松本ユミ事務所便り6月号

特定社会保険労務士
特定社会保険労務士
平成28年(2016年)6月号
松本ユミ事務所便り
労働保険事務組合 愛和会
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千葉県流山市南流山2-28-3
TEL;04-7158-1980 FAX;04-7158-1981
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------------------------------------------------------------------------------------------------------最近の動き
働いていたとして、昨年5月以降、4回の是正勧告を受
●「LGBT もセクハラ対応の対象」と明記 企業向け指
けていた。
針改正へ(5/25)
自民党が提言した「外国人労働者の受入れ拡大案」
の概要
厚生労働省は、男女雇用機会均等法の「セクハラ指
21月号
針」の改正を行い、企業に LGBT などの性的少数者へ
◆「単純労働者」の受入れを容認?
のセクハラにも対応する義務があることを明文化する
自民党の「労働力確保に関する特命委員会」は、今
平成方針を固めた。性的少数者は現在でも指針の対象だ
19年(2007年)7月号
後本格化する少子高齢化や人口減少による人手不足
が、明文化されていない。「性的指向や性自認にかか
解消のための外国人労働者の受入れを拡大すること
わらず対象となる」と新たに明記し、一層の周知を図る
を提言しました。
のがねらい。2017 年1月より適用の見通し。
政府は、これまでは原則として、大学教授や経営者、
●「改正確定拠出年金法」が成立 専業主婦・公務員
高度な技術者といった「専門的・技術的分野」の外国人
なども対象に(5/24)
労働者を受け入れてきましたが、同委員会では、建設
改正確定拠出年金法が衆議院本会議で可決、成立
作業員等の「単純労働者」の受入れも「必要に応じて認
した。2017年1月から個人型の確定拠出年金(DC)、の
めるべきだ」として容認し、政策の抜本的な転換を求め
対象を専業主婦(約 932 万人)、公務員(約 439 万人)
るとしています。
にも広げ、実質的に全現役世代が加入資格を得ること
また、日本人と外国人の報酬を同等にするなどの仕
になる。また、企業年金の普及策として、従業員 100 人
組みについても提言し、在留期間を当面は「5年間」と
以下の中小企業向けに設立手続を簡素化した「簡易型
することも盛り込みました。
DC」を創設する。
近日中に正式決定し、政府への提言を検討するとし
●マイナンバーの漏えい・紛失が 83 件 委員会が初
ています。
報告(5/24)
◆外国人労働者は過去最高を更新
個人情報の扱いを監視する第三者機関「個人情報
厚生労働省発表の「外国人雇用についての届出状
保護委員会」は、年次報告において、マイナンバーの
況」(平成27年10月末現在)によると、外国人労働者数
通知が始まった 2015 年10 月から 2016 年3月末までに、
は 90 万 7,896 人(前年比 15.3%増)と過去最高を更新
マイナンバーの漏えいや紛失が 83 件あったと発表し
ました。
た。内訳は、地方自治体 57 件、民間企業 26 件。うち2
政府は、平成26年4月の「建設分野における外国人
件は1回の漏えいが 100 人分超となり、委員会規則で
人材の活用に係る緊急措置を検討する閣僚会議」に
定める「重大な事態」に該当した。
おいて、復興事業のさらなる加速を図りつつ、2020 年
●違法な長時間労働 新基準で初の企業名公表
東京オリンピック・パラリンピック等の関連施設整備等
(5/19)
による一時的な建設需要の増大に対応するため、緊急
厚生労働省は、違法な長時間労働を繰り返したとし
かつ時限的な措置として、即戦力となりうる外国人材の
て、千葉市の棚卸し代行業者に是正勧告を行ったと発
活用推進を図る方針を示し、平成 27 年 4 月から対象と
表した。これまで労働基準監督署などが書類送検した
なる外国人材の受入れを開始しています。
段階で行われていたが、いわゆる「ブラック企業」対策
◆今後の労働力不足の解消となるか
で、違法な長時間労働を繰り返す大企業については
現在、2020 年代には介護分野で 25 万人、建設分野
行政指導の段階で名前を公表する新たな基準が昨年
で 77 万~99 万人の労働力が不足するとの推計があり
5月に設けられていた。同社では4カ所の事業所で計
ます。外国人労働者を明確な労働力として受入れを容
63 人が1カ月あたりの法定労働時間を 100 時間超えて
認すると、外国人労働者はさらに増えることが予想され
ます。
中小企業としても、今後外国人を新たな人材として
採用を検討すべく、法制度についての動向に注目して
おく必要があります。
調査結果にみる「育児と介護のダブルケア」を行う者
の就労実態
◆ダブルケア世帯の問題
昨今の晩婚化・晩産化等を背景に、育児と親の介護
を同時に担う、いわゆる「ダブルケア」世帯の問題が注
目されています。特に仕事との両立が難しく、仕事を辞
めざるを得なくなるなど、深刻な問題を抱えています。
このたび、内閣府男女共同参画局から「育児と介護
のダブルケアの実態に関する調査報告書」が発表され、
ダブルケアを行う者の就労の実態が明らかになりまし
た。
◆ダブルケアの推計人口、年齢構成
ダブルケアを行う者の人口は約 25 万人(うち女性は
約 17 万人、男性は約 8 万人)で、年齢構成としては 30
歳~40 歳代が多く、男女ともに全体の約 8 割を占めて
います。
◆ダブルケアに直面する前後の業務量や労働時間の
変化
ダブルケアに直面したことで、「業務量や労働時間
を減らした」人は、男性で約 2 割、女性では約 4 割で、
そのうち離職して無職となった人は男性で 2.6%、女性
で 17.5%となりました。
主な理由として、男性では「介護者を施設に入所さ
せることができなかった(31.4%)」、「勤め先の勤務状況
では両立が難しかった(26.3%)」ことが挙げられ、女性
では、「家族の支援が得られなかった(27.9%)」、「子育
て・介護は自分でやるべき(25.7%)」、「勤め先の勤務
状況では両立が難しかった(22.1%)」となっています。
◆勤め先に望む支援策とは?
勤め先に望む支援策として、男女とも「最も充実して
ほしい」と回答したのは、「子育てのために一定期間休
める仕組み」が一番多く、次いで「特にない」となりまし
た。
男性より女性で望む声が多かったものとしては、(1)
「休暇・休業を取得しやすい職場環境の整備」(男女差
5.1%ポイント)、(2)「制度を利用する際の上司や同僚の
理解」(同 2.4%ポイント)、(3)「テレワークや在宅勤務等
の導入(同 2.4%ポイント)」、(4)「柔軟な労働時間制(フ
レックスタイム制等)」(同 1.8%ポイント)です。
女性より男性で望む声が多かったものとしては、(1)
「残業をなくす/減らす仕組み」(男女差 3.7%ポイント)、
(2)「介護のために一定期間休める仕組み」(同2.2%ポイ
ント)、(3)「介護サービスに関する情報提供」(同 2.1%ポ
イント)、(4)「介護のために一日単位で休める仕組み」
(同 1.3%ポイント)、(5)「所定労働日数を短くする仕組み」
(同 1.3%ポイント)となりました。
第三の企業年金「リスク分担型確定給付企業年金」
とは?
◆新制度創設へ
4 月 28 日の厚生労働省企業年金部会で新たな企業
年金制度(リスク分担型確定給付企業年金)の案が示さ
れ、了承されました。
同制度は一定額の掛金をあらかじめ上乗せしておく
ことで景気悪化時の追加拠出が避けられるというもの
です。パブリックコメントの実施を経て7月にも関連する
政省令を改正し、早ければ 8 月にも企業が導入できる
ようになりそうです。
◆DB と DC の中間的な位置づけ
この「リスク分担型確定給付企業年金」は、以前から
「ハイブリッド型年金制度」「混合型年金制度」などと言
われていたものです。
あらかじめ給付額を決めておき会社が拠出・運用・
管理・給付までの責任を負う「確定給付年金(DB)」と、
拠出した掛金額とその運用収益によって給付額が決定
され自己の責任において管理する「確定拠出年金
(DC)」の両方の性質を併せ持つ年金制度となります。
◆新制度の特徴は?
新しい企業年金制度は、企業が景気変動などの「将
来的に発生するリスク」に備えて、労使の合意により定
めた掛金(リスク対応掛金)をあらかじめ多めに拠出し
ておくことで、財政が悪化した場合に起きる積立不足
について追加拠出が避けられるというシステムです。
同制度は、予測よりも悪化して積立不足が発生した
場合には加入者および受給者にとって負担となります
が、逆にリスク対応掛金として多めに拠出した分につ
いては、運用が好調な場合は給付が増えるというメリッ
トもあります。
◆加入者等が意思決定に参画できるための仕組みが
必要
厚生労働省では、新制度により企業の導入が進むこ
とを期待するほか、DB からの移行を想定しているよう
です。DB では運用リスクが企業に偏る一方で、DC で
は個人に偏ってしまうこととなります。
これらを解決するため、労使でリスクを柔軟に分け合
う制度として提案されたのが同制度ですが、同制度は
DC と同じく、運用の結果次第で加入者および受給者
の給付が調整される可能性のある仕組みです。このた
め、制度開始時の意思決定に加え、制度実施後も加入
者が適切に意思決定に参画できるための仕組みが必
要と言えます。
事務所からのお知らせ
平成28年度の労働保険料年度更新手続きは6月1日か
ら7月11日(月)までとなります。なお、労働保険事務組合
愛和会へ事務委託の事業所様への納入通知書は6月上
旬に郵送、納期は6月末日となります。宜しくお願い致しま
す。 <要注意!>雇用保険料の労働者負担率は 4月1
日から 、一般事業は 5/1000 から 4/1000 に,建設業は
6/1000 から 5/1000 に変更になっています。