CDP気候変動質問書 予備知識 GHG排出量算定方法 1 気候変動に対応するために企業に期待されること 世界の排出量 BAUシナリオでは2100年の地球の気温は平均で4℃上昇することが予想される。 気温上昇を2℃以内に抑えられるよう排出削減努力をし、さらに1.5℃の上昇に抑 えられるよう取り組むことが期待されている。 2℃目標を達成するために 2ºC 目標に向けた カーボンバジェット 2010 2010年比で2050年までに49 ~72%の排出削減が必要 2011~2050年のカーボンバ ジェットは500~1500GtCO2 科学と整合する目標 (Science-Based Target(SBT)) 2050 年 http://www.sciencebas 企業活動に伴う温室効果ガス(GHG)の排出 3 GHG排出量の種類 スコープ1排出量 =自社での燃料の燃焼等 に伴う排出(直接排出量) 4 GHG排出量の種類 スコープ2排出量 =電力使用など自社が 購入したエネルギーによ る排出(間接排出量) 5 GHG排出量の種類 スコープ3排出量 =自社の事業に関わる 排出量のうち、自社の所 有・管理外からの排出量 6 CDP気候変動質問書上のGHG排出量に関する質問(主なもの) CC8.2 スコープ1排出量の総量(単位:tCO2e)を回答してください。 CC8.3a スコープ2排出量の総量(単位:tCO2e)を回答してください。 7 *ロケーションベース及び/又はマーケットベースで回答 CC8.9a バイオマスやバイオ燃料などによるCO2排出がある場合、そ の排出量(単位:tCO2e)を回答してください。 CC9.1a 2か国以上にスコープ1排出源を有している場合、国別のス コープ1排出量(単位:tCO2e)を回答してください。 CC10.1a 2か国以上にスコープ2排出源を有している場合、国別の スコープ2排出量(単位:tCO2e)を回答してください。 *ロケーションベース(tCO2e)、マーケットベース、購入及び 消費電力・熱・蒸気・冷却量(MWh)、低炭素エネルギー減 によるもの(MWh) CC14 スコープ3排出量(カテゴリー別)(単位:tCO2e) GHG排出量計算に必要なデータ 温室効果ガス(GHG)の種類 – 燃料の燃焼などにより排出される温室効果をもたらす気体 – 京都議定書第二約束期間の定義: CO2, CH4, N2O, SF6, NF3, HFCs(ハイドロフルオロカーボン類), PFCs(パー フルオロカーボン類) ※CDPの質問書では、tCO2eに換算して回答していただきます。 活動量データ GHG排出につながる定量的活動量。活動データに排出係数を積算すること で、事業活動に関連するGHG排出量を求めることができる。活動量データ の例としては、電力使用量(kWh)、燃料消費量、生産量、設備稼働時間、 移動距離、オフィス床面積等があげられる。 排出係数 8 活動量データからGHG排出量(例:燃料1Lから排出されるkg CO2e、移動 1kmから排出されるkg CO2e)を求める係数。単位使用量当たりの排出量。 GHG排出量計算式 排出量 = 活動量データ × 排出係数 燃料使用量 スコープ1 電力使用量 熱使用量 蒸気使用量 冷却使用量 スコープ2 貨物輸送量(トンキロなど) 出張距離 部品購入量 9 スコープ3 GHG排出量計算式 排出量 = 活動量データ × 排出係数 電気事業者別排出係数 10 環境省温室効果ガス排出量算定・報告・ 公表制度 「算定・報告・公表制度における 算定方法・排出係数一覧 ※その他、個別の事業者も排出係数を発表 している可能性がある CC8.2 スコープ1排出量の総量(単位:tCO2e)を回答してください。 化石燃料を燃焼させた際、燃料中に含まれる炭素がCO2として大気中へ排出されます。 算定式: CO2排出量(tCO2)=燃料使用量×単位発熱量×排出係数×44/12 軽油 1,000 kl を燃焼した場合 排出量 = 1,000 (kl) × 37.7 (GJ/kl)× 0.0187 (tC/GJ) ×44/12 軽油の発熱量* 軽油の排出係数* CをCO2に換算 = 1,000 (kl) × 2.58 (tCO2/kl) 軽油の排出係数* = 2,580 tCO2 11 * 環境省温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度 「算定・報告・公表制度 における算定方法・排出係数一覧」を参照 CC8.3a スコープ2排出量の総量(単位:tCO2e)を回答してください。 他人から供給された電気を使用する際、他人が発電する際に排出したCO2を間接的に 排出したとみなす。 算定式: CO2排出量(tCO2)=電気使用量(kWh)×排出係数(tCO2/kWh) 電力 1,000 kWh を使用した場合 ①ロケーションベースで回答する場合 排出量 = 1,000 (kWh) × 0.000579 (tCO2/kWh) = 0.579 tCO2 代替値の排出係数* ②マーケットベースで回答する場合 排出量 = 1,000 (kWh) × 0.000683 (tCO2/kWh) = 0.683 tCO2 各電力会社の実排出係数又は調整後排出係数* ※ここでは北海道電力の実排出係数を入力 12 * 環境省温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度 「電気事業者別のCO2排 出係数 -平成26年度実績-」より、東京電力(株)の値を参照 CC8.9a バイオマスやバイオ燃料などによるCO2排出がある場合、 その排出量(単位:tCO2e)を回答してください。 ボイラーでの木材燃焼により発生するメタン 燃料の燃焼に伴い、燃料中の炭素の一部が不完全燃焼してメタンが排出されます。 算定式:CO2排出量=燃料使用量×単位発熱量×排出係数×メタンの温暖化係数 木材 1,000 t をボイラーで燃焼した場合 排出量 = 1,000 (t) × 14.4 (GJ/t)× 0.000074 (tCH4/GJ) ×21 木材の発熱量* 木材の排出係数* = 22.378 tCO2e 13 メタンの地球温 暖化係数(CH4の 温室効果をCO2 に換算) * 環境省温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度 「算定・報告・公表制度 における算定方法・排出係数一覧」を参照 スコープ2算定方法 GHGプロトコル新ガイダンス GHGプロトコル・スコープ2ガイダン ス(2015年1月) 低炭素電力の利用が拡大している 中において、排出量の算定方法に 明確なルールがなかった。 企業の排出削減への貢献度、目的 の達成 状況、GHGに関する取組の 内容を比較可 能な情報として開示 を促す目的で改訂・発行された。 CDPでは2016年質問書よりGHGプロトコ ル新ガイダンスに沿ったスコープ2開示 14 スコープ2算定方法 GHGプロトコル新ガイダンス GHG排出量 tCO2e/MWh MWh tCO2e = 活動量 × (電力消費量) マーケット基準手法 ロケーション基準手法 • • 15 地域、国などの区域内における発電 に伴う平均の排出係数に基づきス コープ2排出量を算定する方法 省エネ努力は排出削減として反映さ れるが、低炭素電力の選択では反映 されない。 排出係数 • • 企業が契約に基づいて購入した電力 の排出係数によってスコープ2排出量 を算定する手法 企業の低炭素電力の選択が、排出削 減に反映される スコープ2算定方法 GHGプロトコル新ガイダンス ロケーション基準手法 • • 16 IEAの国別排出係数 電気事業者別排出係数(環境省公表)「代替値」 (出典:GHG Protocol Scope 2 Guidance) スコープ2算定方法 GHGプロトコル新ガイダンス マーケット基準手法 グリーン電力証書 REC 正確性 高い 電気事業者別排出 係数(環境省公表) 「実排出係数」又は 「調整後排出係数 ロケーション基準に 17 相当 正確性 低い (出典:GHG Protocol Scope 2 Guidance) CC8.3a スコープ2排出量の総量(単位:tCO2e)を回答してください。 ケーススタディ 国 米国 ロケーション マーケットベー 電力使用量 ベース排出量の ス排出量の合 (MWh) 合計 (mtCO2e) 計 (mtCO2e) 20,000 650 0 契約種別 再生可能エネルギー使用 率100% 電気事業者別排出係数 日本 3,500 200 150 中国 30,000 800 800 N/A 400 太陽光発電所のダイレクト ラインからの電力が全体の 50%を占める。 インド 合計 38,000 850 2,500 mtCO2e 1,350 mtCO2e グリーン電力証書 GHG排出量算定の際の注意点 使用したエネルギーによって、どれだけのGHG排出がもたら されるかは異なります。 GHGの種類によって、温室効果が異なります。各GHGの温 室効果を二酸化炭素(CO2)の温室効果に換算する必要が あります。 ⇒さまざまなエネルギー利用により発生するGHG排出量を、二 酸化炭素換算で何トン分の排出量になるかを計算します。 世界中にGHG排出量算定の基準があります。 環境省の温対法、東京都条例などもその一つです。 どの基準を用いて計算を行ったかを明確にすることが重要です。 19
© Copyright 2024 ExpyDoc