「アルコール健康障害対策推進基本計画」に関する意見募集の結果について 平成28年5月31日 内 閣 府 「アルコール健康障害対策推進基本計画」について、平成28年3月3日から 平成28年4月1日まで御意見を募集したところ、12件の御意見をいただきま した。 関係する内容について、別添のとおり公表いたします。 いただいたご意見については、関係省庁とも情報共有を図っており、すでに本 基本計画に記載済みもしくは本計画内容で網羅されているものと判断し、本計画 内容の修正変更はいたしません。 御意見をお寄せいただきました多くの方々の御協力に厚く御礼申し上げます。 今後とも、アルコール健康障害対策の推進に御協力いただきますようよろしく お願い申し上げます。 ( 別 添 ) No. p2~3(はじめに) 1 御意見の概要 急性アルコール中毒や、嘔吐物による窒息など、長い間の習慣的飲酒に限らず危険な飲酒があることが記載されて いない。 p10(Ⅲアルコール健康障害対策推進基本計画で取り組むべき重点課題-1.飲酒に伴うリスクに関する知識の普及を徹底し、 将来にわたるアルコール健康障害の発生を予防-(3)アルコール健康障害対策推進基本計画における目標) 「ア症患者の家族に対して、正しいア症患者へのアプローチ法の教育支援の充実」を追加 2 ア症の回復は家族の関わり方に左右される。そのためには専門医、保健所、自助組織等での家族相談を充実させる 必要があるのでは。ア症問題は本人より家族が苦しんでいるのが現実、相談もほとんどが家族から寄せられる。精神 依存性の除去には家族、自助組織、グループホーム活動がカギとなっている。この基本計画にもう少しア症者を抱え る家族への積極的な教育支援策の追加を望む。断酒会における夫婦で参加される会員においては、ア症は家族の問題 と捉え共助し合うため回復率がきわめて高く継続者が多い。それは家族が正しい患者へのアプローチ行われている証 拠でもある。 内観では、各種依存症者本人より、その親族が内観することのほうが依存者への接し方が改善するため回復効果が 高い。 「ア症は近親者の正しい言動を通して回復が可能」は断酒会参加、内観指導、SNS などを通しての現場での実感 です。 P11(Ⅲアルコール健康障害対策推進基本計画で取り組むべき重点課題-2.アルコール健康障害に関する予防及び相談から 治療、回復支援に至る切れ目のない支援体制の整備-(2)地域における相談拠点の明確化) ・一つ目の○「現在、アルコール関連問題についての相談業務は~」の次の段落として、以下の文を追加する。 3 また、アルコール健康障害を有している者は、さまざまな生活課題を抱えていることも少なくないため、これらに 対する総合的な支援が求められている。 1 ・(取り組むべき施策)の末尾に以下の項目を追加する。 ○市町村においては、関係部署をはじめとして、市町村が設置する相談機関、その他関係機関等がアルコール健康障 害を有している者を発見し専門機関に繋ぐと共に、さまざまな生活課題に対する総合的な支援体制を構築する。 理由:アルコール健康障害を有している者の中には、さまざまな生活課題を抱えている者も多く、相談対応としては、 保健所よりも総合相談機能を有する地域包括支援センターを始めとして様々な機関が対応することが多い。 生活全般にわたる支援を行うためには、都道府県の機関だけでは困難であり、市町村を中心としたネットワー クによる対応が必須である。 p14(Ⅳ基本的施策―1.教育の振興等-(3)職場教育の推進) 4 職場教育に、新入社員や管理監督者教育に「飲酒の仕方」を入れるような文言をお願いします。入社後、飲み会や 酒席営業推進の雰囲気を変える p14(Ⅳ基本的施策-1.教育の振興等-(4)広報・啓発の推進) p22(Ⅳ基本的施策-6.相談支援等) p23(Ⅳ基本的施策-7.社会復帰の支援) p24(Ⅳ基本的施策-8.民間団体の活動に対する支援) p26(Ⅳ基本的施策-9.人材の確保等) 本基本計画案の中では、「回復施設」の位置づけが非常にあいまいであり、その役割が明確ではない。回復支援施 5 設の位置づけや役割の明確化が必要と感じている。 具体的には啓発、地域における相談支援体制、社会復帰の支援などの項目に回復支援施設を入れ、役割の位置づけ をはっきりと明文化し、施策的な充実を図るまた具体的手法を示していいただきたい。また「回復施設」という表現 をより正確な「回復支援施設」などの名称に変更していただきたい。 p16(Ⅳ基本的施策-2.不適切な飲酒の誘引の防止) 2 ・ 酒類の致酔性等の商品特性に鑑み、生販三層(生産、卸売、小売)において低価格をことさら強調した価格訴求 の販売を規制し、酒類を「おとり商品」、「目玉商品」とすることを禁止すること。 ・ 電波媒体による広告は欧米先進諸国では禁止されるなどの規制が行われており、一定の制限を行うこと。 ・ 過度な飲酒を予防するため、一般消費者を対象とした酒類容器の最大容量を制限すること。 p17(Ⅳ基本的施策―3.健康診断及び保健指導) 「地域における…」複数の回復モデルの提示をしてください。回復するための選択肢を提示することです。断酒の 7 三原則はありますが、それ以外の回復モデルがあります。 そのため医療では、急性期治療が終了したら、「自分たちで自助グループを維持する・つくる」支援プログラムを 提供しましょう。また自助グループに所属したくなければ、定期外来集団療法で断酒継続できる医療があってもい い。回復者の中には、一時的に医療や自助グループの力を借り断酒が安定し、その後健康的な生活を送っている人も いるからです。そのような様々な回復タイプが、地域社会に提示されるといいですね。欧米のように、アルコール依 存症や自助グループ通いを、オープンできるよう(断酒会に限らない)回復者の協力は必要です。 6 P22 (Ⅳ基本的施策―6.相談支援等) ・(現状等)の第一段落「アルコール関連問題に関する相談業務は~」と第二段落「このため、地域において~」の 8 間に以下の段落を追加する。 また、アルコール健康障害を有している者の中には介護保険制度の要支援・要介護認定者や生活支援が必要な高齢 者もおり、また、生活困窮、認知症、配偶者への暴力などの高齢者虐待、その他さまざまな生活課題を抱えているこ とも少なくないため、これらに対する総合的な支援が求められている。 ・「地域における相談支援体制」の一つ目の○「都道府県等において~」と二つ目の○「精神保健福祉センターにお いて~」の間に以下の段落を追加する。 ○市町村においては、保健センター、地域包括支援センター、生活困窮者自立支援方に基づく相談支援機関、介護保 険関連事業所、福祉事務所(町村部)、障害者関連事業所等がアルコール健康障害を有している者を発見し専門機 3 関に繋ぐと共に、さまざまな生活課題に対する総合的な支援体制を構築する。 P22-24(Ⅳ基本的施策―6.相談支援等、7.社会復帰の支援、8.民間団体の活動に対する支援) アルコール依存は薬物のそれとは違い、合法のため収監されることはありませんが、別の容疑で逮捕されている人 9 でも、その元にアルコール依存が隠れている場合があります。こうした出所者を含め、アルコール依存症者を地域で 社会復帰することを支援する体制を創りあげねばなりません。そのためには、刑務所内での教育や刑務所から地域へ のシームレスな支援と、自助グループを含めた民間各組織といかに連携を図ることができるか、が鍵だと思います。 精神保健福祉センターや保健所で応えられる案件は、専門家の不足等から非常に限られているため、民間各専門組織 と役割分担をきちんと図りつつ支援を行う必要があります。例えば行政(民間)機関に集約された案件について、民・ 官と専門のネットワーク体制を組みケース会議で検討するなど、きめ細やかかつ具体の体制作りを計画できないでし ょうか。 P22-24(Ⅳ基本的施策―6.相談支援等、7.社会復帰の支援、8.民間団体の活動に対する支援) アルコール依存症者の家族の支援策も喫緊の課題です。依存症は決して当事者だけの問題ではなく、そのパートナ 10 ーや家族・親子関係にも大きく起因しています。依存症者をとりまく環境への依存症回復支援の普及・啓発も、民・ 官連携で行えるよう計画化して頂きたく思います。 全体について 非常に広範囲にわたるアルコール問題対策を推進するために大変なご努力をされてきた関係者会議委員をはじめ 11 すべての方々に感謝します。基本法の最重点は「正しい知識の普及・偏見是正」「多機関・多職種による地域ネット ワーク構築」 「SBIRT の普及」にあると考えます。全国民に TV 広報その他によって依存症が「だれもがなり得る回復 可能な病気」と理解される必要があります。相談窓口や地域連携、推進体制については踏み込んだ文言もあり大変評 価できます。一方で医療・産業保健分野や医学教育ではもっと積極的具体的な提案がなされるべきです。米国の数百 分の一という研究予算の現状で日本での SBIRT のデータが不十分だというのは、どれほどこの分野を軽視してきたか を如実に物語っています。患者・家族の苦しみを前に、SBIRT の普及は喫緊の課題です。また医学部や医療専門学校 などでの実習を含めた初期教育はきわめて重要です。今後基本法理念の実現のために、基本計画を具体的・積極的に 4 解説したガイドライン作成、モデル事業の推進、診療報酬への反映などさまざまな施策をお願いします。数年後さら に前進した第 2 期基本計画が策定されることを期待します。 全体について アルコール健康障害という問題の捉え方が間違っている。正しくはアルコールへの逃避症とし社会生活問題とすべ 12 きと提言する。 戦後 70 年、アメリカによつ日本国民の家畜化作戦が完成しつつある。自分で見ない、調べない、考えない、決断 しない、我慢しない、ごねる人間だらけになってしまった。そして産・官・学・政が金儲けのガリガリ猛者だらけに なり自由化ファディズムが進み弱肉強食の世界化が進んでいる。こんな社会では、アルコールへ逃避したいと思う人 が出てくるのは当然の結果であろう。学校教育、家庭や母親教育をやり直さねばならないと提言する。 5
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