたが、これはあくまで太陽電池セルのこと。 • 太陽電池モジュールはハンダで接続され、プラスチック で保護してダイオードを組込んだ端子Boxから銅ケーブ ルで電気を取り出す普通の電気製品である。セルの経 年劣化に加えて、ハンダ接続不良、セル割れ、BPD故 障、コネクター接触不良等の電気製品に生じる不具合 は起きる。 • PVシステムではモジュールからコネクターで接続して接 続箱、PCSに接続する。PCSについてはエアコンとほゞ 類似の電気設備であるが毎日運転という過酷な使い方 がされる。 不具合が生じることを前提に対策要 50 50 20年の保証に耐えるモジュールなのか? 海外品の中には大きなPID劣化することが判り欧州で大問題化 1 0.9 2 3 0.8 5 8 DH_M 1.05 Normalized Pmax (-) Normalized Pmax (-) DH_I 1 0.7 0.6 0.5 2 3 4 5 6 1 0.95 0.9 0.4 0.3 0.2 0.85 0 1000 2000 DH time (h) 3000 4000 図3.1.2.2-18 モジュールIのDH試験後のPmax変化 PID(Potential Induced Deg.) に耐えないモジュールが多い 0 1000 2000 DH time (h) 3000 4000 図3.1.2.2-22 モジュールMのDH試験後のPmax変化 高温高湿試験(DH)でJISの1000 時間を超えると低下するモジュール がある。 51 出典 PVEye 2012年 安定なはずの結晶Si対応電池の急激な劣化発生 PID=Potential Induced Degradation、電圧誘起劣化 52 各内外の結晶Si系モジュールのPID試験 試験法 IEC62804準拠、60℃,85%RH、96Hr 出典 増田他 太陽エネルギーVol.39No.1pp73(2013) 53 太陽電池モジュールに不具合懸念増殖中 ✔日本での過去の屋外暴露モジュールで、年率1%以 内の劣化は極めて希である。モジュールだけでなく、 BS、JBox、コネクターにも不具合が見られる。 ✔ 2000年以降設置の国産モジュールで数年年でBS 黄変や変色、PID劣化、Snail Trailという不具合発生。 ✔性能認証 JIS C8990,8991やIEC61215, 61646の 規格で担保できない不具合の多くが配線、セルクラッ ク、封止材料、バックシート起因。 ✔競争激化で価格低下が加速、安価部材への切り替 えが進み潜在リスクが増加 ✔ 信頼できるシステムと、定期メンテナンスで不具合 を見つけ出し早めに交換することで確実に20年間の収 54 入を確保することが求められる 54 本日の講演の内容(レジメ) 1.自己紹介 2.はじめに 人類のかかえる3Eトリレンマ 3.太陽電池の開発の歴史 4.太陽電池の種類とこれまで主役の結晶Si、 薄膜Si太陽電池、新材料太陽電池登場 5.日本版FITと太陽電池市場の変貌 6.ナノテクを駆使した新たな太陽電池デバイス 7.今後の動向 55 NREL EFFICIENCY TABLE(April, 2016) Ⅲ-Ⅴ 31% HIT 25.6% IBC 25.1 CdTe 22.1% CIS 22.3% Perovskite 22.1% 出典 NREL HPより 5656 太陽電池モジュール価格の推移(学習曲線) 結晶Si太陽電池 薄膜(CdTe)太陽電池 $1/W $0.3/W 57 出典 ITRPV2015 太陽電池等の価格動向 58 59 結晶Si系は高効率なHIT、バックコンタク型(複雑)へ Sun Power社25.2% シャープ、25.1% 量産モジュール19.6% Panasonic、元三洋電機 セル効率で25.6% 量産モジュール19% 60 Mono-Facialシリコン太陽電池でも革新が続く Passivated Emitter & Rear Junction Cell Trina 22.13% 61 両面受光型のPERC(n型PERT)合計で24.5%相当 三菱電機21.94% 62 Mono-Facialでもナノテクで単純化25%越え Fraunhofer TOPcon 25% Solar City Triex 22.04% Kaneka Mono-Facial HJ 25.1% 63 タンデムで12.7%、3接合で13.6%を達成 64 Ⅱ-Ⅵ化合物太陽電池は単接合で最適材料(22%越え) FirstSolar 小面積22.1%達成 生産品トップ 13.4%→13.9% ソラーフロンティアの量産品 900MWプラント 13% 2014~2015年 14.6% 小面積22.3%達成済み 65 CdTeのイノベーション 安定化の為の酸素封止 → ダブルガラス封止 CdTe太陽電池日本上陸(日本板硝子小倉工場 1.3MW) 66 色素増感太陽電池 トップ効率11.9% Black Dye 67 塗布型有機太陽電池 トップ効率11.1% テトラベンゾポルフィリン前駆田 68 量子ドット革新型太陽電池 トップ効率8.6% 69 衝撃的なPerovskite太陽電池デビュー 70 Graetzel et al., Nature (2013), doi:10.1038/nature123 ペロブスカイトの構造と新型太陽電池デバイス A:CH3NH 3 B: Pb X: I, Cl PbI2(DMF) +CH3NH3I(2-Propanol) 担体Porous Nanomaterial Graetzel:TiO2(~500℃) Snaith:Al2O3(<150℃) スピロフルオレンHTM SpiroMeOTAD KRICT 22.1% 71 71 Lausanne Graetzelのグループ • 韓国KRICTのグループが無機(Sb2S3,Stibnite)/ 有機(P3HT)の全固体太陽電池の研究をしてお り、最近になってLausanneのGraetzelとの共同研 究でペロブスカイト系で12%を電子版Nature Phtonicsに発表(2013年5月3日)。HTMは polytriaryl-amine(PTAA) 21.1%が公式認定 • 2013年7月11日Lausanne単独でNature Lett.,に TiO2にPbI2をコートした後CH3NH3IのPropanol 溶液に浸漬してペロブスカイト化、 SpiroMeOTADをHTMとしてデバイス化して 15%(NRELで14.1%認定)を得たと発表。 72 72 Oxford Snaithグループ • 桐蔭横浜大(宮坂研)に留学していたM.M.Leeが メソポーラスAl2O3に担持したペロブスカイト /SpiroMeOTADで10.9%をScienceに発表(11 月2日、2012) • Oxford Snaithの研究室がペロブスカイトコート Al2O3/ペロブスカイト層の最適化で12.3%を Energy&Environ. Sci.2013年6月号に発表 (pp.1739) • 6月19日のSnaithのBlogに15.4%が掲載。 Jsc=21mA/cm2、Voc=1.07V、FF=0.67とVocが大 きいのが特徴 20.1%(NREL) 73 ペロブスカイトとa-Si太陽電池の分光感度特性 a-Si Jsc=16mA/cm2 Eg=1.75eV Jsc=20mA/cm2 Eg=1.55eV 74 新型ペロブスカイト太陽電池の可能性 • 光吸収層、HTM層、Ag電極はコーティングで成膜できる ので少ない初期投資で低コストが期待される。 • 従来の半導体太陽電池で電流を増やすと電圧が低下し たのが、ペロブスカイト系は20mAでも1.1Vという高電圧 が得られている。CIS系の0.7V、a-Siの0.9V、c-Siの 0.65Vに比べて高い開放電圧。 • CH3NH3PbX3は800nmまでの光しか吸収できていない 。長波長の光を吸収する新規ペロブスカイトが見つかれ ばさらに電流が増えて20%以上の低コスト薄膜太陽電 池が近く実現すると予測。公式記録22.1%(NREL公認) • 信頼性が未確認であるが、大気中での劣化、耐水性、耐 酸化が課題(封止で解決可能?)。 75 酸化銅太陽電池 バッファー層GAOの開発 Naドープによる低抵抗化 99.96%Cu箔を1000℃で空気酸化 多結晶亜酸化銅Eg=2,17eV、赤褐色p型半導体 76 Naドープ n型バッファー層 77 酸化鉄の可能性 Siよりも安価な鉄の酸化第二 鉄(赤錆、ヘマタイト)が太陽電 池になる(岡山大池田直教授 、東大田畑仁教授) 希土類ドープ酸化鉄 スピン効果で1光子から複数のキャリアー生成 78 本日の講演の内容(レジメ) 1.自己紹介 2.はじめに 人類のかかえる3Eトリレンマ 3.太陽電池の開発の歴史 4.太陽電池の種類とこれまで主役の結晶Si、 薄膜Si太陽電池、新材料太陽電池登場 5.日本版FITと太陽電池市場の変貌 6.ナノテクを駆使した新たな太陽電池デバイス 7.今後の見通し 79 COP21パリ合意(2015年12月) 温暖化ガス削減のパリ合意を受けて 2030年26%削減(2013年比) CO2排出40%の電力の削減 運輸部門の省エネ化 建築物のZEB、ZEH化 2050年80%削減を国際公約 再生可能エネルギー主導社会 運輸部門EV化、FC化(?) 太陽光発電電力の国別生産割合、世界平均1% 伊、ギリシャ、独7%以上 日本は2.5% 81 2030年のエネルギー長期需給見通しによる電源構成 福島原発事故後の脱原発→原発ベースロード電源転換 1.5GW 10GW ~6.5GW 64GW 49GW 82 出典:エネ庁、資源総合システム 再エネ電力の系統連系回答保留(接続可能限度越え) 83 84 2030年推定PV,風力導入可能容量 出典:WWFジャパン 85 PV 252GW 風力60GW 86 太陽光発電NEDO PV Challeng(2030) 2002 2007 2010 2020 2030 ~50円/kWh 発電コスト 30円/kWh 家庭用電力 料金単価同等 (第1GP) 効率向上と製造コスト 低減の両立で実現 2030年 第1グリッドパリティ 23円/kWh 第2グリッドパリティー 《電池技術》 技術の世代交代による 低コスト化の実現 長年の目標 業務用用電力 料金単価同等 (第2GP) 業務用電力 14円/kWh モジュール変換効 率22%、利用率 15%、25年運転 出典:太陽光発電ロードマップ(NEDO PV Challenge 2030) 経済産業省「第2回評価検討会経済産業省提出資料」 (年) 火力発電コスト 同等 新材料。新構造等 革新的技術で実現 基幹電源 7円/kWh モジュール効率25%以上、利 用率15%以上、30年運転 87 ご清聴有難う御座いました 大阪大学 ナノサイエンスデザイン教育研究センター 特任教授 太和田 善久 (株式会社カネカ シニアアドバイザー) 88
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