まえがき - 創価大学

まえがき
このたび『ソシオロジカ』第 40 巻第 1,2 合併号を刊行いたします。本誌
は創価大学社会学会発足以来 39 年間にわたって、会員の研究成果を掲載し、
本学における広義の社会学の研究と教育に寄与してまいりました。本年度も、
多忙な業務のなかで、多くの方々が寄稿してくださり、読み応えのある内容
になりました。寄稿者の皆様に感謝申し上げます。
本誌は、
今年度号からデジタル化されました。本誌全体を一つのデジタル・
ファイルにて発刊するとともに、抜き刷りは寄稿者それぞれの部分的デジタ
ル版を作成してもらうことになりました。デジタル化は時代の趨勢とはいえ、
パソコンなどの SNS 機器とインターネットがあれば何処でも読めるという
便利になる側面と、それらがないと逆に読まれなくなる危惧も生じます。今
後、さらに活用法を模索していきたいと思います。
2015 年度の大きな行事は、9月 4 日~ 6 日に創価大学にて開催された日
本宗教学会第74回学術大会でした。本社会学会も後援団体としてノミネー
トし、会員の先生方にも運営に積極的に参画していただきました。本学の学
部生、院生諸君もスタッフとして活躍してくださり、おかげさまで成功裏に
終了することができました。初日の公開シンポジウムでは、「宗教の未来・
宗教学の未来」と題して内外の研究者を招いて論議しました。背景にある問
題は、近代社会が前提としてきた「合理化され、世俗化された社会」という
理念型が昨今大きく問題視され、国家を含む公共圏における宗教の積極的参
入や貢献を認める
「ポスト世俗化社会」
「脱世俗主義社会」の論議が盛んになっ
てきたことです。昨今のイスラム世界の台頭を念頭に、われわれ自身の問題
として今後も熟議していきたいと願っています。
大会実行委員長として、改めて御礼を申し上げます。
2016 年 3 月 創価大学社会学会長 中野 毅